「うちの猫のうんちは正常なのか?」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
猫の飼い主様にとって、猫のうんちは毎日のように目にするものですね。普段と違ううんちを見かけると心配になることがあるかもしれません。愛猫のうんちが健康的なのかどうか知りたい飼い主様も多いでしょう。
猫のうんちを観察することで、猫の体の異常に気付きやすくなります。今回の記事では、正常な猫のうんちと異常なうんちの見分け方について解説します。動物病院を受診すべき状態についてもお伝えするので是非参考にしてみてください。
猫のうんちは健康のバロメーター
猫のうんちはほとんど毎日見ることができて異常に気づきやすいため、健康のバロメーターと言われることも多いです。うんちの構成成分は、水・食べたものの食べかす・腸内細菌・腸などから剥がれ落ちた細胞などです。
猫のうんちそのものや、猫がうんちをする様子を観察することで、消化器系の健康状態・腸内細菌の様子・水分摂取量・ストレスなど色々なことがわかります。
猫は言葉で体調不良を伝えられません。もともと体調不良を隠す傾向の強い動物でもあるため、飼い主様の細やかな健康チェックが必要です。猫のうんちや、うんちをしている時の様子をしっかり観察して、小さな異変にもすぐに気づけるようになりましょう。
目次
正常な猫のうんち
猫の正常なうんちはその猫により、さまざまです。異常を見分けるためには、量・硬さ・回数・におい・色・内容物・排便時間、など普段の様子をしっかり観察するのが大切です。ここでは正常なうんちの特徴と異常なうんちを見分ける目安について解説します。
うんちの量
猫の正常な一回のうんちの量は、人の親指1~2本程度です。猫の体格やフードなどの違いで個体差も大きいため、普段の猫のうんちの量を把握するのが大切です。フードを変えていないのに、一回のうんちの量に変化があるのは異常だと言えます。
突然うんちの量が増えた際は、他の猫のご飯を食べていないか、自分でフードの袋を開けて食べていないか確認しましょう。
うんちの硬さ
正常な猫のうんちの硬さは、つかんだ時に崩れないで、うどんのような弾力があります。
通常の猫のうんちには水分が含まれており、腸を通過する際に適度に水分が吸収されるため理想の硬さのうんちとなります。しかし、つかんだ時にカチカチだったり、反対に形が保てなかったりするようなうんちは異常です。
排便回数
健康な成猫で、適切な食事を摂っている猫の多くは1日に1~2回のうんちをします。猫により、排便パターンは違うため、日々の猫の回数をしっかり確認しておきましょう。
普段よりも排便の回数が減る場合、便秘の可能性があります。ストレスなどで1日程度便秘になることはありますが、丸2日~3日連続でうんちをしない場合は異常かもしれません。
うんちのにおい
猫のうんちのにおいは、与えているフードなどにより異なります。正常なうんちの場合、臭いが変わることはありません。普段のにおいを知っておき、違いを感じたら体調に異変があるかもしれません。
特に、いつもと違って異常にくさい、酸っぱいにおいがする、腐ったようなにおいがするというような場合は注意が必要です。
下痢や軟便などのゆるいうんちとともに臭いがすることがあるため、毎日の確認が大切です。
うんちの色
猫のうんちの色は、こげ茶や与えているフードに近い色です。部分的に真っ赤な色が混じっている場合は、肛門や直腸など肛門に近い部分の腸から出血している可能性が考えられます。
うんちがどす黒い赤や、真っ黒な場合、胃など消化管の上の方からの出血が考えられます。うんちの色がいつもより緑がかっていたり、白や黄色に見えたりする場合、消化管のどこかにトラブルがあるかもしれません。
排便時間
猫は通常、うんちにあまり時間をかけません。30秒~1分程度が目安です。トイレにこもっている時間が長かったり、排便の姿勢をとっているのになかなかうんちが出なかったりする場合は異常です。排便の時にいきんだり、鳴いたりする場合も注意が必要です。
猫のうんちの状態からわかる病気
猫のうんちに異常がみられた場合、病気が潜んでいるかもしれません。以下では、猫のうんちの状態からどのような病気の可能性があるか解説していきます。
