長年一緒に暮らしてきた老猫がいつもと違う鳴き声で鳴きはじめたり、夜中に突然鳴きだしたりすると飼い主様は「ボケてしまったのか?」と不安になりますね。老猫の夜鳴きに悩む飼い主様も多いでしょう。

猫の夜鳴きの原因のひとつには認知症が挙げられますが、その他の理由もあります。今回の記事では、認知症の猫の特徴や、認知症以外の老猫の夜鳴きの原因についてお伝えし、対処法についても解説します。ぜひ参考にしてみてください。

認知症の猫の鳴き声にはどんな特徴がある?

認知症の猫の鳴き声にはどんな特徴がある?

認知症が疑われる猫の鳴き声には、どのような特徴や傾向があるのでしょうか。認知症の猫は、きっかけもなく突然叫ぶように鳴き始めたり、異様に興奮した声で長時間鳴き続けたりすることがあります。

普通の「要求鳴き」は、飼い主様が猫の要求に応えれば止まりますが、認知症の猫の場合、飼い主様の行動で鳴き止むことがありません。なかには食事をとったことを忘れてごはんを要求するといようなケースもありますが、一般的には認知症の猫は自分でも何故鳴いているのかわかっていないことも多いのです。

猫の認知症が疑われる症状

猫の認知症が疑われる症状

認知症の猫には、鳴き方以外にもいくつかの症状がみらます。ここでは、認知症が疑われる猫の症状について詳しくお伝えします。

無駄鳴きや夜鳴き

特に意味もなく大声で鳴く「無駄鳴き」や、夜間に鳴き続ける「夜鳴き」は、猫の認知症の症状としてもっともよくみられる症状のひとつです。ただし、無駄鳴きはホルモン異常などの認知症以外の病気でも起こる可能性があるため、認知症かどうかの確認が必要です。

トイレの粗相をする

認知症になると、トイレの場所が分からなくなることがあります。迷っているうちに粗相してしまったり、トイレ以外で排泄することもあります。

トイレの粗相は、認知症だけでなく、足腰の痛みでトイレに行くのが間に合わなくなった場合や、泌尿器疾患、腎臓病や糖尿病、便秘なども関係している可能性もあります。

同じ場所を徘徊する

部屋中をむやみに歩き回ったり、同じ場所をぐるぐる回るという行動も、認知症の猫によくみられる様子です。自分のいる場所が分からなくなって立ち竦んだり、狭いところに入り込んで出られなくなるというようなこともあります。

性格や好みが変わる

怖がりになったり攻撃的になったりといった性格の変化がみられることがあります。飼い主様への依存度が高まり分離不安の症状が出ることもあります。生活を送る上での様々なことに対する反応が乏しくなり、名前を呼んだり撫でたりしても無反応になることも多いでしょう。

食欲や味の好みが変わる猫もいます。ついさっき食事をしたにもかかわらずまた食事を要求することもあります。

不眠・過眠による昼夜逆転

認知症になると、睡眠覚醒周期の変化によって不眠や過眠症状が出ることがあります。人と暮らす猫は、人の生活サイクルに合わせて日中に活動して、夜間に寝るというスタイルが多いですが、認知症の猫の中には昼夜逆転の生活になる猫も多いです。

老猫の夜鳴きの主な原因4つ

老猫の夜鳴きの主な原因4つ

老猫の夜鳴きに悩む飼い主様も多いですね。老猫は、さまざまな原因で夜鳴きをします。夜泣きの原因には大きく、認知症や体の痛みなど病気が原因の場合と、老化による心身の変化によるものがあります。

病気

認知症以外にも、甲状腺機能亢進症などは、老猫の夜鳴きを引き起こしやすい病気です。甲状腺機能亢進症は中高齢の猫に多く発症する疾患で、過度な興奮による夜鳴きや落ち着きのなさが特徴です。

「高齢猫が夜中に興奮して鳴くようになった」という飼い主様の話を聞いた場合、獣医師がまっさきに思い浮かべる病気のひとつで、夜鳴き以外にも、食欲の亢進や、よく食べて元気なのに痩せてくる、といった症状が典型的です。

