「妊婦になったがこれまで通り犬と過ごして問題ないのか」と不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お腹に新しい命を宿している妊婦さんにとって、小さな悩みや不安がストレスになり、その様子が愛犬にも伝わってしまうこともあります。
本記事では、妊娠中に犬を飼うのは問題ないか、気をつけるべきことについて詳しく解説します。人間と犬のお互いが穏やかに過ごすために工夫をしてみましょう。
目次
妊娠中に犬を飼うのは問題ない?
結論からお伝えすると、元々犬を飼っていたのであれば、今まで通り犬を飼うのは問題ありません。
むしろ、愛犬の存在が癒しとなって心を落ち着かせてくれるセラピー効果も期待できます。
妊娠中は小さなことでも気になったりイライラしたりと不安定になりがちだからこそ、側にいてくれる愛犬の存在が心強く感じるでしょう。
ただし、今まで犬を飼っていない人が新たに犬を家族として迎えようとしている場合、容易に飼い始めるのは控えた方が良いでしょう。
妊娠中に犬の世話をできるのか、赤ちゃんと生活していけるかなどを踏まえて一旦考えることをおすすめします。
妊娠中に犬を飼うのに気をつけるべき5つのこと
前述したように、これまで犬を飼っていた人が妊娠中も犬を飼い続けることはメリットも多くあります。
しかし、妊娠前と全く同じ状態で犬を飼い続けるのではなく、妊娠中だからこそ気をつけるべき点があります。
続いては、妊娠中に犬を飼うのに気をつけるべき5つのことについて解説します。
餌やりやトイレの掃除
妊娠中に最も気を付けるべきなのが、衛生面です。
妊娠中は普段よりも敏感になり、免疫が下がって普段であればかからない病気にかかることも。
愛犬の餌やりやトイレの掃除をした後に手を洗ったり、愛犬をお風呂に入れてノミやダニによる被害を防いだりしましょう。
匂い対策
妊娠を機に、あらゆる匂いに敏感になるのはよくあることです。
それは愛犬であっても同様。愛犬や排泄物の匂いなど、しっかりと匂い対策をしましょう。
以下を始めとする匂い対策が効果的です。
- 空気清浄機の仕様
- マスクをつける
- 定期的な換気
- アロマやスプレーを使用する
愛犬の匂いを不快と感じることのないよう、しっかりと対策しましょう。
ペットも人も検査を受ける
妊娠中は愛犬からうつる感染症に注意が必要です。動物病院で検査をし、必要に応じてワクチンを接種しましょう。
また、愛犬だけでなく妊婦さんも犬を飼っている旨を産院の先生に伝えましょう。
妊娠初期に行われる血液検査の項目に含まれていることも多いですが、不安であれば指示のもと抗体検査を受けておくと安心です。
愛犬の世話は無理をしない
愛犬と過ごす中で、散歩や抱っこなど妊娠前と同じようにお世話をしてしまいがちです。
しかし、過度な散歩や世話による悪姿勢を続けることで母体に負担がかかる可能性があるので注意が必要になります。
少なくとも安定する妊娠初期〜中期におけるお世話はなるべく避け、家族や他の人にお願いするなど工夫しましょう。
他の犬や動物との接触は控える
もともと飼っていた愛犬であれば問題ないものの、なるべく他の犬や動物との接触は控えることをおすすめします。
また、ドッグランや公園などでは小さな犬が足元にまとわりついて転倒したり、大きな犬に飛び掛かられたりするリスクもあります。
妊娠中は犬を原因とする病気に要注意
前述したように、妊娠中は犬をはじめとするペットを原因とする病気に注意が必要です。免疫力が低下している母体はもちろん、お腹の赤ちゃんに感染するリスクもあるからです。
しかし、動物から感染する病気と聞いても、あまりピンとこない人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。以下では、注意すべき感染症や病気について解説します。
トキソプラズマ症
