愛犬が年を重ねるにつれてご飯を食べなくなると心配になりますね。「なぜご飯を食べてくれないのだろう」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、シニア犬の食欲が低下する原因や、食欲が減退した場合に注意が必要なポイントを詳しく解説します。飼い主様には、ご対処法やおすすめの食材なども紹介するため、ぜひ参考にしていただければと思います。
愛犬が健やかに長生きできるよう、シニア犬の食事について基本的な知識を身につけましょう。
目次
シニア犬がご飯を食べなくなったら
もし飼っているシニア犬がご飯を食べなくなったら、心配するのは当然です。以下では、シニア犬がご飯を食べなくても問題ない期間や、寿命について説明します。
犬はどのくらいの期間食べなくても大丈夫なのか
シニア犬の多くは2〜3日間、水だけでも体調を崩さずに過ごせます。しかし、大きな病気が隠れているかもしれません。
シニア犬の中には、数日間ご飯をほとんど食べなくても平気そうにしている子もいます。しかし、見た目には分からない異常が体内で起きていることもあります。早期発見が大切な病気も多いため、後悔しないためにも、一度獣医師に診てもらいましょう。
全く食べなくなったシニア犬は寿命なのか
シニア犬の余命は、状態により大きく異なります。寝たきりや自力で食事ができない、持病が悪化している場合は、食欲が完全になくなると、数日以内に最期を迎えてしまうかもしれません。
動物病院で獣医師の指示に従い、できる限り愛犬のそばで寄り添い、最期の時間を共に過ごしましょう。
一方、自力で食事ができる場合は、食欲が落ちている場合でも、形状や与え方を変えたり、点滴や給餌で脱水を改善したりすることで、食欲が回復することがあります。
飼い主様のサポートや治療によって、食べたい意欲が戻ってくるかもしれません。食べたくても食べられない状況を改善するために、できることを尽くしましょう。
シニア犬がご飯を食べない原因
なぜシニア犬はご飯を食べなくなるのでしょう?シニア犬がご飯を食べなくなる原因は、ひとつではありません。以下では、どのような理由があるのか詳しく解説していきます。
病気で食べなくなる
シニアになるほど食欲不振を引き起こす病気にかかりやすいため、食事を摂らなくなることがあります。病気の場合、食欲不振に加えて、以下の項目に変化があります。
- 水分摂取量
- 尿量
- 運動量
- 体重
通常と異なる状態を感じた場合は医師の受診を検討しましょう。
消化機能や基礎代謝の低下
犬では7~8歳で老化が始まると言われ、老化現象は年齢とともに明確になります。加齢により、消化器官を含む臓器の機能や基礎代謝が低下します。
成犬の時には消化できていた食事も上手に消化できません。シニア犬では筋力の低下とともに運動量も減少します。
消化器官の機能や基礎代謝の低下に加え、運動不足により空腹感が減少し、食欲が低下してしまいます。
好きな食べ物が変わる
犬は年を重ねると味覚や嗅覚など感覚器の機能が低下します。今まで好んで食べていたフードでも、味や臭いの感じ方が変わり美味しく感じなくなるのです。シニア犬の認知症も珍しくありません。認知症でも突然食べ物の好みが変わることがあります。
また、味覚にはミネラルが影響しています。餌にミネラルが多かったり少なかったりすると、体調を崩すことがあるため、ドッグフードに工夫が必要になるでしょう。
口周りのトラブル
シニア犬に最も多い問題のひとつが歯周病などの口周りのトラブルです。歯周病になると、歯が抜けてぐらつき、ご飯が食べづらくなることがあります。また、歯周病が進行しているケースでは病巣に痛みを感じてご飯を食べられなくなるかもしれません。
加齢と共に顎の周囲の筋力も低下するため、噛む力が弱くなりご飯を食べたがらなくなることもあります。
足や首の筋力の低下
床にお皿を置いてご飯を食べる場合、足や首の筋力の低下も食事量に影響します。足の筋力低下により、立ったままの姿勢が維持できず落ち着いて食べることができません。また、シニア犬の首の筋力が低下すると首を下げてご飯を食べる姿勢がつらくなります。
筋力低下によりご飯が食べづらい場合は、食欲自体が低下するわけではありません。しかしすぐに食べるのをやめて寝てしまうため、飼い主様からは食欲がないと思われてしまうでしょう。
環境の影響で食べなくなる