体が痛い

人も高齢になると関節の痛みなど、体の痛みに悩まされることがありますね。猫も同じで、高齢になると体の痛みを感じやすくなります。特に、関節痛は夜間に同じ姿勢で寝ることが辛くなり、痛みを訴えるために夜鳴きすることがあります。階段の上り下りやジャンプをすることが減ったなど、活動性に変化が見られた場合は、足腰の痛みなどを抱えているかもしれません。

不安・ストレスを感じている

加齢に伴い、視力や聴力などの五感が衰えます。そのため、不安感やストレスを感じやすく、夜鳴きをすることもあります。毛づくろいの頻度が減ったり、上手に毛づくろいができなることがあるため、体を清潔に保てずに不快感から夜鳴きをすることもあると言われています。

夜鳴きした時、飼い主様が傍にいって撫でたり声をかけることで落ち着くような場合は、ストレスや不安が原因の夜鳴きである可能性があります。猫の毛並みが悪くなってきたら、飼い主様が積極的にブラッシングを行うことも必要です。

飼い主に要求したいことがある

空腹や喉の渇き、暑さや寒さ、トイレが汚れている、遊んで欲しい、飼い主様に近くにいて欲しいなど、飼い主様への要求で夜鳴きをする猫もいます。猫が何を要求しているかを見極め、必要な要求には応える必要があります。

猫の要求にすべて応えると、要求がエスカレートする可能性もあると言われていますが、無視もよくありません。遊んで欲しい時などは短時間でもかまってあげるなど上手に対応しましょう。

老猫の夜鳴きへの対処法4選

老猫の夜鳴きへの対処法4選

ここでは、老猫の夜鳴きに困った場合、どのように対処すべきかをお伝えします。

獣医師へ相談する

上でもお伝えした通り、夜鳴きや猫の鳴き声が普段と違う場合は、認知症や甲状腺機能亢進症、関節痛などの病気が潜んでいる可能性もあります。夜泣き以外の行動の変化や、食欲や排泄の状態、体重の変化などをよく観察し、気になる場合は速やかに動物病院を受診しましょう。

現在の獣医療では認知症そのものを治す方法はありませんが、薬やサプリメントを使用することで認知症の症状を軽減させられることもあります。

生活環境を見直す

不安や要求による夜鳴きには、老猫が安心して生活できる環境作りが効果的です。

視力や聴力の低下による不安で鳴く猫の場合は、夜間も真っ暗にせずに少し明かりをつけたり、部屋の家具などに緩衝材などをつけて猫がぶつかって痛みを感じるリスクを減らすと良いでしょう。できるだけ部屋の模様替えなども避け、猫が記憶を頼りに部屋をできるようにしましょう。

その他、トイレの位置を猫のお気に入りの場所の近くに複数設置したり、食事を小分けにして回数を多めにするなどの工夫で改善できることもあります。

スキンシップを増やす

抱いたりブラッシングをするなど、猫と触れ合う時間を増やして安心させることも大切です。叱ってしまうと、猫にとって大きなストレスとなり、さらに夜鳴きが強くなる可能性もあります。飼い主様がゆったりとした気持ちで優しく声をかけながら接すると、猫が落ち着いてくれることもあるでしょう。

防音グッズを活用する

鳴き声が飼い主様の大きなストレスになる場合は、壁に吸音パネルや防音・遮音シートを貼ると、鳴き声が響きにくくなります。

ご近所への騒音が気になる場合は、窓ガラスに防音シートを貼ったり、防音カーテンにするなども効果があるでしょう。近隣住宅へはお詫びと共に猫の状況を説明しておくとご近所トラブルも防げます。

楽しかった生活を思い出し穏やかな気持ちで対処を。

認知症の猫の場合、猫本人も鳴いている理由がわからずに辛い気持ちを抱えていることが多いです。できるだけ穏やかな気持ちでつきあうことで、猫や飼い主様自身のストレスも緩和できるでしょう。

夜鳴きについイライラしてしまった時は、写真を見返したり家族と猫の話をして、楽しかった生活を思い出すとまた優しい気持ちで対応できることもあります。飼い主様自身の健康のためにも、動物病院と上手に連携を取り、一人で抱え込まないことも大切です。