犬の生活が昼夜逆転し、悩んでいる飼い主様は少なくありません。理由や対策方法を知りたい方も多いでしょう。昼夜逆転の原因のひとつには、犬が飼い主様の生活スタイルに合わせていることが挙げられます。病気や怪我、認知症などの可能性もあるため、専門家への相談が必要になることもあります。

今回の記事では、犬の昼夜逆転に着目し、理由について解説します。原因のひとつとして考えられる認知症についての判断ポイントや、対策方法もお伝えします。

犬が昼夜逆転してしまう理由と対策は?認知症の可能性も

犬が昼夜逆転してしまう理由と対策は?認知症の可能性も

犬は生活リズムを飼い主様に合わせています。そのため、飼い主様が昼夜逆転生活を送っていると犬も同様の生活リズムになるでしょう。その他にも犬の昼夜逆転にはいくつかの理由が考えられます。ここでは、犬の昼夜逆転の理由をご紹介します。

飼い主様の生活が昼夜逆転している

飼い主様の生活リズムが昼夜逆転に近くなっていませんか?例えば、飼い主様が深夜に帰宅し、そのあと犬とコミュニケーションを取る生活を続けていると、犬の生活は飼い主様の帰宅後の深夜が活動時間となります。そのぶん、飼い主様の不在の日中は眠り続けるため、昼夜逆転生活になるのです。

運動量などが足りずに、ストレスが溜まっている

人間も、日中に活動量が少ないと夜間に眠れないことがありますね。犬も同じで、昼間の時間帯に運動や遊び、飼い主様とのコミュニケーションをしっかり取れていないと夜間に眠れないことがあります。昼間の活動量が少ないことは犬のストレスにもつながります。飼い主様が帰宅した夜間に、飼い主様と遊びたくなったりストレスを発散しようとして活動しはじめると、興奮が続いて夜間に眠れなくなり昼夜逆転につながります。

病気やけがをしている

病気や怪我による苦痛で夜間に眠れない可能性もあります。飼い主様から見ても気づきにくい関節痛などがあると、夜間に落ちついて眠ることができません。皮膚病などの痒みを伴う病気も夜間の眠りを妨げます。子犬に多い異物の誤飲や、高齢犬に多い心臓病や呼吸器系の病気では、息苦しさを感じるために夜間に眠れません。夜間に眠らないだけでなく、元気や食欲も低下している場合は動物病院を受診しましょう。

認知症の可能性も

人間と同じように、犬も高齢になると認知症を発症する可能性があります。犬の認知症の代表的な症状のひとつが、昼夜逆転です。昼間に寝てばかりいて、夜間に徘徊したり吠え続けるという生活リズムになることがあります。

昼夜逆転で認知症を疑うポイントは?

昼夜逆転で認知症を疑うポイントは?

高齢犬の昼夜逆転には認知症が潜んでいるかもしれません。犬種差や個体差はありますが、犬は10歳ごろから認知症になる可能性があります。認知症の犬には、昼夜逆転以外にもいくつか行動の異常がみられることがあります。ここでは、認知症かどうかを判断するためのポイントを5つご紹介します。

見当識障害

見当識障害とは、周囲の環境や、自分がどこにいるのかなどがわからなくなることです。犬の場合、部屋の出入り口がわからなくなったり、目的もなく歩きまわるなどの行動の変化がみられます。絶対に通れないような狭い場所を無理やり通ろうとして、身動きがとれなくなることなどもあります。

家族や周囲とのかかわりの変化

認知症になると、周囲に対して無関心になることが多いです。家族の帰宅時に出迎えなくなったり、来客があっても気にしなくなることがあります。遊びにも関心がなくなるため、家族と遊ぶことが大好きだった犬がおもちゃを見せても反応しなくなることもあります。家族が撫でたりスキンシップをとろうとすると嫌がるようになることもあります。

睡眠の変化

認知症の犬は高齢なので、生活の中で睡眠時間が日に日に長くなります。日中はほとんど寝ているということもあるでしょう。一方で、夜間にはあまり眠らず、徘徊したり吠え続けるというのも典型的な症状です。

排泄の失敗

犬の認知症では排泄の失敗が多くなることがあります。トイレではない場所でおしっこやうんちをすることが増える可能性があります。

行動の変化

日中の活動量は減ることがあります。散歩や遊びに興味を示さなくなり、寝ている時間が増えます。反対に、ウロウロと歩き続けたり、目的なく単調に鳴き続けるなど、活動性があがることもあります。前庭疾患などを併発すると、同じ方向にぐるぐると回り続けることもあります。

