保護犬を迎えようか検討している方、もしくは保護犬を迎えたばかりの方のなかには、「しつけをどう進めていけば良いのか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

保護犬は、保護されるまでの経緯によってしつけをする難易度が異なる場合が多く、ときには根気よく教える必要があります。

今回は、保護犬のしつけについて、難易度やしつけ時のポイントを解説します。

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保護犬の性格の特徴としつけの難易度

保護犬の性格の特徴としつけの難易度

保護犬のしつけの難易度は、それぞれの保護犬の育った経緯や性格によって左右されます。

例えば、保護犬のなかには保護センターですでにある程度のしつけが身に付いているケースがあり、身に付いていない場合と比べると難易度は低いといえるでしょう。

また、犬の性格によってもしつけの難易度は変わります。

そのため、あらかじめ保護犬に多い性格を把握しておくとよいでしょう。

保護犬に多く見られる性格の特徴としては、以下が挙げられます。

  • 臆病
  • 警戒心が強い
  • 人や環境に慣れるまで時間がかかる など

なかには人懐っこい性格の子もいますが、保護犬は基本的に人に慣れているとはいえません。

そのため、時間をかけてしつけをするものと考えておきましょう。

保護犬には何を教えるべき?基本的なしつけ方法

しつけを行う際は、まず迎える予定の保護犬がどのくらいしつけを身に付けているのか、保護団体や愛護センターのスタッフに確認しましょう。

もししつけがほとんどできていない子の場合、自身でどのくらいしつけに時間をかけられるか考慮する必要があります。

以下では、保護犬を迎えた際に押さえておきたい基本的なしつけについて解説します。

トイレ

トイレのしつけは、保護犬が人と一緒に生活するうえで不可欠なもののひとつです。迎えた保護犬が成犬の場合、子犬と比べると根気が必要とされています。

しつけを行う際は、人があまり行き来しない場所かつ、保護犬の寝床から離れた場所にトイレを設置し、落ち着いて排泄できる環境を作ることが大切です。

寝床から離れた場所や決まった場所での排泄が難しい場合は、ケージの中か、ハウスの近くにトイレを設置するとよいでしょう。

もしくはペットシーツを広めに敷き、しつけに合わせて少しずつ狭めていくなど、状況に応じて対応するのがおすすめです。

吠え癖

吠え癖に対するしつけも、ともに生活するうえで重要なしつけといえます。

保護犬のなかには、何かを訴えるためや、恐怖や警戒心のために吠えてしまう犬もいます。吠え癖がついていると、近隣の迷惑になりトラブルにつながる恐れがあるため注意しましょう。

保護犬が恐怖や警戒心によって吠えている場合は、恐怖の対象から離れ落ち着ける環境や安心できる場所に連れていくことが大切です。併せて、不安を取り除くような声かけを続けるとよいでしょう。

なにかを要求するために吠えている場合は、要求に応えないことが有効な場合があります。

吠えている間は反応せず、吠えるのをやめたら褒めるように心がけると、徐々に吠えなくなるかもしれません。

保護犬のしつけを行う際の3つのポイント

保護犬のしつけを行う際の3つのポイント

以下では、保護犬のしつけを行う際に重視するポイントを3つ紹介します。

新しい環境に保護犬が慣れることを最優先する

しつけは、保護犬が新しい環境に慣れてから行いましょう。

迎えたばかりの保護犬は不安や緊張が強い状態にあることが多く、そのような状況下ではしつけの指示が通りにくい恐れがあるためです。

したがって、保護犬を迎えたらまずはその子が何に不安を感じるのか、安心できる場所や状況はどういうものかを把握し、環境を整えましょう。

保護犬が環境や生活に慣れたのを確認できてからしつけを始めるのがおすすめです。

保護犬の性格に合わせたしつけを行う

保護犬のしつけでは、犬の性格を理解したうえで無理のないペースで根気よく進めることが重要です。

保護犬は成犬の割合が高い傾向にあるため、子犬に比べて性格がしっかりと形成されているケースが少なくありません。

あらかじめ保護団体や愛護センターのスタッフに聞き、迎える予定の保護犬の性格や特徴を把握しておくのがおすすめです。

しつけを進める過程で、保護犬が指示を聞けたりトイレに成功したりした際は、たくさん褒めるように心がけましょう。

犬は褒められるのが好きで、それは保護犬も例外ではありません。

褒めるのと併せて、適宜スキンシップを取ることもおすすめです。スキンシップを取れば、より愛情を持って接してくれるようになるほか、病気やケガの異変にも気付きやすくなります。

関連記事:愛犬の長生きのためにスキンシップを取ろう!効果的な3つの方法

保護犬のしつけで懐いてきてくれたときに見せるサイン

保護犬のしつけで懐いてきてくれたときに見せるサイン

保護犬をしつけしていると、次第に距離が縮まることもあるでしょう。保護犬が懐いてきたかどうかは、保護犬の行動から判断できます。

以下では、保護犬が懐いてきてくれたサインについて解説します。

尻尾を振る

犬の愛情表現として、尻尾を振ることが挙げられます。

散歩に行けるときや飼い主様が帰ってきたとき、嬉しさや喜びを表現するために犬は尻尾を振ります。そのため、尻尾を振って近づいてきた場合、犬が飼い主様や周囲の人に興奮や愛情を示しているサインです。

