「犬に靴下は必要なのか」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。最近では、散歩中に靴下を履いている犬を良く見かけるようになり、珍しい光景ではなくなりました。
実際、犬に靴下を履かせることは、機能的な面でも豊富なメリットがあります。
本記事では、犬に靴下が必要な理由について解説します。今後、愛犬に靴下を履かせる際の参考にしてみてください。
目次
犬に靴下は必要か
元来犬は、素足で過ごす動物です。しかし、ペットとして過ごす現代社会においては、怪我なく安全に生活するために、靴下を履くことは大切なことです。
たとえば、滑りやすいフローリングや暑い日のコンクリートなど、犬の足腰や肉球は常にダメージを受ける可能性に晒されています。犬の靴下は決してオシャレのためではなく、愛犬の足元を保護する重要な役割を果たしています。
ただし、長時間の使用は愛犬にとって負担となるため、必要なときだけに使用してリラックスしている間は靴下を脱がせるようにしましょう。
犬の靴下が必要な6つの理由
犬の靴下はどのような状況で必要になるのでしょうか。犬の靴下が必要な理由を以下で説明します。
滑りやすい箇所での滑り止め
愛犬が滑りやすいところを走り回ると転倒したり、足の関節が外れたりするかもしれません。
犬用の靴下を履けば、滑り防止のシリコンやゴムなどの素材を使用しているため、犬が安全に歩行できる手助けになります。また、靴下を履くと犬の足の筋肉や関節にかかる負担が少なく、歩行をしやすくする役目も果たしてくれます。
ただし、足に麻痺がある犬の場合、滑り止めがある靴下は避けた方が良い場合があるため、医師に相談しましょう。
真夏の散歩時の火傷防止
真夏の散歩は犬にとって大変過酷な状況で、肉球を火傷する可能性があります。また、犬の真夏の散歩は火傷だけではなく熱中症の危険もあるため、おすすめできません。どうしても外を歩かせる場合、火傷防止に散歩用靴下は必須となるでしょう。
しかし、犬は足の裏で汗をかいて体温調節するため、靴下を履くと体温調節がうまくできなくなる可能性もあるため、使用する際は短時間がおすすめです。
防寒対策
人間の場合、寒い日に靴下を履いて足元を温めます。犬も靴下を履くことで足が冷えにくくなります。家の中のフローリングは冷えやすいため、靴下で足を温めてあげましょう。
災害時の怪我予防
犬用靴下は、災害時に足元の怪我予防になります。足場が悪い中では人間同様、犬も肉球を怪我するかもしれません。
たとえば、すぐに抱きかかえて移動できない大型犬は、人間と一緒に歩かなければならない場合があります。歩いて移動しなければいけない場合に靴下を使用すれば、怪我を防げるだけでなく犬の足の清潔を保ち、感染症のリスクを軽減させることも可能です。
足を保護できる靴下があれば怪我の予防になり、災害時でも安心安全に移動できるでしょう。
怪我をした際の衛生対策
犬の肉球は歩くときにクッションの役割をしています。そのため、肉球が傷つくとクッションの役割がなくなり、歩きにくくなったり、痛みを感じたりするでしょう。
また、ケガをしたまま歩くことで、傷口に菌が入り、悪化するかもしれません。靴下を履くことで、肉球を外部からの刺激から守れます。犬の健康を守るためにも、靴下を履かせて、肉球を保護しましょう。
足の汚れ防止
犬は基本的に肉球を直接地面につけて歩くため、散歩から帰ってきたら犬の足が土や泥で汚れてしまうことはよくあります。足が汚れたまま帰宅しても不衛生で部屋内を汚してしまうため、散歩のたびに足をきれいに洗い流さなければいけません。
しかし、散歩の際に靴下を履かせれば、足を洗う手間もなくなり、愛犬の足の清潔も保てます。また、靴下を履くと犬の肉球を保湿する効果があり、乾燥やひび割れ防止にも効果的です。
犬に靴下を履かせる際の注意点
犬に靴下を履かせることのメリットはたくさんあります。しかし、安易に履かせると悪影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。以下では、靴下を履かせる際の注意点について説明します。
ストレスにつながる
犬に靴下を履かせることは、ストレスにつながるかもしれません。犬はもともと素足で歩く動物であって、靴下を履く習慣がないからです。
