「老猫の元気がなくて心配」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。長年寄り添った猫が徐々に衰えていくのは避けられません。
しかし老猫の元気が急になくなったら心配ですよね。元気がなくなる原因は老化以外にもあります。病気や怪我が隠れている場合もあるため注意が必要です。
本記事では、老猫の元気がない時に考えられる理由と対策について解説いたします。ぜひ参考にして、愛する老猫の健康を維持してください。
目次
老猫が急に元気がなくなる状態とは
「元気がない状態」とは、普段と比べて活動が低下している状態や精神状態が低下した状態を指します。
「元気」は獣医療の中でも最重要の指標のひとつです。獣医学用語では「元気消沈」「元気消退」とも言います。老猫を含むペットは自身の不調を言葉で伝えられないため、飼い主様が元気の変化に気づくことが重要です。
常に愛猫の動きや行動を観察し、普段と変わりないかを確認しましょう。
老猫が急に元気がなくなった時の症状
では老猫の元気がない状態とは、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。以下では4つの代表的な症状をご紹介します。
老猫の食欲がない
食欲はあらゆる疾患により引き起こされます。内臓疾患や呼吸器系の疾患など、中には緊急を要する場合もあり注意が必要です。
特に老猫の場合は、腎不全や糖尿病の可能性もあります。食欲不振に加え、水をたくさん飲み、色の薄い尿をたくさん出すのが特徴です。
食欲不振が見られる病気は多岐に渡ります。老猫のように体力が衰えている時の食欲減退は危険なため、気付いた時点でなるべく早く動物病院に相談しましょう。
寝てばかりであまり動かない
老猫は、体力の低下により、寝ている時間が増えます。また筋力の低下により動きが少なくなるのも特徴です。
中には関節疾患による痛みや、他の疾患により動かない場合もあります。その場合は鎮痛消炎剤や適切な治療をすることで改善するため、早めに原因を見極めることが重要です。
排泄しない
老猫の元気がない時、排泄の回数が減る傾向があります。排泄をしないと、体の老廃物が溜まり危険です。
原因としては以下があります。
- 作られる尿や便の量が少ない場合
- 尿道や肛門周りが詰まり排泄ができない(出ない)場合
呼吸が苦しそう
呼吸の異常は、体調不良のわかりやすいサインです。呼吸回数により異常かどうか判断できます。
リラックスして起きている状態では1分間に40回まで、睡眠時は25回までが正常な呼吸の回数です。この際、吸って吐く動作を1回とカウントします。呼吸が早すぎても遅すぎても問題です。
よだれが垂れている
よだれは何かしらの病気のサインの場合があります。
- 歯周病など口の中の病気
- 熱中症
- てんかん
- 腎不全
もちろんリラックスしている時や空腹時によだれを垂らす場合もあります。老猫の様子を注視して、異常を見極めましょう。
症状以外で考えられる原因は
老猫の元気がない時の原因は様々です。以下では、原因と対処法について解説します。
気温の変化や季節の境目
老猫も人間と同様に、季節の境目や急激な気温の変化により体調を崩しやすい傾向にあります。
特に夏から秋への変わり目は注意が必要です。夏の暑さで胃腸に負荷がかかり、食欲不振や嘔吐・下痢を引き起こします。
エアコンの使用や日陰の場所の設置などで猫が快適に過ごせる環境を整えましょう。
ストレスによるもの
猫は環境の変化によるストレスを感じやすい生き物です。わずかな音や匂いの変化にもすぐ気付き、敏感に反応します。
特に老猫の場合、ストレスから病気になるリスクが高く危険です。できるだけ老猫の周辺環境は変えないように心がけ、変える場合は少しずつにしましょう。
ケガや病気の可能性がある
猫は怪我や病気にじっと耐えていることがあります。できるだけ他人に弱みを悟らせたくないという本能によるものです。飼い主様が注意深く観察して、早めに気付いてあげることが大切です。
病気
猫のかかりやすい病気には、以下のようなものがあります。
病気の種類 | 病気の内容 | 元気消失以外の症状 |
---|---|---|
消化器系の疾患 | 胃、腸、膵臓などの消化器官が炎症を起こしている状態 | 食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛 |
