どのようなペットにも寿命があり、必ずお別れがやってきます。愛するペットとの別離によって、ペットロスになる飼い主様も多いでしょう。ペットロスになって、もう立ち直れないのではないかと悩んでいる方もいるかもしれません。今回の記事ではペットロスについて解説し、乗り越えるためのアイデアをご紹介します。中でも新しいペットを迎えることに着目し、メリットや注意点を徹底解説します。
目次
そもそもペットロスとは?
はじめにペットロスそのものについて解説します。
ペットロスとは?
ペットロスはペットロス症候群とも言い、ペットを失うことによって引き起こされる精神疾患や精神症状のことです。日本で広く知られるようになったのは2000年代になってからです。ペットロスによる症状は心身の両方に及び、落ち込み、後悔、罪悪感、情緒不安定、無気力、倦怠感、虚脱感、過呼吸、パニック障害、持病の悪化、摂食障害、睡眠障害、幻聴、幻覚、めまい、頭痛、耳鳴りなど様々なものがあります。
ペットロスによってこのような不調になることを知らず、自分の体調不良がペットロスによるものだとなかなか気づけない場合もあります。ペットロスの症状は様々ですが、最近ペットを亡くして下記の項目のいずれかに当てはまった場合はペットロスの可能性があります。
- 強い孤独感に悩む
- 以前は好きだった趣味などにも興味が持てない
- 眠りにつけない、眠りが浅い
- 食欲がない又は異常に食べる
- ペットを失ったことやペットの最期に対して強い罪悪感がある
- わけもなく涙が止まらない
- 失ったペットのことばかり考える
これらのいずれかでも当てはまる場合は、今の不調がペットロスによるものだと受け入れることで少し気持ちがらくになることもあるでしょう。
ペットロスが重症化してしまう原因
ペットロスは、多かれ少なかれほとんどの人にあらわれます。一般的に、症状は時間と共に自然に回復し、多くの場合3カ月以内に回復します。強い悲しみのピークは長くても1カ月程度です。一方、回復せずに重症化するとうつ病になったり、年単位で重いペットロスに悩むことがあります。このように重症化する原因としては、
- 強い罪悪感
- 話をできる人が周りにいないという孤独感
- 心の準備がまったくできなかった
などが挙げられます。ペットの最期に悔いが残り、自分のせいだと強い罪悪感を持ち続けるとペットロスが重症化しやすいです。ペットを亡くした悲しみについて周囲に話すことができなかったり、周囲に話した時に「たかがペットでそこまで悲しむのはおかしい」などと否定されることも、より苦しみが長引く要因となります。病気や事故など、予期せぬ急な別離により、心の準備がまったくできていなかった場合も重症化しやすい傾向があります。
ペットロスを乗り越えるために
ペットロスは、下記の4ステップで自然に回復するとされています。
第1ステップ ショックのあまり事実を認められない
第2ステップ 絶望感と悲しみの日々
第3ステップ 少しずつ回復していく
第4ステップ もとの生活へと戻る
(参考:「別離」への心の予行演習-ペットロス症候群-【健康ぷらざ No.201】 (med.or.jp))
このような回復への経過には個人差があります。ここでは、飼い主様自身でできる、ペットロスを乗り越えるための方法をいくつかご紹介します。
ゆっくりと体を休ませる
ペットを亡くしたあとは、心身共に疲弊しています。特に長い介護や闘病の末に亡くなった場合などは、充分な睡眠や食事を取れておらず、体も疲労困憊の状態です。まずは何も考えず眠りましょう。眠れないなどの症状がある場合は睡眠導入剤などの利用も有効です。仕事や家事も最低限にとどめましょう。
ペットの介護などで職場を休んだ方などは、そのぶん頑張らなければならないと考えて無理をしがちです。心身ともにしっかりと回復してから周囲への感謝を伝えれば良いので、いったん飼い主様自身の休息だけを考えると良いでしょう。
同じ経験をした人と交流する
誰かに悲しみを打ち明けることもペットロスから回復するためにとても重要です。この時、悲しみを否定されてしまうと一層苦しみが増してしまうため、普段から飼い主様とペットの関係性を理解してくれている人に話を聞いてもらうのが良いでしょう。中でもペットロスの経験のある人と交流することは非常に有効です。身近に同じような人がいなくても、インターネット上での交流もできるため、利用してみるのも良いでしょう。悲しみに共感してもらうことは、回復への大きな一歩となります。
専門家のカウンセリングを受ける
上で強い悲しみのピークは1カ月ほどだとお伝えしましたが、1カ月間も耐えることは難しいと感じる方もいるでしょう。ひどい体調不良などで日常生活に支障をきたす場合は、専門のカウンセラーにカウンセリングを受けると解決することもあります。実際にカウンセリングを受けたことのある方に話を聞いてみて、自分に合うカウンセラーを探すと良いでしょう。
新しい子を迎える
新しいペットをお迎えすると、生きる活力を取り戻せることがあります。ご縁があれば、是非新しいペットをお迎えしましょう。もちろん、まだ気持ちに整理がついていなかったり、体調不良が強い場合はもう少し回復するのを待つ方が良いでしょう。周囲に勧められても自分が前向きに考えられない時は無理に新しいペットをお迎えする必要はありません。
新しいペットを迎えるときに知っておくべき3つの事!
