「ポメラニアンの毛ってブラッシングが大変そう…」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ポメラニアンは被毛の多さが特徴的な犬種です。そのぶん、犬には欠かせないブラッシングが非常に大変かつ重要になってきます。
本記事では、ポメラニアンの正しいブラッシング方法や使いやすいブラシを紹介していきます。
目次
ポメラニアンの被毛とは
寒い地域を原産とするポメラニアンは被毛が分厚く、短毛と長毛のダブルコートに覆われた身体が丸っこくて可愛い小型犬です。ダブルコートとは、アンダーコートとオーバーコートに分かれた毛が生えていることを示します。
アンダーコートとはオーバーコートの中に生える柔らかい短毛で、オーバーコートは表面に生える硬い長毛です。アンダーコートは身体の防寒や保温に役立ち、オーバーコートは紫外線などの刺激から皮膚を守るようにできています。
ダブルコートの犬種は、年に2回の換毛期があることも特徴のひとつです。なかでも、ポメラニアンは「ロングコートヘア」と呼ばれる長毛タイプで毛が絡まりやすいため、ブラッシングが欠かせません。
ポメラニアンにブラッシングが必要な3つの理由
ポメラニアンにブラッシングが必要な理由は主に3つあります。ブラッシングをしっかり行うことで愛犬の健康を守り、今あるトラブルを解決できます。長毛だからこそブラッシングが必要な理由をきちんと把握しておきましょう。
換毛期と猿期があり抜け毛が多いため
ポメラニアンには年に2回の換毛期に加えて、大人の毛に生え変わる「猿期」があります。猿期は生後4ヵ月から8ヵ月にかけて全身の毛が抜けていきますが、正常なことなので安心してください。
換毛期と猿期といった抜け毛が多くなる時期は、ブラッシングをしていないと抜け毛が多くて室内が大変なことになります。換毛期の時期と愛犬の様子を確認しながらブラッシングをしていくことが大切です。
飼い主様との絆を深めるため
ブラッシングを嫌がる犬は意外と多くいます。劣悪な環境で育った保護犬たちならば「人に触れられる」こと自体が苦手な場合もあるでしょう。徐々に身体へ触れていき、ブラッシングまでできるようになれば飼い主様と愛犬の絆を深められます。
ブラッシングすることで「人に触れられる」「人に撫でられる」などの行為に慣れさせるのです。飼い主様との絆が深まるだけでなく、動物病院やトリミングサロンなど他の人間に触れられる時間も愛犬がストレスなく過ごせるようになります。
皮膚病などの病気を防ぐため
ブラッシングは毛並みを整える以外に皮膚病を防ぐためにも必要です。抜け毛を放置しておくと皮膚が蒸れてしまい、皮膚病が発生しやすくなります。ブラッシングを日常的に行うことで抜け毛を除去し、常に綺麗な状態を保ちましょう。
また、ブラッシングをすることでノミやダニを発見しやすくもなります。他にもリンパ節の腫れの早期発見などができることから、ブラッシングは愛犬の健康状態の確認につながるといえるでしょう。
ポメラニアンにブラッシングする頻度
ポメラニアンのブラッシングは毎日してあげることが理想的ですが、困難な場合は最低でも週3回程度はブラッシングしてあげてください。定期的にブラッシングしてあげることで、犬はブラッシングに慣れてよりスムーズに毛並みを整えてあげられます。
毎日ブラッシングしてあげると、愛犬のちょっとした違和感や体調の変化に気づきやすく、未然にトラブルを防ぐことも可能です。毎日少しの時間だけでも良いため、ブラッシングを積極的に行ってあげましょう。
ポメラニアンのブラッシングに必要な2つの道具
ポメラニアンのブラッシングに必要な2つの道具は、「コーム」と「ブラシ」です。他にもブラッシングスプレーや毛玉ほぐしローション、グルーミングスプレーなども活用しましょう。
コーム
コームとは、くしのことです。間隔が粗い部分と細かい部分があり、毛並みを整える際に使用する必需品です。
ポメラニアンの身体全体を梳かしつつ、毛玉チェックや細かい部分の手入れをするのに最適な道具といえます。顔周りなど繊細な部分には、コームの先が当たらないよう特に気をつけて使いましょう。
また、コームの真ん中あたりを持ったり握りしめたりしてブラッシングすると、力が加わって愛犬の毛を引っ張ってしまうこともあるため、注意が必要です。
ブラシ
ブラッシングに絶対不可欠なブラシにも下記のような種類があります。
- ピンブラシ
- スリッカーブラシ
- スクラッチャーブラシ
ポイントごとにブラシを使い分けて使用するように気をつけてください。
ピンブラシ
ピンブラシとは、ポメラニアンのような長毛種に適した優しめのブラシです。抜け毛や埃の除去に優れていますが、ブラシの密度は低いため1度に多くの毛を取り除くことはできません。
スリッカーブラシ
