「保健所って犬を殺処分するところだよね…」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、ペットを飼っている方にとって「保健所」という名前を聞くと悪いイメージを抱く方が大半でしょう。しかし、実際のところ保健所ではペットの保護をはじめ、地域住民の健康や衛生のために多くの働きをしている場所なのです。

本記事では、保健所の業務や保健センターとの違いを紹介していきます。

保健所とは

保健所とは、人々の健康や衛生を支える公的な機関のことです。厚生労働省によって管轄されており、各都道府県や地域に469ヵ所の保健所が設置されています。

なかには、保健所という名前ではなく「厚生センター」「福祉保健事務所」などの名前が付けられている場合もあるためご注意ください。

保健所はインフルエンザやエイズなどの感染症、総合失調症やアルコール依存症など精神的福祉面、食中毒の検査など食品衛生面を管理する場所です。もちろん、ペットに関する一時的な保護も保健所で行われています。

保健所の業務内容とは

保健所の業務内容は以下の通りです。

  • 地域や動物愛護の活動管理
  • 環境や食品に関する衛生管理
  • 精神保健に関する問題管理

いずれも、人間が生きていくうえで欠かせないものばかりです。そして、大切なペットと生きていくうえでも欠かせません。以下で解説していきます。

地域医療や動物愛護の活動管理

保健所では、地域医療や動物愛護の活動管理を行っています。医療機関や保健センターなどの活動を調整し、難病をはじめとした結核などの感染病や予防接種に関する調整も行っているのです。

犬猫のペットに関する迷子や保護の受付も行っています。また、犬に関しては飼い犬の登録や狂犬病の予防注射済票の交付も保健所の役割です。犬を飼っている飼い主様は必ず保健所で飼い犬の登録や狂犬病予防の注射済票を交付してもらってください。

環境や食品に関する衛生管理

旅館や美容室などの許可届出を管理するのも保健所の仕事です。食品関係の営業許可、飲食店などの栄養成分表示店の指定や相談にものっています。

また、環境保全や水質調査なども保健所の管轄です。街の環境は飼い主様だけでなく、ペットにも影響を及ぼします。ある意味、保健所は飼い主様とペットが過ごしやすい環境で過ごせるように日々務めている場所ともいえるでしょう。

精神保健に関する問題管理

うつ病などの精神疾患や引きこもりに関する相談も保健所が行っています。保健所では、必要な医療機関への紹介も可能です。

それだけでなく、生活保護や育児相談なども受け付けています。なかには、家庭内暴力により生活が困難を極めている女性たちを支援する取り組みも行われているのです。

保健所とペットの関わり

保健所とペットの関わりは以下の通りです。

  • ペットを収容する場所
  • 一定期間を過ぎたペットを殺処分する
  • 里親募集も行っている

一見すると冷たく見える場所ですが、保健所の本来の役割を考えれば納得できます。ひとつひとつわかりやすく解説していきます。

ペットを収容する場所

保健所は、迷子のペットや多頭飼育で崩壊したペットたちを収容する場所にもなっています。多くのペットが、飼い主様の身勝手な理由で手放された子たちです。

犬猫だけでなく、ウサギやモルモットも収容されています。保健所にいるペットたちは、ほとんどが飼い主様の身勝手な理由により連れてこられた動物たちです。

一定期間を過ぎたペットを殺処分する

保健所でペット保護はするけれども、予防接種などのケアはできません。収容場所も限られているため、一定期間を過ぎたペットは動物愛護センターへ移送し殺処分されます。

それほどまでに、保健所に持ち込まれるペットの数が非常に多いということです。

動物愛護センターから保健所に捨てられたペットを引き取ることもできますが、すべてのペットを引き取る事はとても難しいです。そのため、やむを得ず殺処分してしまう施設もあります。

里親募集も行っている

保健所では、予防接種などを行わない代わりに里親募集やペットの情報開示を行っているのです。その際に譲渡してほしいと言う人が現れたら、毎日きちんとした飼育ができるかどうかを確認したうえで譲渡します。

犬を引き取る場合、料金がかかりますが、猫の場合は無料で引き取りが可能です。これからペットを飼いたいと思っている方は、ぜひ動物愛護センターや保健所からペットを探してみてください。

保健所はペットの引き取り拒否もできる場所

2012年に動物愛護法が改正され、引っ越しなど個人の勝手な理由でのペットの引き取りは保健所も拒否できるようになりました。身勝手な人間によるペットの手放しが多いためです。

悪質ブリーダーによる虐待や飼育崩壊により路頭にさまよう犬や猫といったペットは、毎年後を絶ちません。保健所に行けば何とかなると気軽に思うことは危険です。ペットを飼ったからには、最後まで責任をもって飼いましょう。

保健所と保健センターの違い

保健所と保健センターの違いについて簡単に説明すると、「保健所は公衆衛生や健康管理がメインの場所」、「保健センターは相談や指導がメインの場所」といえます。

主な対応や相談の内容は違いますが、両方とも地域住民のために日々力を尽くしている場所です。

保健所は公衆衛生や健康管理がメイン

保健所は公衆衛生や健康管理などに関して専門的に取り扱っている機関です。どんな方が何の悩みで相談に来られても良いように、医師や獣医師、精神保健福祉士などあらゆる種類の専門家たちが配置されています。

ただし、保健所にいる獣医師はペットの診察をするための獣医師ではありません。狂犬病をはじめとした動物からの感染症を見極め、人間を守るために常駐しているのです。

保健センターは相談や指導がメイン

保健所と違って、保健センターは相談や指導がメインです。保健所よりも建物数は多く、全国に2,432ヵ所あります。

健康相談や保健指導、予防接種などを行っているため、保健所よりも地域住民により身近な存在といえるでしょう。

保健所の業務内容を理解して責任を持ってペットに向き合おう

本記事では、保健所の業務や保健センターとの違いについて紹介しました。保健所は、基本的に衛生管理がメインです。もちろん、飼い犬の登録や狂犬病予防注射済みの票を発行するなど、ペットを飼うことに必要な手続きも行っています。

しかし、保健所とは安易にペットを保護してくれる場所ではありません。保健所にペットを渡すということは、殺処分になる可能性が高いとわかったうえで渡すことになります。保険所の業務内容を理解したうえで、ペットに責任を持って向き合うことが大切です。

COCOペットでは、コラムにてペットに関する情報を発信しており、飼い主様が気をつけるべきことをすぐに見つけられます。ペットを飼う際の参考にしてください。