犬は加齢と共に心身のストレスを感じやすくなります。目が見えにくい、筋力の低下や関節の痛みなどの理由でご飯の場所までの移動にも苦痛を感じ、ご飯を食べたがらないかもしれません。
また、シニア犬は感情も不安定です。もともと繊細な犬や分離不安を抱えている犬はさらに不安感を大きく抱くようになり、飼い主様の姿が見えないなどささいなことでも食欲が落ちてしまうことがあります。
シニア犬がご飯を食べない時の注意点
シニア犬がご飯を食べない原因に病気が潜んでいる可能性もあり、病気の発見のためにシニア犬がご飯を食べない時の注意点や特に気にかけて観察すべきポイントについてお伝えします。
水分補給は必ず行う
重度の歯周病や口内炎などで口内に痛みを感じると水も飲めなくなります。愛犬の食欲が落ちてきたら飲水量も気にかけて観察し、水も飲まないようであれば獣医師に相談した方がいいでしょう。
脱水は体調を急激に悪化させる可能性があります。愛犬が口周りのトラブルで水を飲めない場合は水をスポイトで垂らしたり、濡れたガーゼを口に入れてあげたりするなどの工夫で水分補給を行うことが大切です。市販の犬用経口補水液を利用するのも効果的です。
吐いたり下痢をしたりしていないか
吐いたり、下痢をしたりするなどの症状が続く場合は、消化器系の病気かもしれません。ご飯を食べてすぐ飲み込んだものを吐くことを吐出(としゅつ)と言い、原因には食道拡張症や誤嚥性肺炎などの病気があります。
胃の内容物を吐くことを嘔吐と言い、胃炎や膵炎、腫瘍、感染症など様々な病気でおこります。下痢が続く場合も感染症や腸炎など多くの病気が潜んでいる場合があります。
愛犬が吐いたり下痢をしたりしたら、吐く様子を観察し、吐いたものや排泄物の色や形も確認しましょう。写真などに撮っておくと動物病院を受診する際に有用です。吐いたり下痢をしたりすることが続くことは脱水にもつながります。早めに動物病院の受診を検討しましょう。
散歩に行きたがらない場合
散歩を嫌うようになる場合、椎間板ヘルニアや関節炎など運動器の病気かもしれません。貧血の時も疲れやすくなるため運動を嫌います。その他、心臓や内分泌系、呼吸器系の病気などでも散歩に行きたがらなくなります。
様子を観察し必要に応じて獣医師に相談するのが良いでしょう。
シニア犬がご飯を食べない時の6つの工夫
シニア犬がご飯を食べない時に飼い主様にできる対処法をご紹介します。ご飯を食べない時は以下の方法を試してみるのも良いでしょう。
フードを温めてみる
温めると食材の香りが強くなり犬の食欲を刺激します。特に加齢で嗅覚が落ちてきた愛犬には効果的かもしれません。フードを電子レンジや湯煎などで温めたり、フライパンで炒めたりすると愛犬が食べてくれるかもしれないので試す価値はあります。
食事台やシリンジを活用する
食欲はありそうなのにすぐ食べるのをやめてしまう愛犬には、食事台を活用してみましょう。愛犬の肩の高さあたりを目安に食事台を設置すると首を下げずにご飯が食べられるようになります。
食事台を使っても食べにくそうな場合は、シリンジで柔らかいフードを口に流し込んであげるのもおすすめです。
また、犬では一般的に前足よりも後ろ足に体重の負荷がかかりやすいです。後ろ足の下にごく低めの台を置き、ほんの少し前のめりになるイメージで前足にも体重をかけると立っていられる時間が長くなることがあります。
フードを柔らかくする
歯の問題などでドライフードが食べづらそうな場合は、フードを柔らかくすることで食べやすくなります。お湯でふやかす方法は簡単ですが、犬によってはささみなどの出し汁や犬用スープでふやかすと食べてくれることがあります。
ドライフードの量を減らし、嗜好性の高いウェットフードを混ぜるとフードも柔らかくなり、食欲増進にもつながります。フードを水分でふやかすと水分補給にもなるため脱水予防につながります。
ストレスを軽減する
ストレスによって食欲がなくなっている場合には、愛犬に合った方法でストレスを軽減させてあげると効果的な場合があります。散歩に行けなくなったことがストレスなら、犬用バギーなどで外気に触れるのも良いでしょう。
飼い主様とのスキンシップが好きな愛犬には、マッサージを行うと血行も良くなり一石二鳥です。シニア犬になると分離不安を抱えやすいため、可能な範囲で愛犬ひとりきりの時間をなくすこともストレスの軽減につながるでしょう。
フードを変える
