「老犬になると階段をのぼるのは厳しいのかな…」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

犬も人間と同じように歳をとります。さらにいえば、犬は人間よりも早く歳をとるため、早めの介護準備が必要です。なかでも、足腰は弱りやすいため階段は、必ず対策が必要になるでしょう。

本記事では、老化のサインや老犬が使いやすい階段を選ぶポイントを紹介します。

老犬に階段はつらい

老犬に階段はつらい

人間と一緒で歳をとった老犬が階段を使うことはつらいものです。特に、胴長短足の犬は注意が必要です。老犬が階段を使う際にどれほどつらく、危険か覚えておきましょう。以下で更に詳しく解説します。

足腰に負担がかかる

犬は上半身に重心を持つため、下向きに階段を降りるときは足腰に負担がかかります。成犬のときに軽々とできた階段の上り下りも老犬になると筋力が低下し、関節機能も衰えているため、上手く階段を降りることができないでしょう。

また、すでに関節や足腰に持病がある場合は、階段を降りている途中で悪化しかねないです。

バランスを取ることが難しい

階段の上り下りは、バランス感覚が必要になります。しかし、老犬はバランスを取ることも困難です。足腰に加えて視力も衰えてくるため、バランスが不安定な状態は極めて危険といえるでしょう。

もし老犬が誤って階段から落ちてしまった場合は、内臓損傷や骨折などの怪我をする場合があります。足腰だけでなく目の老化も進んでいると獣医師に判断された場合は、なるべくバリアフリーの環境を作ってあげてください。

椎間板ヘルニアになりやすくなる

足腰の負担になりやすいと述べてきましたが、なかでも犬にとって階段を降りることは腰への負担が1番大きくなります。また、上るときは身体を後ろ足で支えることになります。結果として、腰を痛め椎間板ヘルニアになりやすいです。

椎間板ヘルニアとは、骨の間にある椎間板が飛び出して脊髄神経を圧迫してしまう病気です。特に、胴体が長いコーギーやダックスフンドは発症率が高いため、老犬になったときは階段の上り下りに注意してあげてください。

落下する可能性がある

犬は上半身に重心があるため、階段を下るときに下向きになると、バランスが取りにくくなり階段から落ちてしまう可能性があります。犬にとって階段を下るときの姿勢が特につらく感じやすいといわれています。

上記のような理由から階段は簡単に上れるけれど、階段は降りられないという犬も珍しくありません。階段から落下すると骨折や関節、内臓を痛める可能性があるため、老犬は特に注意が必要です。

階段が負担になりやすい犬種

階段が負担になりやすい犬種

階段の上り下りは犬に負担がかかりやすいですが、特に胴長短足の小型犬が負担を感じやすいです。以下では、階段が負担になりやすい犬種について具体的に解説します。

ミニチュア・ダックスフンド

ミニチュア・ダックスフンドは、軟骨異栄養性犬種という犬種で椎間板の変性の進行が速く、階段の上り下りにより負担がかかりやすいです。

ミニチュア・ダックスフンドは足が短いため、腰を使って階段を上り下りします。そのため、他の犬種と比べると腰の負担が大きく、椎間板ヘルニアになる可能性が高まるため注意が必要です。

ウェルシュ・コーギー

ウィルシュ・コーギーは、ミニチュア・ダックスフンド同様で胴長短足の動物であるため、腰への負担が大きい傾向にあります。生まれつき軟骨が弱い犬種であるため、急な方向転換と腰に強い力が関わると他の病気やけがにつながる可能性があります。

老犬が階段から落ちることで考えられるけが

老犬が階段から落ちることで考えられるけが

老犬が階段を利用して落ちてしまうと、重大なけがにつながる可能性が考えられます。老犬が階段から落ちることで考えられるけがは3種類あります。

捻挫

犬は階段から落ちることで捻挫することがあります。捻挫する原因の多くは、高い場所からの転落や着地の失敗などです。また、散歩中の事故でも捻挫は考えられるため注意が必要です。

犬が捻挫になると歩き方がおかしかったり、座ったまま動かなかったりする症状が見られます。犬の足が赤く腫れていた様子が見られたら、捻挫の可能性があるため動物病院に連れていきましょう。

骨折

階段から落ちてしまうと、骨折するリスクが高まります。骨折している場合、階段の上り下りができないだけでなく、歩くことすら困難です。ただし、閉鎖骨折や不全骨折の場合は見た目で判断しづらいため注意しましょう。

