「自分の愛犬が顔を舐めるのはどんな気持ちの時だろう」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

愛犬と触れ合っていると、顔を舐めてくることが頻繁にあります。

人懐っこくてかわいらしいですが、愛犬が人の顔を舐める行為には理由があります。

顔を舐める行動のすべてが愛情表現とは限らず、他の意味を持つこともあるため注意が必要です。

本記事では、愛犬が顔を舐めてくる理由と対処法を紹介します。犬を飼育している方の参考になれば幸いです。

犬が顔を舐める意味

愛犬が顔を舐める意味として、主に4つの意味があるといわれています。

ご自身の愛犬がどれにあてはまるか、チェックしてみましょう。

飼い主様への愛情表現

愛犬が顔を舐めてくる最大の理由は、飼い主様への「愛情表現」です。

犬のような群れで暮らす動物にとって、顔舐めとは家族など親密な間柄で「敬意」や「信頼」を表す行為です。

犬が飼い主様の顔を舐めることは、家族であることを認め、服従している証といえます。

また、顔を舐める犬に対して飼い主様が喜んだり、優しくしたりすると、犬も顔を舐めることは喜んでもらえる行為であると認識します。

そのため、自分がかまってほしいときにも飼い主様を舐めるようになるでしょう。

食べ物の匂いが気になっている

飼い主様が食事をした後、口から出る美味しそうな食べ物の匂いや味につられて顔を舐めることもあります。

飼い主様の食べた物を共有したいという気持ちの表れの場合もあれば、知らない匂いに興味を示している場合もあり、個体により感情は異なります。

ご飯をおねだりしている

飼い主様の顔を舐めることで空腹を訴え、ご飯の催促する場合もあります。

特に子犬によく見られ、祖先であるオオカミの習性に起因していると考えられます。

オオカミの親は噛んだ肉を離乳食として子供に与えるのが一般的です。

オオカミの子供はお腹が空くと親のオオカミの口を舐めてアピールするため、名残として犬も顔を舐めると考えられます。

しかし、ご飯やおやつをおねだりされたからといって、フードを与えすぎると健康に悪影響を与えてしまうでしょう。

そのため、顔を舐められたからといってすぐにご飯を与えないようにしてください。

ストレスや不安を感じている

犬が何らかのストレスや不安を感じた時に、顔を舐めて気持ちを落ち着かせようとする場合もあります。

帰宅時にたくさん舐めてくるときは、寂しさがストレスになっていた表れかもしれません。

他にも痛みや不調を感じている場合もストレスとなり、顔を舐めることがあります。

思い当たることがないのに、執拗に舐めてくる場合は病気や調子の悪さを訴えている可能性が考えられます。

日ごろから愛犬の様子をしっかりと把握し、異変にいち早く気付くことが大切です。

飼い主様に甘えたい

犬は、飼い主様に甘えたいと感じているときに顔を舐めます。

離乳期の子犬は母親に食べ物をねだるときに顔を舐めることがあり、成犬になっても同じような行為をすることがあります。

母親に甘えたいと感じるように、飼い主様に甘えたいというときは顔を舐める行為が見られるでしょう。

なだめたいから

犬は飼い主様の身体や顔を舐めることにより、相手をなだめようとします。

飼い主様が怒っているときや悲しんでいるとき、しつけの途中で顔を舐めてきた場合、なだめて落ち着かせようとしている可能性があります。

服従心が現れている

