愛犬と長い時間をともにするなかで少しずつ年老いてくると、散歩に連れて行くべきなのか、散歩をする場合はどれくらい歩かせればいいのかなど、気になることも出てくるでしょう。
老犬を散歩に連れて行くことは、体力や健康の維持につながるだけでなく、ストレス解消・ボケ予防などの効果も期待できるため欠かせません。
本記事では、老犬でも散歩が必要な理由や実際に散歩させる場合の注意点、散歩に関する困りごとの対処法などを紹介します。
目次
老犬にも散歩が必要な理由
冒頭でも触れましたが、たとえ老犬であっても、基本的には散歩に連れて行く必要があります。
自宅でじっとしているだけだとストレスが溜まり、心身の不調につながる可能性もあるため、定期的に散歩に連れて行きストレスを発散させてあげましょう。
以下で、老犬にも散歩が必要な理由を解説します。
運動能力の低下を防ぐ
運動をしなければ、筋肉量が落ちるため、運動能力はどんどん低下していきます。高齢になればなるほど、1度落とした筋肉を取り戻すことは大変です。いまある筋肉を落とさずに毎日の散歩で運動能力の低下を防ぎましょう。
また、日常的に運動をしていなければ、関節がこわばり動きづらくもなります。関節が硬くなると怪我のリスクが増えるだけでなく、散歩に行くことを嫌がるでしょう。
認知症の予防
散歩は、認知機能の維持に非常に効果があります。高齢になると多くの犬は認知症を発症しますが、散歩により認知症の予防が可能です。
散歩に連れて行って普段とは違う風景を見せたり、他の犬と触れ合わせたりすることで脳神経が活性化し、ボケ予防といった効果も期待できます。
何より散歩は、飼い主と愛犬がコミュニケーションを取るうえでも欠かせないため、老犬を適度に散歩に連れ出しましょう。
老犬に適切な散歩量
老犬は定期的に散歩させてあげることが大切ですが、成犬と同じ感覚で行なってしまうと、身体に負担がかかります。疲れて散歩が嫌いになってしまうかもしれません。
散歩する際は、老犬にとって適切な頻度や距離などがあるため、愛犬の体調や季節・天気などを考慮しながらしましょう。以下では、老犬を散歩させる際の適切な運動量・散歩時間について解説していきます。
短時間の散歩を1日数回に分けて行なう
老犬の場合、長時間・長距離の散歩を行なうと負担になってしまいます。そのため、基本的には、短時間の散歩を1日数回に分けて行ないましょう。
成犬の場合、運動器疾患の予防のために1日30分程度の運動が必要とされていることから、老犬を散歩させる際は1回10分の散歩を3回程度に分けて行なうのがおすすめです。
散歩中には遊びの要素を取り入れ、散歩が好き、出かけることが楽しいとなる工夫をしましょう。
散歩中に休憩をする
老犬の散歩では、散歩の合間に愛犬が疲れていないか、体調に問題はないか確認することが大切です。
散歩の途中で立ち止まったり座り込んだりする場合は、無理をさせず休ませてあげましょう。安全に遊べる公園でのんびりしたり、お気に入りのおもちゃで遊んであげたりすると喜びます。
散歩を続けるのが難しそうなら、切り上げて帰宅をする判断も大切です。無理に歩かせず公園で日光浴をさせるだけでも、脳の刺激になります。
老犬の散歩は、あくまで愛犬のペースに合わせることを意識しましょう。もし1歩も動かない、横になってしまうということがあれば、その際は抱っこやカートを使うというのもひとつの手段です。
愛犬の体調や天気を考慮する
散歩に連れ出す際に愛犬の体調が優れなさそうであれば、無理をせず散歩を中止するか、頻度・距離などを調節して行ないましょう。しかし、冒頭で触れた、老犬にとって散歩は健康を維持するうえで大切なため、極力行なっておきたいところです。
悪天候や猛暑・極寒の日に関しても、愛犬への負担を考慮して、散歩時間の調整や中止などを検討してください。
老犬の散歩での5つの注意点
老犬を散歩に連れて行く際には、成犬と違って、以下の注意点があります。
- 散歩前にウォーミングアップする