軟便
猫が軟便になる時、何かしらの感染症の可能性が考えられます。主に考えられる感染症として、他の猫のうんちから感染する猫回虫症や、ノミを食べて発症する瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)があげられます。
また、小腸や大腸などの消化器系疾患でも軟便が引き起こされるかもしれません。主な疾患は、以下のとおりです。
- 急性腸炎
- 食餌反応性腸症
- リンパ腫
下痢
猫のうんちが軟便より、もっと水っぽい状態が下痢です。下痢の原因はさまざまです。代表的なものは以下のとおりです。
感染症:細菌やウイルス、寄生虫による感染症が原因で下痢を引き起こす。
アレルギー:食物アレルギーや環境アレルギーによるもの。
消化器系の疾患:胃炎、腸炎、膵炎などの消化器系の疾患。
下痢が続く場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
便秘
猫のうんちに時間がかかったり、何日もうんちを排泄していなかったりする場合は水分不足や、運動不足が主な原因です。しかし、2〜3日以上便秘が続く場合は以下の疾患が疑われます。
- 巨大結腸症
- 腎臓病
- 脱水
色の異常
うんちの色は、胆汁に含まれるビリルビンという物質により、変化します。以下の色の異常が合った場合は、病気のサインが隠れているかもしれません。動物病院で確認すると安心です。
- 白色:胆汁不足、膵臓機能の低下
- 黒色:胃や食道など上部消化管からの出血
- 黄色:消化不良
- 赤色:大腸からの出血、大腸ポリープ
臭いが強い
うんちの臭いは、食べたものや消化不良に左右されます。未消化の食べ物がうんちに混ざることで臭いを発生させます。また、おなかの中に寄生虫がいるときは、寄生虫の死骸や卵がうんちに混じることで臭くなるかもしれません。
猫は基本的には肉食動物であるため、炭水化物の消化が苦手です。穀物を多く含むフードを食べるとうんちが臭くなる傾向にあります。
不順物が混ざっている
猫のうんちに白くて細長い糸のようなものや、白い粒々が混ざっている場合は寄生虫の可能性が高いでしょう。うんちに寄生虫が見られた場合は、しっかり駆除してあげることが大切です。
また、うんちに透明なゼリー状のものが付着している場合「粘膜便」と言い、腸に炎症が起きた結果、粘膜が剥がれて付着している可能性があります。一時的であれば特に問題ありませんが、粘膜便が続く場合は注意が必要です。
猫のうんちを改善するためのポイント
猫のうんちに異常がある場合、生活習慣や環境が原因である場合がほとんどです。原因を根絶しない限り、異常は繰り返します。
猫のうんちを改善するために対処するべきポイントを解説します。
食事を見直す
正常な便が出ていない場合、食事が合っていない可能性があります。猫それぞれに適した食事を与えることが大切です。
日常的に便秘気味の場合、水分量や食物繊維が不足している可能性があります。高繊維質のフードやウェットフードの導入が効果的です。対して軟便気味の場合は、食事の摂りすぎや食事が体質に合っていない可能性が考えられます。
慢性的にうんちの異常を繰り返すようであれば、1度食事を見直してみましょう。突然食事を変更すると猫へのストレスになるため、少しずつ混ぜて試すと安心です。
水を飲む量を増やす
水をたくさん飲むことで、便秘解消に繋がります。猫は水の飲む量が不足しがちであり、便が硬くなり便秘になりやすいです。
猫は野生の頃から水を飲む習慣がないため、水を飲んでもらえるような工夫が必要です。水飲み皿を複数箇所に設置し、皿自体の素材を変えて興味を引くのも良いでしょう。特に猫は噴水タイプなど動く水が好みです。上手に取り入れてみましょう。
また猫の好きな鰹節や鶏肉の煮汁を少量の水に混ぜて、味付きの水として与えるのも効果的です。どうしても水を飲まない場合は、ウェットフードにして水分を確保して下さい。
適度な運動を促す
運動不足は腸の運動機能を低下させ、腸内環境の悪化につながります。排便に必要な筋力を維持するためにも、適度な運動を取り入れましょう。
