万が一の災害時、ペットを飼っているご家庭は基本的に同行避難をしなくてはいけません。

しかし、人間もパニックになる災害なため、なにも情報がわからないペットたちはより不安に陥り、普段とは違う行動もしてしまい、スムーズに同行避難ができない状況になるケースもあります。

本記事は、犬との同行避難の手順や日ごろからできる災害時の備えについて紹介します。大切な愛犬の命を守るためにも、防災の意識を持っておきましょう。

ペットとの同行避難とは

ペットとの同行避難とは

災害が起きた際、原則犬をはじめとしたペットと同行避難・同伴避難をしなくてはいけません。同行避難とは、飼い主様とペットが一緒に避難所へ避難することです。

一方、同伴避難とは避難所で飼い主様がペットを飼育することを指します。同行避難や同伴避難が定められていますが、各自治体の避難所によってはペットの受け入れを受け付けていないケースもあります。

また、ペットとの避難を受け入れる避難所であっても、他の被災者への迷惑なども考慮し、ペットは別室や野外での避難所生活になることもあります。

犬との同行避難の手順

飼い主様もパニックになる災害時ですが、犬も異常事態を察知し普段とは違う行動をしてしまうかもしれません。

必要な知識を備え、いざという時に落ち着いて適正な行動が取れるよう日頃から以下の手順に沿った防災訓練をしましょう。

飼い主の安全確保後、落ち着いて犬の状況を確認

災害が起きた直後は、まず飼い主様・ご家族様の安全確認を第一に行います。安全確保ができ次第、犬の状態を確認しましょう。

  • 意識はあるのか
  • 息はしているか
  • ケガはないか

また、災害時、犬は異常事態を察知し、パニックになり吠え続けたり同じ場所でグルグル回ったり異常行動をすることがあります。

突然のペットの急変に驚くかもしれませんが、災害によるパニック行動ですから飼い主様は落ち着いて対応しましょう。

犬にリードをつけ、電気のブレーカーやガスの元栓を切り避難

愛犬の安全を確保した後は、脱走予防としてすぐにリードを付けるか、小型犬の場合はケージに入れてください。リードでの避難となる場合は、道にガラスなどの破片が落ちているかもしれないため、犬がケガをしないよう注意が必要です。

また、ケージに入れる場合は恐らく怯えるでしょうから、バスタオルなどでつつみ安心感を与えて入れるようにしましょう。そして、ケージは簡単に開かないようにガムテープなどで固定することで脱走防止をしてください。

実際に被災した方が困った犬のトラブル

無事に同行避難した後も、避難生活で予期せぬトラブルが多く起きるものです。

以下で、実際に起きるであろう犬のトラブルを事前に知り、万が一の事態に落ち着いて対応しましょう。

異常事態を察し吠えたり噛んだりする

普段は無駄吠えをしない犬でも、災害時のような異常事態の際は危険を察知し吠え続けてしまうこともあります。避難所は様々な被災者が集結するため、動物嫌いの方や大きな音がストレスになる方もいらっしゃるでしょう。

そのため、犬の鳴き声だけでもトラブルになるのです。さらに、噛み癖もしつけておかなければいけません。もし人や他のペットを噛んでしまった場合、避難所に居づらくなってしまいます。

避難所でのトラブル

避難所は多くの人・ペットが集まり、ストレスを生みやすい環境となります。鳴き声もトラブルの元ですが、排泄臭なども他の被災者の方にストレスを与えてしまうでしょう。

同伴避難を受け入れる避難所の場合、抜け毛も問題となるようです。動物が苦手な方やアレルギー持ちの方は、ペットたちの抜け毛にも耐性がないため、飼い主様は細心の注意を払わなければいけないのです。

ペットの食料や備品は中々手に入らない

人間の食料も災害直後は不足するため、ペットの食料は基本的に飼い主様の持参となります。どうしても人間の物資が優先的に配布されるため、ペットは後回しになってしまうことが現実です。

