老犬を飼っていると、「自分が家を空けている間に何かトラブルが起こるのではないか」と不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、物にぶつかったりつまずいて転んだりしてケガすることや、自力で水分補給ができず、脱水症状に陥る可能性が考えられます。

そうした不安への対策には、「ゲージで行動範囲を制限する」「クッションやマットでケガのリスクを減らす」といった方法があります。長期間留守にする場合は、ペットホテルに預けるのも手段の一つです。

本記事では、老犬をお留守番させる際に考えられる不安要素やトラブル、安心してお留守番させるための対策方法について紹介します。

老犬をお留守番させる際の不安要素や起こりうるトラブル

老犬になって白内障を患うと目が見えにくくなるため、物や家具にぶつかってケガする危険性があります。

認知症を発症している場合は、お留守番中に徘徊してケガしたり、家具の隙間にはまって出られなくなったりすることもあるでしょう。

さらに、老化にともなって足腰が弱くなれば、つまずいて転び、ケガする恐れもあります。寝たきりになっていると、自力で水を飲むことはほぼ不可能です。

上記に加えて、痙攣を起こした際に、意図しない動きで物にぶつかってケガする可能性も考えられます。

老犬は不安を感じやすいためお留守番が苦手になるケースも

老犬は加齢に伴い視力や聴力の低下など、生活環境の変化に適応することが難しくなります。

そのため、不安や寂しさを感じやすくなり、分離不安症を発症するケースも少なくありません。以下で分離不安症の症状と対策についてご紹介します。

分離不安症の症状

分離不安症は、犬によりさまざまです。主な症状は以下のとおりです。

  • 落ち着きがなく、吠え続ける
  • 物や家具を壊す
  • お留守番中にトイレを失敗する
  • 食欲不振や下痢などの体調不良を起こす
  • 飼い主様のそばを離れない

上記の症状がみられたら、動物病院に相談をおすすめします。病気や認知症が原因の可能性もあるため、日頃からよく愛犬のことを観察しておきましょう。

分離不安症への適切な対応

分離不安症の老犬への対処法は、以下の3つが重要です。

  • 怒らない
  • お留守番中の怪我を予防する
  • リラックスできる環境を作る

怒りは犬の不安を増幅させ、分離不安症を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

また、老犬は視力や運動能力が低下しているため、お留守番中に怪我をしないように家の中に危険なものがないか確認しておきましょう。

さらに、愛犬が安心して過ごせる場所を作ってあげたり、テレビをつけたりしてリラックスできる環境を整えましょう。

老犬が留守番できないその他の原因

老犬が留守番できないその他の原因

老犬になる前は留守番をできていた犬でも、老犬になると次第に留守番ができなくなる可能性があります。

以下では、老犬が留守番できない原因について解説します。

老化による不安

老犬になると、老化により視力や嗅覚、聴力が衰え、今までと同じように体が動かなくなります。そのため、以前は留守番ができていても、思うように体が動かせず、留守番が難しくなるでしょう。

飼い主様がいつもそばにいてあげるだけでも犬は安心できますが、場合によっては留守番させないといけないということもあります。

いつもそばにいる飼い主様が離れてしまうことにより、より不安が増して留守番ができなくなっている可能性が考えられます。

認知症

留守番ができない原因として、認知症が考えられます。

認知症になると部屋の中をぐるぐると歩き回ったり、体がうまく動かなかったり、理由もわからず吠えてしまったり、問題が発生します。

認知症により引き起こる事故もあるため、認知症の症状がひどい場合は無理に留守番できないようしましょう。

老犬を留守番させるときに危険になりうるもの5選

老犬を留守番させるときに危険になりうるもの5選

老犬は老化に伴い、足腰が衰えて視力も悪くなっているため、安全なはずの家の中でも怪我や事故を引き起こす恐れがあります。

今までなんのトラブルもなかったから、きっと大丈夫と思っていても、家の中には犬にとって危険なものが潜んでいる可能性があります。

以下では、老犬を留守番させる際に危険になりうるものについて解説します。

今までは何も問題なく過ごせていた部屋でも、老化により足腰が弱くなった場合、床の素材により怪我を引き起こす可能性があります。

とくに、滑りやすいフローリングは老犬だけでなく犬の足腰に負担がかかりやすく、フローリングで滑ると大怪我につながる恐れもあります。

そのため、自宅の床がフローリングの場合は、床で滑らないようにクッションマットを床に敷いて、怪我しにくいように工夫してあげましょう。

階段

犬も老化が進むと体の衰えにより、階段の上り下りがつらくなります。

今までのように体が動かず、足を踏み外して骨折などの大怪我をしてしまうことも考えられます。留守番している間に階段から落ちてしまっても、すぐに対処してあげられないため、怪我をしないために対策することが重要です。