足を骨折している犬は折れた足をかばって歩いたり、足を引きずったりする動きを見せます。

骨折している部分を触って嫌がる反応を見せる、または骨折している部分をよく舐めている様子が見られる場合は骨折している可能性があるため、応急処置をしてから動物病院に連れて行ってあげましょう。

脱臼

老犬が高いところから落ちたり、股関節に強い力が加わったりすると脱臼してしまいます。

脱臼が生じると強い痛みが現れ、頻繁に鳴いたり、腰のあたりを触ると嫌がったり怒ったりします。また、脱臼すると後ろ足を動かしにくくなり、体重を支えられなくなった結果、歩くことができなくなることも珍しくありません。

脱臼を何度も繰り返すと症状が慢性化するため、早期に処置することが重要です。

老犬が階段から降りられないことから考えられる病気

老犬が階段から降りられないことから考えられる病気

老犬が階段から降りられなくなることはよく見られる行動のように感じますが、病気が潜んでいる場合があります。階段から降りられない様子から考えられる病気は4種類です。以下では、各病気の特徴について解説します。

股関節形成不全

股関節形成不全は、犬の股関節が発育途中で異常を起こし、他の症状を引き起こす病気です。両側の股関節に発症することが多いですが、片側だけ発症することもあり、大型犬や超大型犬に多く見られます。

股関節形成不全は生後4〜14カ月頃に確認されることも多く、老犬になってからでも発症する可能性があります。

股関節形成不全になると横座りしたり、腰をふるように歩いたり、四股を突っ張るように歩いたりするような症状が見られるでしょう。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは成犬から老犬に見られる病気で、椎間板が脊髄の神経の束を押しつぶす神経の病気です。部位により症状は異なり、動物病院では症状の重さごとにグレード分けをしています。

痛みだけの場合はグレード1、軽度の麻痺はグレード2、重度の麻痺はグレード3〜5に分類できます。重度の麻痺になると立上がれなくなり、さらに排尿できず便を漏らしてしまうこともあるため早期の治療が重要です。

関節炎

関節炎は、関節軟骨の劣化で関節に炎症を起こす病気です。犬の関節は日常生活において衰えていきます。また、年齢を重ねるとともに股関節や膝などにトラブルがあったり、肥満により関節に過剰な負担がかかっていれば若くから症状を出したりすることもあります。

関節炎を発症していると階段の上り下りだけでなく、散歩に行きたがらなかったり、走ることが少なくなったりなどの症状が見られるでしょう。

関節炎を一度発症すると完治することはないため、発症した際は長期的なケアを視野に入れてください。

レッグペルテス病

レッグペルテス病は、大腿骨の骨盤につながっている部分が壊死してしまう病気です。レッグペルテス病を発症すると、後ろ足を痛がる様子が見られます。初期症状は、散歩や遊びの際に足を上げていたり、足をかばうように歩いていたりするなどです。

症状が進行すると足を痛がる頻度が増え、最悪の場合は骨折につながる可能性が高まります。

老犬に階段を使わせないようにするには

老犬に階段を使わせないようにするには

老犬に階段を使用させることはけがや病気のリスクが高まるため、できるだけ階段は使用させたくないとお考えの方もいらっしゃるでしょう。以下では、老犬に階段を使用させないためにできることについて解説します。

ゲートを設置する

家の中に階段がある場合、ゲートを設置すると事故防止につながります。ゲートはペット用のものやベビー用もあるため、豊富にある機能やゲートの高さから最適なものを使用しましょう。

ゲートを設置すれば、留守番中でも階段を上り下りしてけがする心配もありません。

トレーニングする

家の中だけでなく散歩コースに階段があり、どうしても階段の上り下りが必要な場合はトレーニングが必要です。

リードを付けて同じスピードで階段の上り下りを練習するようにすると、徐々に階段をうまく利用できるようになります。まずは段差の低い階段からはじめて、慣れさせてあげましょう。

トレーニングが難しい場合は、愛犬を抱っこするか階段を使用する散歩コースは避けるようにしましょう。

最初から階段を使用させない

最初から階段を使用しないのも手段の一つです。階段を初めて利用する場合、喜んで階段を上り下りする犬はほとんどいません。そのため、最初から階段を使用させなければ、けがや事故を未然に防げるでしょう。

犬用の階段を選ぶ3つのポイント

犬用の階段を選ぶ3つのポイント

老犬の負担を減らすために犬用の階段を購入することもおすすめです。現在では老犬介護のために犬用の階段も種類が豊富です。選ぶポイントを重視しつつ、愛犬や飼い主様の部屋に合うものを選択してください。

