猫を飼っている方のなかには「猫の歯が抜けたけれど問題ないか」と不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、猫の歯が抜けるタイミングや、抜けてしまう原因となる病気についてご紹介します。また、歯が抜けないような日々のケアについても解説しています。猫の飼い主様、猫の健康について気になる方は、ぜひ最後までご一読ください。

猫の歯が抜けるタイミングは3つある

猫の歯が抜けるタイミングは3つある

猫には、歯が抜けるタイミングが大きく分けて3つあります。子どものころと成猫の時期、高齢期でそれぞれ歯が抜ける原因をご紹介します。歯が抜けても大丈夫な時期はいつなのか、以下でご確認ください。

乳歯の生え替わり

猫は人間や犬と同様に、乳歯から永久歯に生え変わる時期があります。そのため、子猫の時期はよく歯が抜けるでしょう。歯が抜けるのは生後3ヶ月から6ヶ月のため、この時期に歯が抜けるのは問題ありません。

生後3~6ヶ月中、子猫は口の中に違和感を抱くため、おもちゃや飼い主様の手を噛むといった行動がよく見られます。よく噛む行動が見られたら、生え変わりの時期の可能性を考えましょう。

なお、抜けた歯を飲み込んでもあとで排泄物として出されるため、心配はありません。

成猫になってから抜ける

乳歯から永久歯に生え変わった後は、基本的に歯が抜けることはありません。成猫になってから歯が抜けた場合は、病気や事故による怪我などが主な原因です。特に考えられる病気としては、歯周病や吸収病巣などでしょう。

また、転倒した際や硬いものを噛んだ影響で、歯が折れてしまう場合もあります。折れたところから細菌が入ってくる可能性もあるため、発見した際はすぐに動物病院へ連れていきましょう。

老齢になってから抜ける

老齢になってから、歯が抜ける場合があります。成猫と同様に老齢で歯が抜ける場合は、歯周病や吸収病巣などの病気が原因の場合がほとんどです。しかし、人間と同様に猫の場合は痛みや腫れもなく、自然と抜けるケースもあります。

特に7歳以上になると、歯を支える土台が弱くなり、自然と抜けてしまいます。心配になりますが、痛がったり気にしていたりといった様子がない場合は、あまり心配いりません。

少しでも歯を多く残すためには、早いうちから適切なケアを導入しましょう。

猫の歯が抜ける原因となる病気

猫の歯が抜ける原因として、病気が考えられるとご紹介しました。以下では、特に猫に多い口内の病気について、ご紹介します。また、具体的にはどのような病気があるのか、症状や放置した際の影響などについて解説します。

歯周病

猫の歯に関する病気で、最も多いのは歯周病です。歯周病は歯垢に含まれる細菌が歯茎の溝で繁殖し、その細菌の出す毒素によって歯肉に炎症を起こす仕組みとなっています。

歯周病による変化は、以下です。

  • 歯石が蓄積する
  • 歯茎が下がってくる
  • 歯根が露出する

放置していると次第に歯がぐらつき、ひどい場合はそのまま歯が抜けてしまいます。また、最悪の場合は、細菌が体のほかの臓器に影響を及ぼす場合もあります。口臭がきつくなる、よだれが増えるなどの変化があったら、病院で診てもらいましょう。

歯頸部吸収病巣

歯頸部吸収病巣とは、歯と歯茎、その境界部分が溶けてしまう病気です。破歯細胞が何らかの原因で、永久歯は溶かしてしまうこの病気は、猫のほとんどが発症する可能性があります。

