豊富な猫種の中でも、マンチカンは愛らしい見た目とフレンドリーな性格でペットとして人気です。

マンチカンと生活したいと考えていて、長生きしてもらうためにどうしたらいいのか知りたい方も多くいらっしゃるでしょう。マンチカンの長生きのためには食事や水分に気を配り、適度な運動をさせ、飼育環境を整えることが必要です。

今回の記事では、マンチカンはどのような猫なのかをご紹介し、長生きしてもらうためのポイントや、知っておくべきかかりやすい病気などを具体的にお伝えします。

マンチカンの特長

マンチカンの特長

はじめにマンチカンとはどのような猫なのか、体や性格の特徴をお伝えします。

短い足が特徴的な猫

マンチカンというと短い足の「短足種」を思い浮かべますが、普通の猫と同様に足の長い「長足種」や中間くらいの「中足種」も存在します。

毛色には白、黒、茶など豊富なバリエーションがあり、瞳はグリーンやヘーゼルが一般的ですがオッドアイと呼ばれる左右の瞳の色が異なる子もみられます。

マンチカンは他の猫種と比較してやや小柄な猫で、体重は2~4Kgくらいです。ただし、長足種の場合は一般的な猫種と同様3~5Kgの子も多い傾向にあります。

穏やかな性格

マンチカンの性格の特徴は、穏やかな子が多いということです。社交的な猫だといわれており、初対面の人にもフレンドリーで、他の猫との多頭飼いにも向いている子が多いでしょう。

人間に対して大変友好的な一方、甘えん坊な一面もあり、好奇心が強い子も多い傾向にあります。

マンチカンの場合、オスとメスでも性格が異なるといわれています。一般的に、オスのほうが甘えん坊で、飼い主様に依存することが多く、メスはクールな場合が多いようです。

マンチカンの平均寿命は11〜13年

マンチカンの平均寿命は11〜13年

マンチカンの平均寿命は他の猫種と比較すると、ほんのわずかに短めといわれていて、11~13歳が平均寿命です。しかし、寿命は品種によるものだけでなく飼育環境や個体差が大きく関わります。

マンチカンの寿命が他の猫種よりも短い理由は、早期に亡くなる個体が多いからといわれています。もともと、マンチカンは足の短い突然変異の個体を交配させて作られた猫種です。

足の短い個体同士で交配すると、短足の子が生まれる確率が高くなりますが、免疫力が弱く、遺伝子疾患を抱えた奇形の子も生まれてしまう可能性も高まります。

奇形で生まれてしまったマンチカンの場合、早期に亡くなる可能性が高く、成猫になる前に異常をきたして亡くなったりするケースも珍しくありません。そのため、マンチカンのなかでも寿命の差が生まれてしまうのです。

マンチカンの年齢と人間の年齢について

マンチカンの年齢を人間の年齢に換算すると以下のとおりです。

マンチカンの年齢人間の年齢
1カ月1歳
2カ月3歳
3カ月5歳
6カ月9歳
9カ月13歳
1歳18歳
1歳半20歳
2歳24歳
3歳28歳
4歳32歳
5歳36歳
6歳40歳
7歳44歳
8歳48歳
9歳52歳
10歳56歳
11歳60歳
12歳64歳
13歳68歳
14歳72歳
15歳76歳
16歳80歳
17歳84歳
18歳88歳

上記の表のとおり、マンチカンは人間の5〜6倍のスピードで成長していきます。1歳半の時点で、人間でいうと20歳に相当するといわれており、以降は4歳ずつ年を取ります。

