「市販のドッグフードよりも手作りご飯の方が長生きするのではないか」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬に手作りご飯を与えることで長生きができる可能性が示唆されています。一方で、正しく取り入れないと健康を損なう恐れがあります。 本記事では、手作りご飯のメリット・デメリット、注意点などについてご紹介します。犬の健康について考えている方の参考になれば幸いです。
目次
犬の手作りご飯と長生きの関係
犬のご飯は健康を左右する大きな要素です。以下では、犬に手作りご飯を与えることと、犬の長生きとの関係について解説します。
犬にとってのご飯とは
犬にとってのご飯は、犬の健康維持や体調管理に大きな影響を与えます。精神面においても、犬にとってはご飯の時間が1日のなかで最も楽しいひとときでもあります。充実した食生活は、健康だけでなく精神面にも良い影響を与えるでしょう。
しかし栄養学的な考え方には、犬と人間では異なる点もあります。人間は3食の中でバランスが取れるため、1食分の栄養が多少偏っても問題はありません。対して犬は人間と比べるとご飯の絶対量が少なく、1食1食が人間よりも大切です。
犬の手作りご飯と長生きの関係
犬の手作りご飯と長生きについて述べたレポートをご紹介します。このレポートは、ベルギーの獣医師であるLippert氏とSpay氏が2003年に出したもので、飼い犬の幸福度と平均寿命について述べたものです。
この中で、市販のドッグフードを与えられた犬に比べて手作りご飯を与えられた犬は、平均して32か月以上、長生きだったという結果が紹介されています。
※このレポートは、インターネット上では論文として紹介されることもありますが、正式な論文ではありません。20年前の調査であることも踏まえたうえで、興味のある方は原文を読んでみるのも良いでしょう。
(原文 https://www.ukrmb.co.uk/images/LippertSapyFullReport.pdf)
手作りご飯で犬が長生きする理由
手作りご飯は犬を長生きさせる可能性があります。長生きに関わる要因についてお伝えします。
添加物や酸化防止剤を使わないから
安価な市販のドッグフードの中には、健康を害する危険性のある添加物を多量に含む商品があります。商品の劣化を防ぐために、酸化防止剤を使用していることもあります。
日本の論文で、「エトキシキン」という酸化防止剤と犬の寿命について調べたものがあります 。エトキシキン無添加の手作り食を食べた犬は、エトキシキンの添加された市販ペットフードを食べた犬よりも長生きするという結果でした。
手作り食では、添加物や酸化防止剤を使わないので、健康を害するリスクを抑えられます。
食物アレルギー対策ができるから
アレルギー体質の犬にとって手作りご飯は有用です。使用する食材を選べるため、アレルギー物質を確実に取り除けます。
市販のペットフードは、なにを食べてもアレルギーが出てしまうということもあるでしょう。ドッグフードの成分には、犬の食物アレルギーのアレルゲンとして代表的な以下の食材が多く含まれます。
- 牛肉
- 牛乳
- 鶏肉
- 小麦
- 大豆
ドッグフードはシンプルなように見えますが、色々な成分がつまっています。アレルギー体質の犬にとっては、頻繁にアレルギー反応が出ることも珍しくありません。アレルギーの改善はストレスの軽減にもつながり、犬の長生きにつながると考えられます。
栄養をしっかり吸収できる
手作りご飯はドライフードと比較して、栄養の吸収率が良いです。手作りご飯は食事と一緒に水分が取れるため、栄養の吸収率を高めて消化に役立てられます。
市販のドライフードは、保存性を高めるために水分量が10%以下です。対して手作りご飯は水分量が60〜70%と、自然と水分も摂取できます。栄養素は水分に溶けた状態で吸収されるため、手作りご飯にすることで栄養の吸収率が改善可能です。 手作りご飯で栄養バランスを改善することで、愛犬の長生きや健康に繋がるでしょう。
ドッグフードの問題点
ドッグフードにはさまざまな問題点が存在します。以下で確認しましょう。
ドッグフードは規制が緩い