発症すると強い痛みや食欲不振、ご飯をスムーズに食べられないといった様子が見られます。

口腔内腫瘍

口腔内腫瘍は名前の通り、口の中に腫瘍ができている状態です。腫瘍ができてしまうと、口内の構造を破壊してしまうため、場合によっては歯が抜けてしまいます。

良性の腫瘍の場合は、歯が抜け落ちることはほとんどありません。そのため、歯が抜ける腫瘍は悪性の場合が多いでしょう。代表的な腫瘍は、扁平上皮癌や線維肉腫などです。

猫の歯が抜けていないか確認するべき内容

猫の歯が抜けていないか確認するべき内容

大切な猫の歯が抜けていないか確認するには、日々の生活の中で歯を注意深く見ておく必要があります。異変に気づける可能性が高いのは、猫の口の中を定期的に確認する方法です。しかし、猫によっては嫌がって見せてもらえない場合もあります。

そういった際は、以下の変化がないか確認しましょう。

  • ご飯を食べにくそうにしている
  • よだれの量が増えた
  • 口臭がいつもと違う

普段の行動と違う点が気になった場合は、すぐに獣医師へと相談しましょう。

猫の歯を抜かせないための対策

猫の歯は、猫の健康に直結します。少しでも健康に生きるためには、飼い主様による日々のケアが大切です。どのようなケアを取り入れるべきか、具体的な方法をご紹介します。気軽にできる部分から、取り入れていきましょう。

定期検診を利用する

健康な歯を保つためには、専門家に確認してもらいましょう。歯の治療は場合により、全身麻酔が必要となり、猫の身体に大きな負担がかかります。そうならないためにも、定期検診を受診しましょう。

目安としては1歳を過ぎた頃から、年1回程度受診すると、口腔内の変化に早めに対処できます。健康診断は1回3,000〜5,000円ほどのため、さほど費用負担も少なく済みます。まずは、定期検診で変化がないか確認してもらいましょう。

歯石除去は動物病院に依頼する

猫の歯に歯石ができてしまった場合は、動物病院で除去してもらう必要があります。歯磨きなどのケアでは取れず、専用の器具が必要です。また、猫の歯石除去では全身麻酔を使う場合もあり、猫の身体に大きな負担もかかります。

歯石は一度取れば問題なしとなるわけではなく、時間が経つと再度歯石が蓄積されていきます。少しでも歯石の付着を防ぐためには、日々の歯磨きケアも大切です。

歯磨きを取り入れる

猫の歯の健康を保つためには、歯磨きを取り入れましょう。しかし、猫には歯磨きの習慣がないため、取り入れるためにはコツが必要です。以下では、歯磨きを取り入れるためのポイントをご紹介します。

徐々に慣れさせる

猫の歯磨きをするには、まず猫の口に触る機会を増やす必要があります。ストレスを感じさせないように、嫌がる素ぶりを見せたらやめましょう。以下のようなステップで触れていくと、少しずつ慣れていくでしょう。

  1. 口を含む顔周りに触れる
  2. 口周りに触れる
  3. 口をめくる
  4. 歯茎や歯に触れる

また、ご褒美におやつを用意してあげると、猫のストレスを減らせるでしょう。歯に触れられるようになった後は、専用のケアアイテムを使用して歯磨きを行います。

手前から奥の歯の順に磨く

歯磨きが少しずつできるようになってきたら、触れる順番にも気をつけましょう。いきなり口の奥からはじめるのではなく、まずは手前から触れていきます。力を入れすぎると、痛みを感じる場合もあるため、優しく触れていきましょう。

また、歯に触れる際はいきなり歯ブラシで行うのではなく、猫用の歯磨きシートなどの使用がおすすめです。

なるべくこまめにケアをする

歯磨きができるようになってきたら、定期的に歯磨きの時間を設けましょう。歯垢は1週間以内に歯石となってしまうからです。歯石になると歯磨きでは取り除けないため、病院でのケアが必要になってしまいます。

歯石になる前に除去するには、可能であれば毎日、最低でも2〜3日に1回は歯磨きをするようにしましょう。

まとめ

猫の歯が抜けてしまう原因には、歯の生え変わりのほか歯周病や吸収病巣といった病気があります。歯磨きによる日々のケアや定期検診によって、歯の病気は防げる可能性があります。積極的に取り入れて、猫の健康を守りましょう。