猫の長生きのために、日頃意識しておくべきこと・気をつけておくべきことを知っておきたいという方も多くいらっしゃるでしょう。
猫に長生きしてもらうためには飼い主様の細やかな配慮が大切です。今回の記事では、はじめに猫の寿命そのものについて解説し、長生きしてもらうためのポイントをご紹介します。
また、いざという時のために備えておきたい準備についてもお伝えします。
目次
猫の平均寿命はどれくらい?
そもそも、猫の平均寿命は何歳くらいなのでしょうか。2022年の一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫実飼育態調査」によると、猫の平均寿命は15.62歳でした。(参考:https://petfood.or.jp/data/chart2022/7.pdf(P4))15
一般的に15歳~16歳が猫の寿命だといえますが、寿命は猫種や家飼いか外飼いかなどのライフスタイルによっても異なります。以下では猫の寿命について細かく解説します。
性別による平均寿命の違い
ペット保険会社アニコムが2017年に発表した「家庭どうぶつ白書2017」(参考:book_201712.pdf (anicom-page.com))では、メス猫の平均寿命は14.8歳で、オス猫の平均寿命は13.7歳でした。
メス猫の方がやや長生きであるという結果です。一方で、スウェーデンで行われた大規模調査では、性別による寿命の差はないという調査結果も出ています。猫の性別による平均寿命の違いは明確ではないといえます。
猫種別の平均寿命の違い
猫の寿命は猫種によっても若干の違いがあります。上記のアニコムが2022年に発表した「家庭どうぶつ白書2022」では、混血猫の方が純血猫よりもやや寿命が長いという結果でした。
日本猫(昔から日本に生息している雑種の猫)はとくに寿命が長い猫種です。純血猫の中ではペルシャ猫、アメリカン・ショートヘア、ラグドールなどが比較的寿命が長いという結果でした。
純血種よりも混血種の方が長生きになる理由のひとつとしては、混血猫は、純血種よりも遺伝による特定の疾患などに罹る可能性が低いからだと考えられます。
(参考:https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202212.pdf)
家飼いか外飼いかによる平均寿命の違い
上記でご紹介した2022年の「全国犬猫実飼育態調査」では「家の外に出ない」猫の平均寿命 は16.02歳で、「家の外に出る」猫の平均寿命は14.24歳でした。
この調査結果は過去の調査でも同様で、家飼いの猫の方が外飼いの猫よりも寿命が長いといえます。要因は、家飼いの猫は交通事故や野良猫との闘争などのリスクがないことが関係していると考えられます。
感染症のリスクが低いことも寿命が長い要因のひとつだといえるでしょう。
猫の年齢は人間に置き換えるとどれくらい?
猫が年齢を重ねるスピードは人間とは異なります。猫は生まれて半年で人間の約10歳まで成長し、2歳で人間の約24歳程度になります。以降は、1年で人間の約4年に相当するペースで成長し、成長スピードが極めて早いことが特徴です。
3歳から10歳が人間の28歳から56歳に相当し、3歳から6歳は「成猫期」と呼ばれます。また、7歳から10歳は「壮年期」と呼ばれます。
11歳から14歳までは「中年期」で、少しずつ老化が訪れ、15歳からは「老猫期」に入ります。
猫の年齢 | 人の年齢 | ライフステージ |
0-6カ月 | 10歳 | 子猫期 |
2歳 | 24歳 | 青年期 |
3~6歳 | 28~40歳 | 成猫期 |
7~10歳 | 44~56歳 | 壮年期 |
11~14歳 | 60~72歳 | 中年期 |
15歳~ | 76歳~ | 老猫期 |
猫の老衰により見られる症状
猫も歳を重ねると体の機能が低下し、幼い頃とは異なる症状が見られます。以下では、猫の老衰により見られる症状を解説します。
食欲
猫は、歳を重ねると食欲が低下して食事量が減少します。食事量が減ってしまうと、必要な栄養素や免疫力、筋肉量も低下するため、体に悪影響を及ぼす可能性があります。
毎日同じ量の食事量を与えているのになかなか食べてくれない場合は、何かしらの理由により食べられない理由があるはずです。
たとえば、粒上のドライフードであれば、固くて食べられないことが考えられます。そのため、ウェットフードに変えたり、ドライフードにお湯をかけてふやかしてあげたりすると食べやすくなるでしょう。
身体能力
猫は高いところや細いところでもらくらくと移動できるほど身体能力が高い生き物です。しかし、老衰すると体が思うように動かず、今まで移動できていた場所にも移動できなくなってしまいます。
