猫は水が苦手で、お風呂も嫌がるイメージを持っている方は多いでしょう。しかし、猫をお風呂にまったく入れなくて良いのかどうかは、気になるところではないでしょうか。

結論からいえば、基本的に猫はお風呂に入れなくても問題はありません。ただし、入れたほうが良い場合もあります。今回の記事では、猫をお風呂に入れる必要性や入れ方の手順、注意点などを紹介します。

猫をお風呂に入れる必要性とは?

猫をお風呂に入れる必要性とは?

猫は肉球以外で汗をかかず、体臭もほとんどありません。室内飼いならあまり汚れることもなく、もし汚れたとしても猫自身が毛繕いをしてきれいにします。そのため、猫をお風呂に入れなくても基本的には問題ありません。

ただし、地域猫を迎え入れる場合は、ノミやダニなどが付着しているおそれがあるため、一度お風呂に入れてあげたほうがよいでしょう。

汚れや臭いが気になるときは、お風呂の前にペット用のウェットシートで体を拭いてあげてください。それでもきれいにならなければ、お風呂に入れてあげましょう。

猫は基本的にお風呂が不要なため、半年に一、二回程度、気になるときにお風呂に入れてあげれば十分です。

猫をお風呂にいれるための事前準備

猫をお風呂にいれるための事前準備

猫をお風呂にいれるためには、事前準備が重要です。お風呂に慣れていない猫であれば、お風呂に入ることをストレスに感じてしまう可能性があります。

そのため、猫がストレスを感じないように短時間でお風呂を終わらせるためにも、事前準備は必須です。猫が快適に過ごせるようにするために、以下では事前準備について解説します。

猫用のお風呂グッズを用意する

まずは、猫用のお風呂グッズを用意しておきましょう。猫を清潔に保ち、ストレスを軽減させるためにも、事前に猫用のお風呂グッズを用意しておくとスムーズにお風呂に入れてあげられます。

猫用シャンプー

猫用シャンプーは、猫の毛や皮膚を清潔に保つための必需品です。猫用シャンプーを使用する際は、猫の皮膚に優しい低刺激のものを選びましょう。

猫用シャンプーが無いからといって人間用のシャンプーを使用すると、猫の敏感な皮膚を乾燥させたり、かゆみを発症させたりします。そのため、洗浄力が強くなく、自然由来の猫用シャンプーを選んであげてください。

滑り止めマット

猫がお風呂のなかで滑ってケガをしないためにも、滑り止めマットを用意しておきましょう。滑り止めマットを利用すれば、お風呂でも猫が安定して移動することができるでしょう。

スポンジ

柔らかいスポンジを用意して、猫の体を優しく洗いましょう。手で直接洗っても問題ありませんが、スポンジを使用すれば猫の皮膚や毛にシャンプーを均一に広げられます。

タオル

シャンプー完了後に、水分をしっかりと拭き取るためにも大きめのタオルを2〜3枚程度用意しておきましょう。シャンプー後に水分を拭き取らずに放置することは、猫が風邪をひく原因となります。

シャンプー後はタオルで優しく水分を拭き取り、毛が絡まないように注意しましょう。

ドライヤー

猫の毛をしっかり乾かすためには、ドライヤーが効果的です。ドライヤーをあてる際は、低温かつ風量を弱く設定して、音で猫を驚かせないように気をつけてください。

ブラシ

お風呂後の毛の絡まりを防ぐためにも、ブラッシングのためのブラシを用意しておきましょう。猫の毛並みに合わせて適切なブラシを使用すれば、抜け毛もしっかり取り除けるでしょう。

お風呂の温度を適切にする

猫をお風呂にいれる際は、お風呂の温度を適切に調整してあげましょう。猫は高温に敏感であるため、人間の入浴する際の温度よりもぬるめのお湯が理想的です。

お湯の温度は30度〜37度程度に設定するといいでしょう。ぬるま湯は、猫が入れる大きさの洗面器やペット用バスタブに用意してください。また、シャワーを使用する際は同じ温度に設定して、猫が快適に感じられるようにしましょう。

お風呂場を暖かくする

お風呂に入れる前にお風呂場を暖かくしておくことも重要です。猫は身体が濡れると体温が下がりやすく、身体が冷えるとストレスや体調不良の原因となります。

そのため、事前にお風呂場のドアを締めて暖房やお湯の蒸気でお風呂場全体を温めてください。また、猫が風邪を引かないように、お風呂後も暖かい部屋でしっかり身体を乾かせる環境を整えると安心です。