靴下に慣れさせるには、徐々に履いている違和感を無くしていくことが必要です。まずは自宅で短時間着用してみて、徐々に時間を増やしていきましょう。
肉球から情報が得られない
犬の肉球は、神経や血管が張り巡らされており、温度・痛覚などの情報を敏感に感じ取る大切な部位です。靴下を履くことで肉球を直接地面に触れられなくなるため、情報が肉球に伝わらなくなります。
そのため、情報不足を不安に思う犬もいるでしょう。靴下を履くことを不安に思わないように、子犬時代から慣らしておくことをおすすめします。
高温多湿で雑菌が繁殖しやすい
犬に靴下を履かせると、雑菌が繁殖しやすくなります。特に夏は高温多湿のため、靴下を履かせると、汗で蒸れるかもしれません。
肉球が蒸れることで、本来持っている常在菌や土壌から付着した雑菌もあいまって、悪臭の原因や肉球が炎症を起こしてしまう可能性があります。
高温多湿の状況下では、靴下を長時間履かせないでください。また、靴下はこまめに洗いましょう。
靴下が脱げやすい場合がある
犬の靴下は脱げやすく、散歩中や遊んでいる途中に脱げてしまうこともあるでしょう。靴下が脱げてしまうと犬が靴下を誤飲してしまう可能性があるため、しっかり管理することが重要です。
また、靴下が脱げかけている状態で歩いたり走ったりすると、余計に滑りやすくなり、転倒や怪我のリスクも高まります。そのため、靴下が脱げやすいばあいは適切なサイズを選び直し、固定するなどして脱げないように工夫しましょう。
熱中症につながる可能性がある
夏場に靴下を履かせると地面の暑さによる火傷を防止できますが、夏場は地面の熱が靴下を通して伝わり、かえって熱中症のリスクを高める可能性があります。
犬は足の裏で体温調節しますが、靴下を履くとうまく体温調節ができなくなります。
愛犬の熱中症を防ぐためには、靴下の長時間の使用は控えるようにしましょう。
長時間の使用は避ける
愛犬に靴下を履かせる際は、長時間の使用は避けてください。靴下を長時間はかせると足が蒸れて皮膚炎やアレルギー反応を引き起こすリスクが高まります。
特に夏場や愛犬が元気に走り回るような日は、特に靴下も蒸れやすいです。そのため、定期的に靴下を脱がせて足を休ませてあげることが重要です。短時間の靴下の使用であれば、愛犬の健康を守れるでしょう。
犬に靴下を履かせると変な動きをするのはなぜ?
愛犬に靴下を履かせた際に足をバタバタとさせたり、固まったりする様子を見たことがある飼い主様もいらっしゃるでしょう。靴下を履かせただけなのに、なぜ変な動きをするのでしょうか。
以下では、犬に靴下を履かせたときに取る行動の理由について解説します。
不快に感じている
靴下により肉球が覆われると、犬は不快に感じます。犬は、足の裏の間隔が敏感であり、地面の感触を頼りに歩いたり走ったりします。靴下を履かせると、感覚が遮られる違和感を覚えるでしょう。
また、靴下の締め付けや生地の質感が肉球に触れることで不快感を感じ、犬の動きをぎこちなくさせたり、歩行をためらわせたりするようになるため注意が必要です。
地面がくっついているように感じている
犬は靴下を履いていない状態が自然な状態であり、肉球が靴の代わりを果たしています。そこで、靴下を履かせると、歩いても肉球から離れない靴下は犬にとって地面がずっとくっついているような感覚となります。
そのため、犬は足を高く上げて歩こうとしたり、歩幅が狭くなったりと不自然な動きが見られるようになるのです。
バランスがとれない
犬の足にも指があり、裸足で歩いているときは指を開いてバランス感覚を保っています。しかし、靴下を履いてしまうと指がうまく開かず、バランスが取れなくなります。
また、靴下が足にフィットしていない場合はさらにバランスが不安定になり、普段通りの動きができなくなるのです。人間で例えると、人間が滑りやすい靴を履いているときのような感覚と似ています。
そのため、犬が靴下を履くとよろけたり、不自然な動きが見られるようになったりします。
慣れていない
愛犬に突然靴下を履かせると、慣れていない犬は違和感を覚えて変な動きをしたり、靴下を脱ごうとしたりします。靴下をいきなり履かせて怪我をさせてしまうと、犬は靴下に対して嫌なイメージを持ってしまいます。
そのため、愛犬に靴下を履かせる際は、徐々にならせていくことが重要です。
犬の靴下を選ぶ時に見るべき3つのポイント
犬の靴下を選ぶ際に、どのような点に着目すれば良いのでしょうか。以下では、選ぶ際にみるポイントについて説明します。