ご飯を食べない原因が老化による味覚の変化の場合は、フードを変更することで食べてくれることもあります。いつも与えているものとは、別のものを与えてみるのもいいでしょう。
普段ドライタイプを食べているなら、ウェットタイプに変えるだけで食べられる子もいるため、ワンちゃんによってそれぞれ好みは違います。
また、シニア犬に与えるべき食事は、栄養バランスが重要です。犬の健康状態を維持するためには、以下の栄養素が適切な割合で摂取される必要があります。
- たんぱく質
- 脂肪
- 炭水化物
- ビタミン
- ミネラル
普段の食事には、上記の栄養素が含まれるフードやサプリメントを与えることがおすすめです。
シニア犬も人間と同様に、食事の味に好みがあるため、ひとつの味だけでは飽きてしまいます。複数の味やバリエーションを取り入れることが大切です。
たとえば、チキン、魚などの異なるタイプのフードを交互に与えることで、犬の食欲を刺激できます。また、人間の食材を利用して手作りのごはんを作ることも良い選択肢です。
少量に分けて与える
老化により消化能力が低下しているため、できるだけ内臓に負担をかけないよう、少量に分けて与えるのも効果的です。食べられる分だけで問題ないので、少量ずつ与えましょう。全て食べられない場合は無理に与えず、餌の量を見直してみてください。
食事内容の適切な調整
シニア犬に与える食材の量やバランスには注意が必要であり、獣医師の指導を仰ぐことも重要です。シニア犬は活動量が低下するため、食事の回数と量を調整しなければなりません。
通常、成犬の場合は1日2回の食事が適切ですが、シニア犬の場合は3回に分けて与えることがおすすめです。また、食事の量も適切に調整し、太り過ぎや体重の減少を防ぐように注意しましょう。
食欲が落ちているシニア犬におすすめの食材
ここでは食欲が落ちているシニア犬に良い食材をまとめていきます。
突然ドッグフードから手作りの食事に変えると戸惑って食べないこともあるので、最初は普段の食事のトッピングやおやつに少量加えて様子を見ましょう。
鶏ささみ・むね肉
足や顎の筋肉量が低下して食欲が落ちているシニア犬には、筋肉量維持の目的で良質なタンパク質が必要です。鶏のささみやむね肉はタンパク質が豊富で、色々な栄養素も含まれるためお勧めです。
生のままでは消化に悪いため茹でるなどの加熱をしてください。皮には脂肪が多く脂肪を消化しづらい犬はお腹を壊してしまう可能性があります。皮は少量を試してみて愛犬が消化できるなら与えましょう。消化ができればエネルギー源として有用です。
キャベツ
キャベツにはでんぷん分解酵素であるジアスターゼなどの酵素が豊富です。ビタミンCやビタミンK、特徴的なビタミンUも多く含まれます。他の食材の消化を助ける働きがあるためおやつにもお勧めの食材です。加熱するとビタミン類や酵素が壊れてしまうため、生のものを細かく刻んで与えてみましょう。
シニア犬向けドッグフード
シニア犬向けドッグフードには、シニア犬に必要な栄養素が含まれているため、簡単に必要な栄養を摂取できます。市販のドッグフードから選ぶ場合は、原材料や成分をみて添加物の少ない製品などを選ぶようにしましょう。
何も食べられない場合は受診を
全くご飯を食べなくなったときは、病気が原因のことがあります。具体的な変化がわからない場合でも、なにかおかしいと感じたり、全くご飯を食べなくなったりしたら動物病院を受診してください。病気の早期発見のためにも普段からよく観察をすることが大切です。
シニア犬になったら、定期的に獣医師の検査やアドバイスを受けるのもよいでしょう。獣医師の指導のもと、病気に合わせた療法食を与える必要がある場合もあるため注意が必要です。
まとめ
シニア犬の食欲低下の原因は様々です。無理に食べさせようとせずに、ペースに合わせて与えてみましょう。若い時のようにご飯を朝晩2回などと決めるのではなく食べられる時に食べられる量をこまめに与えても良いでしょう。
シニア犬になると色々な病気も心配です。定期的な健康診断をしっかりと受け、不安な点は獣医師に相談してみてください。
また、こうして多くの飼い主様が家族のように大切に思っている犬たちも、いつか別れの時が訪れてしまいます。悔いなくお別れするためには、生前の元気なうちから終活や葬儀について考えみてはいかがでしょうか。
COCOペットでは犬などのペットの火葬を承っております。24時間365日ご予約やお問い合わせを受付中です。どうぞご気軽にご相談ください。