身体能力の低下により、猫の足腰が弱ってしまった場合は、キャットタワーを高さが低いものに買い替えたり、トイレをしやすいように段差が少ない物に変えたり、猫が暮らしやすいように工夫してあげましょう。
毛質
猫が老衰してしまうと、毛質が変化して毛並みが悪くなります。毛質の変化は食欲が大きく影響しており、タンパク質の減少や脱水、腎機能障害が原因です。
また、毛づくろいがうまくできなくなると、毛玉ができやすくパサつきが気になるようになります。
毛質の低下が気になる場合は、タンパク質が十分に摂取できるように食事内容を変更する、水分不足にならないように気をつけるなど、対処してあげましょう。
睡眠時間
猫は元々睡眠時間が長い動物ですが、歳を重ねると、睡眠時間はさらに長くなります。睡眠時間が長くなる要因として、筋肉量の低下や関節炎を発症することがあげられます。
しかし、同じ姿勢で寝ていると内蔵や体に負担がかかるため、数時間ごとに姿勢を変えてあげましょう。
また、寝たきりの猫の場合、食事が摂りづらいことから食欲が低下してしまう可能性があるため、口の近くに食事を持っていくなどサポートしてあげてください。
猫が高齢になったら起こり得ること
猫が高齢になると、目に見える変化だけでなく体内の臓器にも衰えが現れます。以下では、猫が高齢になった際に起こることについて解説します。
腎機能の低下
猫が高齢になると、腎臓機能の低下が目立つようになります。腎機能が低下してしまうと、食べる量が徐々に減っていき、嘔吐も増えてやせ細っていきます。
飲水量は増えていても脱水が進んで尿毒症を発症すると、命に関わることもあるため、注意が必要です。
関節疾患や内分泌疾患
猫が高齢になると、関節疾患や内分泌疾患も増えるでしょう。猫の運動量が減ったとしても、食事量を減らすのは困難であることが原因のひとつです。
変形性関節症や糖尿病の場合は、愛猫の変化にすぐに気づき、病院に連れていくことが重要です。
変形性関節症の場合、いつもは高いところに登っていた猫でも、高いところにジャンプできなくなったり、痛みによりスキンシップを嫌がったりする、また毛づくろいができなくなっているなどの症状が現れます。
また、糖尿病は、水を飲む量が増加し、尿の量も増加する症状が見られるようになります。そのため、日頃からの愛猫の観察が、病気の早期発見と早期治療につながるでしょう。
一方、甲状腺機能亢進症の場合、過食や活動量が増えるなど、病気とは気づきにくい症状が現れます。普段の行動から気付けない場合でも、病院で定期検診を受けると早期発見につながるため、定期的に動物病院に連れていくことも重要です。
腫瘍
シニア期に入った猫は、腫瘍が増える傾向にあります。どの腫瘍も体重の減少と外見に変化が現れます。
しかし、外から見て変化に気付けない場合は、病院で血液検査、レントゲン、エコー検査を受けるなどして、高齢猫に負担をかけないよう検査で早期発見と早期治療に努めましょう。
猫の死因となりやすい3つの病気
猫の病気によっては治せないこともあり、老衰ではなく病気が原因で亡くなることもあります。とくに猫がかかりやすい病気は3つあります。
事前に病気の特徴について知り、早期発見できるようにするためにも以下を参考にしてみてください。
悪性腫瘍
猫の死因になりやすい病気の一つに悪性腫瘍が挙げられます。悪性腫瘍はがんのことであり、ただのしこりだと思って放置していたら、悪性腫瘍だったということも珍しくありません。
しこりで動物病院に受診した猫の多くは、悪性腫瘍であるといわれているため、しこりを発見したらすぐに病院へ連れていきましょう。
とくに、乳腺・生殖器・皮膚にあるしこりは、がんである可能性が高いことから注意が必要です。内臓にがんが発生した場合、初期症状があまりなく、しこりも発見しづらいため治療が遅れる可能性があります。
そのため、いつもと違和感がある行動が見られたらすぐに動物病院を受診してください。猫のがんの初期症状は、しこり・腫れ・咳・体重減少・下痢などです。
症状がひどくなると、機能障害や悪液質が見られ、心身ともにつらい状態となるため、悪化する前に治療を始めるようにしてください。
猫伝染性腹膜炎
猫の病気による死因で多いのが、ウイルス性の猫伝染病腹膜炎です。多くの猫が体内にある無害のコロナウイルスが体内で突然変異して、強毒性のウイルスとなり発症することがあります。
猫伝染性腹膜炎は、ウイルスの突然変異により発症する病気であるため、予防法はありません。お腹や胸に水が溜まったり、臓器に病変ができたりする症状があり、いずれも食欲の低下や下痢、嘔吐が見られるようになります。
