一緒に生活している老猫が以前とは異なり、叫ぶように鳴くことが増えると、飼い主様は原因が気になって心配ですね。何ができるのかと悩むことも多いでしょう。老猫が叫ぶように鳴くのは老化現象と病気、両方の可能性が考えられます。状況によってはすぐに動物病院を受診する必要があるかもしれません。

今回の記事では、老猫が叫ぶように鳴く理由について解説し、対処法もお伝えします。また、すぐに動物病院を受診する必要のある状態についてもご紹介します。

そもそも何歳くらいからが老猫なの?

猫が鳴く理由が、何らかの要求などによるものなのか、高齢化の影響によるものなのかを見極めるためには、そもそも何歳くらいからが老猫なのかを知る必要がありますね。猫の平均寿命はおよそ15歳程度です。7歳~10歳が中高年期、11歳~14歳は高齢期、15歳以上が老齢期と言えます。

7歳以上の猫の場合、鳴く理由に年齢による影響が出ている可能性もあるため、念入りに観察をして、適切な対処を行う必要があります。

老猫が叫ぶように鳴く!考えられる7つの理由とは

2.	老猫が叫ぶように鳴く!考えられる理由とは

老猫が叫ぶように鳴く理由にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは代表的なものをご紹介します。

分離不安

猫は自立心が強い動物だというイメージがありますが、分離不安になることもあります。現代は完全室内飼いの猫が多く、単頭飼育の猫も多い環境です。子猫の時から一頭きりで飼い主様に育てられ、いつでも飼い主様に構ってもらえる環境で育った猫は分離不安になりやすいと言えます。

また、高齢猫の場合、目や耳など体のどこかに不調があると、一人でいることに不安を感じて分離不安になるケースもあります。分離不安の猫は、飼い主様の姿が見えないだけで叫ぶように鳴くことがあります。

甲状腺機能亢進症

甲状腺は、サイロキシンというホルモンを分泌させる器官で、喉のあたりに位置します。サイロキシンは、体を活発にする働きのあるホルモンです。甲状腺機能亢進症は、甲状腺の腫瘍化などの影響によって、サイロキシンが過剰に分泌される病気です。

この病気は、品種や性別に関わらず、10歳を過ぎた猫によくみられる傾向があります。サイロキシンが過剰になることで代謝が異常になり、食欲旺盛になるにも関わらず痩せてきたり、多飲多尿になることもあります。落ち着きがなくなり興奮状態が続いたり、攻撃的になったり、イライラすることが増えることもあります。

甲状腺機能亢進症の猫が大声で鳴くことも多く、特に夜間に叫ぶように鳴くことが増えます。甲状腺機能亢進症の猫の飼い主様の多くは「愛猫の目つきがギラギラしてきた」と感じるようです。

認知症

猫の認知症は、犬よりも気づかれにくいことが多いと言えます。これは、猫は犬のように飼い主様のそばに常にいることがなく、散歩などのコミュニケーションの時間も少ない傾向があるからです。

動物の認知症の場合、まだ評価方法が確立されていないこともあり、診断が難しいです。急に大声で叫ぶようになる、徘徊や排泄の粗相が増える、寝ている時間が増えるなどの行動の変化が現れた場合、これらの症状を鑑みて、似たような症状を引き起こす神経系の病気などを除外することで診断することが多いでしょう。

聴覚の低下

人の場合、高齢化によって聴覚が低下すると、自分自身の声が聞こえづらくなり、発生する声のボリュームを上手に調整できなくなることがありますね。

動物でも同様のことがあり得るかどうかは明確には不明ですが、可能性としては考えられます。猫の鳴き声が異常に大きくなった場合は、聴力が低下している可能性も視野に入れましょう。

ストレスアピール

年齢を重ねると、視力や聴力など感覚器の機能低下や、関節の痛みなど、体にも様々な老化症状が現れます。痛みなどで思うように動けなくなったり、毛づくろいが上手にできなくなったり、排泄の粗相などがストレスになることも多いでしょう。

また、飼い主様に構ってもらえないなど、退屈な気持ちや寂しい気持ちがストレスになっている大声で鳴いている可能性もあります。

高血圧

愛猫が大声で叫ぶように鳴いている場合、高血圧の可能性が考えられます。高血圧になると、血管に大きな負担がかかり、血管が傷つくことで目や腎臓、神経、心臓に症状が現れます。

臓器にも悪影響があり、定期検査を行っていない場合発見が遅れることもあります。

高血圧の具体的な症状は、以下になります。

  • 目の中の出血
  • 網膜剥離
  • 腎機能の低下
  • ふらつき
  • 痙攣

高血圧は重大な病気に繋がる可能性もあるため、叫ぶように鳴いている場合は一度動物病院で検査を受けましょう。

尿路結石

叫ぶように鳴く原因の一つに、尿路結石が考えられます。尿路結石とは、腎臓、尿管などに結晶や結石ができる病気です。

栄養バランスが偏っていたり、水分不足を起こしていたりすると尿のpHバランスが崩れて結石ができやすくなります。

尿路結石の場合、排尿時に痛みが伴うため、大きな鳴き声をあげてしまいます。大声で鳴く以外にも、トイレで排尿しない、落ち着きがなくなる、また血尿があれば尿路結石が考えられるため、すぐに病院で診察してもらいましょう。

