「愛犬の寝方に意味はあるのか」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。犬の気持ちや体調により、犬の寝方は変化します。

今回は犬の寝方に着目し、それぞれの寝方によって犬がどのような心理状態にあるのかをお伝えします。また、病気などの可能性がある注意の必要な寝方や、そのような寝方を見つけた時に取るべき対処法も解説します。

犬にとって快適な睡眠環境についてもお伝えしますので参考にしてみてください。

愛犬の寝方には気持ちや体調が現れる

犬の寝方をチェックして愛犬の気持ちや状態を知ろう

犬の寝方は、体調やそのときの気分、心理状態によって変わると言われています。

例えば暑い、寒いなどの気温の変化や、緊張などの心情の変化も犬の寝方に現れます。犬の寝方は犬の気持ちや体調を知るための重要なヒントです。

犬は野生時の本能により、体調が悪くても隠す習慣があります。飼い主様はできるだけ早く愛犬の体調不良に気付き、早期治療をすることが大切です。普段から愛犬の寝方はよく観察をしておくと良いでしょう。

犬がリラックスしている時の寝方

犬がリラックスしている時によく見られる寝方があります。以下の寝方をしている犬は、ストレスや警戒心をほとんど感じておらず、のびのびと生活しているでしょう。

身体を丸めた状態が基本的な寝方

身体を丸めてドーナツのような姿になる状態は、犬の最も基本的な寝方のひとつです。この姿勢は犬だけでなく、ほとんどの動物で見られる寝姿で、身体を丸めることで急所のお腹や内臓を守れます。

体を球体に近づけることで、表面積を一番小さくすることもできるため、体の熱を逃さない寝方でもあります。

一般的によく見られる寝方ですが、手足をぎゅっと体の中にいれるほど丸まって身体を震わせていたり、目だけ開けて飼い主様に何かを訴えるような視線を送ったりしている場合は、非常に寒さを感じている場合があります。また、雷など何かの物音をとても怖がっている可能性もあります。

仰向けは最もリラックスしている寝方

仰向けの寝方は、へそを上に向けていることから、よく「へそ天」と呼ばれています。「へそ天」は、急所のお腹を無防備にさらけ出しているため、警戒心がゼロで、非常にリラックスしている状態です。

大人の野良犬などは、この寝方をすることがほとんどありません。

「へそ天」は飼い主様から見ても本当に愛らしく、安心しきってくれていることがわかる寝方です。

ただし、お腹をさらけ出している寝方は、犬が暑さを感じている時にも見られます。室温を確認したり、犬の呼吸が荒くないかどうか確認したり、しっかり様子を観察しましょう。

手足を伸ばして横向き

足を投げ出して横向きに寝ている場合もリラックスしている状態です。犬にとっては、横向きの寝方はとても楽な姿勢です。横向きに寝ている場合は、熟睡していることが多いでしょう。

上で解説した「へそ天」は、犬の体格や性格によってはあまり見られないこともあり、飼い主様は自分に心を許してくれていないのではないかと気になることがあるかもしれません。横向きの寝方は、「へそ天」と同じくらい警戒心のない状態なので、犬が横向きで熟睡していれば、家や飼い主様に安心しきっていると言えます。

横向きの寝方は「へそ天」と同様、少し暑さを感じている場合にもみられます。室温などに注意を払いましょう。

緊張や警戒している時の犬の寝方

緊張や警戒している時の犬の寝方

犬は、警戒しているときや、緊張をしているときの寝姿にも特徴があります。どんな姿勢のときに、緊張や警戒をしているのかを把握し、愛犬の気持ちがくみ取れるよう、よく観察をすることが大切です。

うつ伏せは警戒している証拠

うつ伏せの状態は、はすぐに立ち上がれる姿勢です。熟睡するのではなく、ウトウトとしていたり、一時的に休んでいたりする時によく見られる姿です。うつ伏せで寝ている犬は、飼い主様の立てる物音などをよく聞いていて、興味がある匂いや音がした場合はぱっと飛び起きますね。

何かに警戒している場合や、恐怖心を感じて緊張している場合もうつ伏せの姿勢を取ることが多いです。お迎えしたばかりの犬や保護犬などは、はじめはほとんどうつ伏せで寝ていることが多いです。焦らずに犬がリラックスできるまでゆっくり待ちましょう。