そのため、留守番の間は階段を登り降りできないように柵を設置したり、滑りづらいマットを敷いたり、階段で怪我しないように工夫しましょう。

柱や壁の出っ張り

家の中に柱や壁の出っ張りがあると、視力が悪いことによりぶつけて怪我する恐れがあります。

今までは大丈夫だったから問題ないと思っていても、老化が進むと今まではなかったトラブルが起こることもあるのです。

そのため、危険になりうる家具は安全な場所に移動して、部屋の模様替えを行うようにしましょう。しかし、失明してから模様替えすると、愛犬も戸惑ってしまうため、失明している場合は大きな模様替えは避けてください。

また、移動できないものは、梱包材やタオルを巻いて、怪我しないように工夫してあげましょう。

電気ケーブル

電気ケーブルが床に散らばっていると、足を引っ掛けて転倒し、怪我の危険性があります。

足を引っ掛けてしまうだけでなく、ケーブルを噛んで感電するケースもあるため、電気ケーブルがある場合は、コードカバーを活用して見えないようにすると良いでしょう。

物の隙間

老犬になると体が衰えるだけでなく、脳の機能も低下します。脳の機能が低下することにより、運動能力も低下していくため、家具と壁の間にある隙間に入って出てこられなくなる恐れがあります。

とくに、認知症になると隙間に入ってしまうケースが頻発しており、何時間も出られないこともあるでしょう。

そのため、家具と家具の隙間やソファの下などに入り込んでしまわないように、隙間を埋めておくと安心です。

老犬の留守番で心配なこと

老犬の留守番で心配なこと

老犬を留守番させる際、不安が残り心配という飼い主様も多いでしょう。

留守番をさせると犬にとってもストレスが大きく、普段では取らない行動に出てしまい、トラブルにつながる場合もあります。以下では、老犬の留守番において心配なことについて解説します。

