「うさぎの風邪ってどんなものなのだろう」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

うさぎも人間と同様に風邪のような症状を発症することがあります。しかし、原因の特徴や治療方法はうさぎ独特のものです。本記事では、うさぎ風邪の原因や症状、治療方法や予防法について解説していきます。

うさぎの風邪とは

うさぎの風邪とは

うさぎの風邪は多くが細菌感染によるものです。しかし、直ぐに発症するわけではありません。細菌を体内に保持しているだけで無症状の場合が多いです。

ストレスや環境の変化などで突然発病します。症状が悪化すると死に至る恐ろしい病気でもあるため、うさぎに対する日頃からのお世話がとても重要です。

パスツレラ菌への感染が原因

うさぎ風邪の多くはパスツレラ菌への感染が原因です。パスツレラ菌とは、健康な状態ならば発病しない日和見感染症とも呼ばれる感染症のことをいいます。

パスツレラ菌はうさぎだけでなく猫や犬、そして人間にも感染する病気です。多くのうさぎがパスツレラ菌を持っているため、免疫力が弱っている飼い主様は注意してください。

感染経路として飛沫感染や接触感染、交尾感染があります。親うさぎから子うさぎへの粘膜感染もあるため、親子のうさぎを飼っている飼い主様は毎日の健康チェックや適切な環境維持が必要不可欠です。

感染していても無症状?

うさぎの場合は鼻腔や副鼻腔に菌を保菌しています。パスツレラ菌の場合は日和見感染症なため、身心が健康であれば無症状なことが多いです。

しかし、発病しないからといって無害ではありません。人間を含めて他の生物にも菌を移してしまう危険性があることになります。ペットのうさぎとの食器共有や口移しで餌を与えることは危険です。行っている方は速やかに中止してください。

ストレスや環境の変化が要因の場合も

パスツレラ菌による感染症が発病する場合は、ストレスや疾患、環境の変化などが要因です。特に、不衛生なケージでの飼育が挙げられます。

トイレが汚れている場合はアンモニア濃度が高くなり、呼吸器系の病気を発病しやすくなるのです。また、室温の変化で体調を崩して発症する場合もあるため、うさぎを飼育する場合は室温管理を徹底しましょう。

うさぎ風邪の主な症状

うさぎ風邪の主な症状

うさぎ風邪は、鼻腔内で菌の増殖が始まり炎症が起こります。そして、耳や目、気管へと炎症が広がるのです。なかには、血液から皮膚の下や生殖器にまで広がることもあります。

うさぎ風邪はうさぎの体全体に影響を及ぼす病気です。くしゃみひとつでも決して侮らず、長時間続く場合は動物病院への受診を検討してください。

スナッフル(鼻呼吸)・鼻水・くしゃみ

スナッフルとは鼻が詰まり、鼻呼吸をしつつも慢性鼻炎になっている状態のことです。鼻水やくしゃみの症状を称してスナッフルという場合もあります。

鼻をふんふんしていたり、ズーズーとした音が聞こえたりする場合はスナッフルの可能性があるでしょう。鼻水の色が膿のような黄色や白濁になっている場合は、重症化している証です。すぐに動物病院を受診し、獣医師に診てもらう必要があります。

結膜炎・目やに

うさぎ風邪は感染経路に飛沫感染があるため、目にも菌が感染します。その結果、結膜炎や目やにがひどくなる可能性が多いです。

涙や粘性の膿に見える目やにがある場合は、うさぎ風邪を発症している可能性が高いといえるでしょう。まぶたが腫れて目の周りが脱毛する場合もあるため、うさぎの目周辺は毎日観察してみてください。

食欲低下

人間と異なり、うさぎは鼻呼吸をする生き物です。そのため、鼻腔で細菌が繁殖し鼻呼吸が難しくなると呼吸困難や食欲低下を引き起こす恐れがあります。

食欲が低下すると同時に免疫力も低下してしまうでしょう。免疫力が低下した状態が続くと、他の疾患にもかかりやすくなります。

最悪の場合、うさぎ風邪から肺炎を起こして死に至る可能性もあるのです。食欲低下を起こしていたら、獣医師と相談のうえ免疫力アップにつながる治療を施してください。

うさぎ風邪の治療方法

うさぎ風邪の治療方法

うさぎ風邪の治療方法には「投薬治療」と「食事の改善」があります。治療には約2週間かかることがあり、重症化すればするほど必要な費用も高いです。うさぎ風邪の症状を見極めて、早期発見・早期治療を開始できるよう心がけましょう。

投薬治療

うさぎ風邪の投薬治療で使用するのは抗菌薬です。全身に投与する場合やネブライザーと呼ばれる薬剤を霧状にして直接鼻の中へ入れる場合もあります。

ほかにも、細菌の発育を抑えるための抗生剤や目への点眼、鼻の洗浄なども必要になる場合があるのです。また、血液検査から投薬する薬を決め、持病がある場合は疾患部位を取り除く手術も行います。

食事の改善

免疫力の低下もうさぎ風邪の発症に関係しているため、食事の改善も必要です。ペレットフードなど適量の総合栄養食を与えてください。もちろん、与えすぎも良くありません。牧草とともに繊維質の多い食材をバランスよく与えると良いでしょう。

環境の整備

環境の整備もうさぎ風邪の治療のひとつです。うさぎが普段からよく過ごすケージはもちろん、部屋全体を清潔にすると良いでしょう。

投薬治療で完全に菌を死滅させることはできないため、再発を防ぐことが重要になります。環境の整備を怠るとすぐに再発する可能性があるため、常日頃から清潔を保つようにしてください。

うさぎ風邪を予防するには?

うさぎ風邪を予防するには?

うさぎ風邪の予防方法には、「前足や鼻周りの汚れチェック」「ケージ内を適温にする」などがあります。適度なスキンシップでうさぎの健康を確認しケージ内の温度をうさぎの適温に保つ努力が必要です。

毎日は大変かと思いますが、数日に一度など定期的にチェックしてみてください。少しの行動がうさぎの健康につながるのです。

前足や鼻周りの汚れチェック

うさぎ風邪が発症すると、うさぎは不快感を拭い去るために鼻周りを前足でこすることがあります。そのため、前足の内側や鼻周りが汚れてしまうのです。

うさぎの様子を確認する際は、前足や鼻周りの汚れをチェックすることを忘れないでください。下痢や肥満によりお尻が糞で汚れることもあります。ついでにお尻もチェックしておきましょう。

ケージ内を適温にする

ストレスや体調不良にならないように、ケージ内をうさぎにとっての適温に保つ対策が有効的です。うさぎの適温とは、室温が約23度から25度で湿度50%〜60%になります。

温度計などを用いて室温が上がりすぎていないか、下がりすぎていないかなどをこまめに確認するようにしましょう。

大切なペットであるうさぎをつらい風邪から守ってあげよう

大切なペットであるうさぎをつらい風邪から守ってあげよう

本記事では、うさぎ風邪の原因や特徴、治療方法や予防法について解説しました。うさぎ風邪は発病するととても厄介で恐ろしい病気です。感染しやすい病気でもあるため、複数のうさぎを飼育している場合は速やかにうさぎたちを隔離してください。

常日頃から、食事や糞などを観察してうさぎの様子を確認することが大切です。異常が見られた場合は直ぐに動物病院を受診してください。