妊娠中に猫を飼う場合、注意点があることはご存じでしょうか。実は猫は、胎児に悪影響な感染症を持っている可能性があるのです。猫の感染症に対して何も知識がないと、後から後悔することになるかもしれません。
本記事は、妊娠中に猫を飼う注意点やトキソプラズマ症について紹介します。また、赤ちゃんが生まれた後の猫とのトラブル対策なども記載しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
妊娠中はトキソプラズマ症に注意
妊娠中に猫を飼う場合、猫がトキソプラズマ症に感染していないか確認する必要があります。トキソプラズマは、アピコンプレクサに属する寄生性原生生物で、感染した猫の糞を触ることで、人にも感染し影響を与えるとのことです。
他にも、猫の糞によりトキソプラズマのタマゴが含まれた土を触ったり、トキソプラズマに感染した生肉を食べたりすることで、人に感染すると言われています。
医療機関で検査をすることで猫がトキソプラズマに感染しているのかわかるため、妊娠が発覚したらぜひ医療機関に猫を連れて行ってください。
トキソプラズマ症以外で猫が妊婦に与えるリスク
続いて、トキソプラズマ症以外の猫による妊婦さんの影響を紹介します。猫にはトキソプラズマ以外にも人に影響を与える菌を保有している可能性があるのです。
妊娠中でなくても人間に何らかの影響を与えるリスクと症状をまとめたので、各項目をチェックしてみてください。
重症熱性血小板減少症候群
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは、ウイルスを持つマダニに噛まれることにより発症する感染症です。ウイルスを持つマダニに噛まれた猫や犬に、噛まれる・体液を直接触ることで人間にも感染します。
人間が重症熱性血小板減少症候群に感染すると、6~14日の潜伏期間のあと、発熱や消化器官の症状が起き、最悪の場合10~30%の割合で死亡してしまう可能性があります。
マダニがウイルスを持つかどうかは目視では判断できないため、猫にマダニがついていることが判明した時点で早急に動物病院にかかることをおすすめします。
ネコひっかき病
ネコひっかき病は、バルトネラ・ヘンセレが感染源の感染症です。バルトネラ・ヘンセレに感染した猫にひっかかれたり噛まれたりすることで、人間にも感染します。
人間への影響は、感染から10日頃に傷口が赤く腫れあがり、手元であれば腋窩リンパ節、足元であれば鼠径リンパ節が腫れてしまうでしょう。ひどいと卵くらいのしこりができてしまいます。
そして、発熱症状や倦怠感などが発症します。大体の方は数週間から数ヶ月で自然治癒する感染症です。
コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
コリネバクテリウム・ウルセランスは、コリネバクテリウム属の細菌で、感染した猫の飛沫から人に感染してしまいます。初期症状は、くしゃみや鼻水など普通の風邪と変わらない症状で、珍しい症状がないため厄介な感染症です。
人間が感染すると、くしゃみや発熱が発症し、次第に咽頭痛や咳が出ます。そして、扁桃や咽頭部分に偽膜が形成されてしまうのです。猫がくしゃみや鼻水を出している場合は、コリネバクテリウム・ウルセランスを疑いましょう。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症は、カビが原因の感染症です。犬猫の皮膚バリアや菌が侵入すると、目や口、耳周りといった薄い皮膚の箇所の毛が縮れ、脱毛してしまいます。
特に免疫が弱い子猫や子犬は感染しやすいため、注意が必要となります。感染した犬猫の毛やフケに触れることで人間にも感染し、かゆみや脱毛の症状が出るでしょう。
また、小さな子供や免疫が弱い方は重症化し、傷が残る皮膚病に感染するリスクもあります。猫の毛が縮れて、脱毛が起きている場合はウッド灯検査を受けさせましょう。
ノミ・マダニ