マンチカンに長生きしてもらうためには、人間年齢に換算したときの年齢を参考に、年齢に合った生活環境を整えてあげることが重要です。

マンチカンの見た目による年齢の見分け方

マンチカンの見た目による年齢の見分け方

もともと野良猫であったマンチカンの場合、年齢がはっきりしていないことがあります。しかし、年齢が正確にわからなくても、見た目の変化から年齢を見分けられます。

愛猫に快適な生活環境を提供するためには、猫の年齢を把握しておくことが重要です。以下では、年齢ごとの見た目の変化の特徴について解説します。

歯の黄ばみ

マンチカンの年齢を確認するためには、歯に注目してみてください。子猫の時期には白い歯でも、成猫になり年を取っていくと徐々に歯が黄ばんでいきます。

茶色っぽい歯垢や口臭がでてきたら、猫はシニア期に突入していることが判断できます。さらに老化が進むと、歯がすり減ったり抜けたりするような症状も見られるでしょう。

被毛や爪の変化

年齢を重ねると被毛や爪にも変化が現れるようになります。もともと濃かった毛の色が薄くなっていったり、顔の周りに白い毛が増えていったりするのもマンチカンが老化しているサインです。

成猫のときには被毛がつやつやしていても、老化が進むと被毛が乾燥してパサパサしていくことも老化現象の一つです。また、老化により毛繕いの回数が減ると、毛玉が増えて、毛の艶もなくなっていきます。

また、老化により爪とぎの回数が減って、爪が長く伸びていくことも老化が進んでいる証拠でしょう。

目ヤニが出ている

マンチカンに目ヤニが出ていることも、年齢を見分けるポイントです。若い猫でも目ヤニが目立つことはありますが、シニア期に入れば涙の量が増えることから、より目ヤニが目立つようになります。

目ヤニが目立つのは、目の周りにほこりや汚れが付着しやすくなるからです。目ヤニが頻繁に見られる場合は、猫がシニア期に入っている可能性が考えられます。

体重の変化

マンチカンの体重や体格の変化も、猫の年齢を見分ける重要なポイントです。

シニア猫は、成猫のときよりも運動量が低下していくため、太ももが細くなっていく傾向にあります。運動量が減っているにも関わらず、食べる量が以前と変わっていない場合は肥満につながる可能性があるため注意が必要です。

以前よりも痩せたまたは太った様子が見られる場合は、老化が進んでいる可能性があるでしょう。

マンチカンが長生きするためのポイント

マンチカンが長生きするためのポイント

マンチカンをお迎えしたら、できる限り長生きをしてもらいたいですね。以下では、長生きのために飼い主様にできることをお伝えします。

食事と水分に気を配る

長生きのためには食事は大きなポイントです。マンチカンは肥満になりやすいため食事のカロリーに注意しましょう。

成猫のマンチカンに必要なカロリーは、年齢、体重、普段の運動量や不妊手術を受けているかどうかなどによっても異なりますが、一般的には体重から計算し、200~300カロリー前後となります。

