「最近、飼っている猫の排便の回数が減ってきている。」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

老猫の便秘の原因は加齢もありますが、病気により便秘になっている可能性もあります。

本記事では、老猫が便秘をする原因や解決法、動物病院への受診目安について解説します。

老猫は便秘しやすい?

老猫は便秘しやすい?

猫は年齢にかかわらず便秘をしやすい動物です。そのため、猫の便秘は決して珍しいものではありません。

猫も年齢を重ねていくと、腸の動きをはじめ全身が衰え運動不足になります。その結果、便秘になる回数が増えていきます。

人間も同じですが、便秘は放っておいて良いものではありません。便が詰まって重篤な病気につながるリスクもあります。普段から、老猫の便の回数や状態を確認しておくと異変に気付きやすいでしょう。

そもそも老猫とは何歳から?

そもそも老猫とは何歳から?

人間と同様に、猫も加齢に伴って変化が生じます。しかし、加齢と判断するには、何を基準として見たらよいのでしょうか。以下で老猫の基準について説明します。

老猫といわれる年齢

環境省が出している「犬・猫と人間の年齢換算表」によると、15歳を過ぎたあたりから人間でいう後期高齢者の年齢に差しかかります。

参考:犬・猫と人間の年齢換算表 – 小型犬 中型犬 猫|環境省

人間は60歳を超えると見た目や体力の低下が生じやすくなります。猫も11歳からがシニア期と言われ、老化のサインが見られるでしょう。

人間
1歳17歳
2歳23歳
3歳28歳
5歳36歳
7歳44歳
10歳56歳
12歳64歳
15歳76歳

見た目に起こる変化

老猫になると生じる見た目の変化は、以下のとおりです。

  • 毛が薄くなる
  • 毛のツヤが感じられなくなる
  • 爪がよく伸びている
  • 口臭が出てくる
  • お腹のたるみが生じている
  • 目やにや鼻水の量が増えた

シニアになった猫は、さまざまな疾患のリスクが高まります。そのため、愛猫の変化に注意し、気になることがあれば早めに病院を受診しましょう。

老猫が便秘する原因

老猫が便秘する原因は加齢だけが原因ではありません。猫がもつ元々の性質や病気が便秘の原因を作り出している場合もあります。

脱水症状

猫は元々あまり水分を摂る動物ではありません。高齢になることでさらに水分を摂らなくなり、脱水症状になっている可能性があります。水分を摂らない結果、便秘になってしまったと考えられるでしょう。

水分は、便を肛門まで届けるための潤滑油です。適度に摂らなければ、腸の中で便が滞留する時間が長くなり、腸が便の水分を吸い取るため、固くなってしまいます。

固くなった便は腸に詰まります。詰まるだけでなく、排便時に痛みを伴う可能性があるでしょう。痛みを我慢するために排便を我慢し、結果的に便秘になるケースもあります。

慢性腎臓病

便秘の原因として、慢性腎臓病に罹患している場合もあります。慢性腎臓病は、猫の死因第2位で、老猫に見られる病気のひとつです。

慢性腎臓病になると、身体に必要な水分まで尿として排出されてしまいます。排出されれば脱水症状となり、便秘になりやすい状態になるのです。

水分をしっかり摂り、尿の回数も多いものの、便秘の回数が増えている場合は慢性腎臓病に罹患している可能性があります。早めに動物病院へ受診しましょう。

巨大結腸症

便秘の原因を探ってもわからない場合は、巨大結腸症が疑われます。巨大結腸症になると結腸の蠕動(ぜんどう)運動が鈍くなり、腸の一部が腫れ上がることで便が溜まっていきます。

溜まった便を自力で排出するのは困難です。動物病院へ行き、排便処理を行ってもらいましょう。

ストレス

神経質な猫は、ちょっとした環境の変化にストレスを感じやすくなります。ストレスを感じると、排便を我慢してしまう猫も少なくありません。便意を我慢し続けると腸内に便が詰まって排出しにくくなり、結果的に便秘につながる可能性があります。