犬は服従心から飼い主様の犬を舐めることもあります。

犬の祖先であるオオカミなどの群れに服従心を示す際に、相手の顔を舐める習性があります。

少し緊張した様子で飼い主様の顔を舐めている場合は、「あなたに従います」という思いから顔を舐めているのかもしれません。

犬が飼い主様を舐める部位とその意味

犬が飼い主様を舐める部位とその意味

犬が飼い主様のことを舐める場合、舐める部位により意味が異なります。

以下では、舐める部位による意味について解説します。

顔や口を舐めるとき

顔や口を舐めるときは、愛情表現や信頼感があることを意味します。

ただし、犬が飼い主様の顔を舐めるときはストレスがあることを意味している場合もあるため、異変がないか確認してあげることも重要です。

一方、犬が飼い主様の口を舐める理由には、ご飯を催促している場合があります。

御飯の時間が近づき、飼い主様の口元を舐めてくる場合はご飯を早くほしいといっているかもしれません。

手や腕を舐めるとき

犬は飼い主様の手は、オモチャを投げてくれたり遊んでくれたり、優しく撫でてくれたりするものだと認識しています。

そのため、犬が手や腕を舐めるときは遊んでほしい、または単に甘えているだけの可能性があります。

また、自分の気持ちや相手の気持ちを落ち着かせようとしているときにも、飼い主様の手や腕を舐める場合があるでしょう。

足を舐めるとき

足はにおいが強く出る場所であるため、犬は気になって足を舐める可能性があります。

また、舐められても怒られにくい場所であるため、足なら舐めてもいいと認識していることも考えられます。

犬は舐めたものの味やにおいにより情報収集しており、飼い主様からいつもとは違うにおいがする場合や知らない人が来た場合は、足を舐めることがあるでしょう。

頭や耳を舐めるとき

飼い主様の頭や耳を舐めるときは、愛情表現のほかににおいが気になる、または味が美味しいから舐めている可能性があります。

頭や耳は汗や皮脂により塩分と油分が多く分泌され、犬は味が美味しいと感じることがあるでしょう。

頭皮の洗浄が不十分な場合や耳に垢や汚れが蓄積すると、においが強くなり愛犬の興味を引くはずです。

犬自身の身体を舐めるとき

犬はグルーミングのために自分の体を舐めることがあります。

ただし、長時間同じ場所を舐めている行動が見られた場合、皮膚病やストレスが現れている証拠です。

犬が自分の体をよく舐めている場合、ストレスの原因を取り除いてあげる必要があります。

犬同士で舐め合うとき

散歩中に他の犬と出会ったときや多頭飼いしている場合、犬同士で舐め合う行動が見られます。

成犬同士がお互いの顔を舐め合っている場合、お互いに敵意がないことを伝えています。同居している犬や知り合いの犬の場合、愛情表現または仲間意識を伝えるコミュニケーションを取っているのでしょう。

しつこく相手を舐めている場合は、トラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。

犬が床を舐めるとき

犬が家の床や家具を舐めている場合は、飼い主様の食べこぼしや味のにおいが残っている可能性があります。

人間の食べるものは犬にとって有害になる可能性があるため、食べこぼしは事前にきれいに片付けておくことが重要です。

また、犬が床や家具をしつこく舐めている場合、退屈である、またストレスが溜まっている証拠です。犬とのスキンシップを増やし、飼育環境が犬に適しているか確認しましょう。