何時間留守番できるか

犬が留守番できる時間は、犬の年齢や家の環境により異なります。

老犬でも基本的に寝たきりの犬であれば、排泄のためのオムツをしていても、自分で食事や水を飲むことが難しいため、2〜3時間程度が留守番できる目安です。

しかし、老犬でも健康状態に問題がなく元気な犬であれば、8時間以上の留守番もこなせるでしょう。

ただし、上記に挙げた時間はあくまでも目安であり、留守番できる時間は犬の性格や自宅の環境により異なります。

そのため、留守番に慣れていない場合や老犬になってからは、留守番がどれくらいできるか様子を見るようにしましょう。

トイレがしっかりできるか

老犬を留守番させる場合、トイレがしっかりできるかも心配なポイントの一つです。

自分で排泄ができない犬や外でしかトイレをしない犬、またトイレの場所を覚えられていない犬などには、オムツを付けている犬も多いでしょう。

留守番の際にトイレの場所を変えてしまうと、犬も混乱してしまうため、場所を変えないようにし、トイレシートをこまめに掃除するようにしてください。

また、トイレについて不安がある場合、長時間留守番させるのは避けるようにしましょう。

吠えるかどうか

老犬を留守番させると、留守番中に吠えていないか心配という飼い主様もいらっしゃるでしょう。

留守番中の犬は不安な状態であるため、飼い主様に気づいてもらおうとして吠える場合があります。

犬の中でも、普段は吠えない性格であっても、飼い主様が離れてしまうことによる不安で吠えてしまう子もいます。

不安により吠える犬の場合、留守番中でもさみしくならないようにおもちゃを置いてあげたり、長持ちするガムなどを与えたりすると良いでしょう。

しかし、大きいガムの場合、喉につまらせて事故につながる可能性があるため、十分気をつけてあげてください。

安心して老犬をお留守番させるための対策方法5つ

安心して老犬をお留守番させるための対策方法5つ

前項で挙げたとおり、老犬をお留守番させる不安要素はいくつもあります。それでも、仕事や急用などで、自宅を留守にしなければならないこともあるでしょう。

以下では、安心して老犬をお留守番させるための対策方法を5つ紹介します。

行動範囲を限定してケガのリスクを減らす

老犬をフリーでお留守番させる場合、家中を徘徊したり、つまずいたりしてケガする恐れがあります。

そのため、ある程度は行動範囲を限定しておくのがおすすめです。

例えば、刃物や食品があるキッチンに入らないよう、キッチンの入り口に柵を設置するとよいでしょう。

さらに、少しでも不安要素を取り除くために、部屋を片づけて物を置きっぱなしにしないことも大切です。

お留守番のときはオムツを付けてあげる

寝たきりになった老犬の場合は、ペットシーツにトイレができないケースも考えられます。

お漏らしをして身体を汚してしまわないように、お留守番させる際はオムツを付けてあげましょう。

いきなり付けると嫌がる可能性があるため、在宅中にオムツに慣らしてあげると、いざというときに嫌がられずに済みます。

関連記事:愛犬が老犬になったときの排泄介助の方法を紹介!|促し方と手順について解説していきます!

ケージやサークルでお留守番用の空間を用意する

お留守番中に老犬が家具や物にぶつかってケガしないように、ケージやサークルを用意してあげることをおすすめします。

ケージやサークルの中に愛犬を入れてお留守番させておけば、ケガするリスクを軽減できるでしょう。

ケージやサークルを用意する際は、併せてクッションやウレタンマットなどを敷いてあげるとより安心です。

いつでも水分補給できるようにしておく

足腰が弱っている老犬は、自力での水分補給が難しい場合があります。

お留守番中に愛犬が脱水症状を起こさないように、いつでも水を飲める状態にしておきましょう。

具体的には、自宅の複数箇所に水入れを設置したり、自動給水器を導入したりするのがおすすめです。老犬の負担にならないように、水入れの場所や高さに注意する必要があります。

ペットカメラを設置して定期的に確認する

老犬にお留守番させるときは、ペットの寝床や活動しそうな場所にペットカメラを設置しておくとよいでしょう。

ペットカメラにより、スマートフォンを使って、出先でもお留守番中の愛犬の様子を確認することが可能です。

ペットカメラを購入する場合は、360度回転可能なものや、広い範囲を映せる広角レンズのものをおすすめします。

老犬が安全にお留守番するために活用できるグッズ

老犬が安全にお留守番するために活用できるグッズ

愛犬が一匹で安全にお留守番できるか、不安に思う飼い主様もいらっしゃるかと思います。

そんな飼い主様は、お留守番している犬のための便利グッズを使用すると良いでしょう。以下でお留守番の際に活用できるアイテムをご紹介します。

ペットカメラ

高齢の愛犬がお留守番していると、心配に思う飼い主様もいらっしゃるでしょう。

ペットカメラがあれば、外出中でも愛犬の様子を確認できるため、安心して出かけられます。異変を検知してアラートを出すカメラもあります。愛犬の安全を守るために、ぜひペットカメラを導入してみてはいかがでしょうか。

温度・湿度計

ペットカメラで愛犬の様子を確認しながら、温湿度計で部屋の温度と湿度もチェックしましょう。

室温が上がりすぎたり、湿度が高すぎたりすると愛犬の体調に影響を与える可能性があります。

定期的に温度や湿度を確認して、愛犬が快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。

スマート家電やリモコン

季節の変わり目で寒暖差が激しい時期は、外出先でエアコンの設定が気になるかもしれません。

外出先からエアコンを操作できれば、安心して出かけられるでしょう。最近は、外出先から操作できるスマート家電が登場していますが、いきなり家電を買い替えるのは難しいかもしれません。

そんなときにおすすめなのが、自宅にあるエアコンのリモコンと連携させて外出先から操作できるスマートリモコンです。エアコン以外の家電とも連携が可能なため、ぜひ検討してみてください。