多くの飼い主様は、市販されているドッグフードも人間の食品と同じ基準で製造されていると信じているでしょう。しかし、ドッグフードは食品衛生法で規制されておらず、規制が緩いため事業者の裁量に委ねられているのが現状です。
ペットフード先進国では、人間用と同じ食材を使用した「ヒューマングレード」のペットフードが求められています。一方、日本ではヒューマングレードを謳うペットフードもありますが、特に規制する食品表示法がないです。
ドッグフードの安全性は不明瞭な場合もあります。規制が緩いため、企業のモラルに依存しています。
国産であっても原産国が不明
国産と記載されているドッグフードでも、原材料が外国産の場合があります。安全が保証されているとは限りません。
2007年には中国産原料を用いたドッグフードが原因で、アメリカ・カナダで8,500匹のペットが死亡する事件が発生しました。ドッグフードに有害物質である「メラミン」が混入していたことが原因です。
日本でも中国産の農産物や畜産物が輸入されています。「国産」と表示されているドッグフードでも、原材料に中国産のものを使用している可能性があります。国産だから安全とは言い切れないこともあるでしょう。
原材料の危険性がわかりづらい
ドッグフードの一部で、健康に悪い原材料が使われています。特に注意が必要な成分は以下です。
- 保存料
- 酸化防止剤
- 合成着色料
- ミートミール
一部では発がん性が確認されている物質があります。使用量の制限はされていますが、少量での危険性は不明瞭です。保存料フリーのドッグフードを選ぶとリスクを避けられます。
またミートミールとは、動物性の脂をとった後の肉や骨を粉砕したものです。ドッグフードでは病死した動物の肉や、障害を持った動物の肉のミートミールが使用されている可能性があり、原材料がはっきりしない場合が多いです。
ドッグフードにも安全基準は存在しますが、犬の健康にとっては不十分であると考えられます。そのため、できるだけ上記の原材料を使用しているドッグフードは避けるべきです。また、ドッグフードの成分表記は常に確認して購入することをおすすめします。
犬に手作りご飯を与えるメリット・デメリット
手作りご飯にはメリットもある反面、デメリットもあります。両方を正しく理解しましょう。
犬に手作りご飯を与えるメリット
犬に手作りご飯を与えるメリットを3つ解説します。
犬の健康状態に配慮したご飯を与えられる
アレルギー体質の犬や高齢の犬に最適なご飯を与えられます。アレルギー食材を通り除くことや、咀嚼しやすいご飯にするなど、犬ごとに配慮したご飯を与えられます。
毛艶や口臭、体臭が改善されることも
食物アレルギーを持っている犬の場合、手作りご飯により皮膚の状態が改善される可能性があります。皮膚が良化することで毛艶が改善や、体臭や口臭の軽減を感じる飼い主様もいらっしゃるようです。
食の細い犬シニア犬の食欲を増進
嗅覚や味覚などが衰えて食欲が低下するシニア犬にとっては、手作りご飯は匂いや味などの刺激で食欲が増進します。好きな食材を多めに入れることで犬の食への意欲を高められます。歯の少ないシニア犬が食べやすいペースト状に加工する工夫も可能です。
手作りご飯のデメリット
手作りご飯のメリットを理解したところで、デメリットも解説します。
栄養バランスの管理が難しい
市販のドッグフードの中で「総合栄養食」と表記のある商品は、新鮮な水とそのフードさえあれば、犬が生涯、健康な生活を送れるように設計されています。一方、手作りご飯を与える場合、犬に禁忌の食材を学び、ライフステージごとに必要なカロリーや栄養を自分で計算しなくてはなりません。
また京都大学の論文では、レシピ本などに掲載されている犬の手作りご飯の栄養バランスが悪いことを指摘しています。ビタミンAやビタミンB、亜鉛などが不足しやすいからです。
手作りご飯を作る際には、含まれている栄養素を把握することが重要です。不足しやすい栄養素を補い、過剰摂取しやすい栄養素を控えるようにしましょう。
(引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/20/2/20_99/_pdf)
手間がかかる