毛玉が腸に溜まっている

猫は、身の回りを清潔に保つために、毛繕いをします。毛繕いをした際に、舌に付いた毛を飲み込むことがよくあります。通常は口から吐き出したり、便と一緒に排出したりすることが可能です。

しかし、大量の毛を飲み込んだ場合や、毛を吐き出すのが苦手な猫の場合は、飲み込んだ毛が胃腸で固まって毛玉になり、腸に詰まって便秘を引き起こすかもしれません。

便秘になりやすい種類の猫

しっぽの短い猫は便秘になりやすいかもしれません。しっぽや尾骨などの骨の異常により、排便する力が弱まるからです。

たとえば、「マンクス」という種類の猫は、しっぽがありません。尾骨に先天的な異常を持っていることから、腸の働きが弱く、便秘になりやすいと言われています。

老猫が便秘だと判断する目安

老猫が便秘だと判断する目安

便秘をしやすい老猫ではありますが、便秘であると判断ができる目安はどのようなものなのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

3日以上排便がない

猫も排便ペースは各々異なります。一般的には1日1回程度排便がありますが、3日以上排便がない場合、便秘を疑ってください。

5日以上排便が確認できない場合は、便秘と認識して問題ありません。

しかし、毎日排便があっても油断はできません。便が固ければ便秘の可能性があります。良い便は水分を含んでいるため、柔らかくツヤがあります。

いつもと様子が違う

排便をしているにもかかわらず、「なんだか苦しそう」「排便に時間がかかりすぎる」などいつもと様子が違う場合も、便秘になっている可能性があります。

腸の働きが弱かったり、便が硬くなっていたりすると、排便に時間がかかり苦しそうにします。

猫はストレスを受けやすい動物です。少しの変化でもストレスを受けやすいため、適宜環境を見直すことがポイントです。

コロコロした便が出る

猫の便のツヤがなく、硬くて短いコロコロとした便が何日も続く場合は、便秘かもしれません。便秘になると水分が腸に吸収されるため、乾燥した硬い便がみられます。

老猫が便秘の場合、いつ動物病院を受診すればいい?

老猫が便秘を起こしている場合、いつ病院へ連れて行けばいいか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

猫はストレスに敏感なため、なるべく病院へいく回数は減らしたいと思う飼い主様も多いでしょう。以下では老猫の病院受診のタイミングや治療について説明します。

動物病院受診のタイミング

便秘の目安である、3日以上排便が見られないタイミングで動物病院へ受診しましょう。猫の便秘は放っておいてはいけません。病気が隠れている場合もあります。

排便が見られない他に、以下の症状がある場合は、病気かもしれません。

  • 排便時に痛がる
  • 便に血が混じっている
  • 嘔吐がある

飼い主様がおかしいと感じましたら、迷うことなく動物病院へ受診してください。

便秘が解消されない場合は内服や浣腸の選択肢も

便秘が続く場合は、便を柔らかくする内服薬や、直腸に薬液を注入して排便を促す浣腸などの治療法が有効です。しかし、浣腸は重度の脱水症状を引き起こす可能性があるため、獣医師の指示に従って実施しましょう。

