猫の健康的な体重とは？肥満になる理由やダイエット法を解説

現代の飼い猫にとって肥満は大きな問題です。

肥満が健康に悪いという話は聞くものの、猫の適正体重や肥満の判断方法がわからない方も多いでしょう。

猫の肥満は体重だけでなく、ボディコンディションスコア（BCS）という基準で判断します。本記事では、猫の肥満の判別方法を解説します。

猫が太る理由や、猫が肥満になるとどのような健康リスクがあるかもお伝えします。ダイエット方法や猫が太らない環境づくりについてもご紹介します。

猫の健康的な体重とは？

そもそも、猫の健康的な体重とはどのくらいなのでしょうか？

以下では、猫の適正体重をお伝えします。猫は、体重だけでは肥満かどうかの判断ができません。猫の肥満について調べる方法についても解説します。

猫の適正体重は

猫は犬ほど種による体格の違いがありません。体重にもばらつきがなく、ラグラドール、メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャットなどの大型種を除くと、概ね3～5㎏程度の範囲におさまります。

猫は生まれたときは100g前後ですが、1年間でぐんぐん成長し、1歳になるとほとんど成長が止まります。1歳以降の体重が、3～5kgであれば適正体重です。

猫の年齢と平均体重

猫の成長は生後0週から12カ月齢まででほぼ完了します。1歳までの標準的なサイズの猫の平均体重は以下のとおりです。

1歳の猫は人年齢に換算するとおよそ20歳程度です。1歳以上になると猫は適正体重になると考えられます。

猫の体重の測り方

ご家庭で猫の体重を正しく測るには、猫を抱いて体重計に乗る、または猫をキャリーバックに入れて体重計に乗るといった2つの方法があります。

猫の性格や体の大きさに合わせて、やりやすい方法を選びましょう。しかし、子猫の場合は、人間用の体重計だと測りにくい場合があるので、犬猫用の体重計やキッチンスケールを使うことをおすすめします。

また、猫が動き回らないように、バスケットやステンレスボウルに入れてから体重計に乗せるとよいでしょう。

猫が肥満かどうかを調べる方法

猫の適正体重についてお伝えしましたが、猫が肥満かどうかは体重だけでは判断できません。

一番大切なのは、ボディコンディションスコア（BCS）の把握です。BCSは、猫の見た目や、触った感触で適正な状態かどうかを判断します。BCSには1～5まであり、1が痩せ、3が適正、5が肥満です。

BSC３とは、上から見たときに、腰のくびれが少しみられ、横から見たとときに、腹部がややつりあがる状態です。肋骨は見た目ではわかりませんが、触れると骨にしっかり触れます。

飼い主様自身での判断が難しいときは、動物病院で、獣医師にBSCを判断してもらいましょう。

BSCの説明　環境省飼い主のためのペットフード・ガイドライン‘ｐ14
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/full.pdf

【肥満リスク】猫が太るのはなぜ？

肥満の野良猫というのは見かけませんね。飼い猫の肥満は、生活環境が原因であることが多く、飼い主様の責任だとも言えます。

以下では、猫を肥満にしてしまう環境についてお伝えします。肥満になると、どのようなリスクがあるのかもご紹介します。

猫が太るのはなぜ？

猫が肥満になる原因は、人間が肥満になる原因と同じです。必要なカロリー以上のカロリーを摂取していることが原因です。

必要なカロリーは、猫の年齢や、避妊・去勢手術の有無、運動の有無などにより変わります。

例えば、避妊・去勢手術をした猫は発情に伴うエネルギーを使わないため、肥満になりやすいかもしれません。猫は７歳ごろから、中高齢期を迎えます。徐々に活動レベルが低下するため、若い時と同じ食事与えていると肥満になりやすいと言えます。

また、運動を好まない猫や、一日中ケージの中にいて、運動制限をされている猫は肥満になりやすい傾向があります。

食事を置きっぱなしにしていて、常に継ぎ足して猫が好きなだけ自由に食べられる環境にあると、摂取カロリーが多すぎて肥満になる傾向があります。

猫の肥満リスクは？健康への影響

見た目がぽっちゃりした猫は、一見かわいらしく見えますが、健康上の大きなリスクを抱えます。

まず有名なのが糖尿病です。また、肥満の猫の心臓や血管には、常に大きな負荷がかかります。結果、心疾患や高血圧など、循環器系の病気のリスクが高まるでしょう。

重い体重は、足腰や関節などにも負荷を抱えます。関節疾患や、椎間板ヘルニアなどのリスクも高いといえます。

さらに、過剰な脂肪が肝細胞の内部まで浸透し、脂肪肝や肝硬変などになりやすくなるかもしれません。

肥満は猫の寿命にも関わる多くの疾患の原因となるのです。

猫の健康的な適正体重を維持しよう

一般的に、猫の適正体重は3〜5kgです。しかし、猫の品種や体格により適正体重は異なります。

例えば、大型猫のサイベリアン・フォレスト・キャットのオス猫の適正体重は4〜8kgです。また、同じ品種でも雄と雌では体格や筋肉量に差があるため、適正体重はBCSと併せて判断する必要があります。

