一緒に暮らす猫が、最近寝てばかりになってきたと感じることはありませんか?老化かもしれないと思いつつ、愛猫が老猫なのかどうかわからなかったり、寝てばかりいる原因が体調不良や病気の可能性もあるのではないかと、心配な飼い主様も多いでしょう。
今回の記事では、そもそも何歳くらいからを老猫と呼ぶのかをお伝えします。寝てばかりいることが老化現象なのかどうかや、体調不良との見極め方も解説します。寝てばかりになった老猫の生活の質を保つ方法などもご紹介します。
目次
「老猫」と呼ばれるのは11歳頃から
はじめに、猫の年齢を人間に置き換えるとどれくらいの年齢になるのかについて解説し、何歳ごろからが老猫なのかをお伝えします。猫は生まれて半年で人間の約10歳まで成長し、2歳で人間の約24歳程度になると言われています。その後は1年で人間の約4年に相当するペースで成長し、3歳で人間の28歳、7歳で44歳、そして11歳で人間の60歳くらいになります。人間でも60歳になるとシニアと呼ばれるようになりますね。同じように、猫も11歳くらいからを老猫と呼ぶことが多いです。11歳くらいではまだ変化がみられない猫も多いですが、13歳以降くらいからは見た目や行動など色々な部分に老化の影響が目立ち始めることが多いです。
猫の年齢 | 人に換算した時の年齢 |
---|---|
0-6ヵ月 | 10歳 |
2歳 | 24歳 |
3歳 | 28歳 |
7歳 | 44歳 |
11歳 | 60歳 |
13歳 | 68歳 |
15歳 | 76歳 |
猫が寝てばかりいるのは老化のサイン?
愛猫が寝てばかりいるのは、老化によるものなのかどうか気になりますね。ここでは、一般的な猫の睡眠時間や、猫にとっての睡眠の意義などをお伝えします。
猫の平均睡眠時間は年齢で異なる
猫と一概に言っても、睡眠時間は年齢によっても異なります。子猫の場合、平均睡眠時間は1日あたり約18時間と言われていて、授乳期の猫は20時間以上寝ることもあります。成猫になると平均睡眠時間は1日あたり約14時間です。成猫も半日以上を寝て過ごす場合がほとんどなのです。
人にとって睡眠の大きな意義は、脳の休息です。一方、猫にとっての睡眠は、狩りのための体力温存などだと言われています。老猫になると活動量を減らしてエネルギーを節約するために、まどろんだり睡眠に充てる時間が長くなると考えられています。そのため老猫は子猫同様に睡眠時間が長くなり、1日あたり20時間程度寝るケースも珍しくありません。
11歳を過ぎて寝てばかりいる場合は老化の可能性もある
上でお伝えした通り、猫の11歳は人間の60歳程度です。60歳でまだまだ働き盛りの人もいれば、すでに老化を感じる人もいるように、猫も11歳を過ぎたからといってすべての猫に老化現象が現れるわけではありません。しかし、11歳を過ぎた猫が以前よりも寝てばかりいるような場合は、老化が始まっている可能性も考えられます。
猫が寝てばかりいるのは体調不良が原因の場合もある
猫が寝てばかりいる理由として、老化のほかに体調不良や病気などの可能性も考えられます。特に老猫は老化現象のひとつとして病気を発症することも多く、注意が必要です。例えば、心臓などの循環器や、肺などの呼吸器などの病気になると、活動量は減り寝ている時間が増えます。
甲状腺機能低下症などの内分泌系の病気の場合も、元気がなくなったり寝てばかりになることがあります。関節が痛むなど足腰に障害がある場合も、猫はあまり動かず寝ている時間が増えるでしょう。環境にストレスを感じている場合に、自分のお気に入りのスペースから出てこないで寝てばかりいることもあります。
猫が寝てばかりいるときは、原因が単純な老化なのか、何らかの病気が潜んでいるのかを慎重に見極める必要があるのです。
猫が体調不良で寝てばかりいる場合の見極め方
上でお伝えした通り、猫が寝てばかりいる原因には病気などが隠れている可能性があります。ここでは体調不良の見極め方をお伝えします。まず、猫が寝ている時に胸やお腹の動きから呼吸の状態を観察しましょう。いつもより呼吸が速かったり、呼吸の間隔が不規則な場合は、なんらかの病気の可能性があります。
