犬は人間よりも短命ですが、愛犬には少しでも長生きをしてもらいたいですね。長生きの目安として、犬の寿命を知りたい方や、犬を長生きさせるために気をつけるべきことが気になる方も多いでしょう。現在、犬の平均寿命はおよそ14歳と言われています。長生きのためには、飼い主のこまやかな配慮が必要です。今回は、犬の寿命について解説し、犬を健康的に長生きさせるために、飼い主が心がけるべきポイントについても詳しくご紹介します。

犬の平均寿命

はじめに、犬の平均寿命や、ギネスに残る長寿の犬の年齢についてお伝えします。

犬全体の平均寿命は約14歳

一般社団法人ペットフード協会の2021年発表の【全国犬猫飼育実態調査】では、犬の平均寿命は14.65歳でした。(https://petfood.or.jp/topics/img/211223.pdf

犬の平均寿命は延びており、10年前と比較すると0.7歳長生きになっています。0.7歳というとそれほどの長さに感じないかもしれませんが、人よりも寿命の短い犬にとっての0.7歳は人に換算すると約3年程度の伸びだと言えます。

さらにひと昔前は、犬は10歳程度でも長寿だと言われていました。このように犬の平均寿命が延びた背景には、ワクチンの普及や良質なペットフードの開発、室内飼いの犬が増えたこと、飼い主の意識が高まり動物病院にこまめに通うようになったこと、獣医療の進歩などいろいろな要因があります。

犬の平均寿命は犬種で異なる

犬の平均寿命は、犬種や遺伝的なもの、日常の生活習慣などさまざまな要因で変わります。特に大型犬、中型犬、小型犬などの犬のサイズによる差が一般的に知られています。成長速度の速い大型犬は、小・中型犬と比べてやや寿命が短い傾向になります。

記録に残る犬の最高齢は約30歳

犬がいったいどれくらい長生きするものなのか気になる方もいるでしょう。一例として、ギネス記録に残っている犬の最高齢をご紹介します。この犬は、1931年に29歳5ヵ月で亡くなったオーストラリアン・キャトルドッグのブルーイという犬です。2023年1月時点では、存命中の最高齢の犬として、アメリカロサンジェルスの「GINO WOLF」が約22歳として記録されています。

愛犬に長生きしてもらうために重要なこと

お伝えしたとおり、犬の平均寿命はおおよそ14歳です。愛する犬にはできるだけ長生きをしてもらいたいですね。ここでは、愛犬に長生きしてもらうためのポイントをお伝えします。

肥満を避ける

AVMA(American Veterinary Medical Association)は、肥満の犬は適正体重の犬より最大で2.5歳平均寿命が短いと述べています。(https://www.avma.org/javma-news/2019-03-01/study-finds-overweight-dogs-live-shorter-lives
肥満は多くの病気の原因となるため、寿命にも大きく関わります。適切な食事と運動で適正体重を保つことが長生きのポイントです。

定期的な診断で病気を未然に防ぐ

犬は自分で体調不良を訴えることができません。愛犬の不調に気づけるのは飼い主のみです。日々のこまやかな観察で、小さな変化も察することができるようにしましょう。信頼できるかかりつけの獣医師を見つけ、定期的な健康診断を受け、病気の早期発見につなげることも大切です。

避妊手術をする

避妊手術は発情に伴う心身のストレスを減少させます。メスの子宮蓄膿症やオスの精巣腫瘍を代表とする生殖器の病気の予防にもなるため、長生きにも関連すると言えるでしょう。オスの場合、発情に伴う興奮や攻撃性を緩和させることもできるため、人との暮らしのためにも避妊手術は行うべきでしょう。

室内飼育する

室外飼育には、寄生虫や感染症などのリスクが伴います。寒暖差なども大きいため、犬の体に負担がかかります。長生きをさせたい場合は、室内飼育が良いでしょう。ただし、室内飼育ではフローリングで滑って関節を痛める恐れなどもあるため、カーペットを敷くなど犬が生活しやすい環境を用意することも重要です。

