「街中で盲導犬を見かけるが、詳しい役割を深く知らない」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、盲導犬の役割や仕事内容、出会った時にやってはいけないことについてなど、ご紹介します。盲導犬について少しでも知りたい、街中で見かけた時の対処法を知っておきたい人は、ぜひ最後までご覧ください。

盲導犬とは目が見えない人の生活を支えるパートナー

盲導犬は目が見えない人や見えにくい人を支える大切なパートナーです。以下では、具体的な役割や仕事、法律に関する内容などをご紹介します。どのような役割を持っているのか、理解を深めましょう。

盲導犬の役割や仕事

盲導犬の役割は目が見えない人がどこか行きたい際に、行きたい場所へ安全に出かけるためのサポートです。盲導犬は段差を教えたり、角や障害物を避けたりと、安全に歩くための手伝いが主な仕事となります。

しかし、盲導犬はナビではないため、盲導犬ユーザーが頭の中で目的地までの地図を描いて指示を出します。3つ先の角を曲がったコンビニまで行くなら、角を盲導犬に教えてもらい、横断歩道なども盲導犬に確認してもらいながら目的地まで向かうイメージです。

盲導犬は仕事の際に道路の端に寄って歩き、段差や障害物を避けて、目的地まで誘導します。盲導犬と盲導犬使用者の共同作業によって、安全かつ快適な歩行ができるようになるのです。

盲導犬に関する法律

1978年の道路交通法の改正を機会に、盲導犬に関する実体規定が定められました。車両の一時停止や徐行の義務によって、道路通行上の保護も受けています。

また、2002年10月には公共施設や交通機関において、盲導犬を含む補助犬の同伴受け入れが義務付けされました。飲食店やスーパーなどの場所を、盲導犬はすべて入店可能です。

お店によっては補助犬に対して、「ご理解ご協力をお願いします」という意味の補助犬ステッカーを貼っている場合があります。

盲導犬はハーネスを付けているのが目印

盲導犬かどうかの見分け方の1つとして、ハーネスを付けているかどうかがあります。ハーネスを通して、盲導犬の動きを使用者に対して伝えることで、安全な歩行が可能です。

例えば、ハーネスが少し上に動いて止まると、昇りの段差や階段があると伝わります。

2014年にはU字型のハーネスから、バーハンドル型ハーネスに改良されました。U字型ハーネスは戦後から始まった盲導犬訓練の中で、60年間使用され続けました。

バーハンドルへの改良によって、腕のねじれが解消されたほか、掴みやすく情報も読み取りやすくなるなど使用者にとって負荷が軽減されています。

現在では盲導犬のユーザーには、バーハンドル型のハーネスが一般的です。

盲導犬に出会った時にやってはいけないこと

盲導犬に街中で出会った際、盲導犬や使用者に対して、やってはいけないことがあります。

• 盲導犬に声をかけない
• 前からじっと盲導犬を見ない
• 口笛などを鳴らして気をそらせない
• 食べ物を見せたり、あげたりしない
• 盲導犬やハーネスに触れない
• 自分のペットを近づけない

街中で盲導犬を見かけても、余計な接触はせずにそっと見守りましょう。また、盲導犬は信号の色の判断などは、できません。音や周りの様子で判断しているため、信号の色が変わっても動き出さない場合は、一言声をかけましょう。

もし、盲導犬使用者の人が迷っている、困っている様子が見られた場合は一声かけると親切です。

盲導犬に向いている犬種や性格

以下では、盲導犬に向いている犬種や性格、訓練についてなど、盲導犬として活動する犬について解説します。

盲導犬に向いている犬種

盲導犬はどんな犬でも訓練次第では、活動可能です。しかし、向いている犬種は以下になります。

• ラブラドール・レトリバー
• ゴールデン・レトリバー
• ラブラドール・レトリバーとゴールデン・レトリバーのミックス犬

日本で活動している盲導犬の多くが、上記の犬種のいずれかとなります。また、海外ではジャーマンシェパードやスタンダードプードルも、盲導犬として活動しています。

盲導犬に向いている性格

盲導犬に多い犬種であっても、必ずしも全員が盲導犬に向いているとは限りません。特に盲導犬に向いているのは、以下のような性格の犬です。

• 人との作業を楽しめる
• 攻撃性がない
• 順応性が高い

こういった特性を持っているのが、ラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーです。また、以前はジャーマンシェパードも盲導犬として活躍していましたが、犬の苦手な人に威圧感を与える可能性があるとして、近年ではあまり見かけません。

盲導犬になるための訓練

盲導犬となる犬は、どのような訓練を行っているのか気になる点です。パピーの頃から、どのような訓練をするのか、流れをご紹介します。

  1. 基本訓練
  2. 誘導訓練
  3. 試験
  4. 卒業

盲導犬の訓練で重視されるのは、犬が仕事を楽しいと思えるようにすることです。何か訓練での課題ができた時に、「Good」と褒めて、訓練や仕事は楽しいものであると覚えてもらいます。

褒めながら訓練を行う中で、犬の意欲や自主的な姿勢を最大限伸ばし、「何をすべきなのか」と考える力を身につけさせます。

盲導犬の訓練は厳しいとよく言われますが、訓練自体は厳しいものではありません。しかし、盲導犬になるための基準は、厳しく設けられています。

盲導犬を含む身体障害者補助犬について

街中で見かける働く犬には、盲導犬のほかにも生活を補助する犬がいます。どのような役割があるのか、詳しい内容についてもご紹介します。ぜひ、補助犬について、理解を深めてください。

聴導犬

聴導犬は盲導犬とは違い、耳が聴こえない人や聴こえにくい人のサポートをする役割があります。生活の中で聞こえる音を人に代わって聴き、その音によって使用者を誘導します。聴導犬が伝える音の種類は、以下の通りです。

• 玄関のチャイム音
• 電子レンジの音
• 赤ちゃんの泣き声
• 車のクラクション
• 自転車のベル

そのほか、窓口での順番待ちの時に鈴を鳴らしてもらい、名前が呼ばれた時に知らせるなども聴導犬の仕事です。聴導犬はラブラドール・レトリバーのほか、トイ・プードルやパピヨンなどの、小型犬も活躍しています。

聴導犬は「聴導犬」と書かれたマントなどを、仕事中に身につけています。

介助犬

介助犬とは手や足に障がいがある人の、日常生活での動作を手助けする役割があります。具体的な手助けの内容は、以下の通りです。

• 落とした物を拾う
• 衣服の脱衣補助
• 車椅子の牽引
• ドアの開閉
• 指示した物を持ってくる
• 起立・歩行介助

上記の内容以外にも、緊急時の対応なども仕事内容の1つです。介助犬の指示語は動詞が英語、名詞を日本語で行い、多様なニーズに対応します。介助犬は盲導犬と同様に、ラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーが活躍しています。

まとめ

盲導犬の役割や仕事、法律に関する内容など、基本的な情報をご紹介しました。盲導犬の活動内容は目が見えない人や、見えにくい人の生活のサポートです。

もし盲導犬を見かけた際は、下手に関わるとストレスを与えてしまうため、無理に関わらないようにしましょう。もし、飼い主様と盲導犬が困っていた際は、恥ずかしがらずに手を差し伸べてあげましょう。