スリッカーブラシとは、先端(ピン)部分が「く」の字に曲がっているブラシです。ピンブラシとは逆に1度で多くの毛を取り除くことができますが、ピンが硬く鋭いため力加減に注意が必要になります。
スクラッチャーブラシ
スクラッチャーブラシとは、先端が刃になっているブラシのことです。こちらも長毛種のブラッシングに適しており、抜け毛を取り除くことに役立ちます。スリッカーブラシと同じく、刃が皮膚に直接当たらないよう気をつけてください。
ポメラニアンがブラッシングを嫌がる理由
ポメラニアンにブラッシングしてあげようと思っていても、愛犬がブラッシングを嫌がる場合があります。ブラッシングは犬にとって重要であるため、嫌がる原因を見つけて対処しなければいけません。
愛犬がブラッシングに対してストレスを感じないように、以下ではポメラニアンがブラッシングを嫌がる5つの理由を解説します。
身体を触られたくない
ブラッシングを嫌がるポメラニアンは、そもそも身体を触られたくないと感じている可能性があります。
犬のコミュニケーションはボディランゲージや吠えるなどが主要であり、身体を触れ合うことに慣れていません。そのため、人に慣れていない犬や身体に触られることに嫌な思い出がある犬の場合は、ブラッシングを嫌がる傾向にあります。
もし、身体に触られることに慣れていない犬であれば、いきなりブラッシングするのではなく、身体を優しくなでるところから始めましょう。
愛犬の身体に触るときは、リラックスできるように優しく声をかけ、犬が嫌がる足や口などは避けてなでてあげてください。
ブラシに警戒している
ポメラニアンのなかには、ブラッシング自体に抵抗はないもののブラシに対して警戒心がある場合があります。ブラシを警戒している場合は、ブラシは怖くないということを覚えさせることが重要です。
まずはブラシから少し離れたところにおやつを置き、少しずつ距離を近づけましょう。最終的にはブラシの上におやつを乗せて、慣れさせてください。
ブラシに慣れてくれれば、ブラシの背側で身体を投げて徐々にブラッシングにも慣れさせましょう。
ブラッシングが痛い
ブラッシングの途中で嫌がる様子を見せるポメラニアンの場合、ブラッシングを痛いと感じている可能性があります。
犬の皮膚は人間の皮膚よりも薄く繊細であり、特に足や関節部分の皮膚は薄く、痛みに敏感です。そのため、コームを寝かしすぎていたり、ピン先が皮膚に当たったりすると痛みを感じてブラッシングを嫌がります。
ポメラニアンにブラッシングする際は、コームは斜めに入れて優しく整え、ブラシの場合は先が丸いものや刺激が少ないラバーブラシを使用するなどして痛みを軽減させる工夫を施しましょう。
ブラッシングに慣れていない
ブラッシングに慣れていない場合は、なかなかブラッシングをさせてくれない可能性があります。ブラッシングに慣れてもらうためには、ブラッシングは心地よく過ごせる時間であることを理解させましょう。
犬が安心できるように声かけをしたり、まずは身体の表面に軽く当てたりと、少しずつブラッシングの段階を踏むと徐々に慣れていってくれるはずです。
また、いきなり目安時間通りにブラッシングをするのではなく、5〜10分程度で切り上げて、終わったらたくさん褒めてあげてください。
ブラッシングが怖い
ブラッシングに恐怖心を抱いているポメラニアンの場合、過去にブラッシングで怖い思いをしてトラウマに感じている可能性があります。
トラウマを克服させるためにも、優しい声がけとご褒美をあげるなどしてブラッシングが怖くないことを覚えさせましょう。
一度ブラッシングに対してトラウマを感じた場合、克服するまでは時間を要します。しかし、ブラッシングは愛犬の健康のためにも重要であるため、しっかりと向き合って克服させてあげてください。
また、愛犬が激しく嫌がっている場合は、無理にブラッシングはせずに獣医師に相談してみると良いでしょう。
ポメラニアンがブラッシングを嫌がっているときの対処法
ポメラニアンにブラッシングする際に嫌がっている様子を見せたら、無理にブラッシングしてしまうとブラッシング自体に嫌な印象を持ってしまうかもしれません。一度、ブラッシングに対してトラウマを抱いたら、今後ブラッシングするのが困難となります。
以下では、ポメラニアンがブラッシングを嫌がっているときの対処法について解説します。
身体を触られることに慣れさせる
まずは、体に触られることを慣れさせましょう。日常から愛犬と触れ合い、優しく体をなでたり、マッサージしてあげたりしてコミュニケーションを取ることで、体を触られることに慣れていきます。
体に触られることに慣れた場合でも、いきなりブラッシングするのではなく、まずはブラシの背面で身体をなでてブラシに慣れてもらうことも重要です。
嫌がらない部位からブラッシングをする