お気に入りのおもちゃを用意する

猫をお風呂にいれる際は、お気に入りのおもちゃを用意しておくといいでしょう。猫は水が苦手に感じる子が多いため、お風呂をストレスに感じる場合があります。

しかし、お気に入りのおもちゃを使って遊ばせれば、不安を軽減できます。また、猫の注意を水からそらすことにも効果的です。お風呂を楽しい時間であると感じさせれば、次回以降のお風呂もスムーズに進むでしょう。

猫のお風呂の入れ方

猫のお風呂の入れ方

猫は水を嫌がることがあり、お風呂に入れようとしてもうまくいかないことがあります。そこで以下では、猫を上手にお風呂に入れる手順をご紹介します。

全身を濡らす

まずは顔以外の全身を濡らしましょう。お湯をためた洗面器やバスタブにあらかじめシャンプーを入れておき、そのなかで猫の全身を濡らします。

シャワーのみで全身を濡らしても構いませんが、どちらの場合も35度前後のお湯を使います。洗面器やバスタブを使用した場合は、全身が満遍なく濡れたら猫を上げてください。

シャンプーで洗う

全身を濡らしたあとはシャンプーを泡立てていきます。シャワーのみで全身を濡らした場合は、シャンプーを手の平で泡立ててから優しく揉み込むようにしましょう。

毛並みに逆らって洗うのがポイントです。洗う部位の順番は、首から背中、お腹周り、足や尻尾、肛門です。各部位をマッサージするように洗いましょう。お腹周りの皮膚は薄いため、爪を立てないように注意してください。

また、猫は耳が複雑な構造をしているため、顔だけは水をかけずにハンドタオルやスポンジなどを使用しましょう。

シャワーですすぐ

すすぎのシャワーの温度も35度前後が最適です。シャワーヘッドをなるべく体に当てながらすすぐようにすれば、猫が嫌がる水しぶきやシャワーの音も最小限に抑えられます。このとき耳に水が入らないよう気を付けてください。

すすぎ残しがないように、特にシャンプーが残りやすいお腹と尻尾は入念に洗い流します。

水分を拭き取る

猫は濡れたままだと体温が下がるおそれもあるため、すすぎ後はできるだけ早めに水気を拭き取りましょう。大きめのタオルでタオルドライして乾かすのがおすすめで、全身を包み込むようにして、こすらず優しく水分を拭き取ってください。

タオルドライ後は、ドライヤーを使って完全に乾かします。ドライヤーは猫から20センチほど離した場所から風を当てるのがポイントです。このとき風量は弱、温度は低温に設定してください。

ただし、猫が嫌がるなら無理にドライヤーをするのは止めておきましょう。

猫をお風呂好きにする方法

猫をお風呂好きにする方法

猫をお風呂好きにする方法は、主に4つあります。どうしても水に苦手という猫もいるため、必ずお風呂好きにすることはできません。しかし、スムーズにお風呂を入れるようにするためにも、以下の方法を試してみてください。

子猫のときから慣れさせる

子猫のうちからお風呂に慣れさせることは、成猫になってからお風呂に対するストレスを軽減させるためにも重要です。まず、子猫が水に触れる経験を徐々に増やしていきましょう。

最初はぬるま湯で足だけ濡らす程度から始め、少しずつ身体全体を洗う時間を伸ばしていきましょう。繰り返しの経験で、猫はお風呂に慣れていきます。

徐々に慣れさせる

徐々にお風呂に慣れさせれば、お風呂に対する抵抗は薄れていくでしょう。

いきなり全身を濡らすとストレスを与える可能性があるため、少しずつ濡らしていくことが重要です。猫がリラックスしているときに行えば、恐怖心やストレスを軽減できます。

少しずつ水に触れさせれば、猫が水に対する不安を克服し、最終的にはお風呂に入ることを楽しめるようになるかもしれません。

お風呂の環境を整える

お風呂の環境を整えることも、猫がお風呂を好きになるための重要なポイントです。まずは、猫がリラックスできるようにぬるま湯を用意しましょう。また、滑りにくいマットを浴槽の底に敷いてあげると、猫は安心して立てます。