肥満予防のためにはできるだけ低脂肪高たんぱく質なフードを選ぶのがおすすめです。また、食物繊維は毛球症予防になるともいわれています。

年齢と共に腎臓の病気になる子が多いため、水を飲む場所を複数用意していつでも新鮮な水を飲める環境を整えましょう。

定期的にブラッシングをする

猫は大変きれい好きな動物なので、自分でこまめに毛繕いをします。しかし、マンチカンは抜け毛の多い猫種なので、飼い主様による定期的なブラッシングも必要です。

こまめにブラッシングをすることで毛球症の予防になったり、愛猫の体調変化に気づくきっかけにもなったりするでしょう。

ブラッシングは、目の粗めのブラシで全体的な毛を取り、体全体のマッサージを行ったあと、コームを使って細かく毛並みを整えると美しい外観を保てます。

運動を促進する

マンチカンは他の猫種ほど活発に動き回ることがありません。肥満の防止や筋力アップ、関節の健康、ストレス解消のために、飼い主様が積極的に運動を促すことが必要です。

特に短足種のマンチカンは、体の構造からも他の猫種のように高いところを利用した動きが得意ではありません。できる限り地上での動きを促すことをおすすめします。

飼い主様とのコミュニケーションを好むマンチカンのためには、飼い主様がおもちゃを引きずってマンチカンに疑似的な狩りを体験させる遊びなどを取り入れると良いでしょう。

猫の近くで喫煙しない

マンチカンに長生きしてもらうためには、飼い主様の配慮が何よりも大切です。なかでも、猫の近くで喫煙しないことは猫の寿命を伸ばすことができるでしょう。

タバコの煙は、猫の健康に悪影響を与えることがあり、呼吸器疾患やがんのリスクを高める可能性があります。

また、吸い殻を誤飲してしまうと、有害物質が直接猫の体内に取り込まれる危険性が高まります。猫の健康を守るためには、猫がいる場所ではタバコを吸わないようにしてください。

避妊・去勢手術をする

マンチカンが長生きするためには、避妊・去勢手術をすることが重要です。手術を行えば、発情期のストレスや健康リスクを軽減できます。

また、未手術の猫と比べて手術を受けた猫は寿命が約1.5年長くなることが報告されています。繁殖の予定がない場合は、避妊・去勢手術を受けさせることで、病気の予防や行動の安定化につながり、マンチカンの健康を維持できるでしょう。

背の低いキャットタワーを用意する

マンチカンに長生きしてもらうためにも、背の低いキャットタワーを用意してあげるといいでしょう。マンチカンは好奇心旺盛でアクティブな性格であるため、ストレスがたまらないように室内でも遊べる場所を確保することが重要です。

しかし、マンチカンは短足の猫であるため、他の猫種と比べると跳躍力が劣っています。そのため、マンチカンの足や腰に負担を与えないためにも、キャットタワーを用意する際は低めのものを選ぶようにしてください。

高齢になるにつれて足腰は弱くなっていくため、年齢に応じてステップを用意してあげるのもいいでしょう。

誤飲につながるものを置かない

マンチカンにお留守番させる場合は、誤飲につながるようなものは置かないように気をつけましょう。誤飲は猫の内蔵を傷つけたり、体調を崩したりする原因です。

お留守番の際に誤飲してしまい、何を食べてしまったか分からなければ、対処法も困難となります。そのため、最初から猫が口に入れてしまいそうなものは置かないようにしてください。

飼育環境を整える

マンチカンを長生きさせるためには、室内飼いを徹底してください。猫は外飼いでも問題なく飼いやすいペットですが、外飼いは猫の寿命を短くする原因です。

万が一、マンチカンを外飼いすると、ノミやダニに寄生されたり、野良猫から病気を移されたり、交通事故にあったりする可能性が高まります。

また、飼い主様の目が届きにくくなるため、猫の体調の変化に気づきにくくなり、病気が潜んでいても気づけないことも珍しくありません。

マンチカンに限らず猫全般にいえることですが、完全室内飼いの猫の方が外に出る猫よりも寿命が長いことがわかっています。

令和5年の「全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)」の調査によると、完全室内飼いの猫の平均寿命が16.25歳、外に出ることのある猫の平均寿命は14.18歳でした。

マンチカンの長生きのためには完全室内飼いがおすすめです。

定期的に健康診断を受ける

病気の早期発見のためには定期的な健康診断が必須です。猫には病気を隠す習性があるため、客観的なデータを元に獣医師による健康の評価を年に1~2回は受けることをおすすめします。家庭でも、体重測定や排泄物のチェックなど、できる範囲のチェックを行いましょう。

マンチカンがかかりやすい4つの病気

マンチカンがかかりやすい4つの病気

長生きのためにはあらかじめマンチカンがかかりやすい病気について知っておくことも重要です。以下では、マンチカンがかかりやすい病気を4つご紹介します。

骨軟骨異形成症

マンチカンやスコティッシュフォールドなどに多い病気で、軟骨の成長に異常がでて「骨瘤」と呼ばれるこぶ状のものができる遺伝性疾患です。

異常が軽度なうちは無症状ですが、進行すると痛みによって日常生活が送れなくなることがあります。治療法も確立されておらず、一度発症したら生涯痛み止めなどでの対症療法を中心に、生活の質を落とさない工夫が必要となります。

