「ペットの犬の前で音楽を聴いても大丈夫?」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
愛犬と一緒に、好きな音楽を楽しめたら嬉しいですよね。実は犬には、好きな系統の音楽もあるようです。好きな音楽を聴かせることで、犬に良い影響を与えることもわかっています。
本記事では、犬が音楽から受ける影響や、犬と一緒に音楽を楽しむための活用法について、徹底解説していきます。日常生活に音楽を取り入れて、愛犬と一緒により快適な時間を過ごしましょう。
目次
犬は音楽を聴いている
犬は音楽を聴きわけることができるようです。犬は一体、どのように音楽を聴いて理解しているのでしょうか。以下では犬と音楽の関連についてご紹介します。
犬は音楽を理解している
2012年のコロラド州立大学の研究で、117匹の犬にジャンルの違う音楽を聴かせ、どんな反応をするか観察するという実験を行いました。
実験の結果、犬達はヘビーメタル系の音楽を聴かせると動揺して吠えることが多かったものの、クラシック系の音楽では吠えることが少なく、落ち着いた様子を見せました。
犬は音楽のジャンルを聴き分け、好き嫌いが明確になるくらい音楽を理解できていることが明らかになりました。
犬は人間と音楽の聞こえ方が違う?
犬は音楽のジャンルを聴き分けられるようですが、人間とは異なる音楽の聴き方をしているともいわれています。
犬の嗅覚が敏感だというのはよく知られていますが、実は聴覚も、人間の4〜8倍ほど敏感です。可聴域は40〜60,000 Hzとされており、人間の可聴域である20〜20,000 Hzよりも、特に高音域の方面で優れていることがわかります。
ゆえに、人間が聴こえていない音も犬には聴こえているため、聞こえ方が違うのではとされています。なお、耳の形状による差はほとんどないそうです。
犬が音楽を聴くことで落ち着く理由
犬が音楽を聴くと、落ち着いた様子やリラックスした様子が見られます。好みの音楽であれば犬のストレスを軽減させることも可能ですが、音楽は犬になぜリラックス効果をもたらすのでしょうか。
以下では、犬が音楽を聴くことで落ち着く理由について解説します。
副交感神経を働かせる
人間と同じように、犬にも活動時に作用する「交感神経」とリラックスしている際に作用する「副交感神経」が存在します。犬は音楽を聴くことで、副交感神経に作用するのです。
副交感神経が働くと「α波」と呼ばれる脳波が生じ、リラックスして眠りにつきやすくなります。そのため、愛犬が好む、またはリラックスできる音楽を聴かせてあげると副交感神経に作用して落ち着きが得られるでしょう。
しかし、すべての音楽で副交感神経に作用するわけではなく、反対に交感神経が働くこともあるため、愛犬がリラックスできる音楽を判断することが重要です。
自然界の音と似ている
音楽が自然界の音と似ている場合は、犬もリラックスしやすくなります。草や木が揺れる音や川や海の流れる音、風が吹く音、雨の音などは、自然界にあふれる音であり、ゆったりとした気持ちにさせてくれます。
犬は本来野生の生き物であり、本能で自然の音を記憶しているのです。そのため、自然の音を聴くとリラックス効果が生まれます。ゆったりとした音である自然界の音が好きであることから、犬はゆっくりしたテンポの音楽を好む傾向にあります。
犬も音楽の好き嫌いがある
人間に音楽の好みがあるように、犬にも音楽の好き嫌いがあります。犬と一緒に音楽を楽しむには、どのようなジャンルが最適なのでしょうか。
犬が好きな音楽のジャンル
犬が好きな音楽は、クラシックやバラードなど、テンポが遅めの曲だといわれています。
犬は8,000 Hzあたりの高い周波数の音を心地よく感じ、また心拍数と同じくらいのテンポの音楽を好むようです。特にクラシックは、ゆったりとしたテンポかつ音域が高めのため、犬が好みやすい音楽ジャンルになります。
愛犬と一緒に音楽を楽しみたいのであれば、スローテンポかつ高めの音域が使われたクラシックやバラードを選びましょう。
犬が嫌いな音楽のジャンル
一方で重低音なヘビーメタルやハードロックなどは、犬が嫌いな音楽とされています。
理由として、犬は突然鳴る音や大きな音が苦手であることがあげられます。ヘビーメタルやハードロックは、曲調の激しさやシャウト、高い機械音などが魅力の音楽ジャンルであるため、犬が不快に思う音が多く含まれているのです。
犬の性格によっては、興奮して攻撃的になる可能性もあるため、犬と過ごしている時はなるべく避けましょう。
飼い主の好みにも影響を受ける
