犬を飼っている飼い主様であれば、誰しも「犬に人間の食べ物をあげてはいけない」ということを知っていますね。しかし、可愛くおねだりされたり吠えられたりするとついあげてしまい、あとから心配になるという方もいるかもしれません。
今回の記事では、犬に人間の食べ物をあげてはいけない詳しい理由や、犬が人間の食べ物を欲しがる理由、欲しがったときの上手な対処法などをお伝えします。犬が食べてもいい食べ物や食べると危険な食べ物についても具体的にご紹介します。
目次
犬に人間の食べ物をあげてはいけない4つの理由
犬に人間の食べ物をあげてはいけないのはなぜなのでしょうか。ここでは代表的な4つの理由について解説します。
犬にとっては有害な食べ物もある
人間が美味しく食べている食べ物のなかには、犬に中毒症状をひきおこすものがあります。あとから詳しくご紹介しますが、玉ねぎなどのねぎ類や、チョコレート、ぶどう・レーズンなどは有毒です。また、加工食品は原材料に犬に有害な食べ物が含まれていることもあるため危険です。
人間と犬とでは必要な栄養素が異なる
人間と犬では、体のつくりに違いがあるため、必要な栄養素の割合も異なります。人間の主食はご飯やパンのような炭水化物です。しかし、犬は炭水化物よりもタンパク質が重要で、人間の約4倍ものタンパク質を必要とすると言われています。また、カルシウムは人間の約14倍もの量が必要とされています。
このような違いがあるため、犬に人間の食べ物を与えると、犬にとっての必要な栄養が不足してしまうのです。
肥満や心疾患・腎臓疾患の原因になる可能性がある
人間の食べ物には、糖分や脂質が多量に含まれているため、犬が食べると容易にカロリーオーバーし、肥満の原因となります。また、人間の食べ物には塩分が多く含まれています。犬は食べ物からの塩分をそれほどたくさん必要としないため、塩分の過剰摂取となり、心臓や腎臓の病気の原因となる可能性があります。
「おねだりをすればまたもらえる」と覚えてしまう
おねだりされた可愛さに負けて人間の食べ物をあげてしまうと、犬は「おねだりをすればまた食べ物がもらえる」と学習します。テーブルの上に乗ったり、食事中に吠えたりするなどの問題行動につながることもあり、しつけの面からも人間の食べ物をあげるのは良いことではありません。
犬が人間の食べ物を欲しがるのはなぜ?
ところで、犬はなぜ人間の食べ物を欲しがるのでしょうか。犬が人間の食べ物を欲しがる理由には、
- 仲間に入れてほしいと思っている
- 人間の食べ物の味を覚えてしまった
- 「おねだりをすればまたもらえる」と思っている
- 「食いだめ」の習性が残っている
などが挙げられます。最後の「食いだめ」に関しては、犬の体質では難しいですが、祖先とされるオオカミなどの大型肉食動物が「食いだめ」をすることから、犬にもその習性があるのではないかと言われることがあります。
犬が人間の食べ物を欲しがるときの対処法
犬に人間の食べ物をあげてはいけないとわかっていても、おねだりされると困ってしまいますよね。犬が人間の食べ物を欲しがるときは、どのように対処すれば良いのでしょうか。
反応しないように徹底する
飼い主様としては心苦しいかもしれませんが、犬がおねだりしても反応せずに無視をするのが良いでしょう。犬が吠えた時、静かにさせようとして食べ物をあげてしまうと、「吠えればもらえる」と学習してしまいます。犬が「おねだりしたりしても食べ物はもらえない」と認識するまで根気強く無視しましょう。
犬があまりに空腹を感じている場合は、フードの量が適切かどうかを見直したり、犬用のおやつをあげたりするようにしましょう。
飼い主の食事中はほかの部屋で待っていてもらう
飼い主様やご家族の食事中は、犬にはほかの部屋で待っていてもらうのも良いでしょう。家族みんなで食事している姿を見せると、犬が人間の食べ物を欲しがるようになる可能性もあるからです。「おねだりされるとつい食べ物をあげてしまう」という飼い主様にとっても気が楽ですね。
