「愛犬が失明したらどうしよう」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

犬が失明してしまった場合、散歩や食事において飼い主様のあらゆる工夫が必要です。今まで以上に気を配って生活していかなければなりません。

本記事では、犬の失明における確認方法や対応、予防方法について解説していきます。

犬の失明に関する原因

犬の失明に関する原因

犬の失明は、以下の疾患が原因です。

  • 角膜
  • 水晶体
  • 網膜
  • 大脳
  • 視神経関連

老化もひとつの原因ですが、「進行性網膜萎縮症」や「緑内障」などは成犬でも起こる可能性がある病気です。目の健康には全ての犬が気をつけなければなりません。

進行性網膜萎縮症

「進行性網膜萎縮症」は、網膜の視細胞が萎縮して薄くなる病気です。色や光を感じる細胞が変性し、暗所が見づらくなり失明します。遺伝性疾患であり、パピヨンやプードルに多い病気です。

進行は個体差があり、長期間かけて失明する個体もいれば、生後間もなく発症して1~2歳で失明する個体もいます。残念ながら、有効的な治療や予防法はありません。

また、網膜の異常には、突然失明する「突発性後天性網膜変性症(SARD)」や高血圧により起こる「網膜剥離」があります。網膜剥離は症状により手術などで回復できますが、突発性後天性網膜変性症(SARD)は有効な治療法がありません。

緑内障

「緑内障」は、大脳と視神経の異常から眼圧が上昇し、視神経が障害を受けることで失明する病気です。特にシーズや柴犬などに起こりやすい遺伝性疾患でもあります。

眼圧を下げれば回復する可能性もありますが、一度失った視力は戻らず失明した場合でも目の痛みが続きます。治療法は、外科手術による眼球の摘出と義眼の挿入、点眼薬しかありません。

危険性の高い病気なため、早期発見が必要です。過敏症が特徴的な「ぶどう膜炎」は緑内障につながる病気なため、すぐに動物病院で診察を受けてください。

犬の失明を確認する方法とは

犬の失明を確認する方法とは

飼い主様が犬の失明を確認する簡単な方法があります。以下で3つの方法を紹介するので試してください。

試す際は、くれぐれも犬の眼球やまぶたを傷つけないよう注意しましょう。

犬の目の前で物を落とす

脱脂綿など柔らかい物をボール状に丸めて犬の視野内で落としてみてください。聴覚に頼らないように、落ちても音がしないボールにしましょう。

犬の視力が劣っていなければ、ボールが落ちるに従って目線が上から下へ動きます。目が見えていなければ反応しません。愛犬の目線の変化に注意して観察してみましょう。

迷路を作って遊ばせる

椅子やゴミ箱で迷路を作り遊ばせる方法も、失明の確認に有効的です。視力があれば、犬は障害物にぶつからず歩いて通り抜けるでしょう。

しかし、障害物にぶつかり、嗅覚を利用して床の匂いを頼りに進む様子が見られた場合は視力が弱っている証拠です。また、非常にゆっくり歩いている場合も合わせると既に失明している可能性があります。

手や指を犬の目に近づける

失明の確認で最も簡単な方法は、手や指を犬の目に近づけることです。犬も急に手のひらを前に出されると驚き目を瞑ります。

目に異物が入ることを防ぐ反射的な行動であり、視力がある犬ならば同様の行動をとります。しかし、失明または視力が弱っている犬の場合は、まつげに指が触れるまで目を開けたままです。犬の瞬きの変化に注意して観察しましょう。

愛犬が失明した場合の対処法

愛犬が失明した場合の対処法

愛犬が失明した場合は、今までと異なる生活の工夫が必要になります。「

しかし、全てが視覚障害を患った愛犬のためになります。盲目の愛犬と一緒に楽しく過ごすための努力を忘れないようにしましょう。

明るい時間帯の散歩

暗闇は視力があるときでも見にくいため、なるべく明るい時間帯に散歩をしましょう。目が見えず犬が不安な場合は、盲目犬用ドッグバンパー(怪我防止用補助具)を利用してみてください。

また、犬は生活のリズムを一定に保つと安心します。毎日の散歩時間とコースを決めて、できる限り時間を守るように心がけましょう。

音でのコミュニケーションを増やす

視覚の代わりに聴覚を活用し、音でのコミュニケーションを増やすことも大切です。危険を知らせることはもちろん、鈴など音のなるものを飼い主様自身が身に付けて方向や止まる合図を教えてあげてください。

聴覚も弱っている場合は体を触るなど触覚で覚えられるようにしましょう。匂いの強いおやつやおもちゃで嗅覚を利用することも効果的です。

家具の配置を変える

家具にぶつかって怪我をしないように、家具の配置を変えましょう。角にカバーをつけるとより安全です。

家具の隙間や階段、段差なども危険なため、柵を設置し通らないようにしてください。触覚や嗅覚、聴覚で部屋の位置関係を覚えられるように愛犬と部屋を歩いてみると良いでしょう。

犬の失明を予防するには?

犬の失明を予防するには?

犬の失明の原因となる病気の多くは有効的な予防法がありません。しかし、目の病気は発見が早ければ早いほど、進行を遅らせられます。以下で、進行を遅らせる方法を3つ紹介します。

目の筋肉を鍛える

目の筋肉を鍛えることで老化しても視力の衰えを遅くできます。ボールなどのおもちゃを使って、犬が目で物を追う作業を取り入れた遊びを積極的に行ってください。

定期的な目のチェック

定期的に目のチェックを行うことも大切です。動物病院へ行き、ペットの眼科専門の医師に検査してもらいましょう。特にパグなどの目が大きい短頭種は、目の病気にかかりやすいです。

また、目の手術代や診療費は高額になるため、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。

目を清潔に保つ

目ヤニや炎症が起きないように、日頃から目を清潔に保つようにしましょう。清潔なタオルやガーゼで目元のお手入れをしてください。

目ヤニや炎症が起きてからでは、痛みのため触らせてくれない場合もあります。日頃からのケアが大切です。

失明した場合も愛犬が日々を穏やかに過ごせる工夫をしよう

失明した場合も愛犬が日々を穏やかに過ごせる工夫をしよう

本記事では、犬の失明における確認方法や対応、予防方法について解説しました。犬は加齢だけでなく遺伝により失明しやすい動物です。

例え失明したとしても、飼い主様は愛犬が日々を穏やかに過ごせる工夫をする責任があります。愛犬の犬種から失明のリスクを知り、家族の一員として目の健康に対処していきましょう。