「愛犬がシニア期になり肥満が目立ってきたため、良いダイエット方法が知りたい」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
シニア犬は筋力や代謝の低下から肥満になりやすいため、日々を健康に過ごすためには運動や食事を意識してダイエットを行うことが重要です。
本記事では、シニア犬のダイエット方法について、食事や運動における注意点を解説していきます。
目次
シニア犬にダイエットが必要な理由
シニア犬は加齢とともに、筋力や代謝が落ちていくため肥満になりやすくなってしまいます。
肥満は万病のもとともいわれており、肥満をきっかけとした病気も多くあるため、適度なダイエットで体型を調節する必要があります。
肥満が原因で発症する病気の一例としては以下です。
- 糖尿病
- 尿路結石
- 心臓病
上記のような病気にかかってしまうと、若い時のように走り回ることが困難となり、最悪の場合は命に関わることになります。
健康的でより長生きさせるためにも、愛犬がシニア期になったら適度な運動や健康的な食事を意識したダイエットが必要です。
シニア犬が肥満になりやすい理由
シニア犬は、成犬のときよりも肥満になりやすい傾向にあります。シニア犬が肥満になりやすい理由は主に5つです。以下では、各理由について解説します。
代謝が落ちるから
シニア犬になると、成犬期よりも代謝が落ちてしまいます。シニア期に入ると消化機能や代謝機能が低下し、成犬期に比べて必要なエネルギーが7〜8割減少してしまいます。
そのため、成犬期と同じように食欲があるといって同じ内容のドッグフードを与えてしまうと、摂取量と消費量のバランスが崩れて肥満となるでしょう。
運動量が減るから
摂取量が多くても、変わらず運動していれば肥満になることはありません。しかし、シニア犬は成犬よりも運動量が減ってしまい、寝ている時間も多くなります。その結果、以前よりも散歩に行きたがらなくなり、そのうち運動をしなくなるでしょう。
愛犬を無理に運動させるのはかわいそうといって、運動させずにいると肥満だけでなく、他の病気につながる可能性があるため注意が必要です。
去勢・避妊手術を受けたから
去勢・避妊手術を受けると、犬の体重が増加する傾向にあります。生殖器を取り除くことでホルモンバランスが変化し、基礎代謝が落ちます。また、性ホルモンのなかには食欲を抑える働きがあるものもあるため、去勢・避妊手術を受けると食欲が増加してしまうのです。
愛犬の体重の増加が見られる場合は、再度必要なエネルギー量を計算してください。極端に食事量を減らすと犬がストレスを抱える原因です。そのため、徐々に減らして調整してあげるようにしましょう。
病気になったから
シニア犬になり、病気を患っている場合も肥満になる可能性が高まります。体重増加に隠されている病気は、神経系の病気や甲状腺・膵臓などの病気、関節の病気などです。
神経系の病気は食べても満腹感がなくなり、食欲がコントロールできなくなることで肥満につながります。また、甲状腺や膵臓の内分泌系の病気の場合は、代謝が正常に働かず、エネルギー消費ができないことが肥満の原因です。
関節の病気を患うと、痛みにより運動ができなくなることが肥満につながるといわれています。愛犬の肥満には病気の可能性が考えられる場合もあるため、獣医師に相談するようにしましょう。
遺伝的に太りやすいから
遺伝的に太りやすい犬種もいます。特定の犬種や個体によっては遺伝的に代謝が遅く、脂肪を蓄えやすいケースも珍しくありません。
さらに、シニア期になると運動量が減って、若い頃と同じ食事量でも体重が増えやすくなります。そのため、肥満を予防するためには、犬種や個体ごとの特性を理解し、適切にケアすることが重要です。
飼い主様が原因でシニア犬の肥満になっている場合
シニア犬の肥満は、飼い主様が原因で引き起こされている可能性があります。大切な愛犬に少しでも長生きしてもらうためには、できるだけ肥満を防がなければいけません。以下では、飼い主様が原因でシニア犬が肥満になっている理由について解説します。
愛犬に必要なエネルギー量を把握していない
飼い主様が愛犬に必要なエネルギー量を把握していなければ、愛犬が肥満になる可能性が高まります。犬種や骨格、年齢により一日に必要なエネルギー量は異なります。
愛犬の健康を守るためには、適切な分量の食事を毎日与えなければいけません。1週間ごとに体重の変化を記録し、適正な体重を維持できる食事量を見極めることが重要です。
