愛犬と一緒だと、思わず笑顔になる機会が増えると感じている人もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。ストレス社会の現代に注目されているホルモンの一種「オキシトシン」は、別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。

実は、近年の研究では犬と触れ合うことでオキシトシンが増えるという科学的根拠も提示されているのです。この記事では、オキシトシンが人や犬にもたらす効果について詳しくお伝えします。

「幸せホルモン」オキシトシンとは

オキシトシンは脳の視床下部で作られ、下垂体後頭葉から出るホルモンです。子宮収縮や分娩を促進することに関わるホルモンとして有名ですが、近年はストレス軽減や記憶力にも効果があると言われています。

そんなスーパーホルモン「オキシトシン」の私たちの体にもたらす働きについていくつか紹介します。

  • 幸せな気持ちになる
  • 集中力、学習の意欲が高まる
  • ストレスが減りポジティブになる
  • 他人への信頼感が高まる
  • 記憶力の向上

オキシトシンが増えることで私たちのパフォーマンスが上がることがわかります。

オキシトシンと犬に関する研究成果

オキシトシンと犬に関する研究成果

2015年4月麻布大学獣医学部伴侶動物学研究室が学術雑誌『SCIENCE』に「人と犬の絆、オキシトシンとの関係」に関しての実験結果が掲載されています。

論文によると、以下の2点が判明しています。

  • 人と犬が見つめあい視線をかわすことで、人の尿中のオキシトシンが増え、その結果ヒトの母子間で認められるような心理的結びつきが形成される
  • 心理的結びつきは、オオカミと人では認められなかったことから犬が進化の過程で独自に獲得したもの

犬は進化の過程においてヒトに類似したコミュニケーションスキルを獲得しただけでなく、ヒトとの絆を形成することが可能になったと考えられています。

幸せホルモンが人間に与える効果とは

以下では、オキシトシンが人間に与える効果について記載します。

幸福感が得られる

オキシトシンは、安心感や幸福感など、メンタルの安定に関わるセロトニンの分泌を促進します。セロトニンが増えることで、気分がほっこりと癒されるような幸福感を得ることができるのです。

ストレスを緩和させる

オキシトシンは、緊張状態になると分泌量が多くなるコルチゾールを減少させます。

また、オキシトシン自体が抗ストレス作用も持っているため、過剰にストレスに反応しないためのブレーキとして働いていると報告されています。

ポジティブになる

オキシトシンがストレスホルモンを減少させるため、ストレスや不安感、緊張などが少なくなり、辛さから開放されます。心身がリラックスした状態になるため、結果として前向きになりやすくなると考えられています。

学習意欲や集中力が向上する

東京理科大学の研究で、視床下部室傍核(PVN)から乳頭上核(SuM)に投射しているオキシトシン産生ニューロンがオキシトシンの認知機能亢進作用に深く関与していることを発見しました。

オキシトシンは、学習意欲や、集中力の向上に有効であると考えられるでしょう。

参考:認知機能亢進作用に対する内因性オキシトシンの影響を神経回路レベルで解明~認知症治療の新たな道を切り拓く~|東京理科大学 (tus.ac.jp)

犬に幸せホルモンが出るタイミング

犬に幸せホルモンが出るタイミング

幸せホルモンは人間だけでなく、犬にも分泌されているといわれています。以下では、どのようなタイミングで幸せホルモンが分泌しやすいのかについて解説します。

飼い主様と添い寝しているとき

飼い主様と添い寝をしているとき、犬はオキシトシンを分泌します。

大好きな飼い主様の存在を近くで感じることができるので、精神的にリラックスして落ち着いた状態で睡眠できるでしょう。

たとえば、犬が一緒にベッドに寝る場合、飼い主様のにおいによって安心を覚えることもできます。また、飼い主様も犬の体毛の柔らかさ、体温を感じながら眠ることができるので幸せな気分になります。

犬が飼い主様に甘えたとき

犬が甘えるしぐさをしているときは、何かを要求をしているときです。

以下のような態度をしているときに応えてあげて甘やかすことで、信頼関係を築くことができます。

  • 前足をのせてくる
  • 身体をスリスリ寄せてくる
  • 甘噛みしてくる
  • 顎を乗せてくる
  • 寝転んでお腹をみせてくる
  • 後ろをずっとついてくる

飼い主様が帰宅したとき

犬と人間の時間の感じ方は異なり、犬の1日は人間の時間で7時間と言われています。そのため、会社や外出などで長時間家を開けると、犬にとっては丸1日以上飼い主様と離れている状況と同じなのです。

帰宅後は、興奮しているのですぐに遊んだりするのではなく、一旦落ち着かせてから笑顔でスキンシップをとるようにしましょう。

幸せホルモンが犬に与える効果

飼い主様が犬に対し、やさしく接したり身体をなでたりすると、犬も期待に応えようと集中力を高めます。その結果、犬は普段以上に作業効率をあげることができます。

つまり、飼い主様がほめたり、愛情を与えたりすることで、犬の脳内ではオキシトシンが生成されるのです。また、ペットをなでることで癒しを得ると、人間にもオキシトシンが生成されます。

オキシトシンを増やす方法

日常生活を過ごす中で、幸せホルモンを増やす方法について紹介します。

スキンシップ

オキシトシンを増やすにはタッチング(肌と肌を合わせること)も効果的です。また、肌の直接的な触れ合いがなくても見つめ合う、家族で団らんするなど心を通わせることでも有効です。

趣味を楽しむ

好きなものに時間を費やすと幸せな気分になることができます。趣味を通じてコミュニティーに参加し、人と交流することでもオキシトシンの分泌は増加します。

「幸せホルモン」オキシトシンで犬も人間もハッピーに

「幸せホルモン」オキシトシンで犬も人間もハッピーに

犬と触れ合うことで飼い主様だけでなく、犬も幸せであることから幸せホルモンは、飼い主様と犬どちらにもポジティブに働きます。幸せホルモンは感情面だけでなく、身体の面にも様々なメリットを与えてくれます。

たくさんコミュニケーションを取り信頼関係を築くことで、お互いに健康で心豊かな生活を楽しむことができるでしょう。