毛球症

毛球症は、猫の毛が胃や腸などの消化管に塊状に溜まることで危険な症状を引き起こす病気です。原因は、痛みや痒みなど皮膚自体に問題があること、またはストレスなどによって毛繕いが増えることです。

マンチカンはもともと抜け毛が多いため毛繕いで飲み込む毛の量も多くリスクが高いといえます。毛球症になると頻繁に吐く・食欲低下などの症状がみられることが多い傾向にあります。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間でクッションとなっている「椎間板」が変形して歪み、正しい位置から飛び出している状態です。

飛び出した椎間板が神経を圧迫することで、腰のあたりに痛みが出たり、ふらつきや足を引きずるなど歩行異常がみられたりするようになります。原因としては背骨への負荷が挙げられるため、肥満のマンチカンなどが椎間板ヘルニアになりやすいといえます。

外耳炎

外耳とは耳の穴から鼓膜までの間です。この部分に、細菌や寄生虫などが原因で炎症がおこる病気を外耳炎といいます。耳が垂れていたり折れていたりすると耳の中の通気性が悪く発症しやすいといわれています。

外耳炎になると、耳から異臭がしたり黒い耳垢が出たり、猫が頻繁に耳を気にする素振りがみられるようになるでしょう。放置すると中耳炎や内耳炎に波及することもあるため、動物病院で外耳の洗浄と適切な薬を処方してもらう必要があります。

マンチカンを飼うのが向いている人の特徴

マンチカンを飼うのが向いている人の特徴

マンチカンは愛らしい性格と見た目であることから、人気の猫種のひとつです。しかし、必ずしも全員がマンチカンを飼うのに向いているというわけではありません。

以下では、マンチカンを飼うのが向いている人の特徴について解説します。

室内の段差に気を使ってあげられる人

マンチカンは足が短い猫種であり、人気な理由の一つです。しかし、人間の暮らす環境にある段差や階段は猫にとって負担となりやすく、場合によっては足腰を怪我してしまう可能性があります。

しかし、マンチカンも高いところを好む傾向にあるため、足が短くても高いところまで登ってしまうことも珍しくありません。

マンチカンの安全を確保してあげるためには、自宅の段差を減らしたり段差を登れないようにしたり、また猫用の低い階段を追加してあげたりするなど工夫をしてあげてください。

毎日遊んであげられる人

マンチカンは基本的にマイペースな性格で、一人で遊んで満足し、そのまま寝てしまうということも珍しくありません。

しかし、マンチカンは適切な運動時間を確保できていなければ、太ってしまいます。肥満になると他の病気を引き起こす危険性も高まります。

そのため、毎日マンチカンと一緒に遊んであげて、運動時間をしっかり作ってあげられる方が飼い主様にぴったりでしょう。

マンチカンの特徴を良く知り長生きを目指そう

今回の記事では、マンチカンの特徴をお伝えし、長生きのためのポイントや知っておくべきかかりやすい病気について解説しました。

マンチカンは人懐っこい性格で猫の飼育初心者にも飼いやすい猫種です。ただし、短足種であることや抜け毛が多いこと、いくつかの遺伝病に注意が必要な点などの配慮も必要です。

まずはマンチカンについてよくリサーチして、家族にお迎えする際にはできるだけ長生きできるように生活環境を整えましょう。

大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。いざその時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることも珍しくありません。

そのため、ペットが元気なうちから、ペットの看取りや葬儀などをどうするのかを考えておくことで、後悔のない最期の時を過ごすことができるでしょう。また、悔いなくきちんとペットとお別れをすることは、その後のペットロスの緩和にもつながるはずです。

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