「人の食べ物をあげない」というルールを家族間で徹底する
人間の食べ物をあげないことを、ご家族全員で徹底することも大切です。誰かひとりでもあげてしまう人がいると、犬は毎回その人におねだりしに行くこともあります。どうしても守れない人がいる場合は、動物病院で相談して獣医師から伝えてもらうのも良いでしょう。
人間にとってのお祝いごとがある日でも、特別に人間の食べ物をあげることは避け、人間の食べ物はあげないというルールを徹底しましょう。
【野菜・果物】犬が食べていいもの・食べてはいけないもの
ここでは、犬が食べてもいい野菜や果物、食べると危険な野菜や果物をご紹介します。
犬が食べていい野菜・果物
キャベツ、にんじん、かぼちゃ、りんご、いちご、バナナなどは犬が食べても大丈夫です。ただし、はじめて食べるものは少量からはじめましょう。アレルギーなどの可能性もあるからです。
犬が食べてはいけない野菜・果物
玉ねぎや長ねぎ、にら、にんにく、らっきょうなどのねぎ類は、犬に「溶血性貧血」をおこす大変危険な食べ物です。ぶどうやレーズンなども、時には命に係わる中毒をひきおこす可能性があります。アボカド、グレープフルーツ、いちじくなども犬に食べさせるのは避けましょう。
【魚介類・肉類】犬が食べていいもの・食べてはいけないもの
魚介類や肉類は、犬が食べても大丈夫だというイメージが強い食べ物ですが、注意点もあります。
犬が食べていい魚介類・肉類
火を通した魚介類や肉類は、いずれも少量であれば犬が食べることができます。特に茹でたササミなどは犬にとっては良いおやつになります。注意としては、必ず火を通すことと、味付けをしないことです。また、少量にとどめることも大切です。
犬が食べてはいけない魚介類・肉類
生の魚介類や肉類は、犬がお腹を壊したり寄生虫などの危険性があるため食べさせてはいけません。塩鮭やししゃも、しらすなど、塩をふってあるものは塩分過多になるため避けましょう。また、ぶりなどの油の多い魚も、犬にとっては消化ができずにお腹を壊す原因となります。小骨の多いウナギは与えない方が無難でしょう。
【その他】犬が食べていいもの・食べてはいけないもの
野菜や果物、魚介類、肉類の他に犬が食べてもいいもの、食べてはいけないものをご紹介します。
犬が食べていいもの
ヨーグルト、はちみつ、ヤギミルク、米、豆腐などは犬が食べても大丈夫です。ただし、子犬や老犬の場合、はちみつは避けた方が良いでしょう。
犬が食べてはいけないもの
チョコレート、カフェイン、キシリトール、マカダミアナッツ、銀杏などは犬が食べると危険です。意外かもしれませんが、人間用の牛乳も犬が飲むとお腹を壊すため与えることはできません。
NGな食品を犬が食べてしまったらすぐに動物病院へ相談しよう
もしも、犬が食べてはいけない食べ物を食べてしまったら、なにをどれくらい食べたかを確認してすぐに動物病院に連絡しましょう。ネットなどでは、飼い主様自身が吐かせる方法などが見つかりますが、大変危険です。犬が元気そうに見えても必ず動物病院の指示に従いましょう。
犬が誤って食べてはいけないものを食べないように、テーブルの上に食べ物を放置しない、犬の届かない場所に食べ物を保管する、ごみ箱にはしっかり蓋をするなどの工夫も大切です。
人間と犬の食事は別物。犬には専用の食べ物を!
飼い主様としては、可愛い我が子に飼い主様が食べて美味しいと感じるものを分けてあげたいという気持ちがありますね。しかし、ご紹介したように人間と犬の食事は別物で、人間の食べ物は、時には犬に命に関わる中毒をひきおこすこともあります。
犬には犬専用のフードやおやつが一番です。同じものを食べなくても、犬が美味しそうにフードを食べている姿は飼い主様に癒しを与えてくれるでしょう。人間の食べ物は一切あげないというルールで、犬の健康を守りましょう。