慢性腎臓病 | 腎臓の機能が低下する | 体重減少、食欲不振、多飲多尿 |
尿道閉塞 | 尿道が詰まり尿が出づらい状態 | 排尿困難、痛み |
呼吸器系の疾患 | 心臓や気管支などの呼吸器官の機能が低下している状態 | 咳、呼吸困難 |
感染症 | エイズウイルスや白血病ウイルスなどに感染している状態 | 発熱、くしゃみ、鼻水、咳 |
中でも慢性腎臓病は猫の死因の1/4を占めます。尿の量や水を飲む量に異常を感じたらすぐ病院に相談しましょう。
さらに老猫は免疫力や体力が衰えているため、病気が進行する前の治療が必要不可欠です。飼い主様のこまめな観察でリスクを抑えられます。
中毒や誤飲
餌以外の物を誤飲して元気がなくなる場合もあります。
以下の誤飲は特に注意しましょう。
- おもちゃのひも
- ユリを含む植物
- 人間用の薬
- タバコの吸い殻
嘔吐や下痢に加え、腸閉塞や虚脱状態などの重篤な症状が出る場合もあります。猫が届く場所に誤飲されそうなものを置かないことが大切です。
ケガ
猫に起こりがちな怪我は「骨折」「けんか傷」の2種類です。
猫は優れた身体能力を持ちますが、稀に高い場所からの落下や交通事故により骨折します。片足を上げて歩く「破行」やボロボロな爪を見つけたら要注意です。
外猫の場合はけんかにより傷ができる場合もあります。傷口から細菌が入り、膿が溜まり、発熱のリスクもあるため危険です。傷を見つけ次第消毒や手当を行いましょう。
老猫が急に元気をなくしたらすべきこと
老猫が元気をなくしたら非常に心配ですよね。
以下では、老猫の元気がなくなった時にやるべきことを2つご紹介します。
直近でストレスやケガがないか見返す
老猫の体や周辺環境を見て、直近でストレスや怪我がないかを見返しましょう。
ストレスの原因になるものが見つかった場合、すぐに取り除く必要があります。また、ケガをしていた場合は早急な治療が必要です。
動物病院を受診する
原因がわからない場合や緊急性を要する場合は、迷わず動物病院を受診しましょう。病気が隠れている可能性があり、放っておくと大変危険です。緊急性の判断が難しい方は、かかりつけ医に電話で確認すると良いでしょう。
中には夜中に急激に元気がなくなる老猫もいます。万が一の時のために最寄りの夜間救急病院を調べておくと安心です。
老猫の老衰を防ぐ方法
猫はいずれ歳を取り、老化していきます。老猫になることは避けられませんが、老衰の進行を遅らせることは可能です。
以下では、老猫の老衰を防ぐ方法について3つご紹介します。
自分だけのスペースを確保してあげる
猫は本来単独で行動するため、自分だけのスペースを確保することで伸び伸びと生活できます。
特に多頭飼いの場合や来客が多い場合には効果的です。他の猫の音や知らない来客のいる環境は、猫にとってストレスになります。
猫だけのスペースを確保することでストレスを低減させ、老猫の元気を保てるでしょう。
定期的に健康診断を受ける
定期的な健康診断で病気の早期発見や早期治療が可能です。猫の病気の中には無症状のものもあります。
例えば、猫の慢性腎不全の発見に健康診断は効果的です。慢性腎不全とは、腎臓の機能が徐々に低下していく疾患で、猫の死因の1/4を占めます。しかし症状がわかりづらいため、気付いた頃には手遅れなケースが頻発しています。
このような隠れた病気を見つけるためにも、半年〜1年に1回の定期的な健康診断の受診が重要です。
ライフステージに合った餌をあげる
老猫になると必要な栄養バランスや量が変わり、7歳ごろがフードの切り替え時です。
老猫用のフードは「カロリーが低い」「腎臓に負担がかからない」「食物繊維が豊富」などの特徴があります。猫の老衰を防ぐには最適です。
一度に餌を変えるとストレスになるため、最初は少しずつ元の餌に混ぜて与えましょう。少しずつ混ぜる量を増やすことで、ストレスなく老猫に最適な餌に変更できます。
まとめ
今回は、老猫の元気がない原因と対策についてご紹介しました。「元気がない」というのは、普段と様子が違うということです。そこにはストレスや病気など、様々な原因が隠れています。老猫の場合は特に飼い主様の早急な気付きが大切です。
いつもと違う様子が見られる時は、迷わず動物病院に連れていきましょう。
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