「犬の背中が曲がるのは病気なのだろうか」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
すらっとした愛犬の背中を見慣れている飼い主様にとって、曲がっている背中は病気ではないかと疑ってしまうのも無理はないでしょう。
本記事では、犬の背中が曲がる原因や治療法、予防方法を解説していきます。犬の身体について気になる方は、ぜひご覧ください。
目次
犬の背中が曲がる原因
犬の背中が曲がる原因は多数ありますが、一番多く挙げられるのは老化によるものです。しかし、なかには犬種独特の病気が原因の場合もあります。愛犬の品種と年齢を見極めて、背中が曲がっていないか、日ごろから観察してみましょう。
老化
老化により腰の神経が麻痺して後ろ足の筋力が弱まることで、徐々に犬の背中が曲がってしまうことがあります。そもそも犬は前足をよく使う動物であり、必然的に後ろ足から弱っていくのです。
結果として、お尻を支えられなくなり、お尻の位置も下がってしまいます。さらに、後ろ足の位置が後方ではなく体の中央になり、背中が曲がってしまうのです。
背骨のズレ
背骨周りの筋肉や骨をつなぐ靭帯・腱が伸びてしまい、背骨がズレて背中が曲がることもあります。リードの引っ張りすぎや狭い場所での睡眠が原因のひとつです。
ひどい場合は、老犬によくある「変形性関節症」になることも。変形性関節症とは、骨のクッションの役目を果たす軟骨が関節の摩耗などにより負荷を受けて痛みが生じる病気です。
レントゲン検査などで発見される場合が多く、外科手術や投薬で治療を行います。関節や筋肉関連の疾患は、放っておくと悪化の一途をたどるため、早期発見・早期治療が必要です。
変形性脊椎症
変形性脊椎症とは、脊椎の骨が変形する病気になります。脊椎とは背骨のことであり、中枢神経である脊髄を守る骨です。
脊髄が変形すると背中が曲がった状態になり、手足の麻痺や痛みが生じ、結果として、歩くことが困難になる犬が多く存在するのです。
ミニチュアダックスフンドやコッカースパニエルなどがなりやすい「椎間板ヘルニア」も同様の症状を引き起こします。ただし、椎間板ヘルニアの場合は年齢関係なく起こる病気で、若い成犬でも発症するため注意しましょう。
犬の曲がった背中の治療法
犬の曲がった背中の治療法はいくつかありますが、代表的なのは外科手術や投薬治療です。いずれも、獣医師が犬を診察して症状の改善をみて治療を決めます。獣医師の指示に従って、愛犬の健康を取り戻しましょう。
外科治療による手術
以下のような商用は外科治療をする必要があります。
- 椎間板ヘルニア
- 変形性関節症
- 変形性脊椎症
- 脊髄空洞症
椎間板ヘルニアで重症の場合は、重度の麻痺状態になっているため外科手術をすることが多いです。
手術では脊髄を圧迫する背骨部分を削り、圧迫を取り除きます。手術後も麻痺が残る場合があるため、コルセットの着用やリハビリでの回復が必要不可欠です。
変形性脊椎症の手術は稀ですが、あまりにひどい場合は減圧術を行います。脊髄空洞症は脳につながる脊髄内に空洞が生じる病気です。重度の麻痺状態にあると診断された犬には外科手術を施します。
投薬治療
変形性脊椎症や椎間板ヘルニアで軽度の麻痺や痛みが生じている場合は、投薬治療で効果があるか確認することが多いでしょう。老化や背骨のズレで、痛みが生じている場合も投薬治療を行います。
必要に応じて、鍼や鍼灸療法なども行いますが、効果は個体それぞれです。獣医師の指示に従って適切な治療を行いましょう。
マッサージ
獣医師のなかには、マッサージや鍼治療など東洋医学をおすすめする先生もいます。マッサージをすることで背中のズレや痛みが良くなる個体もいるのです。
しかし、すべての犬種に効果があるわけではないため、獣医師とよく相談したのちに行うことが大切です。専門家に任せるのが良いですが、スキンシップの一環として自宅で飼い主様自身が行うのも良いでしょう。
犬の背中が曲がらないための予防方法
犬の背中が曲がらないための予防方法は、日常生活で行えるものばかりです。逆を言えば、日常生活での些細な行動が犬の背中を痛める原因となります。予防方法を行いながらも、犬の背中に気を使って生活を送りましょう。
段差の少ない環境を整える
段差の少ない環境を整えることは、犬の背中が曲がらないための代表的な方法です。外の段差はともかく、室内では段差の少ない環境を整えてあげましょう。
階段やソファー、ベッドへの上り下りは、犬の背骨にダメージを与えるため、スロープを取り付けると良いです。
激しい運動を控える
散歩中の階段の上り下りや、段差の激しい場所での運動は背骨に良くありません。障害物が多い場所での激しい運動は控えるようにしましょう。
散歩中に階段や段差が見られる場所では、無理に歩かせないでください。背骨に注意しながら抱っこをして降りることが大切です。
体重を管理し肥満体を避ける
体重が増えて肥満体になると背中や背骨に負担がかかります。体重管理を心がけ、食事も栄養バランスの取れたものを与えるようにしましょう。
犬の肥満体は人間と同じように体に大きな影響を及ぼします。脂肪が多く、筋肉が少ない状態は背骨を痛める原因になるため、健康的な体を保つようにしてください。
愛犬の背中が曲がった場合の注意点
愛犬の背中が曲がってしまった場合は「抱っこの仕方に気をつける」「リードの持ち方に気をつける」などの注意点を守って生活しましょう。
老犬の場合は、少しの刺激で痛みが生じる場合があります。犬の表情を確認しながら、そっと行動するように心がけてください。
抱っこの仕方に気をつける
上半身だけを持つ抱っこの仕方は、犬の背骨を痛める原因になります。いわゆるお姫様抱っこのような仰向けの横抱きや縦抱きなども良くありません。
正しい抱っこは、胸と骨盤を支えながら、背骨が地面と平行になるように抱っこすることです。仰向けでもなく縦向きの抱っこでもない、横向きの平行抱っこが正しい抱っこの仕方になります。
リードの持ち方に気をつける
リードをつけての散歩は、強くリードを引っ張ると首を痛めて体自体も痛めてしまう恐れがあります。結果として、背中を痛める原因になるため、首輪ではなくハーネスにすることがおすすめです。
散歩が大好きで、好奇心旺盛な犬は飼い主様をぐいぐい引っ張ってしまう癖があります。ドッグトレーニング教室などに通い、正しいリードの持ち方と散歩の仕方を教わると良いでしょう。
背中が曲がる理由を突き止めて愛犬の痛みを取り除こう
本記事では、犬の背中が曲がる原因や治療法、予防方法を解説しました。犬は普段の散歩やちょっとしたジャンプで簡単に背中を痛めてしまいます。
老犬や品種などを考えて背中が曲がる原因を作らないように予防することが大切です。しかし、完全な予防法がない原因もあるため、背中が曲がってしまった場合はすぐに動物病院を受診し獣医師に診せましょう。
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