「猫がポカポカするのは人よりも体温が高いからなのかな」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに猫の平熱は人間よりも高く、抱っこしていると温かく感じます。しかし、平熱よりも体温が変化している場合は病気の可能性もあるのです。本記事では、猫の平熱の計り方や病気の可能性、対処法まで紹介していきます。
目次
猫の平熱
猫の平熱は一般的に約38~39℃です。しかし、子猫やシニア猫、品種により個体差が生じます。さらに、猫は人間と同様に恒常性機能を持つ動物です。恒常性機能とは、体温を一定に保つように調節する機能のことをいいます。
健康なときは、恒常性機能が上手く働いて平熱を維持している証拠です。しかし、恒常性機能のバランスが崩れると体温異常が発生し体調不良になりかねません。
そのため、日頃から愛猫の体温を計測し平熱を把握しておく必要があります。検温する時間帯により体温が異なることもあるため、毎回同じ時間帯に検温するよう心がけましょう。
猫の体温の計り方
猫の体温の計り方は、リラックスした状態にさせて肛門に体温計を入れて測定します。肛門以外の測り方もありますが、肛門の方が正しい数値を測定できるため、可能な限り肛門での測定を行ってください。
猫の生体活動が維持できているかを確認するためにも体温の計測は非常に重要です。2週間から1ヵ月に1回は猫の検温を行いましょう。
猫を落ち着かせる
体温測定にトラウマを植え付けないためにも、まずは猫を落ち着かせる必要があります。
お尻で体温を測るため、おやつを食べさせたり、おもちゃで気を引いたりしながら猫の興味をお尻から遠ざけましょう。猫が十分に落ち着いた後で、猫の身体を安定させてください。
体温計を肛門に入れて測定する
猫の身体を安定させたら、尻尾を垂直に持ち上げて体温計を肛門に入れます。体温計を約2cm挿入して体温を計ってください。
動物用の体温計を使い、オリーブオイルなどの潤滑油を使うとスムーズに計ることができます。体温を測るときは肛門や直腸を傷つけないように注意してください。また、猫が嫌がったらすぐに休憩をしましょう。
肛門以外の測り方
肛門で測るのが苦手と言う方は、耳の根元を触診して測る方法もあります。温度の目安は「少し温かい」と感じる程度です。
ただし、耳の触診による検温は参考程度にして自己判断はしないようにしてください。
どうしても猫が体温測定を嫌がる場合は無理をせず、定期的に動物病院を受診して獣医師に測ってもらいましょう。
体温変化による病気の可能性
猫の体温の変化による主な病気は以下です。
- 感染性疾患
- 悪性腫瘍
- 熱中症
- 炎症性疾患
いずれも悪化すると死の危険がある病気になります。猫の体温がいつもより異常だと感じた場合は、直ぐに動物病院を受診し獣医師の診察を受けてください。
感染性疾患
感染性疾患とは、細菌や寄生虫に感染することです。消化器や呼吸器、血液に細菌などが感染する場合もあります。
その結果、発熱や下痢、くしゃみなどの症状が現れるのです。発熱だけでなく消化器や呼吸器などの症状が併発している場合は感染性疾患のサインといえるでしょう。
悪性腫瘍
悪性腫瘍とは、以下などに転移を起こす病気です。
- 白血病
- リンパ種
- 腎臓
- 肺
悪性腫瘍の場合は発熱することが多い傾向があります。シニア猫の場合は発症する確率が高いため、発熱が見られた場合はすぐに動物病院へ連れて行ってください。
熱中症
夏などの熱い季節は熱中症による発熱が多く見られます。また夏でなくとも、過度な運動や長時間の車待機などにより熱中症を発症することが多いです。
発熱とともに、よだれや激しい口呼吸が見られた場合は熱中症の可能性を疑いましょう。応急処置としてタオルで包んだ保冷剤で体を冷やすと良いです。
炎症性疾患
異物や毒物を摂取したことにより、炎症性疾患を起こして発熱することがあります。腹膜炎や関節炎なども炎症性疾患です。
また、ほかの猫との喧嘩で怪我をした際、傷跡に膿が溜まって炎症を起こし発熱することもあります。食欲不振や関節の痛み、傷を負っていないか、飼い主様は愛猫の全身の様子をチェックしてください。
猫の体温異常に関する対処法
猫の体温が異常な場合は、平熱に戻すために対応する必要があります。以下で詳しく解説します。
体温が39.5℃以上は発熱
体温が39.5℃以上は猫にとって発熱している状態です。
外や室内の気温がそれほど寒くない場合は、感染性疾患や炎症性疾患などの病気が疑われます。気温が高く熱中症の疑いがある場合は、すぐさま体を冷やしてください。
発熱の結果、多臓器機能障害を引き起こす可能性があるため、熱中症の場合も速やかに動物病院へ連れて行きましょう。
平熱より低い場合は低体温症の疑いあり
平熱よりも体温が低い場合は、低体温症や低血糖の疑いがあります。もともと猫は砂漠型の動物であり、寒さに弱いです。そのため、低体温症の影には重大な病気が隠れている場合もあります。
愛猫の身体が平熱よりも冷えている場合は、室温が25℃以上の暖かい部屋に連れて行き、毛布や湯たんぽなどで体を温めてください。
獣医師に伝えるべき内容とは
愛猫の元気を早く取り戻すためにも、獣医師に伝えるべき内容をあらかじめ把握しておくと便利です。
発熱以外の症状として、以下をメモするようにしましょう。
- お腹の張り
- くしゃみ
- 下痢
- 食欲の有無
- 呼吸の速さ
- 怪我の有無
- 歩き方
猫の事細かな症状を獣医師に伝えることで、該当する病気を早期に発見できる可能性があります。
愛猫の健康を保つために日々の暮らしから体温変化に注意しておこう
本記事では、猫の平熱の計り方や病気の可能性、対処法まで紹介しました。猫の健康を保つことも飼い主様の大切な役目です。愛猫が少しでも不調な様子を見せたら、まず体温を測ってあげてください。
体温の上昇や低下が見られた場合は、適切な応急処置をしてすぐさま動物病院に連れて行きましょう。少しの体温の変化も侮らずに、獣医師に相談することが大切です。