「犬の脱水症状ってどのくらい危険なの?」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
人間と同じように犬も脱水症状になります。しかし、軽い脱水症だからといって甘くみてはいけません。脱水症状から重篤な病気を発症することもあるのです。本記事では、犬の脱水症状の原因や治療法、予防方法に関して解説していきます。
目次
犬が脱水症状になる原因とは
脱水症状とは、体全身の水分が通常より必要以上に失われている状態のことです。犬は体重の約70%が水分でできており、そのうちの10%が失われると脱水症状になります。10%以上失ってしまえば、体の臓器を正常に保てなくなり死に至る危険性もあるのです。
恐ろしい犬の脱水症状の原因には、「利尿剤の服用」「下痢や嘔吐」「腎臓病や糖尿病」などが関係しています。脱水症状のサインを直ぐに察知できるよう、愛犬の様子を日々よく観察しておきましょう。
利尿剤の服用
心臓疾患などの治療で利尿剤を服用している場合は、尿が増え排尿とともに水分も急激に減ってしまいます。その結果、脱水状態になることがあるのです。
しかし、病気の治療薬として利尿剤を処方されている場合は、独自の判断で止めてはいけません。獣医師の指示通りに服用させ、普段より多めに水分を摂取させることを意識しましょう。
下痢や嘔吐
食事内容によって下痢や嘔吐の症状が出た場合も、脱水症状が起きます。子犬や老犬にとって、繰り返し起こる下痢や嘔吐は体力的にも危険です。
ほかにも、副腎皮質機能低下症や熱中症による下痢や嘔吐も脱水症の原因になります。特に、熱中症の初期症状として、犬が大きく口を開いて「ハアハア」と浅く呼吸する「パンティング」をしたときは要注意です。
パンティングから下痢や嘔吐へと症状が悪化し、脱水症もひどくなります。愛犬がパンティングをし始めたら、水分補給や体を冷やすなど早めの応急処置をしてください。
腎臓病や糖尿病
尿を作り出す腎臓が病気になった場合、脱水症状を起こしやすいです。腎機能の低下により、体内に必要な水分も排出してしまいます。
インスリン不足により血中の糖分が増える糖尿病でも、脱水症状が起こりやすいです。糖尿病は「多飲多尿」が典型的な症状であり、飲水量と排尿量が同時に増えます。
そして、排尿時に糖分と一緒に水分も過剰に排出されてしまうのです。糖尿病を患っている愛犬を飼われている飼い主様は愛犬の健康のためにも、1日の飲水量を常に記録しておきましょう。
犬の脱水症状の見分け方
犬の脱水症状を見分けるには、「歯茎や尿を確認する」「体重の増減を確認する」「皮膚の弾力を確認する」などの方法があります。
いずれも、普段から愛犬の様子を観察していないと難しい方法です。大切なペットを脱水症状にしないためにも、日頃からの健康チェックを怠らないように気をつけましょう。
歯茎や尿を確認する
歯茎が乾き、押しても色の変化が起こらない場合は脱水症状の可能性があります。また、水分が少なくなる影響でおしっこの色が濃く量も少ない場合は脱水症状を疑いましょう。
体重の増減を確認する
体内の水分量が減ると体重も減るため、体重の増減を確認することで脱水症状かどうか見分けることができます。そのためには、体重を毎日測って急激な変化を見逃さないように気をつけることが大切です。
犬も人間と同じく、環境変化によりストレスや食欲が変化して体重の増減も変わってきます。直ぐ応急処置や適切な対処法へ行動できるように日々の体重管理はきちんと行いましょう。
皮膚の弾力を確認する
皮膚の弾力を確認し弾力が失われている場合は、脱水症状の危険があります。愛犬の皮膚をつまんで皮膚の張りを確認する「ツルゴールテスト」を行い、2秒以内は正常で2秒以上は異常だと考えてください。
突然皮膚をつまむと驚く犬もいます。普段からスキンシップを取りつつ皮膚の弾力性を確かめておくことが大切です。
犬の脱水症状に関する治療方法
犬の脱水症状に関する治療方法は、「犬用の経口補水液を飲ませる」「動物病院に連れて行く」「一度に大量の水を与えない」など多数存在します。愛犬の様子を見て適切な治療方法をしましょう。
犬用の経口補水液を飲ませる
犬用の経口補水液を与えるのが1番の応急処置です。あまりにもぐったりしていて、自力で飲めない場合はスポイトなどを使って飼い主様が飲ませてあげてください。
下痢や嘔吐の場合は、体内の水分調節に必要な電解質も失われます。電解質を補給できるミネラルも摂取すると良いでしょう。スポーツドリンクでも大丈夫です。
動物病院に連れて行く
応急処置をした後は、すぐに動物病院を受診しましょう。熱中症の場合は急を要する場合もあります。移動中に水を飲ませ体を冷やしつつ、早めに病院へ向かってください。
特に子犬や老犬は体力が低いため、直ぐに動物病院を受診し獣医師に診てもらうことが必要です。
一度に大量の水を与えない
一度に大量の水を与えてしまうと嘔吐する可能性があります。常温の水を少しずつ与えましょう。
また、水を与えると同時に室内の温度も適温に調節してください。散歩など運動後の暑さによる脱水症状や熱中症の場合は、愛犬の体温を冷やすことも重要です。
季節や時期を考えると、外出先で思わぬ気温の上昇に見舞われることもあるでしょう。愛犬と外出する際は必ず外気温をチェックし必要な飲料水を持って出かけてください。
犬の脱水症状を防ぐ予防法とは
犬の脱水症状を防ぐには、「ウェットフードを取り入れる」「愛犬の1日に必要な水分量を把握しておく」などの予防方法があります。時間がかかる方法もありますが、辛抱強く試してみてください。
ウェットフードを取り入れる
水分の多いウェットフードを取り入れることで、食事から不足している水分を摂取することができます。しかし、いきなりウェットフードに変えると食べてくれない場合もあるでしょう。
一度に全てを変えるのではなく、少しずつ取り入れることが大切です。いつものドライフードに少しずつ水分を足していき、ウェットフードに慣れさせる対策方法もあります。
愛犬の1日に必要な水分量を把握しておく
犬種や個体によって1日に必要な水分量は異なります。愛犬の1日に必要な水分量を把握しておくことが非常に大切です。
犬の1日に必要な水分量の目安は体重×0.75乗×132mlで計算します。メモリのついた水飲み容器など用いて、1日の必要な水分量を摂取したか確認しましょう。汚染された水の影響を受けないために、ウォーターサーバーを設置するのも良い考えです。
犬の脱水症状を見分けて愛犬の命を守ろう
本記事では、犬の脱水症状の原因や治療法、予防方法に関して解説しました。犬の脱水症状は、外気温や病気など一年を通して気をつけなければならないものです。
脱水状態か見分けるには普段からの観察や愛犬との触れ合いが重要であり、病気の早期発見にもつながります。愛犬の脱水症状を見分けて適切な処置を取り、ペットの命を守ることが飼い主様にとって大切です。