飼い主様は、地震などの災害のニュースを見た際、万が一の事態を想像して不安になられるのではないでしょうか。特に、拘束を嫌う猫との避難は必要な知識を知っておかなくてはいけません。
本記事は、猫との同行避難について備えや手順を紹介します。災害はいつ起きてもおかしくないため、日ごろからできる備えをし、万が一の事態でも冷静な行動をとり愛猫の命を守りましょう。
目次
災害時、猫が避難できる場所
初めに、災害時、猫が避難できる場所について紹介します。犬のようにリードを付ける習慣のない猫は、災害時どのような場所へ避難して生活するのでしょうか。実際に被災した方の体験をチェックしてみましょう。
車内
大勢の人が集まる避難場所へ行かず、プライベートな空間を確保できる車内へ避難する方も多くいらっしゃいます。中でも、ペットを飼っているご家族は、車内避難を選択していたとのことです。
長時間狭い車内にいると、同じ体制をとり続けることになるため、飼い主様はエコノミー症候群にならないよう注意してください。
さらに、夏の場合は車内が大変暑くなり、猫も熱中症になってしまう可能性があるため、冷房を必ずつけましょう。
自宅
猫は異常事態が起きた場合、怖がって押し入れの奥に隠れて出てこないなど自宅から離れようとしない行動をとる可能性もあります。
災害直後で家の無事が判断できかねる場合は、まず飼い主様だけでも避難しなければいけませんが、自宅が倒壊せず安全だと判断できたら、猫と自宅で過ごす手段もあります。
しかし、災害時情報や支援物資など、避難場所に集まるため、頻繁に避難場所へ通うなど情報や物資を得るために工夫しましょう。
動物保護センター
近くの避難所がペットの受け入れをしていない場合、動物保護センターで一時的に預かってもらうこともできます。
しかし、一時的であっても、飼い主様と猫が離れ離れになってしまいますし、普段と違う環境により強いストレスを与えてしまうかもしれません。
やむを得ない状況では仕方ありませんが、可能であれば被災地ではない親戚に預かってもらうなど別の選択をした方がよいとされています。
猫が避難した際の不安点
続いて、猫と非難した際に飼い主様が感じる不安について紹介します。人間にとっても強いストレスとなる災害ですが、動物も同じです。以下の不安点が、飼い主様たちを悩ませているそうです。
避難場所で猫がストレスを感じないか
避難所で猫を含めたペットは、ペット専用の場所で過ごすことになります。飼い主様が持参したケージの中で過ごすのですが、すぐ隣には知らないペットがいて、なおかつ狭いケージの中に隔離されてはストレスを感じるでしょう。
とある調査では、猫やペットのストレスを不安視する飼い主様は全体の約8割を占めていました。やはりペットに普段と違う環境となる避難所での生活をさせるのは、飼い主様としても心配なのでしょう。
恐怖心から脱走してしまわないか
猫は習性として、恐怖を感じると固まってその場を動かないパターンと、逆にパニックになり外へ飛び出してしまうケースがあります。実際にこれまでの震災時、X(Twitter)で猫が脱走してしまったという投稿が目立ったものです。
東日本大震災では、多くの猫たちが脱走してしまい迷子になっています。過去の猫たちの迷子情報などを知る飼い主様たちは、実際震災などの災害に見舞われた際「うちの猫も脱走してしまうのではないか」と不安視しているのです。
避難する前に壊れた窓やドアから外へ脱走してしまったケースもあるため、普段から対策をするにも難しい問題です。
災害時の飼い主様の行動
実際に災害が起きたとき慌てないために、猫との避難の手順や注意ポイントを押さえておきましょう。また、万が一に備え、以下の手順で実際に避難訓練をしてみてください。
まずは自身の安全確保を優先する
災害が発生し避難勧告が出たら、まずは飼い主様やご家族の安全を確保しましょう。飼い主様たちの安全確保が済み次第、落ち着いて猫の居場所や状況を確認してください。
