「スキンシップで犬との距離を縮めたい」と思う方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。犬は人との触れ合いで愛情を感じると認知されていますが、実はタイミングや関係性によって、なでられることが不快に感じることもあるのです。
本記事では、犬のなで方やなでてほしいサイン、なでるときの注意点について紹介します。犬の正しいなで方や注意点を知り、スキンシップを深めましょう。
目次
犬はなぜなでられると嬉しいのか
犬は元来集団で生活する動物で、仲間同士で舐め合ったりすることで絆を深めてきました。そのため、飼い主様になでられることにより、安心や愛情を感じるのです。
また、被毛の手入れ効果や、リラックス効果も得られます。被毛は犬本人だけでは手入れできないため、他者になでられることで清潔さや快適さを保ちます。
さらに、なでられる行為により幸せホルモンのオキシトシンも分泌されるため、犬にとって飼い主様とのスキンシップは良いことしかありません。
犬がなでてほしいときのサイン
続いて、犬がなでてほしいときのサインを紹介します。犬はなでてほしいとき、飼い主様に行動や視線でアピールします。愛犬のアピール方法を知り、ベストなタイミングでなでるスキンシップをとりましょう。
前足を乗せてくる
犬はなでてほしいときや遊んでほしいとき、ごはんがほしいとき前足を飼い主様にチョンチョンと乗せてアピールします。
しかし、前足を乗せてくるときは散歩に行きたい、ご飯を食べたいなど、なでること以外の要求をしている可能性もあるため、なでてもアピールを辞めない場合は他の要求をしていると解釈してください。
また、前足を乗せてアピールするときに強めのチョンチョンだと、少しわがままなアピールとなるため、毎回要求に答えていると上下関係が崩れることもあります。
寝転がってお腹を見せてくる
犬が寝転がってお腹を見せてくれるのは、服従のポーズであり、お腹をなでてほしいアピールかもしれません。柔らかいお腹を見せる行為は、絶対的な信頼を表しているため、飼い主様と愛犬は良好な関係を築けています。
しかし、犬は緊張や相手が自分よりも格上だと判断した場合、初めての相手にもお腹を見せるポーズをすることもあるのです。この場合は、自分が相手に対して敵ではないことをアピールしているだけのため、甘えからの行動ではありません。
体をこすりつけてくる
犬が体をこすりつけてくるときも、なでてほしいと甘えているのかもしれません。飼い主様の近くにいたい、安心したいとアピールしているため、満足するまでなでてあげましょう。
また、ごはんがおいしくて満足しているときや、体がかゆいとき、遊んでほしいときも体をスリスリしてアピールします。なでてもスリスリを辞めない場合は、他の要求に答えてあげてください。
顔を舐める
冒頭で説明した通り、犬は仲間と舐め合うなどのスキンシップを取り、絆を深めます。そのため、飼い主様の顔をぺろぺろ舐める行為は、愛情表現であり信頼を表現しているのです。
また、手や腕は遊んでほしいアピールで、足を舐める場合はにおいの確認をしています。愛犬の愛情表現のため、飼い主様にとって嬉しい行為ですが、パスツレラ症などの感染病のリスクもあります。口元を舐められた際はうがいをしてください。
顎を乗せてくる
飼い主様の膝に愛犬が顎を乗せてきたときは、なでてほしい、甘えたい、安心してほしいというアピールとなります。犬は飼い主様の膝に顎を乗せることで、匂いや温もりを感じて安心します。
また、飼い主様の脚の間に入ってくる犬は飼い主様への情が強く、かなり甘えん坊な性格をしています。一方、飼い主様だけでなく、机やソファーに顎を置くこともありますが、その場合はリラックスしている状態なのでそっとしておきましょう。
犬のなで方の手順
続いて、犬のなで方の手順について紹介します。犬は飼い主様やご家族といった信頼できる相手になでられることは嬉しいのですが、初対面の相手など警戒しているときはどこを触っても良いわけではありません。
初めての犬をなでるときは、以下の手順に沿ってスキンシップをとりましょう。
肩や首の周り、背中からなでる
高さ的に頭がなでやすいため、初めての接触で頭をなでてしまう方もいますが、犬はいきなり頭をなでられると、恐怖心から噛んでしまうこともあります。
そのため、信頼関係が築かれていない段階では首や肩、背中など不快に感じにくい場所をなでましょう。
- 唸る
- 噛む
- 避ける
- 舌なめずり
上記の行為は拒否の現れのため、すぐになでることを辞めましょう。
犬が気を許したら他の場所も撫でる
肩や首回り、背中をなでても拒否の反応がなく触らせてくる場合は、犬が不快に思いにくい場所もなでてみましょう。
- 口の周り
- 鼻
- 耳の中
- 肛門周辺・しっぽ
- 足の先
上記は、なでられたくない場所である可能性が高いため、あまり触らないようにしましょう。また、不快な思いをさせにくい場所であっても、犬によっては苦手なことがあるため、様子を見ながら触れてください。
なで終わったら「おしまい」と言う
犬をなで終わったら「おしまい」と完了したことを知らせる短い言葉をかけてあげましょう。犬は気を許した相手からなでられると安心しますし、オキシトシンが分泌され、幸せな気持ちになります。
そのため、いつまでもなでてもらいたいと思う犬もいるのですが、黙ってなでるのを終了してしまうと、もっとなでてとアピールしてくるでしょう。
スキンシップの時間も大切ですが、終わりを理解させることもしつけの一環なため、短く「おしまい」と言い、切り替えさせてください。
犬をなでるときの注意点
なでる場所も注意が必要ですが、タイミングやなで方も適切な方法があります。以下の注意ポイントを知り、愛犬に不快な思いをさせないようにしましょう。
食事中・睡眠中に触るのはNG
食事中や睡眠中・トイレ中の犬は、飼い主様から見るとかわいいため、つい触れたくなってしまいます。しかし、犬からしたら邪魔されていると感じるため、噛まれたり唸ったり、拒否反応を示すでしょう。
人間で考えても同じで、食事中や睡眠中にちょっかいをかけられると鬱陶しく感じるものです。犬にも感情があるため、吠えているときなど他に気を取られているときもむやみになでることは控えてください。
しっぽや耳を後ろに下げている
犬のしっぽが下がっていたり、足の間に挟まれたりしているときは、集中や、警戒心、緊張、恐怖などのネガティブな感情を抱いています。
また、耳を後ろに下げているのは、恐怖心から弱気になっているサインです。このふたつのサインを見たときはむやみに触って距離を縮めようとするのではなく、恐怖心がなくなるまで待ってあげましょう。
力強すぎるなで方や急に大きな動きで触る
犬は力強くなでられたり、急に大きくなでられたりすると攻撃をされていると捉えます。また、指先だけで触れることも不快に感じると言われているのです。
犬をなでるときは、手のひらを広げ全体を犬に接触させるイメージで優しくゆっくりなでましょう。また、なでられることが好きな犬もいますが、苦手な犬もいるため、不快に感じるサインを少しでも出したらなでるのをすぐに中断してください。
犬の正しいなで方を知り、うまくコミュニケーションをとろう
本記事は、犬のなで方やなでられたいサインについて紹介しました。犬は群れで行動する生き物です。飼い主様やご家族からなでられることで、オキシトシンが分泌し、幸せや愛情を感じます。
しかし、タイミングや関係性、触る場所によっては不快に感じさせてしまうため、注意しましょう。