文鳥は姿がかわいらしく、人懐っこい性格からもペットとして大人気です。文鳥と生活したいと考えている方も多いでしょう。家族としてお迎えするには、文鳥の平均寿命や、長生してもらうための方法、飼育のコツが気になりますよね。文鳥の平均寿は8~10年と言われていますが、飼い方によっても変わってきます。今回の記事では、文鳥の平均寿命について解説し、長生きのためのポイントや、知っておくべきかかりやすい病気、長生きさせるための具体的な注意点などをお伝えします。
目次
文鳥の平均寿命は8~10年で個体差がある
文鳥の平均寿命は概ね8〜10年です。しかし、10年以上生きる子もいれば早くに亡くなる子もいます。公式な記録ではありませんが、18歳まで生きた文鳥もいるそうです。
寿命には生活環境の他に性別や種類が関わるとも言われており、一般的にはオスの方が長生きすると言われています。メスは産卵で体力を消耗しやすく、卵詰まりや卵管の病気など生殖器系の病気が多いからです。
文鳥には様々な種類がいて、原種や、原種に近い桜文鳥、白文鳥などは長生きしやすく、改良の進んだシルバー文鳥やシナモン文鳥などは寿命が短いことが多いと言われています。しかし寿命に関わる最も重要な要因は生活環境と個体差だと言えるでしょう。
文鳥に長生きしてもらうための3つのポイント
上でお伝えしたように、文鳥の寿命には生活環境が大きく関わります。ここでは文鳥に長生きしてもらうためのポイントを3つご紹介します。
バランスの取れた食事
長生きのためには食事の栄養バランスが重要です。一番手軽に必要な栄養を摂れるのは総合栄養食のペレットです。ペレットは嗜好性があまり高くないため、幼鳥の頃からしっかりと慣らす必要があります。ペレットの他に主食にできるものは、数種類の穀物を混ぜ合わせた混合シードです。混合シードの場合、野菜などの副食でビタミンなどを補いましょう。
適切な飼育環境
常に新鮮な水と餌があること、動いたり羽繕いしたりするための十分なスペースがあること、清潔であることなど飼育環境を整えることも長生きのためには必須です。文鳥には水浴び用の水も必要です。止まり木は細すぎると爪が伸び過ぎたり、つかまりにくかったりするため、直径12mm程度を目安に、止まった時の様子を観察して適切なサイズを選びましょう。
かかりつけの動物病院を見つけておく
いざという時のために、あらかじめ頼れる動物病院を見つけておくことも必要です。体の小さな文鳥は、少しの体調不良でも放置するとすぐに命の危険に繋がります。元気な時から定期健診などで動物病院に通い、普段の状態や性格などを獣医師に知っておいてもらうと良いでしょう。
文鳥がかかりやすい病気は?特徴・原因・対策をそれぞれ解説
文鳥の長生きのためには、かかりやすい病気を知っておくことも大切です。ここでは文鳥がかかりやすい代表的な病気をご紹介します。
コクシジウム症
コクシジウムという寄生虫が腸に寄生し、下痢などの消化器症状が出て放置すると命に関わることもあります。感染経路は感染鳥の便からの経口感染です。特にヒナや幼鳥、なんらかの原因で免疫の落ちた個体が発症しやすいと言えます。駆虫薬での治療が可能ですが、複数飼育の場合、発症した個体をすぐに隔離することが大切です。
栄養性脚弱症
巣立ち期の幼鳥に多い病気です。脚に力が入らず、ふらつきや脚をひきずるなど歩き方の異常が出ます。原因はビタミンやカルシウムなどの不足です。特にヒナの時にアワ玉だけで育てるとビタミンB1が不足して脚弱症になりやすいため、栄養バランスの良い給餌を意識しましょう。成長に伴う餌の切り替えも早めに行うと良いでしょう。
鳴管炎
鳴管とは鳥が声を出すための器官で、ここに細菌やウイルスが感染して炎症した状態が鳴管炎です。症状は鳴き声の異常で、声がかすれたり、全く出なくなってしまったりするともあります。放置すると呼吸器系に感染が波及し重篤な状態を招く恐れがあります。治療には原因の病原体に合わせた薬を使いますが、日頃から飼育環境を清潔に保ち感染予防を徹底しましょう。