少しだけ丸まっている寝方

少しだけ丸まっている寝方は、少し緊張している心情を表しています。何かがあった時にすぐ逃げられるような姿勢、かつ丸まることで大切な内臓を守っている状態です。

愛犬が何に警戒しているのか、1度愛犬の周辺環境を確認して改善すると良いでしょう。

体調不良の可能性があるペットの寝方

犬の寝方によっては不調や病気を訴えているケースもある

犬の寝方を観察することで、体調の不調やなんらかの病気の発見につながることもあります。ここでは、注意が必要な犬の寝方についてお伝えします。

祈りのポーズをしている

「祈りのポーズ」と呼ばれる姿勢は、伏せの状態で前足を伸ばし、腰を上げて後ろ足を立たせた格好です。犬が遊びに誘う時に見せる「プレイバウ」にも近く、ストレッチをしているようにも見えるかもしれません。獣医領域では、「祈りのポーズ」は膵炎の犬に見られる典型的な姿勢として知られています。

祈りのポーズは、犬が非常に強い腹痛を感じているときにするとされています。内臓の圧迫を和らげることで腹痛を緩和させるとも言われています。犬がこの姿勢を取っている場合、緊急の治療が必要です。すぐに動物病院に連絡しましょう。

四肢を開いて横向きの寝方をしている

上でも少しお伝えしましたが、横向きの寝方は暑さを感じている場合にも見られます。四肢を開いていたり、お腹も少し空気にさらそうとしていたりする場合は、呼吸が早い場合は暑がっている可能性が高いと言えます。

落ち着かない様子で部屋の中やエアコンの下に移動する場合、暑さによる不快感から逃れようとしています。

特に、高齢犬や子犬、短頭種などは暑さにとても弱いため、犬が横向きに寝ているのに熟睡せずにそわそわとしていたら、室温の調節をしっかりと行いましょう。

寝ているのに激しく動くことがある

犬も人と同様、寝言を言ったり、寝ている時に手足を動かしたりすることがあります。特に、浅い眠りの「レム睡眠」のときには、手足や目をピクピクと動かすことが多いです。犬も夢を見ると言われており、夢の内容によって手足や口もよく動かすでしょう。

ただし、寝ている最中に体のどこかを頻繁に何度も激しく動かす場合は、痙攣が起きていたり、脳神経になんらかの異常があったりする定できません。気になる寝方をしていたら、動画を撮影するなどして獣医師に相談しましょう。

犬の寝方で不調や病気を疑ったら?対処法を知っておこう

犬の寝方で不調や病気を疑ったら?対処法を知っておこう

上では注意が必要な犬の寝方についてお伝えしました。ここでは、犬の寝方を観察して、体調不良や病気の可能性を感じた場合の対処法を解説します。

犬がしんどそうでも無理に起こさない

犬がしんどそうにしていたり苦しそうにしていると、心配のあまり起こしてあげたり、抱っこしたくなるでしょう。しかし発作などの場合、触れたり抱きかかえたりすることで悪化させることもあります。苦痛のために飼い主様に噛みついてしまう犬もいるため、まずは犬に触れず、飼い主様が冷静になることが大切です。

発作が起きている場合は動画で撮影する

体中が激しく痙攣し、足をバタバタと動かしている場合は発作を起こしている可能性があります。飼い主様の感覚では、とても長い時間犬が苦しんでいるように見えますが、数秒から長くても2分程度で治まります。多くの場合、この発作によって犬が亡くなってしまう可能性は大変低いため、パニックにならずに、落ち着きましょう。

ほとんどの犬は、発作がおこったあとはケロリとしていることが多く、その状態で動物病院を訪れても診断が難しい場合があります。受診の際に役立てられるように、発作がおきたら動画撮影を行いましょう。発作の頻度や、タイミング、発作の起きている時間もメモをしているとより診断の際に役立ちます。