犬の顔舐めには注意が必要

犬の顔舐めには注意が必要

犬が顔を舐める行為には前述した通り、異なる意味があります。

愛情表現だったとしても、時に思わぬ病気を引き起こすため注意が必要です。以下では、愛犬に顔を舐められることが危険な理由についてご紹介します。

過度に顔を舐められてしまう飼い主様は注意してください。

感染症の原因になる

犬に顔を舐められることで、感染症が発症する可能性があります。

犬の口腔内に常在している「パスツレラ菌」が人に感染すると、感染箇所の腫れや呼吸器症状が生じます。重症化すると肺炎や気管支炎を引き起こすため大変危険です。

パスツレラ菌とは犬や猫の口腔内によく常在している菌で、犬や猫は無症状ですが、人に感染する危険で、過去に死亡例もあります。

過度に顔を舐められることは感染のリスクを高めるため注意が必要です。

とくに、子どもや高齢者、妊婦など免疫力が低い人は感染しやすいため、注意してください。

口腔内の雑菌が付着する

口腔内の雑菌が顔に付着するため、衛生的に問題があります。

犬の口腔内には前述したパスツレラ菌以外にも有害な雑菌がたくさん含まれているため、注意が必要です。

特に免疫力が落ちているご高齢の方や乳幼児にとっては体調不良や皮膚炎の原因になります。

衛生的な観点からも、過度に顔を舐めさせることはやめましょう。

ハンドクリームや化粧品を舐められないようにする

犬がペロペロと舐めてくれる行為は、飼い主様にとっても嬉しいと感じる方が多くいらっしゃるでしょう。

しかし、犬が飼い主様の顔や手を舐めることが多い場合、化粧品やハンドクリームを舐められないように気をつける必要があります。

食器洗いやテオ洗った後にハンドクリームを塗ることがある場合、またお風呂上がりにスキンケアをした場合は、化粧水や乳液などの成分が手に付着しています。

人間のハンドクリームや化粧品には、犬にとって有毒な成分も存在し、舐めてしまった場合、何らかの異常症状を引き起こす可能性があるでしょう。

そのため、ペットとスキンシップを取る際は、ハンドクリームや化粧水を洗い流すようにしてください。

犬の顔舐めはやめさせるべきか

犬は飼い主様の顔を舐めることが多々あり、特に問題のない行動です。

しかし、執拗以上に飼い主様の顔を舐めている場合、舐めることをやめさせたほうが良いでしょう。

舐めることをやめさせるためには、どの場所をよく舐めているか、なぜ舐めているかを確認し、原因に対して適切な対応をしなければいけません。

たとえば、怪我を気にして患部を舐めている場合は、すぐに動物病院に連れていってあげる必要があります。

また、舐める行為がストレス発散として行っている行為であれば、ストレスの原因を突き止めて取り除いてあげるようにしてください。

犬が自分の尿を舐めていても問題ないか

犬が自分の尿を舐めていても問題ないか

犬が自分の尿を舐める理由を以下で解説します。

免疫力があがる可能性がある

人間の場合、自分の尿を舐めることは考えがたい行為ですが、犬は自分の尿を舐めることがあります。

犬が自分の尿を舐める行為は、免疫力をアップさせるためだといわれています。

においが好きで舐めている

ペットシーツのにおいとおしっこのにおいが混ざると、犬は気になって舐めてしまうことがあります。

おしっこを舐める行為が続くと習慣化してしまうため、早めに対策を取るようにしましょう。

顔を舐めさせたくない時の対処法

顔を舐めさせたくない時の対処法

顔を舐めてくれると嬉しくなりますが、前述した通り、過度になると危険です。

他人に迷惑をかける可能性もあるため、やめさせる方法を知っておきましょう。

顔を手で隠す

いつも舐めている場所を隠すことで、物理的に舐めさせない方法です。

粘り強く繰り返すことで、犬が顔を舐めてはいけないと学習します。

顔を隠す際には、落ち着いて静かに対処することが重要です。

犬と一緒にはしゃぎながら制止しても、犬は遊んでくれると勘違いして余計に顔を舐めてくるようになります。

毅然とした態度で、「顔を舐めることは悪いこと」を認識させましょう。

その場から離れる

飼い主様の注意をひくために飼い主様の顔を舐めるようであれば、その場から離れるようにしましょう。

飼い主様が喜んでくれる行為だと認識している犬の場合、飼い主様が反応を示さなければ、舐めることは喜んでくれる行為ではないと認識を変えます。

そのため、顔を舐めさせないようにするためにも、一度離れて舐められる回数や時間を減らすと良いでしょう。

おもちゃやおやつで注意を逸らす

食べ物や遊ぶことに執着心の強い犬であれば、おもちゃやおやつで注意を逸らす方法も効果的です。

顔を舐めようとしたタイミングでおもちゃやおやつを見せて、顔を舐められることを制止します。

特におやつは効果が得られやすいです。

しかし、頻繁におやつを与えて注意を逸らすと、カロリーオーバーになる場合や、「顔を舐めたらおやつがもらえる」と勘違いして学習する可能性があります。

あくまでも注意を逸らすという、一時的な効果しか期待できないことも考慮して実践しましょう。

今はどうしてもやめさせなければいけないというタイミングで行うことをおすすめします。

「待て」を覚えさせる

「待て」でしつけるのも手段の1つです。

犬は芸達者であるため、「お手」や「お座り」を覚えます。

同じように顔を舐めてきたら「待て」といい、顔を逸らすなどをしてやめることを覚えさせましょう。

しかし、前述したように、犬は愛情表現のつもりで顔を舐めている可能性もあります。

愛情表現の場合は、たくさん構って遊んであげるなど工夫をして、寂しい思いをさせないようにしましょう。

犬が顔を舐めるのには意味がある

今回は犬が人間の顔を舐める意味や注意点について解説しました。

犬が人間の顔を舐める行為は主に愛情表現ですが、おねだりやストレス、不安を表していることもあります。

ご自身の愛犬の感情がどれに当てはまるのかを注意深く観察してみましょう。