歯磨きや口腔内のケアをしっかり行なう

歯周病は、口腔内だけにとどまらず、体内の腫瘍な臓器に影響し、命に関わることのある病気です。歯周病関連の病気の予防のためには、毎日の歯磨きをしっかり行いましょう。歯の健康は、高齢になった時の食生活にも関わります。飼い主が日常的にできて、高い効果を得られるケアなので、毎日の歯磨きを是非取り入れましょう。

医学的に信頼できる正しい情報に沿って行動する

犬と生活するにあたり、食べさせてはいけないものや、行なうべきではない習慣などについて、飼い主が正しい知識を持つことは非常に大切です。インターネットではペット関連の情報が数多く流れていますが、中には犬の命に関わるような危険な情報も紛れています。インターネットの情報を鵜呑みにせず、動物病院と上手に連携することで、正しい知識を身に付けましょう。

人間に換算した場合の犬の年齢

愛犬の年齢を人間の年齢に換算するとどれくらいになるのか気になりますね。いくつかの考え方がありますが、ひとつとして、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームが行った最新の研究結果をご紹介します。この研究では、DNAのメチル化という変化を調査しました。その結果「人間に換算した年齢=犬の実年齢の自然対数を16倍して31を加えた数値」だとしています。

日本の環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」では、小・中型犬では「人間に換算した年齢=24+(実年齢-2)×4」、大型犬では「人間に換算した年齢=12+(実年齢-1)×7」としています。
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/full.pdf

ライフステージ別に見る犬の健康を維持するポイント

犬の健康と寿命を維持するためには、ライフステージごとにもいろいろな注意が必要です。ここでは、気をつけるべきポイントをお伝えします。

子犬期(1歳未満)

この時期に最も気をつけるべきなのは、先天的な疾患を持っていないかどうかです。お迎えしたら動物病院で健康診断を受けましょう。子犬のお迎えは、信頼できるブリーダーさんなどを通じて行うのが良いでしょう。

子犬期は免疫が弱いため、ストレスや感染症などへの注意も必要です。この時期の犬は、社会化期と呼ばれ、いろいろな刺激に慣れて、ストレス耐性を作り上げる時期です。散歩の習慣をつけ、積極的に他人や他の犬との交流も行いましょう。お迎えしたら歯磨きの練習もすぐに開始しましょう。

成犬期(1歳~5、6歳頃まで)

成犬期の犬は、子犬期ほど好奇心がいっぱいではありませんが、運動量がいちばん必要な時期です。しっかり散歩を行うのはもちろん、日常の散歩だけでなく、ドッグランなども利用して、新たな体験で刺激や新鮮さを感じさせることで、精神的なストレスも解消されます。

シニア期(小・中型犬では7歳頃、大型犬では6歳頃)

小・中型犬は7歳ごろ、大型犬は6歳ごろから高齢期と呼ばれる時期に入ります。このあたりの年齢でフードも高齢犬用のものに切り替えていくのが良いでしょう。徐々に日中の睡眠が増えたり、呼んでも反応が薄い、疲れやすくなるなどの変化がみられはじめます。

散歩もあまり行きたがらなくなることがありますが、筋力の衰えを防ぐためにできるだけ散歩の習慣は維持しましょう。痴呆症なども増えて行きます。知育玩具などを使い、脳への刺激も与えることをこころがけましょう。

1日でも長生きを目指して

愛犬に1日でも元気に長生きしてもらいたいのは、すべての飼い主の願いですね。そのためには、肥満を防ぎ、動物病院とのこまめな連携を取りましょう。犬の変化にいち早く気づけるように、普段のコミュニケーションの中でもしっかりと犬の様子を観察することも大切です。

毎日の歯磨き習慣など、日々の少しの積み重ねで愛犬の寿命を延ばすことが可能です。今回の記事も参考に、是非愛犬の生活が長生きできるものかどうかを振り返ってみると良いでしょう。