犬の音楽の好き嫌いには、飼い主様の音楽の好みも影響します。ペットの犬は、飼い主様の表情をよく観察しており、飼い主様が笑顔なら犬も楽しく感じ、逆に飼い主様が落ち込んでいると、犬も悲しくなります。
飼い主様が好きな音楽を楽しそうに聴いていると、犬も楽しくなり、飼い主様が好んでいる曲を一緒に好きになってくれるのです。
音楽が犬に与える良い影響
ときに音楽は、犬に良い影響を与えます。音楽は犬にどんな効果をもたらすのでしょうか。音楽が犬に与えるプラスの効力についてご紹介します。
ヒーリング効果
音楽が犬に与える良い影響として、ヒーリング効果があります。
2012年のコロラド州立大学における研究で、クラシック系の音楽を聴いた犬達が落ち着いた様子を見せていた、という結果がありました。犬にとって心地よく感じられる音域やゆったりしたテンポの曲は、犬を穏やかな気持ちに導いてくれるようです。
もし愛犬が精神的に不安定な様子を見せていたら、ヒーリング効果が期待できるクラシック系の音楽を聴かせてみるのも良いでしょう。
ストレス解消
音楽は犬のストレス解消にも効果があるといわれています。犬も人間と同じようにストレスを抱えます。犬が不快に感じやすい音も、ストレスの原因になり得る要素です。
対して犬が心地よく感じる音や曲は、犬を安心させ、ストレスを軽減させる効果が期待できます。犬が不安や苛立ちなど、落ち着かない様子を見せている時は、ゆったりとして穏やかな曲調の音楽を流してみるのも良いかもしれません。
犬が音楽を聴いてリラックスしている際の行動
愛犬が音楽を聴いてストレスを感じているかリラックスしているかは、飼い主様がしっかり判断する必要があります。嫌がっている様子を見せている場合は、ストレスを与えないように無理に音楽を聴かせないようにしなければいけません。
愛犬の好みの音楽ジャンルを見分けるには、具体的にどのように判断すれば良いのでしょうか。以下では、犬が音楽を聴いてリラックスしている際の行動について解説します。
お腹を上に眠っている
音楽を聴きながら、お腹を上にして眠っている様子が見られたら愛犬はリラックスしている証拠です。お腹を上にして眠っているときは、犬は安心しており、落ち着いている状態です。
犬は今いる場所は安心できると認識しており、犬との信頼関係を築けていることがわかります。そのため、音楽をかけているときにお腹を上にして眠っている姿が見られたら、愛犬は安心しているサインです。
足を投げ出して眠っている
愛犬が足を投げ出して横向きに眠っている場合もリラックスしている証です。音楽を聴いているときにうつ伏せの姿勢をしていると、警戒心を持っている可能性があります。
うつ伏せにしていれば、いつでもその場から立ち上がって行動できるため、警戒しているときはうつ伏せの状態がよく見られます。しかし、足を投げ出して眠っているとすぐには立ち上がれないことから、その場が安全と感じており、リラックスしている状態であるといえるでしょう。
犬への音楽の活用方法
音楽が犬に良い影響を与えるのであれば、より愛犬と楽しく過ごすために、音楽を有効に取り入れたいですよね。犬と暮らす上でより効果的な音楽の取り入れ方を確認していきましょう。
留守番中に聴かせてリラックスさせる
音楽のヒーリング効果を利用して、留守番中の愛犬をリラックスさせることができます。
飼い主様がいない中で留守番をする犬は、少なからず不安な状態になりがちです。留守番中にスローテンポのクラシックやバラードを流してあげることは、犬の気分を落ち着かせ、不安を軽減させることにつながります。
愛犬がリラックスして飼い主様の帰りを待てるよう、家を出る前にゆったりとした音楽を流してあげましょう。
散歩前に特定の音楽を流す
また、散歩前に特定の音楽を流すルーティーンをつけるのも、効果的な音楽の利用法です。
散歩などの前に必ず同じ曲を聴かせることで、犬は「この音楽は散歩に行く合図だ」と学習します。愛犬の習慣づけやしつけに困っている飼い主様は、音楽を取り入れると効果的です。
また、愛犬を元気づけたい時には、少しハイテンポな明るい曲を流すのがおすすめです。犬の気分を高揚させ、明るい気持ちにさせられます。
他の音に怯えている時
犬は突然の大きな音を怖がる傾向があり、雷や花火、工事などの外から流れる不快な音に敏感に反応し、怯えることがあります。
犬が苦手な音を怖がっている時にも、音楽は効果的です。犬がリラックスできるゆったりした音楽や、お気に入りの曲を流すことで、不快な音から気を逸らし、落ち着かせる効果が期待できます。
外から流れる他の音に犬が怯えていたら、普段一緒に聴いている曲やリラックスできる曲で気を紛らわせてあげましょう。
愛犬の音楽嫌いを克服させる方法