新しいペットをお迎えする気持ちが持てた時には、是非前向きに考えてみてください。新しいペットは飼い主様をペットロスから救い、生活に明るさを取り戻してくれます。
新しいペットを迎えるメリット
ペットは飼い主様のストレスを和らげてくれます。米国心臓学会(AHA)の調査では、95%の人がペットによってストレス解消ができているということがわかりました。
この調査では、ペットがストレスを和らげてくれる要因として、68%の人がペットが寄り添ってくれるからだと考え、67%の人がペットは笑わせてくれると回答しています。61%の人が孤独感を和らげてくれるとも言っています。
孤独に苦しみ、笑顔を忘れたペットロスの人にとって、新しいペットは人生の楽しみを取り戻してくれることでしょう。ペットロスの方が抱えている罪悪感も、新しいペットを大切にすることで薄れることもあります。はじめは亡くなった子に申し訳ないと考えていてもいずれ「前の子にしてあげられなかったこともこの子に全部してあげよう」という前向きな考えに変わるでしょう。
新しくペットを迎えるときの注意点
新しいペットはペットロスをやわらげてくれますが、注意すべきこともあります。ひとつは、前の子と比較しないということです。前の子と新しい子はまったく別の子です。前の子にできて新しい子にできないことを叱ったり責めたりすると、新しい子への愛着が持てなくなってしまいます。
反対に、新しい子を可愛がると、前の子に罪悪感を持つことがありますが、それも注意すべき点です。新しい子と過ごして笑顔になった時、ふと「あの子は亡くなってしまったのに自分はこんなに楽しんでしまっている」と考えて苦しくなることもあるかもしれません。どのようなペットでも、一番の喜びは飼い主様が幸せに過ごすことです。
前の子に申し訳ないと考えそうになった時は、申し訳ないと考えるではなく「あなたのおかげで今日も楽しく過ごせているよ、ありがとう」と言ってみると良いでしょう。新しい子に前の子の話を聞かせてあげるというのもペットロスから回復する手段のひとつです。
新しい子との生活が楽しくても、ふいに前の子のことを思い出して涙が止まらなくなることがあるかもしれません。ペットロスは、すぐに100%乗り越えられるものではありません。焦らずゆっくり向き合いましょう。
次のペットを迎えるまでにすること
新しいペットのお迎えを前向きに考えはじめた時、ご家族がいる場合にはよく話し合い、家族全員がお迎えを望む気持ちになれてからお迎えしましょう。まだ強い悲しみの中にいたり、日常生活に支障が出ている方がいれば、その方が落ち着いてから話し合いをするのが良いでしょう。
ペットは人間よりも寿命が短いため、もう一度お別れがやってくることも理解しなおさなければなりません。すでに体験した飼い主様であれば、必ず乗り越えられる悲しみですが、もう一度自分に言い聞かせる必要があるでしょう。
新しいペットを迎えることに心配があれば、お迎えの前にペットカフェや友人などのペットに触れてみるのも良いでしょう。その時に、あまりに前の子に対しての罪悪感を強く持つようであれば、無理せず気持ちが前向きになるまで待つのが良いでしょう。触れた時、またペットを守りたい、ペットと暮らしたいというような気持ちが強くなった時は、新しい子をお迎えするタイミングです。
まとめ
ペットロスは愛するペットを亡くした誰しもが経験しますが、乗り越えることができます。まずはしっかりと体を休ませて、疲れを癒しましょう。徐々に落ち着いたら、悲しみを誰かに伝え、共感してもらうと良いでしょう。必要な場合は、迷わず専門機関も頼りましょう。
「たかがペットを亡くしただけでおかしいのではないか」などと考える必要はありません。少し回復してきて、新しいペットをお迎えしたい気持ちになった場合、亡くなった子に罪悪感を持つ必要はありません。新しいペットは新しい生き甲斐を必ず与えてくれるでしょう。亡くなったペットが安心して虹の橋を渡れるように飼い主様自身の笑顔を取り戻しましょう。