老猫が叫ぶように鳴く場合の対処法

3.	老猫が叫ぶように鳴く場合の対処法

老猫が叫ぶように鳴くようになってしまった場合、飼い主様はどのような対処をすれば良いのでしょうか。

生活環境を見直す

猫のストレスが軽減されるような環境になるよう、現在の生活環境を見直しましょう。トイレはこまめに掃除し、寝床の毛布などもできる限り毎日洗濯すると良いでしょう。猫自身で毛づくろいが上手にできなくなった場合は、飼い主様によるブラッシングなどで猫の体も清潔に保ちましょう。

食事にも気を配る必要があります。老猫が美味しく食べることのできるフードを選び、一度に大量に与えるのではなく、少な目の量を多い回数で与えることで猫の満足度を高めることができます。

コミュニケーションを充実させる

老猫は、飼い主様と一緒にいることで精神的に落ち着けることが多いです。できる限り触れ合う時間を作りましょう。ブラッシングなどをすれば、血流がよくなりマッサージ効果も期待できます。猫が飼い主様の声で安心できるように、話しかけながら接することも大切です。

知育玩具を活用して頭と体を動かす

運動量の減る老猫の場合、脳や体への刺激がとても重要です。知育玩具を利用することで、脳や体への刺激を与えることが可能です。知育玩具にフードを入れれば、猫はフードを取り出すために考えたり、手や足、体全体を使うため、肥満対策や認知症の対策になります。すでに認知症の症状が出ている猫にとっても、進行を緩やかにさせる効果が期待できます。

早急に病院で診察を受けたほうが良い症状

早急に病院で診察を受けたほうが良い症状

猫が叫ぶように鳴く場合、その他に異常な行動や症状がみられる時は、一般的な老化症状だけでなく何らかの病気である可能性もあります。中には命に関わるケースもあるため、早急に受診が必要な症状をお伝えします。

下痢や嘔吐の症状が見られる

猫はストレスを感じると、下痢や嘔吐をすることがあります。しかし、何らかの病気で下痢や嘔吐をする可能性もあります。猫が下痢や嘔吐を繰り返す場合は、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。猫が叫ぶように鳴くうえに、下痢や嘔吐を繰り返す時の原因には、甲状腺機能亢進症などの他に、腎臓病や消化器の病気など様々な病気が考えられます。

食欲がない

高齢猫は、消化機能や基礎代謝に低下がみられるため、若い時のようにご飯を食べることは難しくなります。歯周病や口内炎など口内のトラブルや、消化器などの内臓疾患を患い、食欲が低下することもあるでしょう。

しかし、急に食欲が全くなくなったり、食べずに激しく鳴き続ける場合などは何らかの病気で苦痛を訴えている可能性が高いです。できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

排尿時に異常が見られる

猫が排尿の際に激しく鳴いたり、排尿姿勢をとっているのに排尿せずに鳴き続ける場合、赤い尿がみられる場合などは、排尿の問題が起きている可能性があります。例えば、尿路結石などで激しい痛みを感じていたり、尿が全く出ない状態になっているかもしれません。

特に、尿が全く出ない場合は短時間で命に関わる状態に陥るため、一刻も早い受診が必要です。

老猫の夜鳴きを予防する方法

老猫の夜鳴きを予防する方法

老猫が叫ぶように鳴いていると、愛猫にとっても飼い主様にとってもつらいと感じるでしょう。できるだけ落ち着いて過ごせるようにしてあげたいとお考えの方は、以下を参考にしてください。

安心できる環境を整えてあげる

老猫が叫ぶように鳴いている場合は、安心できる環境を整えることが重要です。飼い主様が家にいないことは猫にとって不安なことであり、ストレスの原因に繋がる場合があります。

猫を家で留守番させる際も安心させてあげられるように、ラジオやテレビなど音がなるものを置いてあげましょう。

また、ラジオやテレビを付けてあげられない場合は、暖かい毛布や湯たんぽを置いてあげると不安を解消してあげられます。

コミュニケーションを取る

愛猫が認知症の場合、コミュニケーションを頻繁に取ってあげると夜泣きを予防できるでしょう。飼い主様が猫に話しかけてあげることは、認知症対策にも有効です。

猫を優しく撫でてあげ、そばにいてあげたり、話しかけたりして気持ちを落ち着かせてあげましょう。一緒に遊んで、声をかけると老猫の脳に刺激となるため、夜鳴きだけでなく認知症の対策にも効果的です。

適切な治療を受ける

老猫の叫んで鳴く様子が心配な方は、動物病院で医師に診断してもらいましょう。早い段階で病気に気づいてあげると、症状の進行を防げます。

また、病状により、薬で治る場合と手術で改善する場合があります。叫んで鳴いている原因が病気のせいであれば、適切な治療を受けることが重要です。

老猫が叫ぶように鳴き始めたら注意深い観察を

今回の記事では、老猫が叫ぶように鳴く原因や対処法、また、すぐに動物病院を受診すべき状態についてお伝えしました。老猫が今までと異なる鳴き方をするようになった場合、原因にはさまざまなことが考えられますが、どのような理由であれ猫自身へのストレスも強くなっている可能性があります。

猫が叫ぶように鳴くようになったら、日頃からの観察をより注意深く行い、残された老猫の時間がより快適になるような工夫をしてあげたいですね。