適正体重から大きく外れた場合は病気のリスクが高まるため、定期的に体重を測って適正体重を維持するようにしましょう。

猫の体重が増えることによる健康リスク

猫の体重が増えると、以前のように体がうまく動かなかったり、生活の質が低下してしまったり、健康リスクが考えられます。

以下では、猫の体重が増えることによる健康リスクを解説します。

糖尿病

猫の場合、シニア期に入ると糖尿病が見られるようになりますが、体重が増えると若い歳からでも発症するため注意が必要です。

肥満の猫の約80〜90%が糖尿病を患い、毎日のインスリン注射が必要となっています。

猫でよく見られる糖尿病は「2型糖尿病」です。糖が細胞内に取り込まれるにはインスリンが必要ですが、脂肪によりインスリンの出入り口が妨げられ、糖尿病を引き起こします。

糖尿病になると、初期は無症状のケースもありますが、時が経つにつれて水をたくさん飲んで尿を出す「多飲多尿」の症状が現れます。多飲多尿は、血液中の減らない糖を排出するために現れる症状の一つです。

また、栄養となる糖が細胞に行き渡らなければ、体は栄養を得ようとします。そのため、食欲が増加して食事量も増え始めます。

症状が進むとかかとを付けて歩くことが増えるため、上記の症状が当てはまる場合は、糖尿病の可能性が考えられるでしょう。

関節炎

猫の体重が増えると関節炎を発症します。人間も腕や足などの関節に炎症を起こすことがありますが、猫も同じように関節炎を発症するのです。

猫が関節炎を起こした場合、毛づくろいの回数が減ったり、しなくなったりなどの症状が現れます。猫は体を曲げてお腹や手足、おしり、尻尾など全身を毛づくろいをすることが一般的です。

しかし、関節炎を発症すると、痛みにより体が曲げづらくなります。毛づくろいができなくなると、毛がボサボサになっていくため、毛づくろいしていない場合は関節炎であるかもしれないことを覚えておきましょう。

肝不全

猫の体重が増えると、命にも関わる肝不全を発症します。猫の肝不全は、肝臓に異常が見られる疾患により、肝機能に大きな障害がみられるようになります。

肝臓は体内でも大きな臓器の一つであり、重要な役割を持っています。そのため、肝不全を起こしていたら十分に気をつけなければいけません。

肝不全を患っている猫に見られる症状は、食欲の低下、嘔吐、下痢、体重の減少などです。

猫がいつもより元気がなく、よく寝ている、食欲がなくご飯を残している場合は、猫が体調不良である可能性があります。また、嘔吐や下痢など、消化器症状が現れ、次第に体重も減少するでしょう。

肝不全のような症状が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。

皮膚病

猫が肥満になると、毛づくろいが難しくなり、結果的に皮膚病を引き起こすことがあります。猫は皮膚が毛に覆われているため、皮膚に炎症があっても気づきにくいです。

猫が皮膚病を患った場合、毛が抜け始めます。猫は換毛期になると毛が抜けますが、一部の毛がごっそり抜けていると皮膚にトラブルが起こっている証拠です。

皮膚病に気づくためには、スキンシップをとるタイミングで皮膚に異常がないか確認してください。

【健康的なダイエット法】猫の体重を減らすには？

愛猫が肥満だと気づいたとき、どのようにダイエットをしたら良いのでしょうか。体重を減らすためには、食事の量と質を見直すことが一番大切です。

ダイエットは獣医師にも相談して、理想体重や必要なカロリーを知ることからスタートします。目標の体重に向けて、少しずつ長期戦で臨むことが必要です。

食事の量を見直す

ダイエットだからと言って、突然食事量を極端に減らすことは避けましょう。肥満の猫が急に飢餓状態になると、肝リピドーシスという命に関わる状態になることもあります。

猫の必要なカロリーに対して、食事をあげすぎている場合、少しずつ減らしていくことが大切です。

食事量が減ると、猫が不満に感じることもあります。

上記の場合、1日のトータルの食事量を、少量ずつ複数回に分けて与えてみましょう。全体の食事量が減っても、食事回数が増えることで猫の満足度を得られる可能性が高いでしょう。

食事の質を見直す

動物病院で肥満について相談して、減量用の療法食を処方してもらうのも良い手段だと言えます。療法食は普通のフードよりも高価ですが、効果的なダイエットができるでしょう。

多くの猫は、急に食事が変わるのを好まないかもしれません。療法食への切り替えの際は、今までのフードに新しいものを少しずつ混ぜ、食いつきや便の様子を確認しつつ、1～2週間程度かけて切り替えましょう。

療法食は、獣医師の指示のもとで食事療法に用いるために設計されています。獣医師の指示に従わないと猫の健康を損なう恐れがあるので注意しましょう。

猫に食事以外のおやつや人間の食べ残しなどを与えている場合、ダイエット中はそれらも控えるようにしましょう。

猫の健康のためにも適正体重を維持する環境を

上記ではダイエットについてお伝えしましたが、猫の健康のためには、普段から適正体重を維持してダイエットが必要のない状態であることが大切です。

以下では、適正体重の維持のために、食事や運動など飼い主様が注意できることをご紹介します。

食事の与え方に気をつける

年齢に応じたフードを選び、正しい量を与えましょう。置き餌にすると、一日の食事量を管理しにくくなるので避けましょう。

ご家庭に複数人の家族がいる場合、誰かがすでに食事を与えているのにも関わらず、他の家族がまだ食事を与えていないと思って二重に与えてしまうこともおこりやすいです。互いの情報の共有が必要です。