さらに重度な便秘になると、手で便を摘出する「摘便」が必要になることもあります。しかし、摘便でも排便が困難な場合は、大腸を切除する手術をしなければなりません。

老猫は体力も衰えているため、手術に耐えられるかどうか、早めに獣医師に相談することが大切です。

老猫が便秘になったときの解消法

老猫が便秘になったときの解消法

ご自宅でも老猫の便秘解消をすることは可能です。解決法をご紹介するため、取り入れられるものがあれば取り入れてみてください。

水分をしっかり与える

脱水症状により便秘を発症する場合もあります。脱水症状を防ぐため、水分をしっかり摂るようにしましょう。

体重により飲む量は異なりますが、猫1kgあたり50ml水分を摂ります。目安にしてみてください。

また、猫が水分を摂らない場合、水飲み場が少ない可能性も考えられます。水飲み場を猫がよくいる場所に複数設置することで飲水量が増えるかもしれません。

フードを変える

いつも食べているキャットフードを変えるのも、便秘を解消する方法のひとつです。可溶性食物繊維の入ったキャットフードは、便秘を含む消化器疾患に特化しています。

また、猫の便秘は水分不足が原因のことも少なくありません。水分不足を解消するためには、スープやウェットフードなど、水分量が多いフードやおやつを与えてみましょう。

フードは徐々に切り替えると良いです。フードを変えることでストレスを感じる猫もいるため、慎重に行ってください。

どのフードに切り替えるか迷う場合は、獣医師と相談して決めましょう。普段から診てもらっている獣医師であれば、良いアドバイスをもらえるはずです。

トイレの環境を見直す

トイレの居心地が悪く、ストレスを感じて便秘になることも考えられます。最愛の猫がストレスなくトイレができているのか、環境を見直してみましょう。

特に老猫は関節の節々を痛めている可能性があります。トイレまで行くことさえ億劫になっているかもしれません。そのため、猫がよくいる場所の近くにトイレを置きましょう。

また、汚れているトイレで排泄したがらない猫は多いため、掃除の頻度を増やして、トイレを清潔に保つことを心がけてください。

トイレ砂の質が気に入らないと排泄を我慢することもあります。便秘する際に新しい種類の砂に変えたなら、元の種類の砂に戻してみても良いでしょう。

運動する

運動不足は腸の働きを弱めるため、便秘につながります。運動量を増やしてあげることで、便秘を解消できるかもしれません。キャットタワーやおもちゃを用意し、運動する機会を増やしてあげてください。

高齢になると思うように身体を動かしづらい可能性があります。飼い主様が老猫と一緒に遊ぶことで運動量も増え、腸にいい刺激を与えられるでしょう。

サプリメントを試す

猫の腸内環境を改善するためにサプリメントが販売されています。食物繊維や乳酸菌など、さまざまな種類のサプリメントがあるため、少しずつ試してみて、猫に合ったものを選ぶと良いでしょう。

着色料や保存料があるものは、猫に悪影響を与える可能性があるため、控えてください。また、持病がある猫はサプリメントを摂取すると逆に病気が悪化するかもしれません。サプリメントを与える前に獣医師に相談しましょう。

不溶性食物繊維が含まれた人間の食べ物を与える

キャベツや葉野菜は、不溶性繊維が豊富に含まれています。老猫に有害な成分も特に見当たらず、食べさせると良いでしょう。

しかし、不溶性繊維は腸を刺激して働きを促す一方で、排泄物に水分を吸収して固く大きくしてしまう作用があります。そのため、便秘の改善に逆効果になる場合もあります。

また、商品によりヨーグルトにも不溶性繊維が含まれているものがあります。ペットに野菜やヨーグルトを与える際には、必ず獣医師に相談しましょう。

老猫が便秘ならマッサージをしよう

日々のマッサージで老猫の便秘を改善できる場合もあるでしょう。外から腸を刺激することで、溜まった便をスムーズに排出することにつながります。

いきなりマッサージをしてしまえば老猫も嫌がります。まずはリラックスさせましょう。触って喜ぶところを中心に優しく撫でます。撫でたら、そっと脇腹を触り優しく揉みましょう。

最後は時計まわりにお腹を優しく揉んでいきます。嫌がった場合は無理にするのではなく、足の付け根から背中に向けて優しく揉みましょう。

老猫の便秘は放置せず動物病院へ受診しよう

老猫に限らず、猫は便秘をしやすい動物です。便秘をしやすいからといって放置するのはさらに危険です。

便秘の裏には命にかかわる病気が隠れている可能性があるため、少しでも異変を感じ取ったら迷わず動物病院へ受診しましょう。

しかし、老猫であるため残りの人生も限られてきます。一日一日を大切にするためにも、今からペットとの最期を考えておくといいでしょう。

COCOペットでは悔いのない最期を過ごしていただくためのお手伝いをしております。24時間365日対応しているので、気軽にご相談ください。