ノミやマダニの感染症は、重症熱性血小板減少症候群やネコひっかき病の他にも、ノミ刺咬症やライム病など様々な感染症を引き起こします。
ノミ刺咬症は激しいかゆみを起こし、重症化するとミミズ腫れのような症状が起きます。
- 皮膚症状
- 起立不能
- 歩行異常
- 神経過敏などの神経症状
- 関節炎
日本紅斑熱は発疹、最悪の場合死に至ることもあるので、猫のノミ・マダニ対策は徹底しましょう。
赤ちゃんを出産した後の猫とのトラブル対策
続いて、赤ちゃんを出産した後の猫とのトラブル対策について紹介します。妊娠中も注意が必要な猫との暮らしですが、赤ちゃんを出産してからも意識しておきたいポイントがあるのです。
赤ちゃんも猫も快適に過ごせるように、飼い主様は以下の注意点を意識してください。
猫だけのスペースを確保
赤ちゃんと猫のスペースを分けたほうが良いでしょう。猫にとって、赤ちゃんの泣き声はストレスになりますし、赤ちゃんのお世話をする飼い主様のいつもと違う様子もストレスに感じることもあります。
また、猫は一人になる時間や空間が必要なため、猫だけのスペースを確保してあげましょう。
猫は赤ちゃんのミルクの匂いにつられ、顔に乗ってしまうこともあるため、そういった危険も回避できるよう赤ちゃんと猫は物理的距離を取った方が良いです。
猫のトイレは赤ちゃんから遠ざける
猫は排泄中に視線を感じたり、大きな声を聞いたりすると、ストレスを感じ我慢してしまうことがあります。我慢を続けると、膀胱炎や尿石症を発症してしまうかもしれません。
さらに、赤ちゃんがハイハイできるようになると、触れる場所にトイレを置くことで猫砂の誤飲につながるかもしれません。
また、赤ちゃんが家に来たことで、猫のトイレの場所を大幅に変えてしまうこともストレスとなるため、ベビーゲートなどを活用し、赤ちゃんを猫のトイレに近づけないようにしましょう。
毎日猫と遊ぶ時間も確保する
赤ちゃんが新しい家族になることは、猫にとっても大きな環境の変化になるためストレスを感じやすいです。飼い主様も赤ちゃんのお世話で大変かもしれませんが、1日の短い時間でよいので、猫との遊び時間を作ってあげてください。
環境の変化でストレスを感じ、さらに飼い主様とも遊ぶ時間がなくなると、猫も愛情に飢えてしまい、よりストレスが溜まってしまいます。短い時間でも飼い主様が猫との時間を確保することで、猫も赤ちゃんを敵視しなくなるでしょう。
猫と赤ちゃんを仲良くさせるには?
意思疎通ができない猫と赤ちゃんは、野放しで触れ合わせても危険が伴うだけです。
飼い主様がポイントを押さえて、猫・赤ちゃんそれぞれにとって安全に仲良くさせてあげましょう。
赤ちゃんの声に慣れさせる
猫は大きな音や声がストレスとなる生き物なため、赤ちゃんが生まれる前から赤ちゃんの泣き声に慣れさせておきましょう。インターネットで赤ちゃんの泣き声を流しておくことで、猫も少しずつ泣き声に慣れていくことができます。
それでも、1日中赤ちゃんの泣き声が聞こえる環境にいては、猫がストレスで疾患にかかってしまう可能性もあるため、部屋を分ける工夫をしてあげてください。
大人が見守る中で赤ちゃんと猫を触れさせる
免疫力が低い赤ちゃんは、猫にひっかかれたり、噛まれたりすることで感染症を引き起こしてしまう可能性があるため、大人は決して目を離してはいけません。
また、赤ちゃんがハイハイできるようになり、大人が目を離した隙に、猫の毛やしっぽをひっぱることもあります。猫は怒ってしまい、トラブルの原因となり、赤ちゃんに苦手意識を持つかもしれません。
猫と赤ちゃんが仲良くなるには、飼い主様の見守りが必須なため、目を離さないよう注意してください。
必要知識を取り入れ胎児を守ろう
本記事は、妊娠中に猫を飼う注意点や、妊婦さんに影響を与える感染症について紹介しました。妊娠中に猫を飼う場合は、トキソプラズマ症をはじめとした感染症に注意してください。
外に自由に出歩ける猫は、感染リスクも高まるため、妊娠期間は室内飼いを徹底すると良いかもしれません。