「介助犬とはどんな役割を持っているのだろう」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

昨今の日本において、ニュースや街中で介助犬の姿を見る機会は少なくはないでしょう。常に飼い主様に寄り添い手助けをしている介助犬ですが、彼らの仕事は想像をはるかに超えるほど大変なものです。

本記事では、介助犬の主な仕事内容や補助犬の種類、介助犬に適した犬種について分かりやすく説明していきます。

介助犬とは

介助犬とは、身体に障害がある人の手助けをする犬のことです。介助犬は、飼い主様の日常の世話をしてくれます。それだけでなく、彼らは飼い主様の心の支えとなる重要な役割も担っているのです。

介助犬は身体障害者補助犬のひとつであり、ほかにも聴導犬や盲導犬として働いている犬たちが存在しています。2002年5月に「身体障害者補助犬法」が成立し、補助犬を同伴しての社会生活が認められました。しかしながら、全国で実働している介助犬の数は58頭です。

必要としている人間が1万5千人もいるなかで、極めて低い頭数といえます。法律が成立して20年以上過ぎた今でも介助犬の数は全くもって足りていないのです。原因のひとつとして、介助犬の訓練にかかる費用が寄付金で賄われていることにあります。

介助犬として必要な高い補助力を身につけるには、厳しい訓練の場所がより公的なものとなれば、介助犬の頭数も増えて活躍の場も広がるでしょう。

介助犬の主な8つの仕事

介助犬の主な仕事は以下の8つになります。

  • 落としたものを拾う
  • 指示されたものを持ってくる
  • ドアの開閉
  • 緊急時の適切な対応
  • 衣服や靴の脱衣補助
  • 簡単な動作の補助
  • 歩行や起立の補助
  • 車椅子の牽引

他にも細々とした仕事はあるものの、介助犬たちはこちらの8つの仕事を主に行なって飼い主様を助けています。彼らの大切な仕事内容をそれぞれ解説します。

落としたものを拾う

手に障害がある方は握力が弱く、物を掴むことが難しいものです。何かものを落とした際は拾うことが困難なため、介助犬が拾って飼い主様のもとへ持っていきます。

指示されたものを持ってくる

身体障害者の方にとって移、動も非常に困難なものです。冷蔵庫やダイニングに行くだけでも健常者の倍以上の時間がかかります。そのため、介助犬が飼い主様に指示された必要としているもの(飲み物やリモコンなど)を持ってくるのです。

ドアの開閉

ドアの開閉も身体障害者や車椅子を利用している方にとっては大変な作業になります。介助犬は飼い主様の代わりに冷蔵庫を開けたり、部屋のドアを開閉したりします。

そのため、介助犬を飼っている家のドアには犬が引っ張りやすいように紐がつけてあることが多いです。

緊急時の適切な対応

災害や突然の病気などの緊急時にも、介助犬は飼い主様に代わって適切な対応を取る必要があります。

緊急時のボタンを押して飼い主様のご家族に連絡を取ったり、緊急用のチャイムを鳴らしたりすることもできるのです。

衣服や靴の脱衣補助

飼い主様の衣服の脱衣や靴を脱がせることも介助犬の立派な仕事です。介助犬は飼い主様の靴下も脱がせることができます。

簡単な動作の補助

割り箸を割ったり、ボトルの蓋を開けたり、簡単な動作の補助も介助犬には可能です。なかには、コンビニのおにぎりパックを開けられる介助犬もいます。

歩行や起立の補助

身体障害者にとって、歩いたり立ったりすることは非常に難しいものです。介助犬は、飼い主様のベッドへの移動や体を起こすことなどを補助し、歩行の際は飼い主様の足となり適切な誘導をしてくれます。

車椅子の牽引

車椅子を動かすことも介助犬の仕事のひとつです。動かすだけでなく飼い主様のそばに車椅子を近寄せ、少しだけの歩行の際も補助を担当します。

介助犬を含む身体障害者補助犬の種類

冒頭で述べた通り、介助犬は身体障害者補助犬の一種です。ほかにも耳が不自由な人のために働く「聴導犬」や、目が不自由な人のために働く「盲導犬」がいます。彼らの仕事内容についても解説します。

聴導犬

聴導犬とは、耳が不自由な聴覚障害者を介助するための犬です。目覚ましの音やチャイムの音、電話の音など、生活上のあらゆる音を聞き分けて飼い主様に知らせることが主な仕事になります。

盲導犬

盲導犬とは、目が不自由な視覚障害者を介助するための犬です。外出するときの安全な歩行のため、飼い主様を誘導する役割を持っています。

介助犬に適した犬種

車椅子の牽引や歩行の誘導などをする必要があるため、介助犬として働く場合はある程度の大きさが必要です。そのため、介助犬には以下のような大型犬の犬種が向いているといえるでしょう。

  • ゴールデン・レトリバー
  • ラブラドール・レトリバー

レトリバー犬は作業することが好きなうえに、人間も大好きな犬です。性格的にも体格的にも介助犬にぴったりな犬種といえます。

ただし、適している犬種だからといって、必ずしもすべての個体が介助犬になれるわけではありません。厳しい訓練を経て、選ばれた優秀な犬だけが介助犬として飼い主様のもとへ送られるのです。

介助犬の一生とは

介助犬となる犬は、2歳から3歳で飼い主様の元へ行きお仕事を開始します。7年から8年間ほど介助犬として飼い主様の生活を支えるのです。

そして、10歳ほどで引退したのちはペットとして生活することになります。引退後の引き取り先は、飼い主様のご家族や引退犬飼育ボランティア、子犬時代のパピーファミリーになるでしょう。

介助犬に会ったときの注意点

外出中に介助犬に会った場合は、触ったり話しかけたりしないように注意してください。介助犬を連れた飼い主様は、ペットとして犬を連れ歩いているわけではありません。介助犬の場合は、飼い主様の補助をするというお仕事をしている最中なのです。

そのため、介助犬の仕事の邪魔にならないように見守ることが大切になります。ただし、飼い主様も介助犬も困っているときは手を差し伸べてあげると良いでしょう。

介助犬として活躍する犬を応援しよう

本記事では、介助犬の主な仕事内容や補助犬の種類、介助犬に適した犬種について説明しました。

介助犬は日常的な動作を補助してくれるだけでなく、飼い主様に少しだけ世話をされることもあります。こうした小さなお世話を飼い主様にさせてあげることで、飼い主様自身に自信を与えてくれる存在となるのです。

しかし、介助犬を必要とする飼い主様に対して、介助犬の数が圧倒的に足りないという現実は変わりません。介助犬の必要性を理解する取り組みを増やしていくことが今後の現代社会にとって大切な取り組みとなるでしょう。

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