愛犬が音楽を嫌っている場合、克服させるためには適切なトレーニングが必要です。トレーニングにより犬は徐々に音に慣れていき、ストレスを軽減できます。以下では、音楽嫌いを克服する3つの方法を解説します。
音に慣れさせる
愛犬に音を慣れさせてみましょう。まずは、小さな音量から音楽をかけて、犬がリラックスしているかを確認してください。小さい音でリラックスしている状態が確認できたら、徐々にボリュームを上げていきましょう。
小さな音から徐々に大きい音にすることで、犬は徐々に音楽に慣れてストレスを感じることも少なくなります。トレーニングを行う際は、愛犬がリラックスできているかが重要です。
小さい音でも音楽を嫌がっている場合は、無理に音楽を聴かせる必要はありません。
正の強化を用いる
正の強化を用いてトレーニングすると音楽嫌いを克服できるでしょう。
例えば、音楽をかけているときに犬がリラックスできていたり、落ち着いた様子を見せたりしている際は、褒めて、おやつを与えるなどして、犬に音楽に対してポジティブな体験をさせてみてください。
ポジティブな体験を通して、犬は音楽に良い印象を持ちます。飼い主様に褒めてもらえることは愛犬にとっては嬉しいことであるため、音楽嫌いを克服する際にも効果的です。
専門家に相談する
犬の音楽嫌いで、少しの音でも反応して困っているという場合は専門家に相談してみましょう。動物行動学の専門家やトレーナー、獣医に相談してみると、犬の特徴を理解して適切なアドバイスをしてくれるはずです。
また、専門家の指導を受けてトレーニングすれば、効果的かつ愛犬にストレスを与えない方法で音嫌いを克服できるでしょう。
犬に音楽を聴かせる際の注意点
犬に音楽を聴かせる際は、注意点が4つあります。リラックスさせるために愛犬に音楽を聴かせているつもりでも、注意点を理解していなければ、犬にストレスを与えている行動をとってしまうかもしれません。
以下では、犬に音楽を聴かせる際の注意点について解説します。
音量
犬の聴力は人間よりも優れているため、ストレスを感じさせないためには音量は小さめにしましょう。大きい音は犬にとってストレスの原因であり、大きい音を聴くとリラックスできなくなります。
犬を飼っている方であれば、犬が雷や花火の大きい音に怯えている様子を見たことがある方も多いでしょう。犬は突発的な大きな音に驚いてしまい、大きなストレスを感じることがあります。
飼い主様にはちょうどいい音量であっても、犬にとっては大きい音に聴こえている可能性があるため、音量に注意しながら音楽をかけてあげましょう。
愛犬の好み
愛犬の好みの音楽を聴かせることはリラックスさせるためにも重要なポイントです。クラシックや自然音、バラードなどは、リラックス効果があるといわれていますが、犬の好みや性格によってはストレスを感じることがあります。
例えば、自然音に川の流れなどが入っている場合、水が嫌いな犬はストレスを感じます。また、クラシックでもアップテンポで突然音が大きくなるような音楽は、犬の好みではない可能性があるため注意が必要です。
テンポ
音楽を聴かせる場合はテンポにも注意してください。犬にリラックスしてもらうためには、心拍数に近いテンポの曲を選ぶことが重要です。
アップテンポすぎる曲は、落ち着かせるよりも活発にさせてしまうような効果があるため、愛犬にリラックスしてもらいたい場合には向いていません。
愛犬に落ち着いて眠ってもらいたい場合は、胸に耳を当てて心音を聞き、心拍数に近い音楽を選んであげましょう。
ストレスを感じさせない
音楽により犬を落ち着かせるためには、リラックスできているかを確認しましょう。犬は人間のように嫌なことを言葉で伝えることはできません。そのため、飼い主様は愛犬の表情や行動、仕草からストレスを感じていないか見極める必要があります。
音楽を聴いてストレスを感じていそうであれば、無理に音楽を聴かせないようにしましょう。
音楽を上手に取り入れて犬と楽しく暮らしましょう
本記事では、犬と音楽の関係性や、犬とより楽しく過ごすために音楽をどのように活用すればよいかについてご紹介しました。犬には、人間とは少し異なる音楽の好き嫌いがあります。
愛犬と一緒に音楽のある生活を楽しみたい場合は、本記事を参考に、犬のお気に入りになりそうな曲を探してみてください。
愛犬とはいつまでも元気で楽しく過ごしたいものですが、お別れの時は必ずやってきます。いざという時に悔いなく見送れるよう、愛犬が元気なうちから看取りや葬儀のことを考えておくべきです。
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