以前では、致死率100%の病気であり恐れられていましたが、近年では専用の薬の研究が進んでおり、回復することもあるようです。
慢性腎臓病
慢性腎臓病も猫の死因に多い病気です。腎臓病でも、慢性腎臓病と急性腎臓病の2種類があります。急性腎臓病は急に元気がなくなり、嘔吐や痙攣などの症状が見られるようになります。
すぐに治療すれば回復することもあるため、早期発見と早期治療が重要です。また、慢性腎臓病はシニア猫が発症しやすく、初期症状がほとんどない状態で腎臓の機能が低下していきます。
腎臓の機能が一度低下してしまうと、治療しても回復しません。しかし、薬を服用したり、食事療法を取り入れたりすると病気の進行を遅らせることができます。
万が一、多飲多尿や体重の低下、嘔吐などの症状が見られる場合、慢性腎臓病の可能性があるため、すぐに動物病院に連れていきましょう。
愛猫に長生きしてほしいなら!飼い主が意識しておきたいこと
上記でお伝えしたとおり、猫の成長スピードは人間よりもずっと早いといえます。以下では猫に長生きしてもらうために、飼い主様が押さえておきたいポイントについてお伝えします。
室内で飼育する
長生きさせるためには、猫を室内で飼育するように徹底してください。猫を外で飼ったり、自由に外へ出かけられる環境にしたりすると、ノミやダニに寄生されたり、野良猫から病気をうつされたり、事故にあったりする可能性が高まります。
また、外に出かけている間は飼い主様の目が届きにくいため、猫の体調の変化も気づきにくくなります。そのため、猫の異変を発見したことには病気が進行して、手遅れになってしまうことも考えられるでしょう。
実際に、外に自由行ける猫よりも完全室内で飼われている猫のほうが長生きする傾向にあるため、できるだけ外には出られないような環境を整えてください。
歯のケアを行う
猫の歯を定期的にケアすることも重要です。歯にトラブルがある場合、食事を摂ることも苦痛になり、体力や抵抗力、免疫力が低下してしまいます。
とくに、シニア猫は、歯周病や歯肉炎などの口腔内トラブルが増加する傾向にあります。歯の病気を未然に防ぐためにも、1日1回歯磨きをするようにしてください。毎日の歯磨きが難しい場合は、数日かけて全体を磨くだけでも問題ありません。
猫のそばで喫煙しない
猫の近くでタバコを吸うのは、長生きを妨げる原因となります。猫がいる部屋でタバコを吸うと、心臓循環器系や呼吸器系などの病気につながるでしょう。室内でタバコを吸うと、煙は空気より重たくなり、猫の行動範囲に煙が充満してしまします。
また、タバコの吸い殻を誤飲してしまうと命にかかわる危険性もあります。そのため、猫を飼っている飼い主様は禁煙を心がけるか、猫がいない場所でタバコを吸うようにしてください。
避妊や去勢手術を受ける
多頭飼いしていない場合でも、避妊や去勢手術を受けさせるようにしましょう。手術済みの猫は、未去勢の猫と比べると約1.5年長生きするといわれています。
また、メスもオスもかかりやすい病気の一つである乳腺腫瘍は、避妊や去勢手術を受けると予防可能です。さらに、避妊・去勢手術をすると性のストレスがなくなり、身体への負担もなくなるとされています。
そのため、長生きさせるためにも、避妊・去勢手術は行うようにしましょう。
心身の負担にならない生活環境を整える
長生きのためには、適切な飼育環境が重要です。飼育環境の理想は、感染症や事故といったリスクを軽減できる室内飼いです。
ただし、室内では運動不足の心配もあります。運動不足は筋力の低下につながるだけでなく、精神的なストレスにもなり病気の原因になることも考えられます。
家飼いでのストレス解消のためにも、キャットタワーやおもちゃを用意して、積極的に運動できる環境を作るように心がけましょう。
また、清潔好きな猫にとって、ベッドやトイレが汚れたままだとストレスが溜まる原因です。清掃はこまめに行いましょう。室温も猫にとって快適な温度を維持できるように気をつけることが大切です。
徹底した食事管理を行なう
猫の健康のためには食事も大切です。猫の日々の食事には、体型やライフステージに合わせた市販の「総合栄養食」を与えましょう。
食事の与えすぎは肥満につながります。必ずパッケージの裏に書かれた適正量を守りましょう。人間の食事は塩分や糖分が高すぎるだけでなく、猫に中毒を引き起こす食べ物もあります。
猫は高いところにも簡単に移動できるため、人間が口にする食べ物はしっかりと蓋のある戸棚にしまうなどの注意が必要です。
しっかりと水分補給してもらう
猫がかかりやすい病気のひとつに「慢性腎臓病」が挙げられます。慢性腎臓病になる原因ははっきりとはわかっていませんが、水分摂取量の少なさも要因のひとつとして指摘されています。