キャットタワーを設置することや、好きなおもちゃで気を引いて遊ぶなどで、毎日少しずつ運動を取り入れて下さい。おもちゃやキャットタワーは、猫によって好き嫌いやこだわりが分かれます。複数個買って、猫が気に入ったものを使用するようにしましょう。
ストレスを与えない
ストレスは自律神経を乱すため、万病のもとです。特に猫は繊細な生き物であるため、少しの環境の変化をストレスと感じてしまいます。
具体例としては以下の通りです。
- 餌のお皿が変わった
- 部屋の匂いが変わった
- 知らない人がいる
- 餌が変わった
猫がいる環境は出来るだけ大きな変化を与えないようにしましょう。どうしても変えなければいけない時は、少しずつ変えるとストレスが少なくすみます。変化がある時は、猫の様子を念入りに観察することが大切です。
冬場は暖房を使用する
猫は寒さが苦手な生き物であるため、寒い部屋で飼育するとストレスにより免疫力が下がります。免疫力の低下は病気の原因や腸内環境の悪化にもつながり、うんちの異常の原因になるため注意が必要です。
冬場は飼い主様が外出中でも、猫のいる部屋は暖房やヒーターを使用して暖かくしましょう。猫のベッドに毛布を引いてあげることや、もこもこの素材で暖かい環境を準備することもおすすめです。
定期的なワクチン接種
便の異常の原因の1つが「感染症」です。猫の感染症はワクチン接種で未然に防げます。
中でも「猫汎白血球減少症」という感染症には注意が必要です。子猫が発症しやすい感染症で、腸に炎症を引き起こして嘔吐や下痢などの症状を引き起こします。子猫の場合は死亡率が90%と恐ろしい病気です。
他にもワクチンで防げる感染症はたくさんあります。必ず摂取するようにしましょう。
猫のうんちが不調なときの対処法
猫のうんちが不調になると健康にも大きな影響を与えます。猫のうんちに異常が見られた場合は、以下のように対処しましょう。
猫の食生活を改善させる
まずは猫の食生活を見直して改善させましょう。
キャットフードを高繊維質の便秘解消用のものに変え、水の与え方も変えてみるとうんちが改善する場合があります。
しかし、食物繊維が多く含まれている食事をいきなり与えると、お腹がゆるくなる場合があります。そのため、少しずつ与えて様子を見ながら与えましょう。
異常が3日続いたら動物病院へ
うんちの異常は重大な病気が隠れている可能性があります。異常が3日続いた時点で、迷わず動物病院で診察を受けましょう。
以下ではうんちの異常を見つけてからやるべきことをご紹介します。
異常1日目
下痢や便秘などの異常が1日目の場合、一過性のものである場合もあります。応急処置として整腸剤の服用や食事の変更を行いましょう。2日目までは注意深く猫を観察しておく必要があります。
猫は少しのストレスで便の異常が出やすい生き物です。気温の変化や来客など、ストレスの原因は毎回精査すると今後の対策をたてられます。ただし便の異常以外にも嘔吐や食欲不振等の不調がある時は、迷わず動物病院を受診して下さい。
異常3日目
異常が3日間続いた場合は、症状が慢性化している状態です。すぐに動物病院を受診しましょう。
猫を動物病院へ連れて行くときは、洗濯ネットを使用すると便利です。ほとんどの猫は動物病院を嫌います。脱走して事故に遭う症例も少なくないため、連れてくる時はくれぐれも猫を逃がさないようにしましょう。
また動物病院を受診する際には、できるだけ新しいうんちを持参しましょう。うんちを検査することで、原因の究明に役立ちます。うんちの持参が難しい場合は、写真を撮っておくと良いでしょう。
猫のうんちの異常にいち早く気づきましょう
今回は猫のうんちについて解説いたしました。猫のうんちは健康のバロメーターになります。逐一確認して、異常を見逃さないようにしましょう。
うんちの異常が3日間続くようであれば、慢性的な異常になっている状態であるため動物病院を受診して下さい。一過性の異常であれば心配いりませんが、中には大きな病気が隠れていることもあります。早期治療できるよう、常に気を配ることが大切です。
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