主に猫の糞や生肉などに寄生すると言われているトキソプラズマですが、犬も感染します。感染しても基本的に犬は無症状ですが、以下の症状が現れることも。
- 食欲がなくなる
- 下痢
- 嘔吐
- 呼吸困難
- 痙攣
とはいえ、犬がトキソプラズマに罹患しているかどうかを気付くことは難しく、妊娠を機に検査を受けて発覚することも珍しくありません。
妊娠中のママがトキソプラズマに罹患した場合、約30%の割合で、母体から胎盤を通じて胎児に感染して「先天性トキソプラズマ症」を発生する可能性があります。
先天性トキソプラズマ症は、最悪の場合流産や死産を引き起こすことも。母子感染を防ぐ治療薬もあるため、必要以上に気にせず日頃できる対策を意識しましょう。
パスツレラ症
犬や猫の口腔内に潜む菌が原因となるパスツレラ症は、噛みつかれたり、引っ掛かれたりしたときに感染する可能性があります。
口移しで餌をやったり、キスしたりすることは控え、ペットに触れた後に手洗いを徹底しましょう。
サルモネラ菌
動物の糞を媒体として感染するサルモネラ菌は、下痢や嘔吐、発熱などの食中毒症状を引き起こします。
犬の糞を素手で触ったり、長時間放置したりは避けて、糞はすぐに処理する、処理後は手を洗うことを徹底することで感染を防ぐことができます。症状が現れた場合には、産婦人科を受診しましょう。
歯周病菌
妊娠中に歯周病菌が増えると、流産・早産のリスクが高まると言われていることから注意が必要です。
顔や口元を舐めさせたり、愛犬にキスをしたりといったスキンシップはなるべく控えるようにしましょう。
赤ちゃんが生まれたあとの犬との生活方法
愛犬との生活で気を付けなければいけないのは、妊娠中だけではありません。むしろ、赤ちゃんが生まれたあと一緒に過ごす生活こそ、注意すべき点がたくさんあります
どのように愛犬と赤ちゃんが生活を共にすれば良いのか以下で解説します。
清潔を徹底する
この世に生まれたばかりの赤ちゃんは、母体から譲り受けた免疫はあるものの、決して万全ではありません。
だからこそ、赤ちゃんとの生活が始まった後はより一層清潔を徹底しましょう。実際、犬を原因とする病原菌は糞か口腔内に潜んでいます。
愛犬の世話や触れ合った後は必ず手を洗う、寝具やタオルなどは別にするなど、ママと赤ちゃんだけでなく、家族で意識することをおすすめします
赤ちゃんと犬は別の部屋にする
赤ちゃんと愛犬は、生活範囲を別々にしましょう。寝室を一緒にしたり、犬が届く範囲・高さに赤ちゃんを寝かせるなどすると、犬が赤ちゃんを舐めたりかんだりする可能性があるからです。
生活する場所を別の部屋にするのはもちろん、ベビーベッドを利用する場合には犬が届かない高さにするのも工夫の一つです。
犬にも愛情を注ぐ
犬にとっては、赤ちゃんが生まれた後でも同様、飼い主様との関係性や接し方が続いています。
ところが、赤ちゃんだけに愛情を注いだり、時間を費やしすぎたりすると犬もやきもちをやいてしまうので要注意です。
犬が飼い主様の愛情不足を感じると、寂しさから赤ちゃんにとびかかったり噛んだりする可能性があります。
そのため、妊娠・出産前と同様は難しくとも、愛犬にも目を向け愛情を注ぐよう意識しましょう。そうすることで、犬も赤ちゃんの存在を認識し、受け入れて生活を共にできるはずです。
妊娠中に犬を飼うのはOK!注意しながら仲良く過ごす工夫を
妊娠中に犬を飼うことは問題ありませんが、妊娠中には体型や体質などさまざまな変化が生じるものです。
だからこそ、「それまで通り」にはいかない点が増えるのはやむをえません。大切なのは、無理なくいかにして愛犬と向き合っていけるかです。
妊娠中から生活や接し方を見直すことは、出産後赤ちゃんと愛犬と一緒に過ごす生活が始まったときにもスムーズに対応できるはずです。妊娠が分かったら、家族や周りのサポートを受けながら仲良く過ごす工夫をしていきましょう。