犬を飼うことを検討している方や、最近犬を飼い始めた飼い主様にとって、犬の健康診断についてはわからないことが多いですね。

また、そもそも犬に健康診断は必要なの?と思っている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、愛犬の健康を守るためにも、定期的に健康診断を受けることはとても大切です。

今回の記事では、犬に健康診断が必要な理由を詳しくお伝えし、健康診断は何歳からどれくらいの頻度で受けるかについても解説します。検査内容や費用相場、注意点などについてもご紹介しますので参考にしてみてください。

犬の健康診断は、何歳からするべき?

犬の健康診断が必要な理由とは?

健康診断によって、病気の早期発見ができるだけでなく、獣医師とのコミュニケーションが円滑に進むようになるなどのメリットがあります。

犬に健康診断を受けさせることを考えた時、何歳からどの程度の頻度で受けさせるのが良いのでしょうか。ここでは、健康診断を受けさせるべき年齢や、頻度についてお伝えします。

健康診断は満1歳を一つの目安に

犬の健康診断については、何歳から受けるべきだというはっきりとした基準はありませんが、一つの目安として満1歳を目安にすると良いでしょう。

理由として、犬の一生は人間よりも早いスピードで進んでいくためです。例えば、小型・中型犬の1歳は人間の年齢に換算すると15歳前後となり、2歳で24歳前後、それ以降は1年ごとに4歳ずつ歳をとっていきます。

特に1歳前後の体格や健康状態は、その犬のベストな状態であることも多いため、可能であれば1歳を目安に健康診断に行くことをおすすめします。

初めての健康診断は生後6ヵ月ごろに受けるのが安心

子犬でお迎えした場合、家庭に慣れて不妊手術を検討する生後6ヵ月ごろに最初の健康診断を受けると良いでしょう。

生後6ヶ月と聞くと早すぎると感じる飼い主様もいらっしゃるかもしれませんが、この時期の異常は、先天性の病気によるものである可能性があります。

また、ペットショップからお迎えしたばかりであれば、他の犬から寄生虫や病気をもらってきている可能性もあります。

そのため、早期発見のためにも生後6ヶ月の段階で最初の健康診断を受けることをおすすめします。

成犬でお迎えした場合は、生活に慣れ次第最初の健康診断に行きましょう。健康診断は犬のストレスになることも多いため、お迎えしてすぐの時期は避けると良いでしょう。

犬の健康診断は定期的に受けよう!最低でも年1回が理想

上でもお伝えした通り、犬の1年は人に換算すると4年~7年という期間に相当します。

健康診断の頻度としては、若いうちは年1回が理想ですが、犬の健康状態や年齢によっては半年に1回程度が最適な場合もあります。

小型・中型犬は7歳ごろ、大型犬は5歳ごろになるとシニア期に入ります。

シニア期にさしかかると、内臓の衰えや筋力の低下など健康上の問題が起こる可能性が高くなるため、半年に1回以上の健康診断が安心です。

ただし、健康診断は犬の負担になる場合もあるため、大切なのはかかりつけの獣医師としっかり相談して頻度を決めることです。

犬の健康診断が必要な理由とは?

犬の健康診断は、家庭に慣れてきたら検討しよう

犬には定期的な健康診断が欠かせません。ここではその理由をお伝えします。

犬は人間よりも成長スピードが早いから

人と比較すると、犬の成長スピードはとても早いです。小型・中型犬の1歳は人で言うと約15歳、大型犬では12歳程度にあたると言われています。

1歳を過ぎると成長スピードはややなだらかになりますが、小型・中型犬にとっての1年は人に換算すると4歳分、大型犬では7歳分の長さとなります。

犬は、人よりもあっという間に成長し、気づくと中高年や高齢に差し掛かります。人と同様、犬も中高年以降では様々な病気のリスクが上がります。

これらの早期発見のために、健康診断が必要なのです。

また、近年は犬も長生きするケースが多く、認知症や運動機能低下、排泄が困難になるなど介護が必要になるケースも増えており、動物病院との上手な連携のためにも、定期的に通うことが重要です。

