愛らしい見た目とフレンドリーな性格、抜け毛が少なく飼いやすいトイプードルは常に人気犬種の上位ですね。トイプードルを家族として迎えるために、気を付けるべき病気やケガなどを事前に知っておきたいという方も多いでしょう。今回の記事では、はじめにトイプードルの特徴をお伝えします。また、トイプードルに多いケガや病気とその治療法や治療費の目安についてお伝えします。
目次
トイプードルの特徴と性格
はじめにトイプードルの特徴や性格について解説します。トイプードルの原種は大型犬のスタンダードプードルで、泳ぎが得意で水猟犬として活躍していた歴史があります。トイプードルは非常に頭が良く身体能力も高い犬ですが、骨は細く繊細です。そのため、高いところから飛び下りたり、高くジャンプしたりすると骨折しやすいので注意が必要です。
プードルはふわふわの毛を持っていますが、シングルコートと呼ばれる下毛のない一層タイプの被毛です。抜け毛が少ない点が飼いやすさのひとつですが、巻き毛が絡まって毛玉をつくりやすいため毎日のブラッシングが大切です。できた毛玉は放置するとフェルト状にかたまり、これを取ろうとして引っ張ることで皮膚を傷つける心配があります。また、耳が垂れているため熱や湿気がこもりやすい点にも注意が必要です。
トイプードルの性格は明るくフレンドリーで甘えん坊だと言われています。飼い主様が大好きな犬種なので、お留守番の時間が長いと大きなストレスを抱え、いたずらをしやすくなったり分離不安症になったりすることもあります。もちろん性格に関しては育て方次第という点も忘れてはなりません。
トイプードルに多いケガ・病気8選
ここまでお伝えしたような特徴もあいまって、トイプードルにはかかりやすいケガや病気があります。ここでは特にかかりやすいケガや病気を8つ具体的にご紹介し、治療法や治療費用の目安をお伝えします。なお、費用は重症度によっても大きく異なり、動物病院によっても差がありますのでおおまかな目安だと考えてください。
外耳炎
外耳炎は、耳の穴から鼓膜までの間である「耳道」で細菌や真菌(カビ)の一種であるマラセチアが繁殖することや、耳ダニなどの寄生、アレルギーなどが原因となって炎症がおこる病気です。耳が垂れている犬は湿気がこもるためこの病気にかかりやすく、トイプードルに最も多いと言われている病気のひとつです。
外耳炎になると黒や茶色の耳垢が大量に発生し、耳から異臭がしたり、痛みやかゆみが出ます。治療法は耳の中の洗浄や点耳薬の使用ですが、重症化すると手術が必要なこともあり、この場合の治療費の目安は10~15万円程度だと言えます。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝のお皿である「膝蓋骨」が本来はまっているはずの溝から外れてしまうのが膝蓋骨脱臼です。トイプードルのような小型犬では、膝蓋骨が内側にずれる「内方脱臼」が起こりやすいのが特徴です。高いところから飛び降りたり、急に転んだりしたときの衝撃が引き金となることが多いですが、発症には膝蓋骨がはまる溝が浅い、また膝周囲の筋肉が薄いという小型犬の身体的特徴が関係しています。
後ろ足を後ろに伸ばして自分で脱臼を直す子もいますが、本来の治療には手術が必要です。治療費は脱臼のグレードによっても異なりますが、最低でも20万円程度、重症の場合は50万円程度だと言えます。
前肢骨折
トイプードルの前足はとても細いですが、持ち前の性格からソファーなどの高所から飛び降りてしまうことも多く、前足を骨折しやすいと言えます。また、フローリングなどで滑った拍子に骨折することもあります。足の裏の毛が伸びて肉球にかかっていたり、爪が長かったりすると転倒などのリスクは上がります。ケガの防止のためにも足裏の毛を刈る、爪を短くするといったケアはこまめに行い骨折を予防しましょう。
骨折の治療のためには手術が必要です。費用は骨折の程度によっても異なりますが、20万円程度が目安です。ただし骨折の状況によっては100万円程度かかることもあるでしょう。
流涙症
トイプードルの目の周りが涙で濡れている、また涙やけで茶色く変色しているのを見たことがある方も多いでしょう。この症状は「流涙症」と呼ばれる状態です。アレルギーや逆さまつげなど何らかの目の疾患で涙が異常に増えたり、涙が通る鼻涙管がつまったりして目から涙があふれることが原因です。
治療のためには原因を調べる必要があり、原因によって治療方法や治療費は異なります。トイプードルに多い鼻涙管閉塞が原因の場合、手術によって閉塞を解除することもあり、この場合の治療費の目安は20万円~40万円程度でしょう。
進行性網膜萎縮症
進行性網膜萎縮症は、トイプードルに多い遺伝性の目の疾患です。目の一番奥にある、光や色を受容する網膜が徐々に変性や萎縮をして、だんだんと目が見えにくくなり最終的には失明してしまう病気です。この病気になると、はじめは暗いところで目が見えにくくなり、進行すると明るい場所でも目が見えにくくなります。
進行性網膜萎縮症は現在の獣医療では治療方法がありません。飼い主様としては、部屋の模様替えをあまり頻繁にしない、餌皿などは決まった場所に置くなどでサポートしてあげると良いでしょう。
若年性白内障
目の中でレンズの役割を果たしている透明な水晶体が白く濁ってしまうのが白内障という病気です。人の場合、白内障の大きな要因は加齢ですが、犬では6歳までに発症する若年性の白内障が多いです。トイプードルは特に若年性白内障になることが多い犬種で、1歳ごろから注意が必要です。
白内障の治療には、手術する方法と目薬などによる内科的処置があります。目薬による内科的な治療では完治させることはできませんが、病状の進行を遅らせることができます。手術では視力の回復が期待できますが、合併症のリスクもあるためが高まるため方針については獣医師とよく相談してみましょう。手術の費用の目安は両目で50万円前後が多いでしょう。
気管虚脱
気管虚脱は、本来はホースのように断面が丸いはずの気管が平たく潰れてしまう病気です。原因としては遺伝的要素や高温多湿による環境要因などが挙げられます。リードを強く引っ張って喉が圧迫されることや、吠えすぎによる喉への負荷や肥満などが原因となることもあります。
気管虚脱になると、呼吸の際に「ガチョウの鳴き声」と言われるようなガーガーした音が聞こえるようになります。愛犬の呼吸の音に異変を感じたらできるだけ早めに動物病院を受診しましょう。気管虚脱は完全に治すことはできません。対症療法を続けることになるため、1回の通院で数千円~数万円が治療費の目安だと言えます。
レッグペルテス(大腿骨頭壊死症)
レッグペルテスは、太ももの骨の一番上端の「大腿骨頭」が壊死をおこして関節炎や骨折を引き起こす病気です。原因はわかっていませんが、トイプードルなどの小型犬に多く、遺伝が要因していると言われています。治療には手術が必要で、費用の目安は20万円~30万円です。重症化すると手術後のリハビリも長引くことが多いため、リハビリ費などがさらにかかることも考えられます。
トイプードルとの生活には繊細な体への配慮が必要
今回の記事ではトイプードルがかかりやすい病気やケガについて詳しくお伝えしました。飼いやすいイメージのトイプードルですが、他の犬種よりも室内での骨折などに気を配る必要のある犬種です。また、いざという時に治療費の心配をしないですむように、ペット保険への加入を検討するのも良いでしょう。