民間の動物福祉団体や獣医師会からのペット用品の物資も、数日はかかるため、5~7日分の食料や水、排泄用品、薬、食器などは持っていけるようにしておきましょう。また、食料はドライフードとウェットフード、おやつがあると良いです。

被災後のペットの体調や病院事情

災害時、犬が外的ケガをするだけでなく、持病が悪化したり、衛生状況から感染症が蔓延したり、体調のトラブルも起きがちです。

感染症予防に関しては日ごろから対策できることもありますが、ストレスによる体調不良は飼い主様が細心の注意を払っても防ぎようがないでしょう。

ケガや病気を抱えるペットのために、動物避難所や負傷動物救護所も設置されます。負傷動物救護所は獣医師がいるため、ペットの異常を発見した際は利用してください。

万が一の災害時に向けた対策

災害に備え、必要な知識を取り入れることはもちろん、犬用の防災グッズやしつけをして、愛犬の命や健康を守りましょう。

犬用の防災グッズの用意

災害時、犬をはじめとしたペットたちの食料、水などの備品は後回しにされてしまうため、飼い主様が備品を持参する必要があります。犬の防災グッズは以下のものを用意することが推奨されています。

  • フード・水・常備薬(5~7日分)
  • ペットシーツ・排泄袋
  • 首輪・リード
  • 食器
  • タオル
  • 持ち運び可能なケージやクレート
  • ワクチン接種証明書(最新のもの)
  • 健康状態がわかる書類
  • ペットの写真(迷子のとき用)

また、ペット用防臭スプレーやペット用ウェットティッシュ、タオル5~6枚もあると何かと便利でしょう。

避難場所で役立つしつけ

避難所での生活のために、「待て」「ハウス」「おいで」「人慣れ」などの基本的なしつけを教えておきましょう。「待て」はガラスなど危険なものがあるときに使えますし、脱走も抑制できます。

「ハウス」は災害直後にケージにスムーズに誘導でき、避難所でのケージ生活でも役立つでしょう。「おいで」は危険時パニックになる犬を飼い主様のもとへ誘導したり、避難の際に脱走を抑制できたりするかもしれません。

また、「人慣れ」をさせておくと救助隊の方たちに噛みつくことリスクも軽減させることができ、避難所でのトラブル予防となります。

健康管理・避妊去勢手術

犬がパニックになり脱走してしまったとき、繁殖を避けたい場合は避妊・去勢手術を受けておきましょう。また、避難所ではたくさんのペットが集まり、感染症が蔓延するリスクもあります。

万が一の事態に備え、ワクチンの接種やノミ・ダニの薬物投与をしておくと愛犬の健康を守ることができます。

近くの避難場所がペットを受け入れるのか確認

基本的に避難所でペットの受け入れをしていますが、自治体によっては受け付けていない避難所もあります。ペットを受け付ける避難所でも、ペットは野外や動物専用の別室で生活をすることになるかもしれません。

飼い主様とペットが離れることが不安な場合は、自宅が崩壊せず安全だと判断できたら在宅避難も視野に入れても良いでしょう。また、被災地ではない親戚に一時的に預ける手もあります。

はぐれてしまったときのための名札装着

過去の災害を見てもペットがパニックになり脱走してしまう事案が多いです。万が一、脱走を防ぐことができなかったときのために、名札やマイクロチップをつけておきましょう。

名札(迷子札)には、飼い主様の電話番号などを必ず記載しておきましょう。また、マイクロチップは4,000~5,000円で入れることができます。

災害時、愛犬を守るためにも日ごろから防災の意識を高めましょう

災害時、愛犬を守るためにも日ごろから防災の意識を高めましょう

本記事は、犬との同行避難の手順や日ごろからできる防災対策について紹介しました。万が一の事態に備え、飼い主様が防災の意識を高めることで大切な愛犬の命を守ることができます。

防災と犬に対する知識を身に付け、安全に迅速に避難できるようにしましょう。