犬は自ら健康上の問題を訴えられないから

犬の病気の中には、かなり進行するまで症状が出ないものもあります。気づいた時には手遅れだったというケースもあるため、病気の早期発見が大切です。

また、犬は人間のように言葉で自分の健康上の不調や問題を訴えることができません。言葉で伝えることができない犬の健康維持のためには、定期的な健康診断が大切です。

年をとると免疫力・筋力が低下するから

犬も人と同様に、年をとると免疫力や筋力が低下します。病気にかかりやすくなったり、怪我をしやすくなったりするのです。

免疫力や筋力の低下は、飼い主様との日々の生活の中ではなかなか気づきにくいこともあります。健康診断によって、獣医師など専門家に診てもらうことで気づける変化も多いでしょう。

定期的に健康診断を受け、愛犬の体重や体の血液検査などの数値を把握しておくと、食事面での体調管理や、目に見えない変化にも気づけるというメリットもあります。

犬が健康診断をするメリット

犬の健康診断にはどのような検査項目がある?

犬が健康診断をするメリットは、いくつかあります。ここからは犬の健康診断をするメリットについて紹介します。

病気を早期発見できる

犬の健康診断をすると病気を早期発見できます。どのような動物でも病気にかかりやすく、人間と同じように早期発見と早期治療が重要です。

例えば、体の外側からでは分からない病気を放置してしまうと、知らないうちに重症化してしまう恐れがあります。

健康診断では、体の外側だけではなく、体内のあらゆる成分を分析して病気の可能性を判断するため、重症化してしまう前に病気を発見・対処が可能です。

また、犬の年齢に関係なく病気にかかることもあるため、定期的に健康診断を受けて病気がないか確認しておきましょう。

基礎データを作れる

健康診断を受けると健康体の基礎データを作れます。そのため、万が一なにかの病気を患った場合、健康体と比較して原因を追求しやすくなります。

例えば、食欲不振の場合でも、健康体のデータがあればどこの臓器に問題があるかを判断できます。

また、毎年同時期に数値を測定すると、体重の増減にも気づきやすく、不確かな状態でも数値で確認可能です。

このように、健康診断で健康体の基礎データを取ることで、病気が起こった際に治療しやすくなるでしょう。

安心感がある

健康診断で体の状態を把握すると安心感を得られます。犬の健康状態がわからないと飼い主様としても不安が多いでしょう。

健康診断を受けることで健康の証明をできるだけでなく、病気の際も早期発見と治療をしやすくなります。

「最近、愛犬の様子が優れない」「もしかすると病気にかかっているかもしれない」というような不安は飼い主様にも大きなストレスを与えます。

少しでも犬の健康状態に不安がある方は、安心感を得るためにも健康診断を受けてみてはいかがでしょうか。

愛犬や治療費の負担を軽減できる

健康診断を受けて病気や体調不良に気づくことは、治療を早く始められるということです。

そのため、病気に気づかずに放置してしまい、重症化してから治療を始めるより治療費も愛犬への負担も軽減できます。

重症化してからでは、大掛かりな手術になり費用だけでなく愛犬にも負担がかかる可能性が考えられます。

愛犬への負担を少しでも減らしてあげるためにも、定期的な健康診断で病気の早期発見と早期治療を心がけましょう。

犬の健康診断に関するよくある質問

犬の健康診断にかかる費用はどのくらい?

犬の健康診断に関するよくある質問についてまとめました。ここからは、それぞれの質問について解説します。犬の健康診断についてわからないことがある方は、ぜひ参考にしてください。

犬の健康診断にはどのような検査項目がある?

