犬の元気がないと「心の病気?」と心配や不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。犬も人と同様、うつ病のような心の病気にかかります。

本記事では、犬がかかる心の病気について解説します。心の病気の原因や改善方法についても紹介しているので、本記事を読めば、犬が心の病気にかかったときに適切に心のケアができるようになるでしょう。

犬もうつ病になる?

犬にもうつ病のような心の病気があります。

心の病気の原因は、主にストレスです。現代社会を生きるペットは、核家族化やマンション暮らしにより動物本来の運動が制限され、ストレスをためやすい環境下で暮らしています。

また、飼い主様が仕事などで留守にすることによるお留守番など、ストレスを感じる場面が増えています。

そのため、犬もストレスを感じる機会が増えており、心の病気が増えているのです。

犬の心の病気の代表例

以下では、犬がかかる心の病気の代表例を7つ紹介します。犬の心の病気にはどのようなものがあるか、確認していきましょう。

分離不安

分離不安とは、飼い主様など愛着のある存在と離れると、不安を感じて問題行動を起こす症状です。

犬は本来、群れで生活する動物のため、留守番が得意ではありません。そのため、分離不安では以下のような問題行動を起こすことがあります。

● 留守中に吠え続ける
● トイレ以外で排泄する
● ものを壊す

症状がひどいと、飼い主様がお風呂やトイレに行くだけでも不安に感じてしまう犬もいます。

常同障害

常同障害とは、ストレスや不安により同じ行動を繰り返す症状です。人間の「強迫性障害」という病気に似ています。犬では、主に以下のような行動を繰り返すことで、ストレスを解消します。

● 自分の尻尾を追いかける
● 足先を舐める
● 毛をむしる

症状がひどいと、自分のからだを傷つけてしまっても上記のような行動をやめません。

恐怖症

恐怖症とは、特定の状況で犬が過剰反応を示す症状です。雷や花火などの大きな音や、特定の場所・状況など、恐怖症の原因は犬によってさまざまです。

恐怖症では、震えたりそわそわしたりする他に、身近なものを壊してしまう犬もいます。

認知症

認知症とは、加齢による神経機能の低下により起こる症状です。夜鳴きや徘徊、そそうなどが見られます。

獣医学が発展した現在では、犬の寿命が延伸した影響で高齢化になり、認知症にかかる犬が増えています。

円形脱毛症

円形脱毛症は、ストレスにより一部の毛が脱毛してしまう症状です。ストレス解消のため、犬が自身の毛を繰り返し舐めたりむしったりすることで、脱毛してしまいます。

偽妊娠

偽妊娠とは、妊娠していないにも関わらず、妊娠に似た症状を見せる状態です。主にホルモンの影響により引き起こされ、避妊手術をしていないメスに見られます。

乳腺の張りや乳汁の分泌といった症状が見られ、中にはぬいぐるみを我が子のように離さないといった症状を見せる犬もいます。

犬が心の病気になる原因

犬が心の病気になる主な理由はストレスです。以下では、犬がストレスを感じる6つの原因について解説します。

経験不足

犬は経験不足により、ストレスを感じやすくなります。

犬は成長する過程で、さまざまな人やもの、環境に慣れるといった経験が必要です。この経験が不足し、さまざまなことに慣れていなければ、成犬になっても多くのことを恐怖に感じ、ストレスを感じてしまうでしょう。

コミュニケーション不足

犬は飼い主様とのコミュニケーション不足により、ストレスを感じます。

飼い主様とのコミュニケーションでもある遊ぶ時間は、犬にとって大切な楽しい時間です。そのため、楽しい時間が不足すると、犬は寂しさを感じてしまいます。群れで行動する犬にとって、寂しさはストレスの原因となるでしょう。

運動不足

運動不足によっても、犬はストレスを感じるでしょう。

運動は不安などの気持ちをリフレッシュし、ストレスを改善します。また、犬は本来、運動が好きな動物です。そのため、運動不足は犬のストレスを解消できないだけでなく、好きなことができないことによる新たなストレスをためる原因にもなってしまいます。

環境の変化

犬は、環境変化によってもストレスを感じます。ストレスを感じやすい環境変化は、以下のとおりです。

● 引っ越しによりハウスやトイレの場所が変わる
● 飼い主様が変わる・増減する
● 同居する犬が増える

環境が変わることによる不安感や、今までのように遊んでもらえない寂しさがストレスにつながります。

体調不良

体調不良でも、犬はストレスを感じることがあります。

体調不良の程度によっては、思うように動けなくなることも。今までできていたことが思うようにできなくなることで、犬は不安からストレスを感じるようになるでしょう。

感覚機能の低下

犬は、老化によってもストレスを感じるでしょう。

老化は視覚や聴覚といった感覚機能の低下を引き起こします。今までのように見えない、聴こえないことが、犬のストレスにつながります。

犬の心の病気を改善する方法3選

ここまでで、犬の心の病気の原因について紹介してきました。原因の理解を深めたところで、心の病気を改善する方法を3つ紹介します。

ストレスを取り除く

心の病気の原因であるストレスを取り除きましょう。

犬との生活を振り返って、犬が嫌がるサインを見せていたら、そこにストレス源があるかもしれません。ストレス源を特定して除去できれば、犬のストレスの低減につながるでしょう。

犬と一緒にいる時間を増やす

犬と一緒にいる時間を増やしましょう。

飼い主様と一緒にいれば、犬は気持ちが元気になります。また、飼い主様と一緒の時間は、犬の免疫を活発にする効果もあります。心の病気かな?と感じたときは、犬と一緒の時間を増やすとよいでしょう。

動物病院で治療する

上記対応を試みても改善しない場合には、動物病院を受診しましょう。動物病院で診療してもらえば、抗うつ剤や抗不安剤といった適切な薬での治療を受けられます。

また、数は少ないですが、犬の心の病気に詳しい動物行動診療の認定医が在籍する動物病院もあります。症状が心配な場合には、認定医を訪ねてみてください。

犬にも心の病気があることを理解し、適切にケアしよう

犬の心の病気や原因について紹介しました。

犬には人と同様に心の病気があり、主にストレスで発症します。犬の心の病気は増えており、以下が原因になっています。

● 経験不足
● コミュニケーション不足
● 運動不足
● 環境の変化
● 体調不良
● 感覚機能の低下

犬が「心の病気かな?」と心配や不安に感じることがあれば、本記事を参考に犬の心のケアに取り組んでみてください。