犬の昼夜逆転、飼い主様にできる対策5つ

犬の昼夜逆転、飼い主様にできる対策5つ

犬も人間と同様で、昼夜逆転の生活では体調や精神状態に悪影響を及ぼすことがあります。できるだけ日中は起きていて夜間に寝る生活に戻したいですね。ここでは、犬の昼夜逆転に対して飼い主様にできる対策をご紹介します。

生活スタイルを整える

飼い主様の生活が昼夜逆転になっている場合は、飼い主様の生活リズムをできるだけ整える必要があります。しかし、仕事などの都合で飼い主様はどうしても夜間に起きていなければならないこともあるでしょう。その場合、できるだけ飼い主様の生活音が聞こえない場所に犬のベッドを置いて、犬が飼い主様を気にせず眠れるように工夫しましょう。

日の光を浴びる

人間では、太陽の光を浴びるとセロトニンの分泌が促され、気分の落ち込みやストレスをコントロールできることが知られています。セロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンの原料であることから、睡眠の質にも関わります。犬も人間と同様に、日の光を浴びることで心身の健康につながります。日中の散歩が難しい場合は、日の当たるベランダや庭に出すなどで、日の光を浴びられるようにしましょう。

外に連れ出して刺激を与える

犬にとっての散歩は運動というだけでなく、地面の匂いを嗅いで探索したり、他の犬や人と出会うなど、脳への刺激にもなります。高齢犬で自力で歩けない犬の場合、犬用の車椅子やカートを使って外に連れ出すと良いでしょう。ベランダや庭で、日を浴びたり、風を感じたりするだけでもストレス解消効果が期待できます。

適度な運動をさせる

日中の散歩でしっかり歩いて疲れると、夜間はぐっすり眠れます。室内で飼い主様とボール遊びやロープのひっぱりっこなどで遊ぶ運動も良いでしょう。老犬の場合、クッションなどやわらかいものの上を歩かせると、筋力トレーニングにもなり寝たきりの予防にもつながります。

知育トイで遊ぶ

おやつを入れたコングや、ノーズワークマットなどの知育トイは、犬が楽しみながら刺激を受け脳が活性化される効果が期待できます。ただし、特に子犬や老犬の場合、知育トイを噛みちぎって飲み込んでしまうなどの事故が起こる可能性があります。安全な玩具を用いることはもちろん、遊んでいるあいだは飼い主様が見守ることも大切です。

犬の昼夜逆転で困ったときは専門家に相談を

犬の昼夜逆転は、飼い主様自身のライフスタイルにも影響し睡眠不足やストレスになるでしょう。飼い主様の悩みは犬にも伝わり、犬のストレスにもつながります。困ったときは一人で抱え込まずに、専門家を頼ることも考えましょう。ここでは、犬の昼夜逆転を相談できる場をご紹介します。

動物病院を受診する

動物病院では、関節痛や皮膚病など、飼い主様には確認できない健康上の問題がないかどうかを診てもらうことができます。認知症の診断が出た場合、薬やサプリの処方で対応できることもあります。大型犬などで自力で動物病院に連れて行くことが難しい場合は、往診サービスを行っている動物病院を選ぶと良いでしょう。

ドッグトレーナーに相談

健康上の問題がない昼夜逆転の場合、ドッグトレーナーに相談するのも良いでしょう。ドッグトレーナーは、犬のしつけの専門家ですが、飼育環境や生活環境についてアドバイスをもらえることが多いです。

ペットシッターや老犬ホームの利用

飼い主様自身がストレスを感じていたり、体調を崩した場合は、ペットシッターや老犬ホームの利用も検討すると良いでしょう。サービスの内容は施設によってさまざまですが、デイケアなどで日中犬を預かってもらうと飼い主様の心にも余裕ができるでしょう。認知症の場合、ケアの相談にのってもらえることもあります。

一人で抱え込まずに乗り越えましょう

今回は犬の昼夜逆転生活に着目し、原因と対策方法をご紹介しました。健康上の問題がない犬の場合は、環境の改善など飼い主様の工夫で解決できることがあります。認知症の場合、夜間に眠らないだけでなく、吠え続けるなど飼い主様が困る行動を取ることも多くなります。飼い主様自身がストレスで体調を崩すことも少なくありません。一人で抱え込まずに、動物病院などを頼り、乗り越えましょう。