卵管脱・総排泄腔脱
文鳥などの鳥類は、排泄と産卵を共通の「クロアカ」というお尻の穴で行います。この総排泄腔から、卵管や総排泄腔が出てしまう病気が卵管脱や総排泄腔脱です。背景となる原因は卵管炎や肥満など多岐に渡りますが、一般的に産卵時におこる病気なので、できるだけ発情を抑制して産卵回数を減らすことが重要だと言えます。
毛引き症・自咬症
自分で自分の毛を抜く行為が毛引き症で、皮膚を噛んで傷つけるまでに至ると自咬症と呼ばれます。一般的には毛引き症から自咬症に進行します。原因にはストレスなど心因性のものと、外部寄生虫などの皮膚病や内臓の病気など様々です。もとの原因がなんであっても、一度毛引き症を発症すると毛を抜く行為自体に快感をおぼえて繰り返す傾向があるため、早めに原因を見つけて対策をすることが大切です。
文鳥を長生きさせるための5つの注意点
ここでは文鳥を長生きさせるために特に注意をしたい5つのポイントをご紹介します。
文鳥が食べてOKなもの・NGなもの
文鳥に副食として野菜や果物を与える際はアクが強いものやシュウ酸が多く含まれるものはNGです。具体的に文鳥が食べても良い野菜や果物は下記です。
・小松菜、チンゲン菜、ニンジン、パセリ、豆苗、イチゴ、リンゴなど
反対に、文鳥に与えてはいけない野菜や果物は下記です。
・ネギ類、ほうれん草、オクラ、モロヘイヤ、サトイモ、タケノコ、 桃、杏、ビワ、キウイ、マンゴー、アボカド、パイナップルなど
文鳥に与えて良い食材も、ほんの少しに止め、総合栄養食のペレットなどを主食にするように意識しましょう。
文鳥の適切な飼育環境
体の小さな文鳥は温度の変化に弱いと言えます。寒すぎ・暑すぎはどちらも注意が必要です。成鳥の場合、適正な飼育環境は20~25℃で湿度は50~60%が目安です。冬は鳥用のヒーターなどを利用し、夏はエアコンや扇風機を使いましょう。ヒナの場合、成鳥よりさらに高い温度と湿度が必要で、成長に伴いこまめに変えていきます。
複数飼育する際は「後追い」に注意
複数飼育の場合、先に亡くなった鳥の後を追うように残された鳥もすぐに亡くなってしまうことがあり、これを「後追い」と呼ぶことがあります。後追いの予防のためには、寿命が近そうな鳥を別のケージに分ける、もともと個別飼育しておく、という方法もあります。また、鳥が他の鳥だけでなく飼い主様もパートナーと考えるように適切なコミュニケーションを心がけることも重要です。
発情はできる限り避ける
発情は精神的にも肉体的にも大きな負担となります。文鳥の場合、発情相手は他の鳥だけでなく、飼い主様や鏡に映った自分、おもちゃなど多岐に渡ります。飼い主様の過度なスキンシップは避け、発情相手になりそうなおもちゃなどもケージから取り除きましょう。夜はしっかり暗くすること、巣材になるものを置かないことなど生活環境の見直しも大切です。
放鳥中は事故に注意
放鳥中の脱走や怪我、異物の誤食や気づかず踏んでしまうなどの事故にも最大限の注意が必要です。放鳥時は窓を閉め、目を離さないようにしましょう。料理中などの放鳥は絶対にNGです。ストーブなど熱の出るものの近くや溺れるような水場は撤去するなど放鳥前の環境確認をしっかり行いましょう。
細やかな気配りで文鳥との生活を楽しみましょう
今回の記事では文鳥の寿命や長生きさせるための注意点などをお伝えしました。体が小さく、少しの体調の変化も命に関わる繊細な一面があるものの、愛らしい姿と飼い主様への愛情をたくさん持つ文鳥との日々は生活に彩りを与えてくれるでしょう。日頃から食べ物や清掃などの生活環境に注意を払えば決して飼育の難しい鳥ではありません。今回の記事もぜひ参考に、文鳥との生活を楽しんでみましょう。