尻尾を振って駆け寄ってきたら、優しく接し、優しく撫でてあげると良いでしょう。

ただし、犬が興奮したり警戒したりするときも尻尾をふることがあります。そのため、飼い主様は犬の行動をよく観察し、状況を把握する必要があります。

とくに、尻尾を高く挙げているときは犬が怒っている可能性があるため、近づかないように静かにしておきましょう。

保護犬が尻尾を振っている場合、飼い主様との信頼関係が築かれている証です。

お腹を見せる

犬が仰向けになってお腹を見せる行動は、飼い主様を信頼している証拠といわれています。

お腹を見せるポーズは、犬は降参や服従のポーズを取っているとされていることもありますが、実際にはリラックスしていたり、安心していたりするときにも見られます。

犬がお腹を見せてくるときは、「構ってほしい」「撫でてほしい」という甘えのサインでもあります。そのため、仰向けになってお腹を見せてくれたら、優しく撫でて声をかけてあげましょう。

ただし、犬がお腹を見せてきたときは、無理に撫でずに犬が本当に望んでいるかを見極めることが大切です。

犬がストレスを感じていたり、不安定な状態であったりする場合は、無理に触れてしまうと逆効果になります。そのため、犬の気持ちを尊重し、適切なタイミングでのスキンシップで心がけましょう。

舐めてくる

犬が人の顔や身体を舐めるのは、愛情表現の一種です。

犬が顔や口周りを舐めるのは、犬が飼い主様や信頼している人に対して感じている信頼や親しみの証拠です。

また、手や腕を舐める行動は、甘えているときや何かしてほしいときに見られることがあります。犬が飼い主様に対して舐める行動は、自分の存在を示し、関係を深めようとする姿勢の表れといえます。

舐められる行動は、犬が飼い主様や家族との絆を深めるために行う自然な行動のため、受け入れてあげると喜んでくれるでしょう。

寄り添ってくる

犬が人に寄り添ってくるのは、飼い主様の近くにいたいという気持ちの表れです。また、寄り添うことで犬は安心し、リラックスした状態となることが多いでしょう。

信頼関係が築けた犬は、自然に人に寄り添うようになります。つまり、犬が飼い主様を信頼しており、安心して近くにいたいと感じている証拠です。

一方、相手を信頼していない場合や怖いと感じる状況では、犬は寄り添うことはありません。

保護犬が寄り添ってくる場合、そのまま優しく接し、犬の気持ちを尊重してあげてください。

保護犬のしつけで注意する点

保護犬のしつけで注意する点

保護犬のしつけは、基本のポイントやコツを理解していれば、問題なく行えます。

しかし、犬の性格や状況により、根気よくしつけしなければいけないことを理解しておきましょう。

以下では、保護犬のしつけで注意する点について解説します。

保護犬の性格に合わせて行う

保護犬のしつけは、保護犬の性格に合わせて行うことが大切です。保護犬は新しい環境や家族に慣れるのに時間がかかることがあり、最初のうちは不安や緊張を抱えている状態です。

そのため、保護犬を迎え入れたばかりの時期は、しつけよりもまずは保護犬の緊張状態をほぐすことが優先となります。保護犬のなかには、過去のトラウマや不安から攻撃的な態度を示す子もいるでしょう。

攻撃的になっている場合、穏やかで優しいアプローチを心がけることが大切です。保護犬の信頼を得ようと無理して、コミュニケーションを取らないように気をつけましょう。

また、しつけを始めるタイミングも重要です。保護犬がまだ新しい環境に慣れていない段階でしつけを始めてしまうと、犬がますます不安を感じてしまいます。保護犬が心を開き、新しい環境に慣れるまで待つことも重要です。

焦らずにしつける

保護犬は虐待や飼育放棄などのつらい経験をしている可能性があり、警戒心も強くなっている場合があります。

とくに成犬の場合、性格や習慣が形成されており、しつけを開始してもすぐには成果が得られないこともあるでしょう。

しかし、犬が思うように行動してくれないといって、叱ったり、叩いたりするのは逆効果です。無理にいうことを聞かせようとするのではなく、焦らずじっくりと向き合うことが重要です。

保護犬には十分な時間と忍耐が必要ですが、できたことに対しては積極的に褒めてあげてください。褒められることは犬にとっても嬉しい経験となるでしょう。

悲しまずに行う

保護犬のなかには臆病で人見知りをしたり、新しい環境に適応できなかったりと元気をなくしてしまう犬もいます。

保護犬に対して悲しみや哀れみの気持ちを持って接すると、犬にとっても良い影響を与えません。

保護犬は過去につらい経験をしてきた可能性があり、不安や恐怖を感じ取ることがあります。そのため、里親やトレーナーが悲しみや同情の気持ちに支配されずに、積極的かつ前向きな態度で接することが重要です。

保護犬と信頼関係を築くためには、里親やトレーナーがポジティブなエネルギーを与え、犬とのコミュニケーションを楽しみましょう。

逃げないように気をつける

保護犬は、元々野犬や野良犬で、保護施設に長くいることもあります。そのため、外に出ることに対して恐怖心がなく、外に出たいと感じる子もいるでしょう。

上記の場合、保護犬が隙を見て逃げ出してしまう可能性も考えられるため、逃げ出すリスクを最小限に抑えておく必要があります。

脱走を防ぐためには、家の窓や玄関などの出入り口をしっかり施錠し、脱走防止の策を設けることが重要です。

また、万が一脱走してしまった場合のことを考慮して、犬の首輪に飼い主様の連絡先や犬の名前などを書いておきましょう。

脱走時の対策をしておくことで、保護犬が逃げ出すリスクを軽減し、安全に暮らせる環境を整えられるでしょう。

保護犬のしつけは焦らずゆっくりしよう

家族の一員として迎えたペットは、いつまでも健やかでいてほしいものですが、いずれお別れのときが来てしまいます。そのとき、突然の悲しみによって冷静な対応ができなくなることも少なくありません。

ペットが元気なうちに、あらかじめ万が一の看取り・葬儀について考えておくと、いざそのときが来ても後悔のない判断ができます。

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