多くの動物病院では、基本的な検査として、問診 ・身体検査 ・血液検査 ・尿検査/便検査を行います。 レントゲン検査 ・超音波検査(エコー)を行うことも多いです。

年齢など必要に応じてMRI検査 ・ホルモン検査 ・眼底検査 ・心電図 ・体脂肪測定などを行うこともあります。

受けられる検査項目は動物病院によって異なるため、具体的な検査項目は動物病院のサイトを確認し、不明点などがある場合は電話で直接問い合わせると良いでしょう。

以下では、健康診断で主に実施される基本的な検査の詳細と、検査によってわかることについて、それぞれ解説します。

問診

健康診断のはじめに、飼い主様への問診を実施します。

病院により問診票を記載するところもありますため、いつもの愛犬の様子や気になるところを伝えます。

問診票には主に以下について聞かれることが多くあります。病院に行く前に事前に確認しておくと良いでしょう。

  • 食事の内容や食欲の有無
  • 便の様子(硬さや量、頻度)
  • 散歩の様子(頻度や距離)
  • 気になる症状の有無

問診により細かい状況を獣医師に共有することで、後の検査で重点的に確認すべき項目が分かるため、できるだけ正確に伝えることが大切です。

身体検査

身体検査では、主に以下の項目が行われます。

  • 視診
  • 触診
  • 聴診
  • 体重測定

視診、触診、聴診では、獣医師が実際に見て触って聴くことで、愛犬の状態を確認します。視診では、全身や目、口腔内の状態を確認します。

触診では体に触り、しこりや皮膚の異常がないかを入念にチェックし、聴診では心音や内臓の音を聴き、雑音や内臓の動きを確認することで、全身の健康状態を判断します。

体重測定では、愛犬が痩せすぎていないか、または太りすぎていないかを確認します。

定期的に健康診断を受けている場合は、前回から急激に体重が増減していないかを確認し、増減が見られる場合は、別の検査や診察を追加することもあるでしょう。

血液検査

血液検査では採血を行い、貧血や炎症の兆候がないか、内臓機能に異常がないかを確認します。

ペットの健康診断で行われる血液検査は主に「血球検査」と「生化学検査」の2種類に分けられ、それぞれ検査内容が異なります。

検査項目検査内容
血球検査血中の赤血球、白血球、血小板の数値を確認し、貧血の有無や、病気に対する代謝の状態を判断する。
生化学検査血中のタンパク質量や、コレステロール値を確認し、各内臓の状態、脂質異常がないかなど、栄養状態について判断する。

血液検査で確認する項目には基準値があり、基準値から大きく外れていないか、他の成分とのバランスは正常かどうかを判断していきます。

尿検査

愛犬の尿を採取し検査を行います。主に腎臓や膀胱に異常がないか、糖尿病や生殖器関連の病気の疑いがないかを確認できます。

尿検査では、以下の3つの観点から検査します。

検査項目内容
一般性状尿の色や臭い、透明度といった外観から検査する。血尿の有無や膀胱炎・糖尿病の可能性を判断可能
化学的性状試験紙を用いて尿内成分を検査する。腎臓や肝臓の疾患の有無を判断可能
尿沈渣尿を遠心分離し、沈殿物を検査する。結石や腫瘍の有無、尿路感染症の可能性などを判断可能。

特に高齢の犬の場合、糖尿病といった命に関わる病気を発症しやすいため、尿検査を通じて早期発見し、早い段階から治療を開始できます。

便検査

便検査では、寄生虫の感染の有無や血便、腸内環境を検査します。健康診断で行われるのは、便の見た目の検査や、顕微鏡を用いた検査が一般的です。

見た目の検査では、主に便の色を確認することで、病気の可能性を判断します。

便の色については、飼い主様でも判断できますため、主な便の色と考えられる原因について以下を参考にしてください。

便の色示唆される原因
白色便胆のうのトラブルで胆汁の分泌量が少ない場合や、膵臓の異常により、消化不良で脂肪分を含んだ便が排出される
黒色便胃や小腸などの上部消化管からの出血や、誤飲による出血、消化器系のトラブルなど
血便大腸や肛門付近からの出血、感染症によるものなど

顕微鏡による検査では、便の中の細胞成分のバランスや、寄生虫がいないかを確認します。

便は健康のバロメータとも言われます。そのため、健康診断で定期的に確認するのはもちろん、便の様子がいつもと違うな?と感じたら迷わず動物病院に連れて行くことをおすすめします。

レントゲン検査

レントゲン検査は、骨格や心臓、肺、胃といった各内臓の大きさや形、位置などを確認できます。

呼吸がおかしい場合や、尿・便の異常、目立った傷がないのに痛がるといった場合に行われる検査です。レントゲンにより、誤飲物や腫瘍、結石などを発見できる場合もあります。

人間のレントゲンと同じく、痛みを伴わず短時間で検査できるため、愛犬に負担をかけずに健康状態をチェックできます。

注意点として、胃の内容物が検査の邪魔になってしまう可能性があるため、レントゲン検査の当日は絶食するようにしましょう。

超音波検査(エコー)