地震などの場合はガラスなどの破片が床に散乱していたり、天井が崩れたり飼い主様たちにとっても危険な状況なため、猫が隠れてどこにいるのかわからない場合は、無事を祈り人命を優先させることも重要です。
猫を見つけた場合は、意識があるか、呼吸をしているか、ケガはしていないか確認しましょう。
避難場所へ移動する
飼い主様やご家族、猫の安全を確認したら、必要な持ち物を持ち避難場所へ移動しましょう。地震などの災害時、揺れや音、建物の崩壊などで猫はパニックになっています。
普段とは違う行動をとり怯えているため、いきなり抱きかかえてケージの中へ入れようとすると暴れる可能性があるでしょう。
安心感を与えるためにも、バスタオルなどでくるみケージやキャリーケースに入れてあげると、脱走などのリスクを軽減できるとのことです。
普段からできる災害時の猫に対する対策
普段から猫用の災害対策をしておくことで、万が一のとき猫の健康や命、トラブルを防ぐことができます。
普段から防災の意識を高め、飼い主様やご家族の猫に対する不安を少しでも軽減させましょう。
猫用の避難グッズを用意
避難所には支援物資が届きますが、猫などのペット用品は基本的に飼い主様が持参しなければいけません。そのため、猫用の防災グッズを日ごろから準備しておきましょう。具体的な猫用の防災グッズは下記のとおりです。
- ペットフード(少なくても5日分・推奨されているのは7日分)
- 療法食・薬
- 水(ミネラル成分のないペット用)
- キャリーバッグ/ケージ
- 食器
- 首輪・ハーネス
- 迷子札
- トイレ用品(猫砂・うんち袋・スコップなど)
- ペットの写真
- 健康状況や投薬・アレルギー情報がわかるもの
- ワクチン証明書
- ペット保険の保険証
ペットフードはドライフードやウェットフード、おやつがあると良いのですが、消費期限に注意しなければいけませ。定期的に防災グッズを確認し、消費期限が近付いたものは使用し、新たなフードを入れておくようにしましょう。
ワクチン接種をしておく
避難所の生活では、多くの犬猫たちが集まるため、衛生状況も管理しにくく感染症のリスクが高まります。そのため、日ごろから感染対策としてワクチン接種をしておきましょう。
また、ノミやダニなどの寄生虫駆除薬の投薬をしておきましょう。日ごろから健康管理を徹底することで、異常事態の災害時に少しの変化も見逃さずに済みます。
避妊・去勢手術をする
災害時に脱走してしまい、妊娠をしてしまう猫もいます。繁殖させたくない場合は、早めに避妊・去勢手術をすることで、脱走時のリスクも防げるでしょう。
また、避妊・去勢手術は早めにすることで、乳がんのリスクを下げる効果もあります。
ケージに慣れさせておく
避難所でも車内避難でもケージの中での生活になるため、日ごろからケージ・キャリーケースに慣れさせておきましょう。
特に避難所での生活は他の被災者もいて、ケージに慣れていない猫だと暴れてしまい、周囲の迷惑になってしまうかもしれません。
マイクロチップや名札をつけておく
猫が脱走し迷子になってしまったときのために、飼い主様の情報を記載した名前札やマイクロチップを装着しておきましょう。
普段の生活でも猫が脱走する可能性があるため、猫を迎え入れたタイミングで名前札やマイクロチップは検討してください。身元がわかるようにすると、保護されてから飼い主様の場所へスムーズに帰っていけます。
災害に備えて、猫が避難できるために対策をしよう
本記事は、猫との同行避難の手順や、防災の備えについて紹介しました。万が一の災害時のためにも、猫用の防災グッズを用意し、避難の手順や備えを万全にすることで、落ち着いた行動ができます。
避難方法や猫の習性などを理解して、実際に災害に合うことを想定して訓練しておきましょう。