できれば、食事の管理をする人を決めておきましょう。

猫が運動できる環境をつくる

室内でも、猫が運動できる環境を提供しましょう。猫は平面運動より上下運動を好む傾向にあります。キャットタワーや家具などを利用して、猫が上下に動ける環境をつくると良いでしょう。

飼い主様と一緒におもちゃを使って遊んだり、追いかけっこをしたりする場合も、上下運動を意識して誘導すると運動量も増えて良いでしょう。

定期的に健康チェックを

日常的に、猫の体を上からと横からしっかり見て、肋骨に触れてBCSをチェックしましょう。食欲や便の状態なども確認する習慣をつけると良いでしょう。

定期的に動物病院を受診して健康診断を受けると、獣医師とのコミュニケーションも取りやすくなり一石二鳥です。

猫の体重が増えないようにする予防方法

猫の体重を健康に保つためには、体重が増えないように管理してあげることが大切です。猫の肥満体型を予防する方法は５つあります。

以下では、猫の健康を維持するために肥満にならない予防方法について解説します。

置き餌を避ける

猫にご飯を与える場合、ラクだからという理由で置き餌をしている方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、置き餌は肥満だけでなく衛生的にも望ましくありません。

まず、置き餌は長時間ごはんを置きっぱなしにしていると、室内でも汚れやゴミが付着してしまいます。食べ残しを時間経過してから再び食べることで、猫の唾液から細菌が繁殖して健康被害が出る場合もあるでしょう。

また、置き餌は、猫が餌を必要とするタイミングで餌を食べることにより、食事管理ができなくなります。

カロリーオーバーしてしまうと肥満になり他の健康リスクが引き起こされるため、置き餌は避けるようにしましょう。

食事をしっかり計る

猫の健康を維持するためには、食事の量を正確に計りましょう。数グラムの変化でも、猫にとって、カロリーオーバーになる可能性があります。

計量カップで正確な量を測るのは非常に困難です。そのため、計量器を使用してグラム数をしっかり量りましょう。

また、猫の大きさにより与えるべき餌の量は異なるため、事前に確認しておきましょう。

運動量を増やす

猫の健康を維持するためには、運動量を増やしましょう。室内で生活している猫は、行動範囲が限られて運動不足になりやすいです。

また、運動不足は肥満につながります。日々のエネルギー消費が足りなければ、筋肉量が落ちて基礎代謝が低下してしまいます。

そのため、適度におもちゃで遊んであげて、キャットタワーやステップを設置して体を上下に動かして運動できる環境を整えてあげましょう。

ただし、すでに猫が太っている場合は、急に運動量を増やすと猫の体に負担がかかります。そのため、いきなり激しい運動させないように気をつけましょう。

おやつを与えすぎない

猫におやつを与えると喜ぶためたくさん与えたいと感じますが、おやつを過剰に与えないように気をつけましょう。

基本的に、おやつは1日に必要なエネルギー量の20%以内におさめる必要があります。おやつを多めに与えてしまうと肥満の原因となるため注意が必要です。

例えば、猫の体重が4kgの場合、1日の必要摂取カロリーの目安は160kcal程度といわれています。そのため、おやつの適正カロリーは32kcal程度です。

おやつを与える際は、与えすぎないようにカロリー計算を行いましょう。

避妊後は専用のフードに変える

避妊後は代謝機能が低下する傾向にあり、食欲が増進してフードを食べ過ぎてしまう可能性が考えられます。

そのため、避妊後はカロリーや脂質、糖質が控えめのフードに切り替えるようにしましょう。また、肥満防止のためには、高タンパク、低カロリー、低脂肪のキャットフードがおすすめです。

キャットフードを選ぶ際は、猫が必要とする栄養素が過不足なくバランスのいい食事が摂れる「総合栄養食」を選びましょう。

健康的な体重維持が猫の長生きにつながる

飼い主様としては、猫がおいしそうに食事を食べている姿を見るのは嬉しいひとときですね。猫はちょっとふくよかな方がかわいく見えることもあるでしょう。

しかし、人間の目でみて少しぽっちゃりしている猫は、肥満かもしれません。

お伝えした通り、肥満は色々な病気のリスク要因となり、寿命を短くする可能性もあります。健康的な体重維持が猫の長生きにもつながることを意識して、猫の食習慣や運動習慣を見直し、猫の健康を守りましょう。

大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。いざお別れの時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることもあります。

そのため、ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、後悔のない最期の時を過ごすことができます。

また、悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、後のペットロスの緩和にも繋がります。

COCOペットでは、生前の終活についてのご相談も承っております。些細なご質問でも、お気軽にご相談ください。