手作り食の内容が適当である
シニア犬の肥満の原因には、飼い主様が作る手作りフードの内容が適切でないことが挙げられます。特に、犬が好むフードを多く与えてしまうケースが多く、肉には油がたくさん含まれていることから、少量でもカロリーオーバーになってしまう可能性があります。
手作りフードを与える際は、美味しさも重要ですが、栄養バランスやカロリーが大切です。シニア犬の体重管理と健康維持のためにも、愛犬に適切なカロリーでバランスの良い手作りフードを作ってあげましょう。
食べたいだけ与えている
飼い主様が、愛犬に食べたいだけ与えている場合も肥満の原因です。犬は食べてすぐに満腹感を得るわけではなく、時間が経過してからお腹が満たされたことを認識します。
そのため、食べたいだけフードを与えてしまうと犬は早食いしてしまい、結果的に過食になります。
食後にお皿を舐め続けている姿を見て「足りないのかもしれない」と思ってしまいますが、追加で与えるとカロリー過剰で肥満につながる可能性があるため注意が必要です。
食事が1日1回のみである
シニア犬が肥満になる原因に、食事が1日1回のみであることが考えられます。同じ分量の食事でも1日1回にまとめるのではなく、2回に分けて与えたほうが消化吸収の効率が良くなり、エネルギー消費が促進されます。
分けてエサを与えれば、皮下脂肪が溜まりにくくなり、肥満防止にもつながるでしょう。
おやつを好きなだけ与えている
シニア犬におやつを好きなだけ与えていることが肥満の原因の一つです。おやつは食事の一部として考える必要があり、与えた分だけ食事量を調整することが重要です。
特に脂肪分の多いおやつは少量与えた場合でも高カロリーであるため、カロリーを把握したうえで与えなければいけません。
シニア犬は若い頃よりも代謝が低下していることから、カロリーの過剰摂取が肥満につながって、健康に影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。
乾燥したおやつをよく与えている
乾燥したおやつをよく与えている場合も肥満に注意が必要です。乾燥したおやつは水分が含まれておらず、見た目が小さいため、飼い主様が与えすぎてしまうことがあります。しかし、少量でもカロリーが高いため、頻繁に与えるとカロリー過多で肥満となります。
シニア犬は特に代謝が低下しているため、飼い主様も適切な量を守ることが大切です。
大きいサイズのおやつをそのまま与えている
シニア犬の肥満の原因に、飼い主様が大きいサイズのおやつをそのまま与えていることが挙げられます。犬は噛んで味わうよりも、飲み込むことを優先します。
そのため、大きいサイズのおやつをそのまま丸飲みしてしまう可能性があり、満腹感を得る前に大量のカロリーを摂取してしまうかもしれません。
おやつを与える際は、必ず小分けに少量ずつ与えて、愛犬の満足感を高めて過剰なカロリー摂取を防ぐごとが重要です。
毎日散歩をしていない
犬は毎日散歩に連れて行くことが重要です。毎日散歩を行わなければ肥満や運動不足につながります。適度な運動は筋力を維持してくれますが、まったく運動をしなければ代謝が悪くなります。
運動をしなければ必然的に太りやすい体になるため、犬が散歩を嫌がっていても歩けるうちは愛犬の体調を管理しながら連れて行ってあげてください。
シニア犬の適正体重について
愛犬のダイエットを始める前に、どの程度まで体重を落とせばよいか分からない方もいらっしゃるでしょう。
愛犬の適正体重や1日の摂取カロリーの目安を知っておくと、無理のないダイエット計画を立てられます。
理想体重を知るための指標
シニア犬のダイエットを始める前には、目指すべき適正体重を把握することが大切で
す。
飼い主様が愛犬の適正体重を知るための指標として、「ボディコンディションスコア(BCS)」というものがあります。BCSは、愛犬を横、上から見た時の体型と触れた時の体の状態から、体型を5段階で評価します。
以下の表の3の状態の時の体重が、愛犬にとっての理想体重となりますため、まずは3の体型を目指すようにしましょう。
環境省 飼い主のためのペットフード・ガイドライン より
上記のBCSを参考に定期的に体重を測定し、体重の推移を確認することが、シニア犬の体型管理につながります。
シニア犬の1日当たりの摂取カロリーは?