犬の手作りご飯では、日々変わる犬の体調などを元に、必要な栄養バランスを考えてレシピを設計するため、人間の献立以上に準備に時間がかかります。手作り食は、保存ができないため、毎回与えるときに用意する必要があるのも、手間のかかる点です。
愛犬に長生きしてほしい!犬の手作りご飯の始め方
犬の手作りご飯は長生きにつながる可能性もある反面、栄養バランスや手間を考えると、毎日与えるのは現実的ではありません。
ここでは市販のドッグフードへのトッピングなど、ひと手間加える方法をご紹介します。アレルギー体質の犬や、獣医師から療法食を指示されている場合は、必ず獣医師に相談してから始めましょう。
食べさせてはいけない食材を把握する
犬に以下の食材を与えると命に関わる可能性があります。
- たまねぎ
- ネギ
- ニラ
- チョコレート
人間が普通に食べている食材の中には、犬にとっては危険な食材もたくさんあります。
一般的な犬が食べることができても、愛犬の体質により与えることができない食材もあります。まずは食材と愛犬の体質についての把握を行いましょう。
愛犬の好みで栄養価の高い食材をトッピングする
犬が好きで栄養価の高い食材をトッピングすることで、栄養バランスが整います。タンパク質やビタミンなど、不足している栄養素をトッピングで補うと良いでしょう。おすすめの食材は、以下です。
- ささみ
- 人参
- かぼちゃ
- さつまいも
各食材を茹でて、細かく刻んでドッグフードにトッピングすると良いでしょう。トッピングは肥満防止のため、15g程度にとどめます。
手作りのトッピングを上手に活用して、愛犬の長生きをサポートしましょう。
ささみのゆで汁や、かつお出汁をプラス
ドライフードの食いつきが悪い犬の食欲を刺激したい場合は、ドライフードにささみのゆで汁や、かつおぶしからとった出汁などをかけるのも良いでしょう。歯の弱いシニア犬の場合、汁でフードをしっかりふやかすと、食べやすくなるメリットもあります。
愛犬を長生きさせる手作りレシピ
手作りレシピを上手に取り入れることで、愛犬が健康に長生きできます。以下ではおすすめのレシピについてご紹介します。
老犬でも安心な野菜スープ
スープは、食欲の低下している老犬でも食べられるためおすすめです。
【材料】
- キャベツ
- にんじん
- さつまいも
- 鶏むね肉
【作り方】
- 水を鍋で沸騰させる
- 細かく刻んだ野菜と鶏むね肉を鍋に入れる
- 中火から弱火で15〜20分煮込む
圧力鍋を使用することでより簡単に調理可能です。また一度に大量に作って、冷凍保存すると時短にもなり、便利です。
かぼちゃクッキーでおやつもヘルシーに
かぼちゃを使用したクッキーは、ヘルシーなおやつに最適です。健康に気を遣いながら犬を満足させてあげられます。
【材料】
- 全粒粉
- カボチャ
- オリーブオイル
- 水
【作り方】
- オリーブオイルと全粒粉を混ぜて纏める
- カボチャをレンジで温めてフォークでマッシュする
- マッシュしたかぼちゃにオリーブオイルと水を混ぜて柔らかくする
- 1と3を混ぜて薄く伸ばす
- 好きな形で型取ってオーブンで180℃20分
かぼちゃは不足しやすいビタミンAやビタミンBが補えます。かぼちゃの代わりに、にんじんやさつまいもを使用して、バリエーションを持たせるのもおすすめです。
手作りご飯を理解して愛犬の健康を守りましょう
手作りご飯を上手に取り入れることで、愛犬の健康に役立ちます。しかし正しい知識を持っていないと、愛犬の健康に悪影響を及ぼすこともあります。
まずは、今回ご紹介したトッピングを取り入れてみましょう。ご飯に挑戦したくなったら、試しに今回ご紹介したレシピに挑戦してみると良いです。
本格的に始める方は、専門家のサイトや本などでしっかり勉強することをおすすめします。良質な食生活で愛犬の健康を守りましょう。
大好きなペットにはいつまでも元気でいてほしいですが、いつか必ずお別れの時がやってきます。いざその時が来ると、急な悲しみで冷静な判断ができなくなることもあります。そのため、ペットが元気なうちから、葬儀や供養について考えておくことが重要です。
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