緩やかなスロープタイプを選ぶ

緩やかなスロープタイプは、足腰が弱った老犬や視力が低下した老犬でもスムーズに上り下りができます。ただし、スロープのようなだけあって大きめのサイズが多くみられます。選ぶ際はお家に置けるスペースがあるかどうか確認してください。

まだ足腰がしっかりしていて、ゆっくりならば階段の上り下りができる老犬の場合は、緩めの階段を模したステップタイプでも良いでしょう。小型犬や胴長の犬種には段差の低いものを選んであげてください。

滑り止めが付いているものを選ぶ

転ぶことも多くなる老犬のために、歩行部分に滑り止めが付いているタイプを選択すると良いです。また、設置後もずれることがないように底の部分にも滑り止めが付いているタイプを選ぶと飼い主様の安心にもなるでしょう。

また、犬用の階段でも滑りやすい素材で作られている場合があります。素材に関しても注意して選ぶようにしましょう。

適度な高さと硬さを持つものを選ぶ

ソファーやベッドに上がりやすいように、高さを調節できるタイプを選ぶことも大切です。歩行部分が柔らかすぎるとバランスを保つのが難しいため、ある程度硬めの素材で作られていることも外せない要素になります。

階段を購入する前にお家のソファーやベッドの高さを事前に測っておいてください。愛犬が大型犬の場合は耐荷重がどのくらいなのかも確認しましょう。

老犬におすすめの階段3選

老犬におすすめの階段3選

老犬におすすめの階段は主に3種類あります。老犬の個体により、合う合わないがあるため、特徴を確かめてからどの種類にするか決めてください。

ペット用スライド階段

ペット用スライド階段は、階段というよりも坂に近いスロープのようなものです。多くが木製の折りたたみ式でできており、高さの調節も可能になっています。

滑り止めの生地が付いているものが多く、老犬でも安心して上り下りできる階段です。大型犬から小型犬まで幅広い犬種に対応していることも特徴的な面のひとつといえるでしょう。

ペットスロープ階段

ペットスロープ階段とは、ペット用スライド階段と同じく段差のないスロープ状の階段です。段差がないため、すでに足を持ち上げることも困難な老犬におすすめの階段になります。

ペット用スライド階段と違って小山のような形をしており、奥行も広めのタイプが多いため、お家に設置する際にはそれなりの場所が必要になります。設置したい場所に適する大きさかどうかを必ず確かめてください。

ペットステップ階段

ペットステップ階段とは、2〜3段ほどの段差がある階段です。なかでも老犬にはスロープとステップの中間のような階段が良いでしょう。段差が低く、なおかつ段差がアーチ型で角張っていないタイプです。

足腰がそこまで弱りきっていない老犬にはちょうど良いリハビリにもなります。また、段差が緩やかかつ丸っこいので怪我の防止にもなるでしょう。

犬の老化のサインとは?

犬の老化のサインとは?

犬は約7〜8歳で老犬と言われています。小型犬や中型犬は人間の歳で数えると2年で24歳となり、その後は4歳ずつ歳を取るのです。大型犬の場合は、1年で12歳になりその後は7歳ずつ歳をとります。

そのため、7〜8歳ごろになると犬は以前よりも足腰や鼻といった五感が衰えてきます。足がふらつく、トイレの失敗、触れられると驚くなどの行為が見られるようになった場合は老化のサインです。

決して階段の上り下りが難しくなったことだけが老化のサインではありません。足腰がまだ丈夫でも視力や聴力の方が先に衰える可能性もあります。シニア期と呼ばれる7〜8歳の年齢になったら愛犬の行動に気を配ってあげましょう。

大切な愛犬と怪我なく最期まで穏やかに過ごそう

大切な愛犬と怪我なく最期まで穏やかに過ごそう

本記事では、老犬にとっての階段の危険性や使いやすい階段、選ぶポイント、老化のサインなどを紹介しました。老いることは、動物にとって自然なことです。人間のお年寄りに介護が必要なように、犬のお年寄りにも介護が必要になります。

階段を自分の祖父母が使うように、老犬の階段使いを見てください。以前のままの階段では、いかに危険か分かるはずです。それでも、現代で生きるうえで階段がどうしても必要な時があります。

そのために、老犬に合った階段を使ってみてください。老犬の負担が最小限になり、病気の予防にもなります。愛犬と少しでも長く過ごせるようにできる限りの工夫をしてあげましょう。

大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。いざその時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることもあります。

そのため、ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、後悔のない最期の時を過ごすことができます。

また、悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、その後のペットロスの緩和にもつながります。

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