犬もあくびやいびきをする

犬もあくびやいびきをする

犬のあくびは見ていてとても愛らしいです。寝る前にするあくびは眠たいだけかもしれませんが、緊張をしていることや恐怖を感じていることが原因の可能性もあります。

以下ではあくびやいびきに隠された意味をご紹介します。

あくびは不安や緊張のサイン

眠たいとき以外のあくびは「カーミングシグナル」といい、周囲や自分自身を落ち着かせるために行う合図と言われています。

具体的には以下の状態の時によく行う合図です。

  • 嫌なことをされている時
  • 何をしたら良いかわからない時
  • 怒られている時
  • 知らないものがある時

もし心当たりがないのにあくびをし続けるようであれば、何か不安な要因が隠れている可能性があります。1度愛犬の周りを確認してみましょう。

ペットのいびきは病気の可能性がある

多くの犬はいびきをかきますが、パグやブルドックなど頭の大きさに対して鼻が短い「短頭種」は特にいびきをかきやすいです。

睡眠が深いことによって筋肉が緩んだときなどの一時的な場合は問題ありません。しかし頻繁にいびきをかいている場合や大きすぎる場合は病気の可能性も否定できないため、注意が必要です。

以下で詳しくいびきの症状について解説します。

肥満

首の周りに脂肪が多いと、いびきをかきやすくなります。脂肪によって喉が圧迫されていることが原因です。

特に、太りやすい犬種は注意が必要になるため、体重管理を徹底しましょう。肥満になりやすい犬種は以下のとおりです。

  • ゴールデン・レトリーバー
  • ラブラドール・レトリーバー
  • ダックスフンド
  • プードル
  • ヨークシャテリア

すでに肥満気味の場合は獣医師に相談し、解消するためのアドバイスを受けることも効果的です。

アレルギー

犬はアレルギー疾患でもいびきをかきやすくなります。喉の粘膜が炎症することにより、腫れが生じることが原因です。

犬も人間と同様に、鼻水などで気道が狭くなるといびきをかきます。いつもと違ういびきや鼻水が増えた場合は、アレルギーである可能性があります。1度動物病院を受診して検査してもらいましょう。

外鼻孔狭窄

外鼻孔狭窄(がいびこうきょうさく)とは、生まれつき鼻の穴が狭く、空気の通り道が細くなっている状態を指します。鼻呼吸がしづらいため、いびきをかく原因の1つです。

フレンチブルドッグ、ペキニーズ、パグ、シー・ズーなどの短頭種が外鼻孔狭窄にあたります。

常に強い力で呼吸をしていることにより、呼吸困難を起こす場合や体温の調節を上手くできない場合があります。重度の場合は外鼻腔拡張術で鼻の穴を広げる手術が必要です。

愛犬の呼吸を観察し、苦しそうな日が続いた場合は動物病院を受診し専門医に相談することをおすすめします。

犬にとって快適な睡眠環境とは?

犬にとって快適な睡眠環境とは?

犬が快適に眠れる環境とはどのようなものでしょうか。快適な室内環境は、温度が20℃~25℃程度、湿度は50%~60%程度です。高齢犬や子犬、何らかの基礎疾患のある犬では少し高めが良く、若い健康な大型犬は少し低めが心地よいと感じます。

犬は薄暗くて狭い場所で安心できることが多いため、愛犬専用の寝床を用意すると良いでしょう。完全に家族と遮断された環境になると不安に感じる犬も多いため、リビングの隅など、家族の気配を感じる場所に設置すると犬がリラックスできます。

犬が過ごす部屋は、その部屋の中に温度差をつけておくと、犬が自分にとって一番気持ちの良い場所を選べるためお勧めです。例えば、窓際は風通しよく少し涼しめにしておき、ソファーの上は毛布を敷いて少し温かめにしておく、などの工夫で犬の選択肢が広がりより快適に眠ることができます。

夏場の寝床はスノコなどを利用して涼しく、冬は毛布やタオルなどを敷き詰めて温かくしておくなどの気遣いも大切です。

愛犬の寝方は頻繁にチェックしましょう

今回は犬の寝方からわかる体調や気持ちの変化について解説いたしました。犬の寝方と体調や気持ちは密接に関係しており、中には疾患や体調不良を早期に発見するヒントになる場合も珍しくありません。

愛犬がしんどそうに寝ている時や違和感のある寝方をしている場合には、早めに獣医師に相談すると良いでしょう。

大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。いざその時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることもあります。

そのため、ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、後悔のない最期の時を過ごすことができます。

また、悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、その後のペットロスの緩和にも繋がります。

COCOペットでは、生前の終活についてのご相談も承っております。些細なご質問でも、お気軽にご相談ください。

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