ポメラニアンにブラッシングする際は、嫌がらない部位からブラッシングしてあげましょう。犬が嫌がらない部位から皮膚面と平行にゆっくり優しくブラッシングしてあげてください。
背中や腰から体の側面、首元、胸、お腹、足、足先、耳の順番で優しくブラッシングを進めましょう。顔周りは目から鼻に向かってブラッシングしてあげることで、ブラッシングへの恐怖を軽減できます。
ブラシを変えてみる
ポメラニアンがブラッシングを嫌がる場合は、ブラシに原因がある可能性があるため、一度ブラシを変えてみてください。ブラシのピンが硬かったり、ピンの密度が高く毛に引っかかったりすると、犬は痛みを感じます。
愛犬に合っていないブラシで無理やりブラッシングしてしまうと、ブラッシングが嫌いになってしまうこともあります。
また、犬種や被毛の特徴、皮膚の状態により最適なブラシも異なるため、トリミングサロンやブリーダーに相談しながらブラシを変えてみると良いでしょう。
ブラッシングのタイミングを考える
ブラッシングをする時間が今しかないといっても、ポメラニアンが嫌がってしまうことがあります。そのため、ブラッシングのタイミングもしっかり考慮しましょう。
ブラッシングをする際は、愛犬がリラックスしているときが最適です。愛犬がリラックスできる体勢や飼い主様の膝に乗せるなどして、愛犬を落ち着かせてからブラッシングしましょう。
興奮したタイミングでブラッシングすると、ブラシをおもちゃだと勘違いして怪我につながる可能性もあるため、注意が必要です。
ポメラニアンをブラッシングする流れ
ポメラニアンをブラッシングする際は、いきなり行うのではなく手順を理解して適切に行うことが重要です。必要なブラシを正しい順番で使い、愛犬ポメラニアンの立派な長毛を綺麗にブラッシングしましょう。
コームで全体を梳かす
まずは、コームで根元から先までを丁寧に梳かします。毛玉がある場合は、無理に引っ張ったりせずに手で優しくほぐしてあげましょう。犬に痛みを与えずブラッシングすることが大切です。
ブラシを必要に応じて変えながら全身を梳かす
コームで全体を梳かした後に、嫌がりにくい背中から始めて、お尻、足、お腹、頭と毛並みに沿って梳かしていきます。お尻は特に毛玉になりやすい部分ですが、肛門が近いため犬に嫌がられる部分でもあるため困難です。
尻尾を持ちながら、肛門部分にブラシが当たらないように気をつけて梳かしましょう。足の部分は内側の方に毛玉が出来やすいです。こちらも足を痛がらないよう優しく持ち上げて、内側部分を梳かしてあげましょう。
最初に使うブラシはスリッカーブラシやピンブラシが良いでしょう。慎重に抜け毛や毛玉を除去し、その後にスクラッチャーブラシで残った抜け毛を取り除いていくのです。
コームで全体を整える
最後にコームで全体を整えます。この際に、何も引っかかることがなければブラッシング完了です。
ポメラニアンをブラッシングするときの3つの注意点
ポメラニアンをブラッシングするときは、注意点が3つあります。注意点を知らずにブラッシングしてしまうと愛犬の健康リスクが高まるため、事前に理解しておくことが重要です。
ブラッシングは毎日必要なお手入れなので、注意点を忘れずに丁寧なブラッシングを心がけてください。
愛犬に合ったブラシを使う
ブラシは愛犬に合うものを使いましょう。スクラッチャーブラシやスリッカーブラシは先端が硬いので個体によっては痛みを感じやすい場合もあります。ピンブラシなどの痛みを感じにくい優しめのブラシを探すと良いでしょう。
ブラッシングに時間をかけすぎない
長時間のブラッシングは犬のストレスとなります。長毛だからといってブラッシングに時間をかけすぎないようにしましょう。
何度もブラッシングをすることでストレスが溜まり、健康な毛まで抜けてしまう可能性があります。ブラッシングは10分程度を目安にしてください。
毛玉のできやすい箇所は念入りに梳かす
ブラッシングの流れでも説明した通り、お尻周りや脇の下などは毛玉のできやすい箇所です。いずれの箇所も一見すると目立ちません。
そのため、特に念入りに梳かしてあげてください。ただし、フェルト状にまでなった毛玉はトリマーさんに取ってもらう方が良いでしょう。
日々のブラッシングで愛犬とハッピーな毎日を過ごそう
本記事では、ポメラニアンにブラッシングが欠かせない理由から正しいブラッシング方法、注意点まで紹介しました。ポメラニアンは長毛の可愛らしい見た目から日本でも人気の犬種ですが、飼育に気をつけなければいけない犬種でもあります。
ブラッシングを怠れば皮膚病にかかりやすくなり、予防できる病気にもなりがちです。ブラッシングはただのお手入れではなく、愛犬の健康と飼い主様との絆を深める機会につながります。毎日は難しくとも週に3〜4回はブラッシングをしてあげてください。