サイズ
犬の足にぴったりフィットするサイズを選ぶことは、歩きやすさや安全性において、とても大切です。
犬は前後で足のサイズが違う子もいるため、すべてチェックしましょう。
足の採寸方法 |
・白い紙とペン、メジャーを用意 ・白い紙に犬の足を置く ・縦横、一番長い箇所に印をつけ、メジャーで測る |
用途
靴下は、用途により選ぶべきものが異なります。近年では、足腰のサポート機能や滑り止めサポートがついたものなど、用途に合わせた靴下が販売されています。
靴下を選ぶ際には、何を目的に使用するか考えて愛犬に合ったものを選びましょう。
機能性や履き心地
状況に応じた機能性や履き心地は、安心・安全の観点から見ても非常に大切です。たとえば、散歩中に靴下が脱げないために、安全に配慮された靴下が販売されています。
愛犬が少しでも快適に、かつ安全性を考えた靴下を選びましょう。
犬の靴下を入手する方法
犬の靴下を取り扱っているお店も多くなってきています。飼い主様が目的としている靴下はどこで入手できるのでしょうか。以下では、犬の靴下の入手先について説明します。
ショップ
ペットアクセサリーを扱うショップの良さは、製品を直接見て触れられることです。場所により、試着可能なところもあります。そのため、サイズが間違っていたり、想像していたデザインと違ったりなどのトラブルがなく購入できます。
ただし、アイテムの性質上、1店舗ごとに豊富な品揃えというわけにはいきません。希望の靴下がわかっていれば、事前に確認しに行くことをおすすめします。
ネット通販
ネット通販は価格帯も直接ショップで購入するより、リーズナブルなものがあります。条件を絞れば、用途別の靴下も多種多様なものが見つかります。
ただし、ネット通販の場合は、直接手に取ることができません。商品説明をよく読み、レビューをチェックしながら購入することをおすすめします。
手作り
手作りならば、価格が抑えられることはもちろん、愛犬に合わせて、オリジナルの靴下を作ることが可能でしょう。
たとえば、椅子の脚カバーを上手くアレンジして作ることもできます。手作りは思い出にもなりますし、愛犬も喜ぶでしょう。
犬に靴下を履かせる方法
愛犬に初めて靴下を履かせる場合は無理やり履かせるのではなく、徐々に慣れさせることが重要です。靴下に対する恐怖心を与えないためにも、以下では愛犬に靴下を履かせる方法について解説します。
足に触られることに慣れさせる
まずは、足に触られることを慣れさせましょう。靴下を履かせるためには、愛犬の足に触れなければいけません。足を触れられることを嫌がっている場合、足に触られることを慣れさせなければ靴下を履かせることも困難です。
そのため、日頃から愛犬の足を拭いたり、肉球を触ったり、爪切りをしたりと足を触りながらコミュニケーションを取りましょう。
足を触る際に愛犬が嫌がる様子を見せていたら無理に触るのではなく、触れたら褒めてあげて「足を触られる=良いこと」があるということを覚えさせてください。
片方だけ靴下を履かせて歩く練習をする
足に触れられることに慣れてくれれば、片足だけ靴下を履かせてみましょう。犬の足は、前足よりも後ろ足のほうが敏感です。そのため、まずは慣れさせるためにも前足だけ靴下を履かせてください。
前足だけ靴下を履いてくれたらたくさん褒めてあげて、歩く練習をしてみましょう。最初は違和感により歩くのが困難鴨しれませんが、おもちゃやおやつなどで誘導して歩かせる工夫をしてあげてください。
前足だけで慣れれば、次は後ろ足だけ靴下を履かせて練習します。
両足に靴下を履かせて歩く練習をする
片方ずつ靴下を履かせて歩けるようになった場合、最後に両足に靴下を履かせてみましょう。違和感なく歩けている様子が見られれば、リードを外して自由に歩かせてみてください。
靴下を噛んだり、脱ごうとしたりしている場合は、靴下から意識を逸らすことが重要です。まずは短時間から始めて、少しずつ靴下を履く時間を伸ばしてみれば、抵抗なく靴下を履いてくれるようになるでしょう。
適切な場面で犬に靴下を履かせましょう
目的を明確にし、メリット・デメリットを理解した上で、適切な靴下を選びましょう。
特に、老犬の足の保護を目的に靴下を履かせる場合、なかなか慣れてくれないかもしれません。無理に履かせず、まずは短時間から始めて、徐々に時間を延ばしていきましょう。