「犬が仰向けになるのはなぜだろう」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。仰向けはいわゆる「へそ天」といわれる仕草です。仰向けになっている姿は可愛らしいものですが、なぜ仰向けになるのか気になりますよね。

そこで今回は、犬が人間に向けて仰向けになる理由や犬同士で仰向けになる理由などについて詳しく解説していきます。犬の気持ちを読み取る上で大切なことなので、ぜひチェックしてみてください。

人間に向けて仰向けになる理由

人間に向けて仰向けになる理由

人間に向けて仰向けになっている場合は、どんなことをアピールしているのでしょうか。考えられる理由を3つ解説します。

リラックスしている

人間に向けて仰向きの姿勢をとる一番の理由はリラックスしているからと考えられます。お腹は犬にとって急所です。警戒心を抱いているときに仰向けになることはありません。

それにも関わらず仰向けになって無防備にお腹を見せているということは、周りを気にしないくらいにリラックスしている証拠です。飼い主様といる場所が安心できる場所だと犬自身が認めています。

甘えたい

リラックスしている他にも、甘えたい気持ちを表現する時にも仰向けになります。その時に尻尾を振っていたり体をくねくねと動かしていれば、喜んでいたりもっと撫でてほしいサインです。

また、人に慣れている犬の場合は、仰向けになると構ってもらえたり可愛がられたりすることがわかっているので、注目されたいときに仰向けになることもあるようです。

しかし、甘えているのではなく、自分のにおいを擦り付けたい場合や、体が痒くて掻くためにくねくねと地面に体を擦り付けている場合もあります。

暑い

暑い日に床や冷たいタイルなどの上で仰向けになっている場合は、リラックスや甘えているのではなく、お腹を出して熱を逃がして体温調節をしていることが考えられます。息遣いが荒く、舌を出しているようなら暑いというサインです。

犬は寒さには強いですが、暑さには弱い動物です。息遣いが荒いなど暑がっている様子が見られるならエアコンや冷却シートなどを利用して体温調節をしてあげましょう。

犬同士で仰向けになる理由

犬同士で仰向けになる理由

犬が人間に向けて仰向けになっている場合と、犬に向けて仰向けになっている場合では異なる理由があるようです。考えられる理由について3つ解説します。

敵意がないというサイン

親しい犬同士だけではなく、初対面の犬に向けて仰向けになるときがあります。それは初めから敵意がないことの表れです。自らお腹を出して「敵意はないから攻撃なんてしない、仲良くなろう」という気持ちを相手に伝えようとしているのです。

降参のサイン

仰向けには降伏するという意味もあります。犬は自分より相手が強いと感じると、急所であるお腹を見せて自分は攻撃しないことをアピールします。降伏のサインは仰向けになりお腹を見せる以外にも、耳が垂れて尻尾が内牧になっていることが多いです。

もしも、飼い主様にお腹を見せていないなら「自分はあなたより強いんだぞ」と思っているのかもしれません。

身を守っている

犬同士がじゃれあっている時に仰向けになっている場合は、単に敵意がないというアピールをしているのではありません。相手からのじゃれあいの中でケガをしないようにしていたり、首を守ったりしています。

しかし、仰向けになっているときに耳が垂れているなど降伏しているようなら、犬が嫌がっているサインです。優しく引き離してあげましょう。

仰向け姿勢は犬にとって大切なこと

仰向け姿勢は犬にとって大切なこと

リラックスしている時や敵意がない時に見られる仰向けですが、実は仰向け姿勢には上記で解説している事とは別の目的があります。

健康管理

仰向けの姿勢は健康管理に役立ちます。犬のお世話の中にはブラッシングや歯磨き、爪切りなどがありますが、それらをする際に仰向けができているとお世話の手間が減り、犬と飼い主様のストレスも減少するでしょう。

さらに、皮膚の観察もしやすくなります。ブラッシングでは主に背中側を重点的にしますが、仰向けだと普段見えないお腹側がよく見られるので皮膚や体の異変に気づきやすくなります。

コミュニケーションがとれる

前述していますが、犬が仰向けになるのはリラックスしたり甘えたりしたい場合です。撫でてあげて健康管理をしながらスキンシップができるので、コミュニケーションがとれて良い信頼関係を築けるでしょう。

仰向け姿勢に慣れるためには

仰向け姿勢に慣れるためには

仰向け姿勢が大切なのは解説しましたが、そもそも仰向けが苦手な犬もいます。嫌がらずに仰向け姿勢に慣れさせるためのコツを解説します。

膝の上に寝かせる

犬を抱っこしたら、そっと膝の上で飼い主様のお腹の方に犬の頭が来るように仰向けに寝かせてみましょう。抱っこした際に足の間で挟むと犬は身動きが取れず嫌がってしまいます。優しく膝の上で寝かせるようにしましょう。

無理に押さえつけるように寝かせると犬は嫌悪感を持ち逃げてしまいます。嫌がっているようなら無理はさせず、そっと撫でながら繰り返し練習して慣れさせるようにしてください。

ふせから教える

伏せをした状態から始めるので、まずは伏せを覚えてからやってみましょう。犬が伏せをしたらおやつを近づけ、犬がじっと見るようになったところで徐々におやつを背中の方に持っていきます。

ゆっくりと回転するようにおやつを動かしてください。目でおやつを追ってゴロンと仰向けになるようにしていきます。仰向けになったら持っていたおやつを与えてください。そうすることで犬は「仰向けになればおやつがもらえる」と思い、仰向けを覚えてくれます。

仰向け姿勢が危険な場合もある

犬が仰向けになっているとリラックスしているんだなと嬉しくなりますが、実は注意が必要です。仰向けは品種によっては体に負担をかけてしまうからです。

パグやフレンチブルドッグなど、頭蓋骨に比べ鼻の長さが短い品種を多頭種といいます。多頭種は元々鼻腔が狭く、行き苦しそうな呼吸音を聞くこともしばしばあります。さらに多頭種は胴がしっかりしているので、仰向けになると気道に圧がかかり呼吸し辛くなり危険です。

また、ミニチュアダックスフンドやコーギーなどは腰に負担をかけやすく、ヘルニアのリスクが増加します。長時間の仰向け姿勢は控えましょう。

まとめ

犬が人間に向けて仰向けになる理由は、リラックスしている、甘えたいことを表現しています。犬が飼い主様を信頼して体を委ねている状態です。

また、床に体を擦り付けることでにおいを付けたり涼んだり、健康管理ができたりと仰向けになるには複数のメリットがあります。しかし、仰向けを犬に強要してはいけません。犬の気持ちを理解して大切に育てましょう。