「しっぽで愛犬の感情が分かるって本当かな」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

犬は言葉を持たない代わりに、しっぽを使って飼い主様へ自分の気持ちを伝えています。喜びといったポジティブな思いから恐怖などのネガティブな思いまで、幅広い感情をしっぽで表現しているのです。

本記事では、犬のしっぽで分かる犬の感情や犬種ごとのしっぽの特徴について解説していきます。

犬のしっぽの役割とは?

犬のしっぽの役割とは?

犬のしっぽは犬の体の一部分ですが、身体的に重要な役割を担っているだけでなく犬の精神面にも関係しています。犬のしっぽの役割を知り、よく観察することで心身ともに現在の愛犬の情報を得ることができるのです。

体のバランスをとる

犬のしっぽは、犬の体においてバランスを取る機能を果たしています。思いきり走り、高くジャンプをしても体勢を崩さないようにしっぽでバランスをとっているのです。

犬は水中を泳ぐこともできますが、泳ぐ際にはしっぽで進む方向のバランスを取ります。犬の体を支える大切なしっぽですが、なかには子犬の頃に断尾(しっぽの一部を切り落とすこと)された犬種もいるのです。

トイプードルやコーギーが代表的であり、狩猟犬である歴史から断尾されています。狩猟犬時代はしっぽを家畜に踏まれないため、現在は怪我を防ぐためという理由です。

しかし、現在のヨーロッパでは行われていません。ペットとして犬を飼うならば、健康のためにも断尾はしないようにブリーダーへ頼むことも大切です。

体を温める

犬は寒さを感じて体を丸めるときに、しっぽを体に巻きつけます。しっぽは体を温める役割もあるのです。鼻先にしっぽをくっつけて冷たい空気を吸わないようにすることもできます。

しかし、長時間にわたり体にしっぽを巻きつけている場合は病気による症状が原因かもしれません。しばらく様子を見たのち、動物病院を受診し獣医師の診察を受けましょう。

感情を表現する

犬は人間と違って話すことができない代わりに、しっぽを振って感情を表現します。しっぽを振る速さや高さを変えながら、ボディランゲージのように相手とコミュニケーションを取るのです。

犬にも表情はありますが、人間ほど分かりやすくはありません。表情の観察も大切ですが、愛犬のしっぽの振り方や位置を観察する方法の方がより意思疎通ができます。

犬のしっぽが示す7つの感情表現

犬のしっぽが示す7つの感情表現

犬のしっぽが示す感情表現は無数にありますが、なかでも代表的な7つの仕草を紹介しましょう。行動や鳴き声だけでなく、しっぽの動きもチェックしながら愛犬の状況を把握してあげてください。

【喜び】立てた状態で左右に振る

しっぽを立てた状態で左右に振る場合は喜びを示すサインです。特に、左右に振りながら吠えている場合は興奮している可能性が高いでしょう。

何かに興味を抱いている状況でも同じような振り方をします。服従しつつも飼い主様への好意を示していると判断してください。

【楽しさ】激しく振る

激しくしっぽを振っているときは楽しくてしょうがないことを示しています。かなりの興奮状態にあることでしょう。

ときには、しっぽをちぎれそうなほど振りながら吠えることもあります。あまりに興奮しすぎていると他人や他の犬の迷惑になるため、注意が必要です。

【リラックス】下げたまま左右に振る

しっぽを下げたまま、左右に振っている場合はリラックスして落ち着いていることを示しています。おやつを期待していることもあるため、与えても良い時間帯と量であれば与えてください。

しっぽの先だけを小刻みに振っているときは、緊張または不安を抱えていることもあります。ストレス要因になりかねないため、どのような状態のときに小刻みにしっぽを振るのか観察しましょう。

【誇示】上側に巻く

しっぽを上側に巻いている状態は自分を誇示していることを示しています。自信に溢れ、支配欲を示しているともいえるでしょう。

しかし、パグや秋田犬のように、もともと上側に巻いている場合は判断しにくいです。普段から愛犬のしっぽを観察して僅かなサインを見逃さないようにしてください。

【不安】だらんと下がっている

しっぽがだらんと下がっている場合は何かに不安やストレスを感じていることを示しています。疲労状態を表していることもあるため、散歩や遊びの最中に時々確認するようにしてください。

しっぽが下がり始めたと思ったら、すぐに帰宅することが大切です。特に子犬や老犬の場合は疲労により体調を崩すことも考えられます。いくら休ませてもしっぽが下がったままで、様子もおかしいと感じたら獣医師に相談しましょう。

【恐怖】内側に丸める

しっぽを内側に丸めている場合は、恐怖を感じていることを示しています。人間の大きな声や雷や花火の激しい光に驚いていることも考えられるでしょう。

雷など突然の災害には飼い主様も驚き、恐怖を感じるかもしれません。しかし、飼い主様が恐怖や不安を感じていると、愛犬にも伝わります。気を強く持ち、愛犬に寄り添って落ち着かせてあげることが大切です。

【警戒】ピンと立てる

しっぽをピンと立てている場合は、何かを警戒していることを示しています。物事に集中していることもあれば、何かを威嚇し攻撃の構えをとっている場合もあるでしょう。

警戒心の強い犬であれば、見知らぬ人間や他の犬に対して攻撃心を抱きやすいです。また、体に対して水平にしっぽを立てて伸ばしている場合は現在の状況を確認しているサインになります。

犬のしっぽは犬種ごとに違う?

犬のしっぽは犬種ごとに違う?

犬のしっぽの形は犬種ごとに違い、犬それぞれが個性的なしっぽを持っています。普段からしっぽの形をよく観察しておき、愛犬の感情をすぐ読み取れるようにしておきましょう。

立ち尾

立ち尾とは、根本から垂直に真っ直ぐ立っているしっぽのことです。代表的な犬種として、ジャーマンシェパードやビーグルが挙げられます。

短毛種の場合はしっぽの毛も少なく、しっぽによる感情表現が非常に分かりやすいです。一方で、ドアにしっぽを挟んで怪我をする可能性もあるため、玄関や車の開け閉めには十分に注意してください。

飾り尾

飾り尾とは、鳥の羽のようにふさふさしたしっぽのことです。代表的な犬種としては、ダックスフンドやゴールデンレトリバーが挙げられます。

長毛種に多く見られるため、ブラッシングが欠かせません。さらに、フラッグテールとも呼ばれるほど長く大きいため、お子様のいる家庭では無理に引っ張られて痛める可能性があります。大人である飼い主様が必ず間に入って止めるようにしてください。

犬のしっぽを知って愛犬のきもちを知ろう

犬のしっぽを知って愛犬のきもちを知ろう

本記事では、犬のしっぽで分かる犬の感情や犬種ごとのしっぽの特徴について解説しました。犬のしっぽはまだまだ謎が多く、世界中で研究が進められています。

とはいえ、しっぽが犬にとって大きな役割を担っていることは間違いありません。体の動きから感情表現まで、肉体的にも精神的にも日々の暮らしに欠かせない部分です。

感情を理解することは意思疎通につながります。犬との絆を深めるためにも、しっぽの観察を怠らないようにしてください。