猫はもともと飲水量が少なく積極的に飲水しないことが多い動物ですが、動く水を好んで飲むことも多いため、猫用の自動給水器などを利用すると良いでしょう。ウェットフードを採り入れて水分摂取量を増やすのも効果的です。
慢性腎臓病以外にも、尿路結石や膀胱炎などの病気を予防するためにも、猫には水分をしっかりと摂ってもらいましょう。
適度な運動を心がける
猫は元々狩りが得意な動物で、狩猟本能があります。そのため、体を十分に動かせるスペースで、運動を取り入れてあげましょう。
また、猫と遊ぶ際は、おもちゃを与えて放置するのではなく、おもちゃを動かして追いかけてもらうことが大切です。
飼い主様と一緒に遊び、体を動かすことは、ストレス軽減や飼い主様にかまってもらえて嬉しいという満足感も得られます。
定期的に動物病院の検診を受ける
健康診断やワクチン接種のために定期的に動物病院を受診することは、病気の予防や早期発見につながります。
猫は人間とは異なり、痛みや不調を言葉で表現できません。そのため、普段の様子をしっかりと確認しておくことも大切です。「いつもより元気がない」「ご飯をちゃんと食べない」など異変に気づいたら早めに動物病院に相談しましょう。
もしものときのために今から備えておいたほうが良いこと
飼い主様がいくら気を配っても、猫に万一のことがある可能性も考えられます。以下では猫が体調を崩したなど、いざという時に慌てずにすむように、猫が元気なうちから準備しておくべきことをご紹介します。
ペット保険に加入しておく
猫がかかる病気にも種類が多くあり、病気によっては医療費が高額になることもあります。費用の心配なく適切な治療を受けるためにペット保険は重要です。
保険には「入院・手術のみ」のプランや「定期的な通院」に対応しているプラン、高齢でも入れるプランなどから選択できます。
ペットに最適な保険を選ぶためにも、いくつかの保険会社のプランを見比べて選んでみると良いでしょう。ペット保険は基本的には病気の治療にかかる費用の一部が補償されるものです。
不妊手術やワクチン接種など、予防のためにかかる費用には適用されないことが多いので注意が必要です。
かかりつけ医を決めておく
ささいな不安でも相談できる「かかりつけ医」を決めておくと安心です。健康診断や予防接種などで定期的に受診することで、病気の予防や早期発見につながることもあります。
普段から通ってスタッフに猫の性格なども知ってもらえば、猫のストレスも軽減されます。かかりつけ医はできるだけ家から近所の病院がおすすめです。
いくら良い病院でも遠方だと移動が猫の負担になり、こまめに通うことが難しいからです。病院選びの際は、獣医師をはじめスタッフと飼い主様の相性が良いところを選びましょう。
長生きのためにできることをコツコツと
猫の長生きのためには、日々の生活の中でできることをコツコツと続けることが大切です。記事の中でご紹介したことの他にも、愛猫の性格や飼い主様のライフスタイルを鑑みて猫の健康に良さそうなことを取り入れましょう。
ご長寿の猫を飼育している飼い主様に話を聞くのも良いですね。長生きを願うあまり、飼い主様が神経質になりすぎると猫にストレスがかかり反対に病気などのリスクにつながる可能性もあります。
日々落ち着いてゆったりと猫に接することも大切なポイントのひとつです。大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。
いざその時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることもあるでしょう。そのため、ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、後悔のない最期の時を過ごすことができます。
また、悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、その後のペットロスの緩和にもつながるでしょう。訪問火葬サービスのCOCOペットでは24時間365日、ペットの生前の終活やペットの葬儀に関するご相談を受け付けています。
お見送りの際の火葬プランも、ペットの種類によって6,600円(税込)から豊富なプランを提供しています。
一般的な猫や小型犬であれば、17,600円(税込)から、中型犬であれば28,600円(税込)から、火葬方法やご供養の希望によってプランを選んでいただけるでしょう。
埼玉、東京(島しょ部除く)、千葉、神奈川、茨城エリアで最安を目指していますので、ペットのお見送りについてお考えの方は一度ご相談ください。