マンチカンのお迎えを検討しているものの「病気になりやすい」「飼ってはいけない」などの情報が多く心配という方も多いでしょう。マンチカン最大の特徴として短足が挙げられますが、短足は全体の2割程度で、普通の猫と同様の長足や、短足と長足の中間である中足もいます。遺伝的に短足のマンチカンがかかりやすい病気もあるため、お迎えの際に知っておくことも大切だと言えます。今回の記事では、マンチカンがなりやすい病気と飼う際のポイントをご紹介します。
目次
マンチカンがなりやすい病気9つ
はじめにマンチカンがかかりやすいと言われている代表的な病気を9つご紹介します。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にある椎間板というクッションの役割を果たしている部分が変性し、本来ある位置から飛び出して神経を圧迫する病気です。発症部位は首周辺、胸周辺、腰周辺などが中心で、ヘルニアが起こっている部位によって症状も異なります。代表的な症状は発症部位の痛みやふらつき、足を引きずるなど歩行の異常です。原因には外傷などをはじめとした背骨への負担が挙げられ、短足のマンチカンでは腰への負担が大きいことからこの病気になりやすいと言われることがあります。
関節炎
関節炎とは関節が何らかの原因で本来の正常な構造を失う病気です。猫の関節炎の場合、関節や周辺組織の変形が原因となる「変形性関節症」と呼ばれる病態が多いことが特徴です。関節周囲の変形は、加齢や肥満など関節周辺への負荷が原因となるため、椎間板ヘルニアと同様に、足腰への負担が大きい短足のマンチカンがかかりやすいと言われることがあります。また、あとからお伝えする「骨軟骨異形成症」という病気が関連することもあり、マンチカンがかかりやすいと言えます。
毛球症
この病気は、グルーミングなどで飲み込んだ自分の毛が胃や腸に詰まることで発症します。食欲不振、便秘、下痢、嘔吐、腹痛などが主な症状です。猫は日常的に自分の毛を飲み込みますが、通常食べたものと一緒に消化管を通過して便と一緒に排泄されます。しかし、長毛種の猫や、何らかの原因で毛繕いが異常に増えた猫の場合、毛が上手に排泄されずに毛球症になることがあります。マンチカンには短毛種と長毛種がいますが、特に長毛種で注意が必要な病気です。
猫伝染性腹膜炎
猫伝染性腹膜炎(FIP)は、猫が持っているコロナウイルスが病原性の高いウイルスに変異することで発症します。症状には主に神経症状を呈する「ドライタイプ」とお腹の中の臓器を守る腹膜が炎症してお腹や胸に水が溜まる「ウェットタイプ」の2つのタイプがあります。この病気は、現段階では発症原因が解明されておらず、完治も難しいため、発症した場合は対症療法による治療が中心となります。純血種の猫が発症しやすいと言われることがあり、マンチカンも好発種のひとつだと言えます。
外耳炎
ダニやアレルギー、耳のケア不足などが原因となり、耳の穴から鼓膜までの部分の外耳に炎症が起きる病気です。猫がこの病気を発症すると、耳に違和感を持つために、しきりに耳を掻いたり、頭を振ったりするなどの症状がみられます。放置すると中耳や内耳に炎症が波及することもあり、駆虫薬や点耳薬での治療が必要となります。マンチカンの中にはスコティッシュフォールドとの交配で誕生する折れ耳のマンチカンが存在します。耳が折れていると、耳内部で病原体が増殖しやすいため、外耳炎になりやすいと言えます。
下部尿路疾患
下部尿路疾患とは、膀胱尿石などをはじめとした結石症や膀胱炎、尿道閉塞などの下部尿路系に発症する病気のことです。猫は下部尿路疾患にかかりやすく、マンチカンもかかりやすいと言えます。下部尿路疾患では頻尿や排尿姿勢を取ってもなかなか尿が出ない排尿困難、血尿などの症状がみられます。排尿が全くできない場合は命に関わる場合もあるため、早めの治療が必要となります。
慢性腎不全
慢性腎不全とは腎機能の低下が長い期間続く状態を示し、上でお伝えした下部尿路疾患と共に猫全体で非常に多い病気です。腎機能の低下を引き起こす要因には様々なものが挙げられますが、マンチカンの場合、腎臓に嚢胞と呼ばれる内部に液体が貯まった袋がたくさんできる「多発性嚢胞腎」と関連するケースがあります。慢性腎不全になると、腎臓の機能そのものを元の状態に治すことはできないため、対症療法によってできるだけ腎機能の低下を防ぐことが中心となります。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、7歳以降のシニア期の猫で発症することが多い病気です。首にある甲状腺から分泌されるサイロキシン(T4)というホルモンが過剰に分泌されることが原因となります。サイロキシンの働きは代謝を上げて体を活発化させることです。そのため、サイロキシンが過剰になると体の代謝が異常に亢進して、食欲があるにもかかわらずどんどん痩せる、水をがぶがぶ飲む、昼も夜も鳴き続けるなどの症状がみられることがあります。
骨軟骨異形成症
骨軟骨異形成症は遺伝病のひとつであり、短足のマンチカンがかかる可能性が高い病気です。骨や関節、軟骨の形成に異常が生じて手首や足首の関節に「骨瘤」と呼ばれるこぶが形成され、関節の可動域が狭くなります。痛みを伴うため、歩き方がぎこちなくなり生活全般に支障がでることもあります。
マンチカンを飼う際のポイント
ここまでマンチカンがかかりすい病気について詳しくお伝えしました。ここではマンチカンと生活する中で注意すべきポイントを4つご紹介します。
運動ができる環境を整え、体重を管理する
体重が増えると足腰への負担がかかりやすいため注意が必要です。マンチカンは見た目から運動が苦手だと思われがちですが、高いジャンプ力を持つ猫種です。運動のために、キャットタワーなどを設置して積極的に垂直方向の動きを促すと良いでしょう。ただし、足腰への負荷が大きくかかるような過度な運動は避けましょう。
水を飲める環境も整えておく
下部尿路疾患や腎臓などの病気を防止するためにはしっかりと水分補給をしてしっかりと尿を排泄することが大切です。そのための環境として、水飲みはひとつではなく猫のお気に入りの場所に複数個所設置すると良いでしょう。猫は動く水を好む傾向があるため、電動式の水飲み器を設置するのもおすすめです。水分量が多いウエットフードを食事に取り入れるのも良いでしょう。
こまめにブラッシングをする
毛球症予防のために、定期的にブラッシングをしましょう。特に毛が生え変わる換毛期はこまめにブラッシングが大切です。ブラッシングは毛並みを整えるだけでなく、飼い主様とのコミュニケーションの時間になり、体調の変化に気づきやすくなるなどのメリットもあります。
定期的に動物病院へ連れて行く
猫は体調の悪さを隠すことがあるため、飼い主様が注意していても病気を見落とすこともあります。定期的に健康診断を受けて血液検査やレントゲンなどのデータによって健康状態を客観的に把握すれば病気の早期発見にもつながります。
検討と準備を万全にしてマンチカンをお迎えしましょう
今回の記事ではマンチカンがかかりやすい病気を詳しくお伝えし、飼育ポイントもご紹介しました。本文でも解説した通り、マンチカンにはかかりやすい病気が複数あります。できるだけ病気を予防するためにも、お迎えの前に快適に暮らすことができる環境作りが欠かせません。いざという時にために医療費などの準備も必要でしょう。しかし、万全の体勢を整えれば、人懐っこく明るい性格で飼い主様の生活に彩と癒しを与えてくれるでしょう。