老犬のお留守番対策のために今からできること

老犬のお留守番対策のために今からできること

愛犬を家族として迎え入れると、必ずお留守番をさせる機会があります。しかし、老犬になると体調や認知機能の低下により、お留守番が難しくなることもあるでしょう。

そのため、老犬のお留守番対策のために今からできることをご紹介します。

人や場所に慣れさせる

犬はもともと環境の変化が苦手で、年齢を重ねると、より不安感が強くなることから人や場所に慣れるのに時間がかかります。

そのため、お留守番させる前にできるだけ多くの人や場所に慣れさせておくことが大切です。

今後、愛犬を預けた環境でストレスを抱えないためにも、なるべく元気なうちに多くの人や場所を経験させてあげましょう。

具体的には、以下のことを試してみましょう。

  • 散歩中に他の犬や人と触れ合う
  • カフェやドッグランに連れて行って、環境に慣れる
  • 友人や家族に預けて、短時間のお留守番を経験させる

オムツの練習を行う

老犬になるとトイレの失敗が増えて、身体を汚してしまう可能性もあります。そのため、お留守番中にオムツをつけてもらうことが理想です。

しかし、前述したとおり、いきなりオムツをつけると嫌がるかもしれません。段々慣れさせて、オムツの練習を行うことでお留守番中のトイレの失敗を防げるようにしましょう。

  • 老犬に合ったオムツを用意する
  • 実際にオムツを着用させる前にぬいぐるみで練習する
  • オムツが濡れたらすぐに交換する

オムツの練習は根気よく続けることが大切です。また、オムツが濡れても怒らず、優しく対応するようにしましょう。

在宅でできる仕事への転職

愛犬が年をとり、体調不良が続くと飼い主様の仕事とプライベートの両方に大きな負担になります。

愛犬のために仕事を休むか、具合の悪い愛犬を置いて出社するかどちらも決断が難しいでしょう。

そのため、可能であれば在宅で働ける仕事に切り替え、愛犬の体調に配慮できる環境を整えることが大切です。働きながら老犬の介護をする場合、在宅で愛犬を見守れる方が飼い主様の負担も少なくなります。

転職には時間がかかるため、早めに行動に移しましょう。

貯金

老犬との暮らしは、病気や介護などさまざまな出費がかさみます。いざという時に困らないように、しっかりと貯金をしておきましょう。

貯金があれば愛犬の治療や介護に必要な費用を賄えるだけでなく、仕事量の調整もできるため、愛犬と一緒に過ごす時間を長く保てます。

家族と愛犬の今後について話し合う

老犬になるにつれ、留守番の時間を短くしたり、ペットシッターや犬の預かりサービスを利用したりする必要があるかもしれません。また、介護が必要になる可能性も出てくるでしょう。

家族と愛犬の今後について話し合い、家族と考えを共有しておくことが大切です。具体的には、以下の点を共有しておきましょう。

  • 愛犬は一匹でお留守番がどれくらい可能か
  • 交代で愛犬の面倒がみられるか
  • ペットシッターを利用する場合は、どのくらいの頻度で利用したいか
  • 介護が必要になった場合は、どのように対応したいか

家族と話し合って、愛犬が安心して暮らせる環境を整えていきましょう。

長時間お留守番させる場合は安心できるところに預ける

長時間お留守番させる場合は安心できるところに預ける

老犬が寝たきりの場合やオムツをしている場合は、できるだけ長時間留守にするのは避けたほうがよいでしょう。

出張や冠婚葬祭などで数日留守にしなければならない場合は、ペットホテルや動物病院に預けることも対策方法の一つです。

また、近くに家族や友人知人が住んでいる場合は預けたり、留守中の間に定期的に様子を見てもらったりする方法もあります。家族や友人知人に頼むのが難しいようであれば、ペットシッターに依頼することもおすすめです。

老犬を留守番させる際はストレスにならないように配慮してあげよう

どうしても老犬をお留守番させなければならない場合は、ゲージやサークルでお留守番用のスペースを作ったり、屋内での行動範囲を制限したりして対策しましょう。

また、愛犬の健康状態に合わせて、オムツの着用や、ペットホテル・ペットシッターといったサービスの利用を検討することもおすすめします。

老犬に関しては、お留守番時の対策を考えることも大切ですが、将来的にお別れするときのことも、頭の片隅に置いておかなくてはなりません。COCOペットでは、ペット火葬や埋葬方法に関する不安や疑問に対して、無料でお答えしています。