- 散歩しやすいコースを選ぶ
- 時間帯や気温に配慮する
- 首輪からハーネスに変更する
- 季節に応じて対策グッズを持参する
散歩は老犬の健康のために欠かせないものではありますが、しっかりと事前準備を行なわないと、身体に大きな負担がかかるため、考慮してあげなければなりません。以下では、老犬を散歩に連れて行く際の注意点について確認していきます。
散歩前にウォーミングアップをする
老犬は、成犬の頃と比べて運動量が減っていることが多く、いきなり散歩をしてしまうと心臓や身体への負担が大きくなるため注意が必要です。散歩をさせる前に関節のストレッチを行なったり、室内または庭などで軽く歩かせたりして準備運動をしましょう。
準備運動・ウォーミングアップは、散歩をする際の怪我予防にもつながるため必ず散歩前に行なってください。
散歩しやすいコースを選ぶ
しっかりとウォーミングアップを行なったとしても、選択した散歩コースが適切でないと、老犬にとっては歩きづらく散歩を嫌がる原因になるため気を付けてください。平らな道でも散歩の効果は十分得られます。
特に坂道や階段の多いコースを選んでしまうと、関節への負担が大きくなって今後の散歩に影響をおよぼすことがあります。関節炎やヘルニアの持病を持っている犬は注意しましょう。
時間帯や気温に配慮する
夏場はアスファルトの温度が高く、やけどするおそれがあります。早朝や夜間などの比較的涼しい時間帯に散歩するか、芝生や土の上を歩かせてあげると良いでしょう。手のひらを地面に当てて、冷たいと感じる時間帯が散歩に適しています。
また、太陽に当たるとメラトニンというホルモンの分泌が体内で増加し、14~17時間後に眠気が来ると言われています。そのため、犬の体内リズムを合わせるためには、朝の散歩がおすすめです。
首輪からハーネスに変更
転倒の心配や、転倒が増えてきたら首輪からハーネスに変更しましょう。犬の身体をしっかり支えられるタイプのハーネスを選ぶと、転倒から起こすときサポートがしやすいです。ハーネスがない場合は、大きなタオルで代用できます。
初めてハーネスを使用する際は、犬が痛がらないかを確認し室内でハーネス装着に慣れさせましょう。
季節に応じて対策グッズを持参する
老犬になると、成犬の頃と比べて体温調節がうまくできなくなると言われています。季節に応じて対策グッズを用意することも大切です。
夏場であれば熱中症予防のために、散歩用のポータブルウォーターボトルや冷感タオルを持参して散歩に行くとよいでしょう。熱中症は短頭種、肥満犬、心臓や呼吸に疾患がある老犬に起こしやすいです。
また、老犬は暑さだけでなく寒さにも弱いため、冬場も散歩の時間を考えましょう。犬用の服を着させる、比較的気温が高い時間帯に散歩させるといった対応も欠かせません。散歩の前に家の中を歩かせて、体を温めてから出かけましょう。
老犬の散歩に便利なグッズ
老犬になると、体力が低下して散歩の距離や時間を短くする必要が出てくることがあります。また、足腰が弱くなって歩きにくくなったり、関節痛や腰痛などの症状が出たりすることもあります。そのため、老犬の散歩に便利なグッズを以下でご紹介します。
カート
老犬になると、散歩が大好きでも途中で疲れてしまいます。カートがあると、疲れた愛犬のために遠くまで散歩に連れて行ってあげられます。カートには、さまざまな種類がありますが、老犬には、以下の点に注意して選びましょう。
- 老犬の体重やサイズに合ったものを選ぶ
- 乗り降りしやすいものを選ぶ
- 通気性やクッション性に優れているものを選ぶ
ハーネス
ハーネスは老犬にかかる負荷を分散できるため、便利なアイテムとして利用されています。ハーネスは怪我をしている犬のために前足用や後ろ足用などのタイプがありますが、老犬のために使用するのであれば、四肢用がおすすめです。
暑さ対策
暑い時期になると、老犬は特に体力を削られてしまいます。体内の水分量も少ないため、熱中症にもかかりやすいでしょう。
