「犬は避妊手術をしないといけない」と一度は聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際になぜ避妊手術をしないといけないのか、しないことでどのような事態を招いてしまうのか適切に把握していない方が多く存在します。
本記事では、避妊手術におけるメリットやデメリット、いつ手術をすべきなのかなどを解説します。1つずつ理解を深めていき、飼い犬を避妊する際の参考にしてください。
目次
犬に避妊手術をする理由
犬の避妊は義務ではありませんが、すべき手術です。例えば、発情期を迎える前に手術を行うことで、飼い犬にとって心身ともに健康に生活できるようになります。以下では、更に詳しく犬が避妊するべき理由を解説します。
子宮の病気を未然に防げる
避妊手術をすることで、犬は子宮の病気を未然に防ぐことができるでしょう。犬が発症しやすい症状として子宮蓄膿症や乳腺腫瘍等があります。特に子宮蓄膿症を患ってしまうと、犬は食欲不全や嘔吐など体全体に不調が生じてしまいます。
症状が重くなると子宮破裂を引き起こしてしまう場合もあり、死に至ってしまうケースも少なくありません。大切な愛犬を守るためにも、避妊手術を検討されてみてはいかがでしょうか。
発情期にする行動やストレスを防げる
犬は多くの場合、6〜12ヶ月単位で発情期を繰り返します。その都度オスの犬を誘惑するような行動をしたり、ホルモンバランスの関係で食欲不振に陥ることで精神的にストレスが溜まったりしてしまいます。
手術をしてケアをしてあげることで、これらの状況を少なくできるでしょう。愛犬のストレスのみならず、飼い主様の皆さまの負担まで軽減できるので、デメリットと照らし合わせたうえで手術の実施をおすすめします。
生理のトラブルを防げる
人間と同様、犬にも生理が存在します。その時に出血でどうしても家の中を汚してしまうことがあるでしょう。
避妊手術をすることで、飼い犬自身がストレスを抱えるだけでなく、望まない妊娠を避けられるとともに上記のようなトラブルまで防げます。オスを飼っている家庭や屋外に滞在することの多い環境にいる犬に避妊手術はおすすめでしょう。
犬を避妊するデメリット
犬の避妊手術は、良いことばかりに思えますがデメリットもあります。以下で具体的にデメリットを2つ紹介します。
手術で体調を崩す可能性がある
避妊手術をした後に体調を崩すリスクがあります。傷口から痛みが生じたり、神経質になっていたりと原因はいくつか考えられます。術後のケアについては後に詳しくご紹介しますが、手術自体が犬に負担がかかることを覚えておきましょう。
またストレスによりぐったりすることや排泄がうまくできないなど、飼い主様としても心配になってしまうでしょう。
妊娠できなくなる
避妊手術により犬は妊娠できない身体になります。一般的に卵巣と子宮を同時に摘出するため、飼い犬の発情と妊娠可能性が完全に失われることとなります。
成長過程で家族として新たな飼い犬が欲しくなったとしても、飼い犬から子供が生まれることはありません。それほどの選択であることを念頭に置き、ある程度将来設計を立てたうえで判断することが大切です。
避妊手術はいつすべきか
避妊手術をする際は、生後6ヶ月前後が適切でしょう。犬は多くの場合、生後6〜12ヶ月前後で初めての発情期を迎えます。発情期を迎えると、上記で説明した通りさまざまなトラブルが伴います。
特に病気へのリスクは計り知れません。最初の発情期前に避妊手術をすることで、乳腺腫瘍のリスクを最大限低くできますが、時期が遅くなればなるほどリスクは高まっていきます。
犬の避妊手術の値段
避妊手術の相場は20,000円前後でしょう。地域やクリニックごとに金額が上下することはもちろん、犬種やサイズにより金額は異なります。また獣医師にも得手不得手はあるため、複数の動物病院にて相談、見積もりをしてもらいましょう。
避妊後は飼い犬にどう接すべきか
手術というのは動物にとってとても負担のかかるイベントです。手術自体はもちろん、その後のフォローも同じように大切です。飼い主様としてできるだけのサポートをし、飼い犬が1日でも早く快適に過ごせる環境づくりをしてあげましょう。
以下では大きく3つ紹介していきます。手術日当日の夜の接し方や患部の扱い方、清潔な体の保ち方をすべき理由とともに具体的な方法までご紹介します。
手術日当日の夜は特に慎重に接しましょう
手術日当日の夜は飼い犬に一番負担がかかっている状態です。無事に手術を終えたら、まずは犬のフォローに徹しましょう。特に手術日とその次の日は誰かが見ていられるよう予定を調整しておく必要があります。
術後の食事についてですが、手術のために前日からご飯を与えられていない場合が多いです。急な食事は嘔吐や下痢の原因となってしまうため、少なめにお腹に優しいものを与えてください。
患部は触らずに抱っこや散歩をする
手術後は患部の扱いについて、注意をはらう必要があります。うっかり触ってしまうと、傷口から細菌が入ることで回復が遅れてしまうことがあるため、常に幹部を確認し、抱っこの際には慎重になることが求められます。
また、犬自身が舐めてしまうこともあるため、その場合はエリザベスカラーや術後服などを用いて防止することが必要です。
.術後は体を清潔に保つ
手術後は飼い犬の体を清潔に保つ必要があります。傷口から細菌が繁殖してしまったり、免疫が落ちていたりすることで、回復が遅くなる危険性があるからです。対策としては幹部を中心に洗ってあげたり、清潔な環境を保ったりする方法があります。
特に環境整備についてですが、犬が使っている寝具や毛布は手術日前に必ず洗っておくことをおすすめします。手術によりストレスの溜まっている飼い犬がすぐに安心して眠れる場所を整えておくことで、適切なケアとなるはずです。
飼い犬が快適に過ごすために避妊手術が必要
犬の避妊手術をすべきとはわかっていても、知らないデメリットだったり術後のケアが最重要だったり、理解しておくべき事項がたくさんあります。
ただそれら含めても避妊手術には多くのメリットが存在するため、飼い犬の明るい未来を守るためにも検討してみると良いでしょう。
またこれらはすべて飼い主様やその家族様で考えるだけでなく、必ず獣医師の判断を仰ぐことをおすすめします。犬はそれぞれ異なる部分があるため、大切な意思決定には専門家の声も取り入れることが重要です。