浴室内は静かで落ち着いた雰囲気を保ち、突然の大きな音や動きを避ければ、猫も快適に過ごせます。

お風呂後にご褒美をあげる

猫がお風呂を好きになるには、ポジティブな経験を増やすことも重要です。お風呂の後に猫が大好きなおやつをあげれば、猫はお風呂の後に良いことがあると覚えます。

ご褒美をあげる習慣をつければ、猫はお風呂の時間が楽しい時間だと認識し、次回のお風呂もリラックスして過ごせるでしょう。

猫をお風呂に入れる際の注意点

猫をお風呂に入れる際の注意点

猫をお風呂に入れる際は、以下の3つに注意しましょう。

体調や年齢によってはお風呂を避ける

猫の具合が悪いときにお風呂に入れると、ストレスによって体調が悪化するおそれがあります。お風呂に入れる前に熱がないかなどを確認し、少しでも異常が見られたときはお風呂を中止してください。

妊娠中や手術後、ワクチン接種後などもお風呂は避けるべきです。また、生後3ヵ月の子猫はまだ体温調節がうまくできません。お風呂で体温が奪われると体に深刻な影響を与えるおそれがあります。体ができてワクチンも接種したあと、十分期間をとってからお風呂にいれましょう。

爪切りとブラッシングをしておく

猫はお風呂に入れようとすると、嫌がって暴れることがあります。引っ掻かれて怪我をしないよう、お風呂の前に猫の爪を切っておきましょう。

爪を切る際に猫が嫌がる場合は、バスタオルなどで包んで落ち着かせるとうまくいきやすくなります。肉球を押して爪を出させたらピンクの部分の血管を確認しましょう。血管から最低でも2〜3mmは余裕を持たせて爪を切ってください。

また、お風呂に入れる前に、猫の毛をブラッシングしておくと汚れが落ちやすくなります。背中からお尻に向かって、優しくブラッシングしてあげましょう。

なお、猫の爪切りについては、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。

関連記事:猫の爪切りの方法は?やり方や嫌がるときの対処法を解説

猫用のシャンプーを使う

猫の皮膚は人間よりも弱く、人間用のシャンプーでは刺激が強すぎるため、猫用のシャンプーを用意しましょう。

アミノ酸系、植物由来成分、合成界面活性剤不使用と書かれたものは刺激が少なくおすすめです。香りも控えめなほうが向いています。

目的に合わせてシャンプーを選ぶのもおすすめです。例えば臭いが気になる場合、消臭タイプを選べば、汚れを落としながら臭いも抑えてくれます。なお、ノミやマダニ対策用のシャンプーもありますが、刺激が強めのため常用は避けたほうが無難です。

猫をお風呂に入れた後のケア

猫をお風呂に入れた後のケア

猫をお風呂に入れた後は、猫の体調や健康を守るためにもケアが必要です。以下では、お風呂後のケア方法について解説します。

タオルドライする

お風呂をでたら、まずは大きめのタオルで猫の身体全体を包んで、水分をしっかり拭き取りましょう。大きいタオルを複数枚使って、優しく抑えるように水を吸収させます。

タオルドライをする際は、ゴシゴシこすらないように注意してください。また、猫の毛が絡まらないためにも、優しくなでるようにして水分を拭き取りましょう。

ドライヤーをする

タオルで十分水分を拭き取ったら、ドライヤーで乾かしましょう。まず、ドライヤーを低温設定にし、風量も弱くして猫が怖がらないように配慮してあげてください。

ドライヤーを直接猫の体に近づけすぎず、適度な距離を保ちながら少しずつ全体を乾かしていきます。猫がドライヤーを嫌がる場合は、優しく声をかけながら短時間で済ませることが大切です。

しっかりと皮膚と被毛を乾かすことで、皮膚トラブルや風邪を予防できます。

ブラッシングする

全体的に乾いたら、最後にブラッシングしてあげましょう。毛が湿っている状態でブラシをすると毛が引っ張られることがあり、猫にとって痛みを感じる場合があるため注意が必要です。

ブラッシングは毛の絡まりだけでなく、毛並みをふんわり整える効果があります。そのため、猫の被毛は清潔で健康的な状態を保てるでしょう。特に、長毛種の猫は毛玉ができやすいため、入念にブラッシングしてあげてください。

適切な猫のお風呂の入れ方を理解して清潔を保とう

猫はお風呂に入れなくても問題ありませんが、汚れや臭いが気になるときは入れてあげましょう。ただし、妊娠中やワクチン接種直後、具合が悪いとき、生後3ヵ月の子猫は、お風呂に入れるのを控えてください。

また、猫は水を嫌がることが多いため、お湯の温度やシャワーの水圧などに注意して、ストレスにならないようにすることが大切です。爪切りやブラッシング、猫用シャンプーなど事前準備も忘れないようにしましょう。

本記事を参考にしながら正しい手順でお風呂に入れて、愛猫をきれいにしてあげてください。