超音波検査(エコー検査)では、心臓や胃腸などの臓器の形や大きさが分かるほか、血液の流れや臓器の動き方を確認できる検査で、レントゲン検査で分からなかった異常を発見するのに有効な検査です。

例えば、他の検査結果より腫瘍の疑いがあるにもかかわらず、レントゲンに写っていない場合などに行われます。

心臓や腹部に専用のゼリー液を塗り、エコーを当てることで、心臓の収縮の様子や腫瘍の特定といった緊急性の高い疾患の判断が可能です。

エコーを当てる場所によっては、事前に毛を剃る必要もあります。

犬の健康診断にかかる費用はどのくらい?

犬の健康診断の費用は、動物病院ごとに独自の設定があります。検査項目によっても異なりますが、一般的な費用相場は5,000円〜3万円程度だと言えるでしょう。

平成27年度の日本獣医師会の調査によると、中央値は14,021円ということですので、ひとつの目安になりますね。

健康診断の時の検査項目は、多ければ良いというものではありません。獣医師と相談しながら、愛犬にとって必要な検査項目をピックアップして受けさせましょう。

犬の健康診断にかかる費用はどのくらい?

犬の健康診断の費用は、動物病院ごとに独自の設定があります。検査項目によっても異なりますが、一般的な費用相場は5,000円〜3万円程度だと言えるでしょう。

平成27年度の日本獣医師会の調査によると、中央値は14,021円ということですので、ひとつの目安になりますね。

健康診断の時の検査項目は、多ければ良いというものではありません。獣医師と相談しながら、愛犬にとって必要な検査項目をピックアップして受けさせましょう。

犬の健康診断にかかる時間はどのくらい?

犬の健康診断は、犬に負担がかけないように休憩をはさみながら行われます。触診・血液検査・レントゲン・超音波など短いものは2〜3分、長くても10分程度です。

また健康診断は全体的に30分〜1時間程度で完了します。

病院により、半日ほど病院に預けて検査が行われることもあるため、事前に病院で確認しておきましょう。

健康診断を受ける際の注意点

健康診断を受ける際の注意点

実際に健康診断を受ける時は、いくつか注意点があります。ここでは健康診断にあたって飼い主様が留意しておくべき点についてお伝えします。

基本的に事前予約が必要

多くの動物病院では、犬の健康診断には事前予約が必要です。動物病院によってはWeb予約ができる場合もあるため、サイトを確認してみましょう。

電話で問い合わせをして予約が必要な動物病院もあります。電話で健康診断を受けたい旨を伝え、予約を取りましょう。

また、予約の際には、健康診断で行っている項目や、費用感について確認しておくと安心です。

検査項目によって絶食が必要な場合がある

レントゲン検査や超音波検査の場合、胃の中に食べ物が入っていると、正確な結果が出ない場合があります。

血液検査も血糖値の項目など、食事によって数値が変動することがあります。健康診断の予約の際に、絶食の指示などがあった場合には必ず従いましょう。

便や尿の持参を求められるケースも多いでしょう。便や尿はできるだけその日の朝に出たものを持っていくのが理想です。

服用中のお薬がある場合は申告する

健康診断を受ける際、服用中のお薬や、予防薬などの申告も忘れずに行いましょう。予約の際に、薬はいつも通りに飲ませて良いのかどうかを確認すると良いでしょう。

いつも通りに飲ませて良い場合も、何の薬をいつごろ飲ませたかなど把握して伝えることが大切です。

 健康診断は犬のストレスになることもあるため、体調が良いときに受けましょう。もしも体調に不安がある場合、事前に獣医師に相談して日程をずらすなども必要です。

健康診断で愛犬の健康を守りましょう

今回の記事では、犬に健康診断が必要な理由をお伝えし、何歳からどれくらいの頻度で受けさせるべきかを解説しました。

健康診断は、犬をお迎えしたあと、犬が家庭に慣れたら最初の健康診断を受け、その後は半年~1年に一度のペースが理想的です。

ただし、犬の年齢や健康状態に応じて必要な頻度が変わるため、獣医師とよく相談して頻度を決めることも大切です。愛犬の健康のために、忘れずに健康診断を受けさせましょう。