人が亡くなったときに使う言葉の一つに「荼毘に付す」というものがあります。しかし、言葉としては聞いたことがあっても、正確な意味を知らない方も多いでしょう。

「荼毘」と「火葬」には、どのような違いがあるのでしょうか。

本記事では「荼毘」と「火葬」の違いについて解説したうえで、ペットを適切に荼毘に付す方法もご紹介します。

ペットを「荼毘に付す」とは?

「荼毘に付す」は「だびにふす」と読み、「火葬すること」を意味する仏教用語です。「荼毘」を単体で用いることはあまりなく、一般的には「荼毘に付す」として使います。「荼毘」は人間を火葬する際に用いられることが多い言葉ですが、ペットに使っても問題ありません。

「荼毘」と「火葬」は基本的に同じ意味なので、似たような場面で使用されることが多く混同されがちですが、明確な違いがあります。

「荼毘」の由来は仏教の聖典内の言葉とされており、「荼毘にふす」は仏式の葬儀のみで使える言い方です。一方の「火葬」は仏教用語ではないため、ほかの宗教の葬儀でも使用できます。

荼毘に付す際に使用されることもある「ペット火葬車」とは?

ペット火葬車とは、ペット専用の火葬炉を搭載したセレモニーカーのことです。おもに使用されるのは、ハイエースタイプや軽トラックといった車種です。ペットの訪問火葬事業を行なう車両として正式に認可された車両は陸運局に登録され、「特種用途自動車」を意味する8ナンバーが付与されます。

ペット火葬車は自宅まで来てその場でペットを荼毘に付してくれるため、自家用車がなくご遺体を運ぶのが難しい場合、非常に便利です。

ペット火葬車と聞くと「臭いや煙が出るのでは」と心配される方もいますが、基本的にペット火葬車に搭載されている火葬炉は火葬炉基準をクリアする必要があり、無煙・無臭、無公害のものが使用されています。

ペットの火葬車利用のメリット

以下では、ペットの火葬車を利用するメリットについて解説します。

ペットと過ごした場所で荼毘に付せる

ペット火葬車を利用すれば、ペットと過ごした場所で荼毘に付すことができます。

そうすることで、「ペットと過ごした楽しい時間を忘れることなく、いつまでも一緒にいられる」と考える飼い主様もいます。

ペットを移動させなくて良い

ペット火葬車を利用すれば、火葬場まで出向く必要がありません。自家用車がなく、ご遺体を移動させることが困難な飼い主様は、負担が大きく軽減できます。

ともに過ごした思い出の家から旅立てる

飼い主様のなかには、「ともに過ごした思い出の家からペットを旅立たせてあげたい」と思う方もいるでしょう。

また、訪問火葬は時間の融通がききやすいため、家族全員が集まりやすく、家族そろって思い出の家から旅立たせることができます。

ペットを荼毘に付す際に棺に入れて良いもの

ペットを荼毘に付す際には、思い出の品を入れてあげたいものです。ただし、棺には入れて良いものといけないものがあります。

荼毘に付す際に入れて良いもの

ペットを荼毘に付す際に入れて良いのは、「燃やせるもの」や「燃やしても有害物質が発生しないもの」です。具体的には以下のものが挙げられます。

・手紙
ペットと過ごした楽しい時間や思い出、感謝などを書いた手紙は、副葬品として棺に入れことができます。思い出を振り返り、あらためて手紙にすることで、飼い主様の気持ちの整理も付きやすくなります。

ただし、便箋に装飾が施されていると火葬できない場合があるため、シンプルな便箋を用意し、それまでの思い出を綴ってみてください。

・お菓子などのおやつフード
お菓子などの軽いフードであれば、棺に入れても問題はありません。ただし、ビニールやプラスチックなどで包装されているものは、そのままでは棺に入れられないため、中身を取り出してから入れるようにします。ペットの好物だった食べ物などをほんの少量、ティッシュなどに包んで口もとに置いてあげましょう。

・お花
お花を棺に入れる飼い主様もいます。ペットの場合は人間のように仏花である必要はないため、ペットに似合う花を選んで棺の中に入れてあげましょう。

その際、色の濃い花は色素がご遺骨に移ってしまうことがあります。なるべく淡い色の花を選んだほうがよいでしょう。

荼毘に付す際に入れてはいけないもの

荼毘に付す際に入れてはいけないものは、「燃えないもの」や「有害物質が発生するもの」です。具体的には以下のものが挙げられます。

・金属類
金属類は燃えずにそのまま残ってしまうため、金属が付いた首輪などは棺に入れることはできません。

・繊維が残るもの
燃やしても繊維が残る洋服などは、棺に入れることはできません。ご遺骨に繊維が付いてしまうばかりか、大量の灰が出てお骨上げに悪影響をおよぼします。

・プラスチックやビニール類
プラスチックやビニールでできたおもちゃなどは、燃やすと有害物質が発生する可能性があるため、棺に入れることはできません。

ペットを荼毘に付したあとの3つの選択肢

ペットを荼毘に付したあと、飼い主様には3つの選択肢があります。

自宅で供養する

荼毘に付したあとのペットのご遺骨は、自宅で手元供養しても法律上問題はありません。ペットのご遺骨を自宅で保管することは、比較的新しい供養方法として浸透しつつあります。

具体的には、自宅にペットの祭壇を設けるなどして供養します。自宅で供養することで、ペットの存在を身近に感じられるようになるでしょう。

埋葬する

埋葬する場合、埋葬場所は自分の所有する土地でなければならず、公園や川といった公共の場に埋葬することは法律で禁じられています。

自宅の庭など、ペットと遊んでいた場所に埋葬してあげましょう。

散骨する

ペットを自然にかえしてあげたいとの思いから、新しい葬送方法として認知されてきた供養方法が「散骨」です。

なお、法律上の問題はありませんが、公共の場所や他人の敷地で行なうとトラブルになる可能性があります。やり方がわからない場合は専門業者に依頼する方がよいでしょう。

まとめ

人間だけでなくペットにも使用できる「荼毘に付す」は、火葬することと同じ意味です。しかし、「荼毘」は仏式の葬儀でしか使用されない仏教用語で、「火葬」はキリスト教やイスラム教などほかの宗教の葬儀でも使用されるという違いがあります。

これらの違いを理解したうえで、大切なペットが亡くなった場合は適切な方法で荼毘に付すようにしてください。

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