寝床で何度も向きを変えたり、寝づらそうにしている場合は、体のどこかに痛みを感じている可能性があります。また、老猫は寝ている時間が長くなりますが、1日中起きてこないなどは異常です。呼んでも反応がないなどの場合も、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。
寝ている様子だけでなく、起きている時の猫の様子もよく観察しましょう。起きていてもなんとなく元気がなかったり、遊びに誘っても無視したり、食欲が減るなどの場合は注意が必要です。水を飲む量が増える、尿量が増えたり反対に減ったり、尿漏れをするなどの様子にも注意を払いましょう。
その他、頻繁に下痢や吐き戻しをする、体重が減ってきたなどの場合も、なんらかの病気である可能性が考えられます。
寝てばかりの老猫のために飼い主ができること
老猫が寝てばかりいるようになったら、病気などの可能性も考えられるため、定期的に動物病院で健康診断を受けることが大切です。ここでは、単純な老化で寝ている時間が増えた愛猫のために、飼い主様ができることをご紹介します。
寝床の環境を整える
1日の大半を寝て過ごす愛猫のために、眠りやすい環境を整えることが大切です。エアコンなどを上手に利用して室温を適切に保ちましょう。老猫は体温の調節が苦手になるので、猫の様子を良くみて快適かどうかを確認する必要があります。例えば猫が体を丸めて寝ていたら寒すぎるかもしれません。反対に、お腹を出して寝ていたら暑すぎるかもしれません。
周囲がうるさすぎると、猫が落ち着いて眠れない可能性があります。猫の寝床はリビングの真ん中やテレビやラジオなどは避けましょう。ただし、家族の姿が見えないと不安に感じる猫もいますし、体調が悪い時などはすぐに様子を見ることができる場所が良いでしょう。水飲みやトイレなどが寝床から近いことも重要です。
衛生管理を徹底する
老猫は免疫力が低下するため、感染症などのリスクが上がります。毛布やタオルなどは一見汚れていないように見えても毎日交換しましょう。寝床の素材も、洗濯できるものや拭けるものなど清潔を保てるものを選ぶと良いでしょう。時々天日干しするのも衛生を保つためには効果的です。
寝てばかりの状態になると寝床で排泄してしまったり、吐くこともあります。排泄物などはすぐに掃除しましょう。寝床にペットシーツなどを敷いておけば、交換するだけで済むので手間もかかりません。
猫自身の体を衛生的に保つことも大切です。ブラッシングは血流も促しマッサージ効果も期待できるため一石二鳥です。お尻など普段見えない場所が汚れていないかなどのチェックも忘れずに行いましょう。
食事面にも気を遣う
老猫は食事にも気を遣う必要があります。フードはシニア用に切り替え、必要な栄養が摂れるようにしましょう。噛む力が衰えたり歯が抜けて食べづらくなった場合、ウェットフードを混ぜたりフードをふやかすなどの工夫をすれば、水分も同時に摂取できるためおすすめです。
老猫になると、食べている間、首を下に向け続けるなどの姿勢がつらい場合もあります。食事が負担にならないように、食器用の台などを利用しましょう。寝床からあまり動かない猫のために、食器を寝床の近くに移動させるのも良いでしょう。
細やかな配慮で快適な老猫生活を
今回の記事では、老化で寝てばかりになってきた猫についてお伝えしました。愛猫が寝てばかりになってくると、飼い主様としては寂しい気持ちになることがあるかもしれません。しかし、起きている時間に最大限に愛情を注げば、短い時間でも大切な思い出がたくさんできるでしょう。
ご紹介した通り、猫が寝てばかりになる場合は、単純な老化ではなく、何らかの病気の可能性も考えられます。普段から定期的な健康診断を欠かさず、動物病院と上手に連携して、年齢を重ねた猫が少しでも長く快適に暮らせるように心がけましょう。