シニア犬のダイエットには、1日当たりの摂取カロリーを把握して、食事内容の見直しを行うことが大切です。
必要なカロリー量を把握していないと、食事を与えすぎたり、逆に十分な量を与えていなかったりします。
愛犬の最適なカロリー量を把握するためには、安静時エネルギー量(RER)を求めてから、1日当たりのエネルギー量(DER)を求めます。計算式は以下です。
- RER = 体重(kg) × 30 + 70
- DER = RER × 係数
DERを求める際の係数は成長段階や活動量により異なるため、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
シニア犬の食事ダイエット法
シニア期の愛犬は、太りすぎてしまわないように食事の量や回数、内容について気を付ける必要があります。
基本は低カロリー高たんぱく
シニア犬の食事は基本的に低カロリー高たんぱくの食事を心がけましょう。
シニア犬は年齢とともに筋力や代謝が衰えていきます。栄養の吸収も若い頃より衰えてしまうため、筋力を維持するためには若い頃よりもタンパク質が多く必要です。
日ごろの食事内容にお肉や魚、卵といった良質なたんぱく質を摂れる食材を含めると効果的です。ただし、量を与えすぎてしまうと負担になるため、量は変えずに食事全体のタンパク質の比率を高くしましょう。
おやつを与えすぎない
適切な食事の量を守っていても、おやつを食べすぎてしまうと簡単にカロリーオーバーしてしまうため、おやつを与えすぎないようにすることが大切です。
おやつをあげる場合は、食事を含めた1日の摂取カロリーの20%以内に収めましょう。また、飼い主様だけではなく、ご家族も食事に関するルールを意識していただく必要があります。
「お腹が空いていてかわいそう」と思ってこっそりおやつを与え続けてしまうケースもあるため、ご家族全員で肥満によるリスクを理解しましょう。
食事回数を多くする
シニア犬の食事では、食事の総量を変えずに、回数を増やすことがダイエットに効果的です。
シニア犬は消化器官の機能も低下しているため、食事の量が多いと消化不良を起こす可能性があります。そのため、シニア犬の消化スピードに合わせ、少量を3~4回に分けて与えると、胃や腸に負担をかけることがなく、食事による満足感も得られやすくなります。
シニア犬の運動ダイエット法
シニア犬のダイエットには運動も欠かせませんが、若い頃と比べて体力が落ちているため、普段の運動を行う上で気を付けることがいくつかあります。
適度な散歩を心がける
シニア犬は運動不足になりやすいため、日々の散歩は必ず行うようにしましょう。
ただし、体力や運動機能が若い頃より落ちているため、散歩の回数やコースに気を配ることが大切です。
短い時間で複数回に分けて散歩する
シニア犬の散歩はできるだけ短い時間で複数回に分けて行うようにしましょう。
若い頃に行っていたような長時間・長距離の散歩は、関節や心肺機能が衰えているシニア犬には負担が掛かり、ケガの原因にもなるためおすすめしません。そのため、1回10分程度の短い散歩を1日2~3回ほどに分けて行うと良いでしょう。
なるべく平坦なコースを選ぶ
シニア犬との散歩では、なるべく平坦なコースを選ぶことが大切です。シニア犬は足腰が弱っており、砂利道や坂道などのコースは体に負担をかけるばかりか転倒によるケガの原因にもなります。
そのため、シニア犬を散歩させる場合は、舗装された道を選ぶようにすると足腰に負担をかけずに散歩できます。ただし、毎回同じコースだと飽きが出てくるため、散歩コースを少し変えるだけでもよい気分転換になるでしょう。
プールで遊ぶのもおすすめ
体力に不安があるシニア犬の運動でおすすめしたいのが、犬用プールを利用した運動です。シニア犬や関節に疾患を抱えている愛犬は、散歩による関節への負担を気にして運動量の確保が難しい場合もあります。
プールでの運動は、散歩に比べて浮力により体重を支えてくれるため、関節への負担を大幅に軽減してくれます。また、水の抵抗により散歩をするよりもエネルギー消費が多いため、ダイエットに効果的です。
シニア犬をダイエットさせる際の注意点
気を付けておくべき点として、ダイエットは長い目で見てゆっくり行うことが大切です。特にシニア犬の場合は、若いころと比べて身体機能が衰えているため、急激なダイエットは体調を崩すきっかけや、ケガの原因にもなりかねません。
早く痩せさせたいからといって、過度な食事制限や激しい運動は逆に愛犬の寿命を縮めかねないため、ゆっくりとダイエットをするようにしましょう。
シニア犬はダイエットが大事!適正体重を維持して健康に過ごそう
シニア犬は体力や筋力の低下から、運動不足による肥満を引き起こしやすくなっています。そのため、愛犬をより長生きさせるためにも、適度な運動と健康的な食事を意識して適正体重を維持することが大切です。
もし、愛犬が太ってきたかな?と感じた場合は、本記事を参考にダイエットを検討してみてはいかがでしょうか。