暑さ対策としておすすめのグッズは、以下のとおりです。
- 夏用ベッド
- ひんやりブランケット
- クールマット
- クールリング
- 冷房付きハウス
- 自動給水機
どれも使いやすいものばかりのため、試してみて、愛犬のお気に入りを見つけてください。
寒さ対策
冬の寒い時期になると、散歩に行きたがらない犬も増えます。冬におすすめの寒さ対策グッズは、以下のとおりです。
- ペット用ダウンベスト
- ペット用ホットカーペット
- ニット帽
愛犬が寒くならない工夫がされているグッズが多く販売されているため、ぜひ購入を検討してみてください。
老犬の散歩後におすすめのケア
若い時とは違い、散歩後は疲労が蓄積されているはずです。以下では、散歩後におすすめのケアをご紹介します。
足湯をする
特に冬の寒い時期は、体が冷えていることでしょう。足についた土を落とす意味でも足湯をしてあげてください。水を怖がっている様子があれば、無理せず中断してください。
ホットタオルで温める
老犬になると、足腰の筋力が衰えて歩きにくくなったり、関節痛や腰痛などの症状が出たりすることがあります。そのため、老犬の足腰ケアは大切です。
ホットタオルで温めてあげることは、血行促進につながります。足先を包み、上から指でゆっくりと握って離すを繰り返しましょう。マッサージにもなって、愛犬も気持ちが良いはずです。
老犬との散歩で起こりやすい困りごと
散歩は運動能力の低下や認知症予防などに効果があり、老犬になっても積極的に行いたいものです。しかし高齢になり脚力が落ちて歩きにくくなると散歩を嫌がるかもしれません。
以下で老犬との散歩で起こりやすい困りごとについて、対策と共に紹介します。
散歩に行きたがらない
散歩に行きたがらない理由としては以下が考えられます。
- 脚力の低下による足腰の痛み
- 病気による不調
- 好奇心の低下
- 散歩ルートに問題がある
いままで問題なく散歩に行けたにもかかわらず、急に行きたがらなくなった場合は体調の変化や病気を疑ってください。病気のサインが見られたら動物病院を受診しましょう。
愛犬の体調や天気などが理由で散歩させることが難しい場合は、室内でできる運動をさせるのも方法のひとつです。老犬でも比較的負担が少なく室内でできる運動としては、おもに以下のものが挙げられます。
- おもちゃの引っ張り合い
- おやつなどの宝探しゲーム
- 棒またぎやタオルまたぎ
- かくれんぼ
ロープなどのおもちゃを使って引っ張り合いをしたり、エサやおやつなどを隠して宝探しをさせたりすれば、散歩に行けないときでも適度な運動を行なうことが可能です。
散歩中に立ち止まる
散歩中に立ち止まってしまうときは、足裏のけがか関節の痛みが考えられます。異常がない場合は、散歩を続けることが好ましいため、愛犬が進みだすためにリードを軽く引いて合図をしてみましょう。
合図に答えないときや散歩の途中で帰ろうとするときは、散歩ルートに問題があるか、散歩への好奇心が低下しているかもしれません。
また、脚力の衰えから自宅から離れることを嫌がり止まってしまうケースがあります。そのときは、キャリーバックやカートで連れ出し、外の空気を感じさせてあげましょう。運動機能の維持にはつながりませんが、認知機能の低下やストレス改善には効果があります。
まとめ
愛犬が老犬と呼ばれる年齢に差しかかると、体調面や身体への負担を考慮して散歩を控える方もいますが、基本的には老犬でも定期的な散歩を行なうことが大切です。
散歩は、筋肉量・関節の柔軟性の維持に加えて、ボケ予防やストレス発散にもつながります。愛犬に健康に長生きしてもらうために、欠かせない運動です。
基本的には、1回10分の散歩を1日数回に分けて行なうのがおすすめですが、実際には愛犬の体調や天気・気温などを考慮しながら、散歩の頻度や時間を調節しましょう。
愛犬との限りある時間をできるだけ良いものにするためにも、ぜひ今回紹介したことを参考にして、散歩や一緒に過ごす時間を大切にしてください。